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一戸建て売却の流れを解説!戸建て特有の注意点や売却を成功させるポイントは?

一戸建て売却の流れを解説!戸建て特有の注意点や売却を成功させるポイントは?
一戸建ての売却を考えている方のなかには、売却ってどれくらい時間がかかるの?売却するにはどんな書類を揃えないといけない?など、わからないことだらけの方も多いのではないでしょうか。
一戸建ての売却は、土地に関することも考慮しなければならないのが大きな特徴です。準備する書類や査定の段階から、注意すべきポイントがたくさん。
この記事では、一戸建て売却の基礎知識やポイント、注意点などを詳しく解説します。一戸建ての売却に関心のある方は、ぜひ参考にしてくださいね。

記事の目次

一戸建て売却の基礎知識

はじめに、一戸建てを売却する際に知っておきたい基礎知識を解説します。スムーズに一戸建て売却が進められるように、基本的な流れや契約の種類などは、あらかじめ知っておくとよいでしょう。

一戸建て売却の流れ

一戸建ての売却は、以下の流れで進みます。

ステップ かかる期間
ステップ1 
不動産会社に相談・査定依頼をする
約1カ月
ステップ2 
不動産会社を選定し媒介契約を結ぶ
ステップ3 
販売活動を開始する
約1~3カ月
ステップ4 
買主と売買契約を結ぶ
ステップ5 
決済・不動産の引渡しをする
約1カ月
ステップ6 
確定申告をする
売却の翌年

一戸建ての売却完了までにかかる期間は、一般的に短くても約6カ月必要だといわれています。売却を急ぐと、希望より大幅に安い価格での売却となってしまう傾向にあるので、できるだけスケジュールには余裕を持ち、早めに準備をはじめるのがよいでしょう。
それぞれの売却活動の内容は、後ほど詳しく説明します。

一戸建て売却の方法

一戸建ての売却方法には、「不動産会社への売却」「仲介」「任意売却」「買取保証付き仲介」があります。違いを知って自分の状況に合った売却方法を選ぶことが大切です。それぞれの特徴は以下の通りです。

不動産会社へ売却

不動産会社に購入希望者(=買主)を見つけてもらうのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。不動産会社より買取価格が提示され、合意すればただちに現金を受け取ることが可能。ただし、価格は市場価格よりも低めに設定される場合がほとんどです。

不動産会社による仲介

売主と買主の間に不動産会社が入る仲介は、一戸建ての売却の中でもっとも一般的な方法で、不動産会社に買主を見つけてもらい売却する方法です。不動産会社には報酬として、仲介手数料を支払う必要があります。

任意売却

任意売却は、住宅ローンや債務の返済が困難な時に利用できる売却方法です。 売却価格がローン残高を下回る場合でも、債権者である金融機関の同意を得れば売却できる制度です。

買取保証付き仲介

買取保証付き仲介は、売却の期限を設定し、その期限までに買主が見つからなければ、不動産会社が物件を買い取ってくれる仕組みです。

それぞれの売却方法詳細やメリット・デメリットは以下の記事を参考にしてみてくださいね。

不動産会社と結ぶ媒介契約の種類

不動産会社による仲介で売却活動をおこなう場合、「媒介契約」を結びます。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、自分に合った契約を選ぶ必要があります。それぞれは以下のような違いがあります。

媒介契約の種類 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任
媒介契約
複数社との契約 不可 不可
買主を自分で
見つけること
不可
売却活動の
報告頻度
報告の義務
なし
2週間に
1回以上
1週間に
1回以上
指定流通機構
(レインズ)への登録
義務なし 7日以内に
登録
5日以内に
登録
契約期間 法律上の定め
なし
3カ月 3カ月

専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1社の不動産会社のみと媒介契約を結ぶため、手厚くサポートしてもらえ、販売活動の状況報告も定期的に受けられます。一般媒介契約では複数の不動産会社に仲介を依頼できるので広く買主を募集できることがメリット。それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえて、自分に適した媒介契約を選択するとよいでしょう。

