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【不動産売却の基礎知識】売却の流れや費用について詳しく解説

【不動産売却の基礎知識】売却の流れや費用について詳しく解説
マイホームの購入は一生に一度あるかの大きな買い物ですが、不動産の売却も何度もあることではありません。大切な所有不動産を売却するなら、少しでも高く売りたいと思うものです。そこで本記事では、不動産売却の基礎知識や一般的な売却の流れ、売却方法、売却時のポイントなどを解説していきます。所有する不動産の売却を検討している方や、売却方法がわからない方はぜひ参考にしてください。

記事の目次

不動産売却の基礎知識、おさえるべきポイントは?

不動産を売却する際、全体の流れや売却方法を把握しておくのはもちろん、以下のような点を事前に理解しておきましょう。

  • 査定額の金額で売却できるとは限らない
  • 「高く売る」と「早く売る」ことの両立は難しい
  • 売却時にも出費がある

上記を知らない場合、節税対策が取れず余分に出費してしまったり、売却に時間がかかりすぎてしまったりと後悔してしまうことになりかねません。不動産売却を始める前に、上のポイントは押さえておきましょう。詳しくは後述していきます。

不動産売却の流れ

不動産を売却する際の主な流れやステップごとにかかる期間は以下のとおりです。具体的にどのようなことをおこなうのかそれぞれ紹介していきます。

ステップ かかる期間
不動産会社に相談・査定依頼をする 約1カ月
不動産会社を選定し媒介契約を結ぶ
販売活動を開始する 約1~3カ月
買主と売買契約を結ぶ
決済・不動産の引渡しをする 約1カ月
確定申告をする 売却の翌年

事前準備 不動産売却の相場を調べる

不動産売却の動きを始める前に、事前準備として売却予定の不動産がいくらで売却できそうか相場を調べてみましょう。相場を調べる方法として、物件情報が掲載されているサイトを確認し、売却予定の不動産と類似している物件の売却価格を複数調べることや、簡易査定が可能なサイトでおおよその売却価格を確認することなどが挙げられます。

不動産情報サイト アットホームの売却価格簡易査定・相場情報はこちら
マンション売却価格 簡易査定・相場情報
一戸建て売却価格 相場情報

ステップ1 不動産会社に相談・査定依頼をする

具体的に売却を進めるため、不動産会社に相談して査定依頼しましょう。自身で調査した相場よりも、より具体的な売却価格を決めることができます。査定方法は机上査定と訪問査定の2種類があり、訪問査定は実際の建物や設備の状況を確認して査定額を算出するので、より現実的に売却可能な価格の算出が可能となりおすすめです。
査定は複数社の不動産会社に依頼し、会社ごとの査定価格や販売方法などを比較検討しましょう。

ステップ2 不動産会社を選定し媒介契約を結ぶ

売却の仲介を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。媒介契約を結ぶ際は、物件状況等報告書や付帯設備表の記入をおこなうのが一般的です。
媒介契約には「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、自分に合った契約を選ぶ必要があります。媒介契約の詳細については後ほど詳しく説明します。

ステップ3 販売活動を開始する

不動産会社と媒介契約締結後、不動産会社は物件情報サイトに物件を掲載したり、広告を作成して新聞の折り込みチラシに入れたりポスト投函したりして販売活動をおこないます。反響があった場合、内覧対応や条件・価格交渉をおこなって申込み(買付)が入るよう進めていきます。

ステップ4 買主と売買契約を結ぶ

申込み(買付)が入り、売主・買主双方で条件に問題がなければ売買契約の締結です。売買契約は売主と買主のほかに、売主側仲介会社や買主側仲介会社を含めた四者間によって執りおこなわれ、売主側仲介会社のオフィスにて一堂に会し契約手続きをおこなうことが多いです。手続き内容は、宅地建物取引士が同席のうえ重要事項説明書の読み合わせをおこなった後に売買契約書を締結します。契約時は売買代金の一部である手付金の授受をおこなうのが一般的です。

ステップ5 決済・不動産の引渡しをする

契約時に決められた引渡しの期日までに、売買代金から支払い済みの手付金を引いた残代金の支払いおよび不動産の引渡しをおこないます。決済日と同日に権利証や物件の鍵も引渡し、所有権移転をおこないます。契約時に引渡し日を確定せず期日を設けている場合は、仲介会社は売主と買主の希望に沿って調整することが可能です。