それぞれの契約の詳細は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。

一戸建て売却にかかる費用・税金

一戸建て売却にかかる費用・税金

一戸建てを売却する時にかかる費用と税金には、どういったものがあるのか、売却後手元にいくら残るのかを把握するためにも知っておくとよいでしょう。

一戸建て売却にかかる費用

一戸建ての売却には、主に以下の費用がかかります。

名称 金額 内容
不動産会社への仲介手数料 売買金額×3%+6万円+税(上限)
※売買金額400万円超えの場合
不動産の売買が成立した報酬として不動産会社に支払うもの
抵当権抹消費用 1万~2万円 抵当権を抹消する際の司法書士報酬
測量費用 10万~90万円
※一般的な住宅地の場合。測量方法などで変わります
土地の面積や隣地との境界を明確にする場合にかかる費用
ローン完済手数料 1~3万円程度
※金融機関によります
住宅ローンを完済する際の金融機関の手数料

より売りやすくするためにハウスクリーニングや部分的な補修、リフォームをして売却することも考えられますが、売却価格への影響を含め費用対効果をしっかりと判断する必要があります。また、空き家で建物内に残置物がある場合は、引渡しまでに撤去、処分費用がかかることを念頭に置いておきましょう。

一戸建て売却にかかる税金

一戸建てを売却すると、以下の税金がかかります。

名称 金額 内容
収入印紙税 (売買金額に応じて)
非課税から480,000円まで
※軽減税率
売買契約書など課税文書にかかる税金
譲渡所得税 譲渡所得×税率
※所有期間によって税率は異なります
売却で利益が出た場合にかかる税金
登録免許税 1,000円(不動産1件につき) 抵当権抹消にかかる税金
消費税 サービス料×10% 司法書士報酬や仲介手数料にかかる税金

売却にかかる税金はできるだけ節約したいところです。なかでも譲渡所得税は、一戸建てを取得する際にかかった資料をしっかりと準備する、もしくは不動産売却時の特例を活用することで税金の負担を減らせる可能性があります。

一戸建て売却の際の控除や特例について

一戸建てを売却した際に受けられる可能性がある控除や特例は以下のとおりです。

名称 内容
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 居住用の不動産を売却した時の譲渡所得から最大3,000万円の控除ができる特例
マイホームを売った時の軽減税率の特例 居住用の不動産を売却した時、長期譲渡所得(所有期間10年超え)の税率を通常の税率より軽減する特例
特定の居住用財産の買換えの特例 居住用の不動産を売却し、代わりのマイホームを買い換えた時に、売却の譲渡益にかかる税金を将来に繰り延べできる特例
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 相続または遺贈により取得した不動産を売却した場合に、相続税額の一定金額を売却資産の取得費に加算できる特例
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 マイホームを買い換え、売却したマイホームで発生した譲渡損失を、その年の給与所得や事業所得などの他の所得から控除できる特例
控除しきれない譲渡損失がある場合、翌年以後3年以内に繰り越して控除できる
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 マイホームを、住宅ローン残高を下回る価額で売却して譲渡損失が発生した場合に、その年の給与所得や事業所得などの他の所得から控除できる特例
控除しきれない譲渡損失がある場合、翌年以後3年以内に繰り越して控除できる

不動産を売却した結果、利益が出ることもあれば、場合によっては損失が出る場合もあります。状況に応じた最適な制度を活用できるように、不動産会社や税理士と相談しながら進めるようにしましょう。

売却益が出た場合

不動産を売却して利益が出た場合、以下の特例が使えます。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買換えの特例
  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

なお、4つの特例のうち3,000万円の特別控除と軽減税率の特例は併用可能です。

売却損が出た場合

不動産を売却して損失が出た場合、以下の特例が使えます。

  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

なお、これらの特例は併用できません。状況に応じて有利な特例を活用するとよいでしょう。

一戸建て売却の事前準備

実際に一戸建てを売却する場合、売主としてどういった準備が必要なのでしょうか。
売却を成功させるために必要な準備を解説します。

住宅ローンの残高を確認する

住宅ローンが残っている時は残高を確認しましょう。売却収入、売却にかかる費用、税金を含め、ローンが完済できるか否か、手元にいくら残るかの見通しを持つために必要です。