ステップ6 確定申告をする

不動産売却によって売却益が出た場合、会社員や自営業に関わらず確定申告が必要になります。申告するタイミングは、売却した翌年の確定申告の時期です。また、売却益が出なくても、特別控除の適用を受ける場合には確定申告が必要です。売買契約書や領収書など必要書類を準備のうえ、税務署へ提出しましょう。

不動産売却の方法

不動産売却の方法

ここからは不動産売却の方法について解説していきます。大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類があり、売主の都合によって適した方法が異なります。仲介と買取のよい点が上手に組み合わさった方法もあるので、以下を参考にしてください。

不動産会社へ売却

不動産会社を介して買主を探す売却方法とは異なり、不動産会社が買主となって直接売却する方法です。いわゆる「買取」と呼ばれる方法で、仲介手数料がかからず短期間で売却できる点が大きなメリットといえるでしょう。ただし、不動産会社は買い取った後に必要な修繕をおこなって再販するため、買取価格は仲介で売却するよりも約2~3割安くなることがあります。

不動産会社による仲介

一般的な売却方法として知られるのが、不動産会社によって販売活動をおこなう「仲介」です。仲介の場合、売主と買主の間に不動産会社(仲介会社)が入って取引をおこなうため、仲介手数料の支払いが発生します。相場の価格で売却しやすい点は魅力ですが、希望する売却価格で売れるとは限らないことや、売却期間が読めないのは懸念点といえるでしょう。

任意売却

住宅ローンの返済が難しくなった場合は、任意売却による売却も一つの方法です。任意売却は売却後もローンが残ってしまう場合でも、金融機関の合意を得て抵当権を外すことができます。また競売とは異なり、ある程度所有者の希望条件で一般市場に出して売却可能。売却時のデメリットは少ないものの、住宅ローンの滞納が続くことが任意売却できる条件となるため、個人信用情報にキズがついてしまうことは避けられないでしょう。

買取保証付き仲介

不動産会社に仲介を依頼して買主を探してもらうのが一般的な売却方法ですが、必ず買主が見つかる保証はありません。しかし買取保証付き仲介の仕組みであれば、確実に現金化することが可能です。一般的な流れでは、まずは売主の希望価格・条件によって不動産会社に仲介してもらい販売活動をおこなって、決められた期間内に買主が見つかった場合は仲介取引として売却します。

期間内に買主が見つからなかった場合、仲介していた不動産会社に買い取ってもらうことができます。確実に売却できる安心感が得られるほか、売却条件の最低ラインを設けられるため資金計画を立てやすくなりますが、この仕組みを採用している不動産会社が限られている点や、最低ラインの取り決めなど条件の合致が難しい点には注意が必要です。

それぞれの売却方法に関する詳細は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

不動産会社と結ぶ媒介契約の種類

不動産売却の際、不動産会社に仲介を依頼して売却するには売主と不動産会社との間で媒介契約の締結が必要です。媒介契約には3種類あり、それぞれ内容が異なります。以下の表を参考にしてください。

媒介契約の種類 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任
媒介契約
複数社との契約 不可 不可
買主を自分で
見つけること
不可
売却活動の
報告頻度
報告の義務
なし
2週間に
1回以上
1週間に
1回以上
指定流通機構
(レインズ)への登録
義務なし 7日以内に
登録
5日以内に
登録
契約期間 法律上の定め
なし
3カ月 3カ月

一般媒介契約のメリット・デメリット

一般媒介契約は、複数の不動産会社と同時に契約を結べます。売主側からすると、もっとも自由度の高い契約形態といえるでしょう。複数社に仲介を依頼できるうえ、自身で買主を見つける自己発見取引も可能なため、買い手の幅を広げられます。ただし、一般媒介契約は不動産会社にとって安定性が低い契約内容のため、積極的に販売活動をおこなわない可能性があります。また、売主に対する販売状況の報告義務もないことから、不動産会社の活動状況がわからず不安に感じるかもしれません。