建物と土地の名義人を調べる

土地、建物の名義人が違う場合もあります。管轄の法務局やオンラインで登記事項証明書を取得し、土地、建物の名義人を確認できます。
売却するには、原則として所有者と土地建物の名義人が一致している必要があるため、異なる場合は名義変更が必要です。

建物が現行法に適しているか確認する

一戸建ての建築時から法律が改正され、売却の時点では法令に適合しない場合、また、新築後に増築して建蔽率や容積率がオーバーしている場合など、違法な建物になっていないかを確認しましょう。
売却を依頼した不動産会社から物件調査時に指摘されるケースもあります。その旨を、買主に伝える必要があります。

土地の境界線が確定されているか確認する

土地、建物を売却する際には、隣地や道路との境界が確定しているかを確認しましょう。確定測量図や境界確認書があれば確認できます。
ただし、境界は法務局の地積測量図や現地の境界標で確認できることもありますが、建築時期によっては精度が悪い、境界標がない場合もあります。境界線が定かでなければ、土地家屋調査士や測量士に依頼し、境界を確定させましょう。

一戸建て売却の相場を調べる

一戸建て売却の相場を調べる

国土交通省の不動産価格指数をみると、2020年以降一戸建ての価格は上昇傾向が続いています。
売却にあたり不動産会社に査定を依頼するにしても、ある程度の相場を知っておいたほうがよいでしょう。

参考:不動産価格指数│国土交通省

・築年数から見る大まかな売却相場
建物は築年数を経過するほど価値が減っていきます。木造住宅の減価償却年数は22年です。建物の価値も20年から25年にかけてなくなる点が1つの目安となります。
ただし、土地は減価償却しない資産です。建物の維持管理を入念におこなうことで相場は維持しやすくなります。

・類似物件から見る売却相場
売却する一戸建てと条件が類似する物件の取引価格から相場を調べる方法もあります。
国土交通省の「土地総合情報システム」不動産流通機構の「レインズマーケットインフォメーション」は過去の成約事例を調べられます。また、アットホームなど不動産情報サイトで売り出し価格を調べることも可能です。ただし、不動産情報サイトは売り出し価格であり成約価格ではない点に注意してください。

不動産情報サイト アットホームでは簡単に一戸建ての相場価格情報を調べることができます。

売却に必要な書類を揃える

一戸建てを売却するには、さまざまな書類が必要です。以下のリストを参考にして、不足がないように準備しましょう。

・不動産会社へ売却依頼時に必要な書類
不動産会社へ売却依頼時に必要な書類は以下のとおりです。

  名称 入手先
登記簿謄本または登記事項証明書 法務局
登記済権利証
(または登記識別情報通知書)
売主
物件購入時の売買契約書 売主
物件購入時の重要事項説明書 売主
固定資産税評価証明書
(または固定資産税納税通知書)
市役所
土地測量図・境界確認書 売主
公図・地積測量図 法務局
物件の図面 売主
設備の仕様書 売主
建築確認済証および検査済証 売主
住宅性能評価書・長期優良住宅認定書
※取得している場合
売主
修繕履歴 売主
耐震診断報告書
※実施している場合
売主
アスベスト使用調査報告書
※実施している場合
売主

一戸建ては土地とあわせ、マンション以上に一つひとつ状況が異なり、査定結果に違いが出やすい建物です。準備できる書類によって建物の評価が左右することもあるため、しっかり準備しましょう。

・一戸建ての引渡し時に必要な書類
一戸建てを引き渡す際に必要となる書類は以下のとおりです。

  名称 入手先
身分証明書 売主
住民票 市役所
実印 売主
印鑑証明書 市役所
住民票 市役所
権利証
(または登記識別情報通知書)
売主
買主に引き継ぐ資料等 売主
銀行口座の通帳
(銀行振り込み先情報)
売主
ローン残高証明書
(またはローン返済予定表)
売主・借入先金融機関

引渡しで必要な資料は状況によって異なります。不動産会社に確認しながら早めに準備するようにしましょう。

一戸建ての査定の流れ

ここでは一戸建てを査定する方法や流れを解説します。どういったことが査定結果に影響するかもまとめました。

査定を依頼する会社を選定する

不動産は価格も大きく一つひとつ異なる資産です。不動産会社によって査定結果が異なることは珍しくありません。より客観的な査定価格を知るうえでも、複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。
以下の不動産一括査定依頼サービスを使えば、情報を入力するだけで複数の不動産会社へ査定の依頼をすることができます。ぜひ利用してみてくださいね。

査定方法

査定方法には、机上査定と訪問査定があります。

・机上査定
机上査定は、土地建物や周辺環境の基本的な情報から、他の取引事例を比較して査定する方法で簡易査定ともいわれます。

・訪問査定
訪問査定は、机上査定に加え、現地での調査のもと土地建物の状態を確認したうえで査定する方法で、個別要因を含めた査定結果を知ることができます。
一戸建ての場合、個別要因も多く、信頼性の高い査定結果を知るためには訪問査定が必要です。

査定の評価ポイント

では査定結果にはどういったことが影響するのでしょうか。

・建物の査定
建物の場合、広さから構造、築年数など基本的な条件だけでなく、室内や設備、屋根、外壁までの維持管理、修繕履歴も査定結果に反映されます。
定期的な修繕履歴はプラス評価につながりやすいでしょう。新築時に住宅性能表示や長期優良住宅の認定を受けている場合、プラス評価につながることもあります。

・土地の査定
土地の査定では、広さや形状、間口の広さ、奥行きなどの土地部分だけでなく、前面道路との接道状況も評価されます。
前面道路の幅、接道距離、高低差などがポイントとなり、前面道路幅員が小さくセットバックが必要な土地は評価が下がる場合があります。



・周辺環境
マンション以上に周辺環境の影響を受けやすい一戸建ては、周辺環境が査定価格にも影響しやすくなります。最寄り駅や駅までの距離、買い物施設の充実度など、交通、生活利便性は査定結果に影響するでしょう。また、採光や通風、振動や住環境としての街並みから、隣接する建物、空き家の状況なども影響を受けます。

欠陥を申告する

最終的に査定金額を算出するためには、建物や設備の欠陥箇所も考慮する必要があります。
雨漏れやシロアリ、浸水履歴など物理的な欠陥だけでなく、近隣含め事故や自殺などの心理的瑕疵があれば申告しなければなりません。
知っていて伝えなかったことがあると、売買契約上契約不適合責任を問われることがあるので注意が必要です。

一戸建ての売却活動の流れ

一戸建ての売却活動の流れを、詳しく説明していきます。

売り出し価格を設定

一戸建ての売り出し価格を設定するには、まず自分で価格相場を調べるのがおすすめ。国土交通省の「土地総合情報システム」や不動産流通機構の「レインズマーケットインフォメーション」、不動産情報サイト アットホームなどを利用し、過去の取引事例や自分の物件と似ている物件がいくらで売られているかを調べてみましょう。
相場より大幅に高い価格で売り出すとなかなか売れず残ってしまう恐れがあるので、高すぎる価格にしないのがポイント。相場と比べ、適正な価格を設定することが大切です。

最低売却価格を相談

少しでも早く売りたい場合や売り逃しを防ぎたい場合は、不動産会社と相談し、「最低売却価格」を決めておくとスムーズに売却が進められます。相場より安い価格に設定すると、比較的早く売れる傾向にあります。
ただし、一戸建てを購入した際の住宅ローンが残っている場合は、ローンを完済し、金融機関によって設定されている抵当権を抹消しないと売り渡すことができません。住宅ローン残額と売却価格を比較し、売却代金などでローンを一括返済できるかを確認しましょう。

不動産会社による販売活動

不動産会社と媒介契約を結ぶと、不動産会社が物件情報サイトに物件を掲載します。また、広告への掲載や店頭での物件紹介により販売活動を開始します。

購入希望者による内覧

一戸建ての購入検討者が現れたら、実際の物件を閲覧する「内覧」がおこなわれます。内覧は、必ずしも売主が立ち合う義務はないですが、おすすめの周辺情報や、早朝や深夜の騒音などの住んでみないとわからない情報を伝えると、好感をもってもらえるかもしれません。