専任媒介契約のメリット・デメリット

専任媒介契約では、仲介を依頼できる不動産会社は一社のみです。販売活動の報告が定期的に受けられ、自己発見取引も認められていることから、ある程度自由度がありながら、積極的な販売活動も期待できるでしょう。販売状況を把握しやすい点は魅力ですが、不動産会社を一社に絞るためその会社の力量によって売却価格や期間が変わる点には注意が必要です。

専属専任媒介契約のメリット・デメリット

専属専任媒介契約は、不動産会社を一社に絞り、なおかつ売主の自己発見取引も認められない契約です。3つの契約の中で最も制約がある契約形態といえます。こまめに販売活動の状況報告を受けながら進められるため、不動産会社のサポートも手厚く信頼関係を築きやすい点が大きなメリットです。一方、自身で買い手を見つけられた場合でも、契約している不動産会社を通して売却しなければならない点には注意しましょう。

不動産売却に関する相談先

不動産の売却を考えた際に、不動産会社に相談や依頼をするのが一般的です。しかし、売却にともなってさまざまな懸念点やトラブルが出てくる可能性があるため、内容に応じて相談先を変えると納得のいく売却ができるでしょう。不動産売却に関する相談先として、主に以下の相談先が挙げられます。

相談内容 相談先
不動産売却全般 不動産会社
正確な不動産の資産価値について 不動産鑑定士
隣地との境界があいまいな場合の測量について 土地家屋調査士
登記変更などの手続きや不動産の権利関係について 司法書士
税金や確定申告について 税理士
不動産の売買契約をめぐるトラブルについて 弁護士

上記のような専門家の方々は、その道のプロとしてより専門的な内容の相談に応じてくれます。相談先に悩んだ場合は、不動産会社や不動産関連機関が実施する無料相談サービスの利用がおすすめです。

不動産売却に必要な書類

不動産売却を始める際や契約・決済などの取引時には、準備しておく書類がいくつかあります。不動産会社へ仲介の依頼をする際と、物件を引渡しする際に必要な書類について、それぞれ以下の項目を参考にしてください。

不動産会社へ売却依頼をする際に必要な書類

  名称 マンション 一戸建て 土地
登記簿謄本または登記事項証明書
登記済権利証
(または登記識別情報通知書)
物件購入時の売買契約書
物件購入時の重要事項説明書
固定資産税評価証明書
(または固定資産税納税通知書)
土地測量図・境界確認書
公図
物件の図面
設備の仕様書
建築確認済証および検査済証
建築設計図書・工事記録書
マンションの管理規約または使用細則
マンションのパンフレット
(間取り図などが分かるもの)
マンション維持費関連書類
耐震診断報告書
アスベスト使用調査報告書

必須で用意しなければならない書類のほかに、あれば参考にできるものなどがあります。役所等で取得できるものもあるので紛失してしまっていても焦る必要はありませんが、不動産売却時には、より内容が具体的にわかるほうが不動産会社も販売しやすくなるため、購入時の書類はできるだけまとめて保管しておくことをおすすめします。

不動産の引渡し時に必要な書類

  名称 マンション 一戸建て 土地
身分証明書
住民票
実印
印鑑証明書
銀行口座の通帳
(銀行振り込み先情報)
ローン残高証明書
(またはローン返済予定表)

引渡し時に必要なものは、主に本人確認書類や残代金を受け取って住宅ローンの残債を一括返済するために必要な書類などです。マンションや一戸建てなど不動産の種類に関わらず必要なものなので、引渡しの前に準備しておきましょう。

不動産売却にかかる費用・税金・控除

不動産売却にかかる費用・税金・控除

不動産を売却する時は、売却代金が入るだけでなく、売主の出費もあります。以下では売却にかかる費用・税金・控除の3つに分けてそれぞれ解説していきます。

不動産売却にかかる費用

不動産売却には、主に以下の費用がかかります。

名称 金額 内容
不動産会社への
仲介手数料
(売却価格×3%)+6万円+消費税 成約時に不動産会社へ支払う報酬
抵当権
抹消費用
5,000円~
2万円程度
住宅ローン完済時、抵当権を抹消するためにかかる費用
測量費用 50万~
100万円程度
土地の測量にかかる費用
解体費用 木造:坪単価
4.5万円程度
RC造:8万円程度
更地にするため戸建てを解体するための費用
整地費用 3万~6万円程度 土地を平らにならす費用
地盤調査費用 5万円前後 対象の土地の地盤を調査する費用
土壌汚染
調査費用
10万~
100万円程度
土壌汚染の有無を明確にする調査費用
司法書士への
手数料
2万~3万円程度 所有権移転登記など司法書士に依頼した場合に支払う報酬
ローン返済
手数料
5,000円~
3万円程度
残債分の一括返済時にかかる事務手数料

目安として、売却価格の3~5%程度の費用がかかると想定しておくとよいでしょう。上記は必ずかかる項目ばかりでなく、場合によって必要となる項目もあります。なお、上記項目は引渡し時に売却代金から支払われるのが一般的です。

不動産売却にかかる税金

次に、売却時にかかる税金は以下のとおりです。

名称 金額 内容
収入印紙税 200円~48万円
(軽減税率適用後)
経済的取引などに関連して作成される文書に課税される税金
譲渡所得税 0円~200万円程度
(譲渡所得金額により異なる)
不動産を売却して出た譲渡所得(利益)にかかる税金
登録免許税 5,000円~
2万円程度
所有者の変更にともない登記簿上の所有者変更時に発生する税金

上記項目は契約時・引渡し時・引渡し後にそれぞれ必要になります。税金の金額は売却価格や物件の所有期間などによって異なるので、自分が売却したい不動産の場合はどのくらいになるのか調べておくとよいでしょう。

不動産売却の際の控除や特例について 

不動産売却の際、さまざまな控除・特例があります。一定の要件を満たしていれば以下の控除・特例を受けられます。

名称 内容 特記事項
3,000万円
特別控除
不動産売却後、売却益が発生して譲渡所得税の支払いが必要な場合の控除 マイホーム以外不可 
など
軽減税率特例 上記同様、不動産売却後に譲渡所得税が発生する場合の特例 所有期間10年超の場合
買い換え特例 買い替えの際、売却した不動産の譲渡益にかかる譲渡所得課税を先送りする特例 住み替え先の住宅が売却する住宅より高い金額の場合
取得加算の
特例
相続した不動産に売却益が出た場合に所得税を軽減できる特例 相続した場合
空き家の
3,000万円
特別控除
相続した空き家を取り壊して土地を売却した場合の控除 マンション不可
損益通算 不動産売却後、損が出た場合にその年の所得と合算できる 譲渡損失が生じた場合

売却時にかかる税金控除や特例はさまざまあり、税金がゼロになることもあります。ゼロになった場合でも確定申告が必要な点には注意しましょう。また、控除・特例の組合せによっては併用できないものもあるので事前に要件を確認しておくことをおすすめします。

後悔しない不動産売却のポイント

不動産を売却したことがある人に「不動産売却時に後悔したことはなんですか?」とアンケートを取りました。その結果がこちらです。

アンケート結果

後悔した内容 回答人数
安く売ってしまった 42
売るタイミングが悪かった 24
複数社の見積もりを取ればよかった 13
もっと時間をかければよかった
税金の計算をきちんとしていなかった
なかなか売れなかった
売買契約の種類に後悔した
不動産会社選びに失敗した
その他

回答サンプル数:197(複数回答可)

不動産の売却において、タイミングを間違えて売却期間を十分に設けられず結果的に安く売却してしまったことや、不動産会社の選択が悪かったのではないかと後悔したケースが多いことがわかりました。このような後悔をしないよう、以下で不動産売却時のポイントを紹介します。

情報収集は念入りにしよう

売却する前に、情報収集を念入りにおこないましょう。後悔した例としてもっとも多いのは「安く売ってしまった」ことです。安く売却することになった原因は情報不足が主な原因です。売却に適したタイミングや相場を事前に調べ、市場と大幅なズレがないような価格設定をするほか、売れやすい時期を見極めるようにしましょう。

不動産会社は売却のパートナーと考えよう

不動産売却は、仲介を依頼する不動産会社と二人三脚でおこないます。問い合わせや内覧希望などの販売活動状況を聞きながら対策をして進めていくことになりますが、なかには内覧対応が悪かったり、値下げしすぎたりと、売主と不動産会社の間でトラブルに発展する事態も起こり得ます。優良な不動産会社を選択することは重要であり、売主のサポートにも直結するため、不動産会社に価格などの条件面を丸投げすることも避けたほうがよいでしょう。売主は不動産会社をパートナーと考え、信頼できる不動産会社を探すことをおすすめします。

余裕をもったスケジュールを立てよう

売却を始める際には、余裕を持ったスケジュールを立てるようにしましょう。資金繰りが厳しい状況やタイミングによって、見つかった買主を逃したくないとすぐに決めてしまうケースは多くあります。売り急いでいる場合、相場より安かったとしても売却に踏み切ることも考えられるため、スケジュールに余裕を持つことで、買主の見極めも慎重にできるでしょう。

不動産査定は複数社に依頼しよう

不動産査定は複数社に依頼しよう

不動産会社によって、査定額はさまざまです。大きな開きが出ることは多くないですが、バラつきが出るため複数社に依頼するのがおすすめです。はじめから一社に絞ってしまうと、結果的に売却価格が安くなってしまったり、対応に満足がいかなかったりと後悔につながる可能性があります。査定を依頼する際は、複数社に依頼するようにしましょう。

不動産一括査定依頼サービスを利用すると、複数社に査定を依頼でき、とても便利ですよ。


【目的別】不動産売却の特徴や注意点

不動産を売却したことがある人に「不動産を売却した理由はなんですか?」とアンケートを取りました。その結果がこちらです。

アンケート結果

不動産を売却した理由 回答人数
住み替え 82
相続 26
買い替え 22
転勤・転職 19
資産整理 17
金銭的理由 14
不要な土地の処分 13
空き家の整理 10
住んでいた人が亡くなった 10
実家の処分
親と同居のため
離婚
移住
その他 19

回答サンプル数:253(複数回答可)

もっとも多い理由は「住み替え」で、全体の3割超えとなりました。次に「相続」「買い替え」「転勤・転職」などが全体の1割程度となっています。以下では、売却理由として一般的に多い項目について具体的に解説していきます。

住み替える場合

住み替えによる売却は、家族構成の変化がきっかけになるケースが多いです。子どもができた場合、両親との同居・近隣に住み替える、ペットを飼いたいなどの理由が挙げられます。また、定年退職を迎えたり、リモートワークが増えたりしたことで郊外への移住を検討し始める方も多いようです。

転勤・転職する場合

転勤により住む場所が大きく変わってしまったり、転職して勤務先が遠くなったりした場合に売却することがあります。購入したばかりだと家を手放すのを躊躇してしまいがちですが、何年後に戻れるかわからず予定が立てられないのであれば、固定費だけかかり家のメンテナンスも大変になってしまうため手放すのが無難です。築年数が浅く設備も新しいものであれば、比較的買い手を探しやすくニーズも一定数期待できるでしょう。どうしても売却に踏み切れない場合は、賃貸に出して第三者に住んでもらうことをおすすめします。

相続する場合

不動産を相続しても使い道がなく空き家になってしまい、維持管理が難しい場合や防犯面で心配な場合などは、売却を選択する傾向に。また相続人が複数いる場合、遺産分割をするために売却して現金化するケースも多いです。

資産整理する場合

不動産投資をしている場合や終活のため、資産整理をする目的で売却することもあります。維持管理が難しく、固定資産税や清掃費などの出費ばかり多くなった物件があれば、空き家問題などのトラブルを防ぐためにも売却したほうがよいでしょう。

金銭的理由の場合

住宅ローンの支払いが難しくなったり、急にまとまったお金が必要になったりした場合に不動産を売却して現金化することがあります。住宅ローンの支払いが難しいという理由であれば、支払いが滞り競売にかかってしまう前に一般市場にて売却することをおすすめします。

離婚する場合

離婚が理由となる場合、それぞれ別の場所で新しい生活を始めることや、財産分与のために売却するケースが多いです。離婚後いずれかが家に住み続けていても、再婚などをきっかけに売却するケースもあります。

【種目別】売却の特徴や注意点

【種目別】売却の特徴や注意点

不動産売却といってもマンション・一戸建て・土地と種類がそれぞれ異なります。以下でそれぞれの種目別に、特徴や注意点を紹介するので参考にしてください。

マンション売却の場合

マンション売却の際は類似物件と比較し、広い観点から価格設定するようにしましょう。築25年を超えたマンションは値引き率が高くなるため、築年数や耐震基準にも注意が必要です。

なお、より詳しい解説は以下の記事でもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

一戸建て売却の場合

一戸建ての場合、登記内容が現況と異なっていることも少なくありません。過去に増築していたり、建物の用途を途中で変更したりした場合などが主なケースとして挙げられます。登記の変更は、売却前に手続きを済ませておきましょう。

なお、より詳しい解説は以下の記事でもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

土地売却の場合

土地売却の際は、測量がおこなわれているか事前に確認しておきましょう。隣地との境界が定まっていないと、買主が購入後に隣地と所有面積の範囲などでトラブルになることも考えられます。測量されていない土地は、売主負担により測量をおこなったうえで売買取引をおこなうのが一般的です。

なお、より詳しい解説は以下の記事でもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

2023年は不動産売却に適したタイミング?

2023年現在、不動産を売却している方は多く、売却に適したタイミングといえるでしょう。大きな理由の一つとして、金利変動がポイントとなっています。以下で売却に適したタイミングといえるポイントについて解説していきます。

物件価格は高騰傾向?

物価の上昇について、マンションは2023年以前からありましたが、土地の価格も大きく変わり全国的に上昇しています。都市部の不動産価格の高騰が大きな要因の一つです。また、ウィズコロナの考え方から医療機関やインフラが充実していると再び都市部が注目され、人口が集中することも考えられるでしょう。そのため不動産の需要も都市部を中心に高まり、物件価格も高騰傾向にあるといえます。

今後金利は上昇する?

今後金利は上昇するものの、不動産市場において影響は限定的といわれています。2022年12月に日本銀行が実質的な利上げの方針を定めましたが、主な影響は住宅ローンの固定金利です。変動金利を選択する人が多いなかで影響は少ないといえます。ただし、変動金利を選択すれば金利上昇がないとは言い切れません。
また、平均賃金が変わらないまま金利だけ上昇すると毎月の返済額だけが増えてしまうため、不動産を購入する人が減り、結果的に不動産価格の下落につながる可能性も。
したがって、物件価格が高騰しているいま、金利が上昇しきっていない2023年での売却が適したタイミングといえます。

不動産売却でよくあるトラブルと回避するためのポイント

不動産売却は金額の大きな取引である分、手続きが複雑なうえあらゆるトラブルがつきものです。売却時に起こりやすいトラブル事例や、トラブルを回避するためのポイントを以下で紹介していきます。

不動産の瑕疵(欠陥)に関するトラブル

不動産の不具合や欠陥のことを「瑕疵(かし)」といいます。不動産においてトラブルに発展しやすい「隠れた瑕疵」とは雨漏りやシロアリ被害、構造部分の腐食などの瑕疵が、不動産を引渡した後に見つかることです。瑕疵には主に建物の設備が挙げられますが、事故物件も含まれます。契約前にあらかじめ売主が物件の状況を把握し、買主に明らかにすることでトラブルは防げますが、伝え漏れがあった場合、「契約不適合責任」に問われ、損害賠償請求される可能性もあるため注意しましょう。トラブルを防ぐためには、瑕疵を隠さないことや内覧を丁寧におこなうこと、過去の建物火災などの調査・説明をしっかりおこなうことをおすすめします。

契約解除に関するトラブル

契約解除に関するトラブルも少なくありません。売買契約成立後でも、買主都合で契約解除になる場合があります。契約成立後に突然の転勤が決まってしまったり、物件の気に入らない部分が出てきたりと、買主の都合による契約解除です。その場合、買主は手付金の放棄および違約金の支払いが必要になる可能性があります。売主も買主も、万が一の事態を考えて売買契約書はしっかり目を通しておきましょう。

不動産会社とのトラブル

売主は買主とのトラブルだけでなく、不動産会社との間でもトラブルが考えられます。媒介契約に関するトラブルとして多いのは「囲い込み」です。囲い込みとは不動産会社が売り側と買い側両方から仲介手数料を得るため、媒介契約後も物件の情報を公開せず自社のみで取り扱うことをいいます。囲い込みにより買い手探しの範囲が狭まることで、販売活動に時間がかかったり、安く売却することになったりと、売主にとってデメリットが多くなってしまいます。

このようなことを防ぐため、レインズ(国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営している 不動産情報システム)に物件登録がされているかや活動の報告を詳細にしてもらうなど、不動産会社とこまめにやり取りをするようにしましょう。

また、仲介を依頼する不動産会社には成約時に仲介手数料の支払いが必要になりますが、法外な手数料を請求する不動産会社もあります。仲介手数料は物件価格に応じて法律で上限額が決まっているため、仲介手数料の計算方法や金額を媒介契約書に必ず記載してもらうようにしましょう。複数社で比較検討することで、手数料を抑えられる場合もあります。

優良な不動産会社の探し方

優良な不動産会社の探し方

不動産売却を成功させるためには、不動産会社選びが重要です。優良な不動産会社の探し方として、以下のような点に注意しましょう。

  • 大手と地元密着型企業を比較する
  • 売却実績や得意分野を確認する
  • 複数の不動産会社に査定を依頼し、査定の根拠を確認する
  • 売却経験者による評価・口コミをチェックする
  • 担当者との相性も考慮する

売却する不動産の種類や売却方法(仲介・買取)によって不動産会社を選定する必要があります。会社によって扱う不動産のジャンルや得意とする分野が異なるため、会社の実績や口コミを確認したり、担当者の対応を確認したりするようにしましょう。売却前の査定依頼の際は、複数の不動産会社に依頼して根拠もあわせて確認することをおすすめします。

不動産売却でよくある質問

不動産を売却する前にリフォームはした方がいい?

不動産を売却する前にリフォームをするのは、ややリスクが高いため避けるべきといえます。数百万円と多額のリフォーム費用が必要になるほか、リフォームにお金をかけたからと必ず売れるわけではないからです。中古物件を購入して自分好みにリフォームしたい買主も増えているため、リフォームせずそのままの状態で売り出したほうがよいでしょう。

不動産登記は誰がおこなう?

売却にともなう不動産登記は、買主が司法書士に依頼しておこなうのが一般的です。不動産売却時、基本的に売主側は登記手続きが必要なく、買主側は所有権移転登記や抵当権設定登記が必要になります。これらにかかる費用や手続きは買主が負担し、司法書士に依頼する場合は司法書士報酬の支払いも必須です。売主の抵当権が残っている場合は抵当権抹消登記が必要になりますが、煩わしい手続きを減らすため買主側の司法書士に手続きを依頼するケースが多いです。

認知症の人が保有している不動産の売却は可能?

所有者が認知症の場合でも、不動産の売却は可能です。一般的に認知症などによる「意思能力」のない人の不動産売買契約は無効となりますが、判断能力に問題がなければ代理人を設けて契約できるほか、本人の代わりに契約を結べる「成年後見人」を立てれば判断能力がなくても問題ありません。

不動産一括査定サイトの注意点は?

不動産売却の際に利用しやすい一括査定サイトは複数の不動産会社に机上査定を依頼するものですが、その査定額で売却できるわけではないため注意が必要です。不動産会社のなかには、顧客獲得のために実際の相場より高い査定額を提示するところもあります。査定額だけでなく、サポート内容もあわせて確認し、判断するようにしましょう。

まとめ

今回は、不動産売却の基礎知識として、売却の流れや売却方法、有事の際の注意点、注意点などを解説しました。売主はさまざまな理由により売却を決めますが、少しでも利益を多くしたい、納得のいく売却をしたいと考えるものです。トラブルに巻き込まれないためにも、起こり得るトラブル事例や回避策についても事前に把握しておくことをおすすめします。自分に合った不動産会社を見つけ、不動産売却を成功させましょう。

<アンケート概要>
「不動産売却に関するアンケート」
調査方法:インターネットリサーチ
回答サンプル数:本文内に記載
対象:10代~80代男女(全国)
調査時期:2023年4月

阿孫 沙綾

執筆者

阿孫 沙綾

不動産エージェントおよびWebディレクター兼ライターのフリーランス。8年間で不動産売買・賃貸の仲介業、実需や収益不動産の仕入れ・販売業務を経験し、現在は個人エージェントとして活動中。また、幅広いジャンルの不動産業務に携わった経験を活かし、不動産・宅建ジャンルを中心に執筆や編集も行う。

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