購入申込書の内容を確認し、条件を交渉

買主が購入を決めたら、「不動産購入申込書」を提出します。これは買主から売主へ物件を買いたい意思を正式に伝えるもので、売買価格や引渡し時期などの条件が記載されています。不動産購入申込書の内容はしっかり確認しましょう。価格の値下げを交渉されるケースも珍しくはなく、売主が拒否することも可能。あらかじめ値下げ金額の限度や値下げの根拠などを仲介担当者と決めておくとスムーズに交渉が進められます。

売買契約の流れ

売買契約の流れ

買主が見つかり、条件の交渉も終わったら買主との間で売買契約を結びます。売買契約とはどのような手続きなのかを詳しく説明します。

契約までに必要な書類と費用

売買契約にはさまざまな書類と費用の準備が必要です。

売買契約時には以下の書類が必要になるため、早めに用意しておくとよいでしょう。ただし、印鑑証明書は、発行後3カ月以内のものでなければならないため注意してください。

必要な書類

  • 権利証もしくは登記識別情報
  • 印鑑証明書
  • 本人確認書類
  • 固定資産税納税通知書
  • 実印

なお、代理人が契約を行う場合は、「委任状」「代理人の印鑑(実印)」「代理人の印鑑証明書」「代理人の本人確認書類」が追加で必要です。

契約時に必要な費用は、仲介手数料の半金と収入印紙代です。金額は売却価格によって異なるため、不動産会社に確認しましょう。

契約の流れ 

売買契約は、売主・買主・仲介する不動産会社が集まり、以下の流れでおこないます。

・重要事項説明書の読み合わせ
宅地建物取引士が取引に関わる重要な事項を買主に対して説明し、書面を交付します。同時に、「物件状況等報告書」「設備表」の読み合わせもおこないます。設備の不具合や事故物件などの瑕疵(かし)も確認されるため、伝え漏れがないように注意してください。漏れがあった場合、「契約不適合責任」に問われる可能性があり、契約解除となってしまう恐れもあります。

・売買契約書への署名・捺印
すべての書類に署名・捺印をおこないます。

・手付金の受領
買主より手付金を受け取り、売主から買主へ手付金受領書を渡します。

契約後の手続き

住宅ローンの残債がある場合は、売買契約完了後に完済手続きが必要となります。抵当権がある場合は事前に金融機関との抹消手続きをおこなわなければならないので、必ず事前に借入れている金融機関に問い合わせましょう。
また、場合によっては測量の手続きも必要となります。手続きには3ヶ月以上かかることもあるため、事前に手配するとよいでしょう。

一戸建て売却後の流れ

一戸建て売却後の流れ

売買契約が無事に締結された後の流れを説明します。

引渡しまでの流れ

売却する物件に住んでいる場合は、引渡し日までにスムーズに引越しできるように準備しましょう。繁忙期は引越し会社が見つかりにくいので早めの手続きを。万が一引渡し期日を守れない場合は違約金が発生する可能性もあるので注意してください。

引渡しまでの準備は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

残代金受領・引渡し

売買契約時に取り決めた引渡し日に、売却金額から手付金を差し引いた残りの金額の決済や諸費用の支払い、鍵の引渡しがおこなわれます。
その後、司法書士が所有権移転登記をすることで、法的にも土地の所有権が買主へと移ります。

確定申告

一戸建てを売却したら、確定申告が必要です。売却により利益が出た場合、翌年の2月16日~3月15日の間に必ず確定申告をしなければなりません。期限に遅れた場合は延滞税として最大14%多く譲渡所得税が徴収されてしまうので注意が必要。また、利益が出なかった場合でも、確定申告をすれば控除が受けられ所得税などを減額できます。

一戸建ての売却を成功させるためのポイント

一戸建ての売却を成功させるためのポイント

では、一戸建ての売却を成功させるためにポイントとなるのはどういった点でしょうか。

売却するタイミングを考える

一戸建てを売却するタイミングとして、需要期である1~3月に引渡し、入居できるスケジュールで、余裕をもって売却し始めることが必要です。
購入後にリフォームや屋根外壁の補修が必要な場合もあります。補修に要する期間も含め余裕をもった販売スケジュールを立てましょう。

築年数に合わせて売却方法を検討する

建物の構造にもよりますが、築年数によって売却方法を考えることも必要です。
築10年以内の築浅であれば、建物自体の価値が高く、すぐにメンテナンスが必要でないことが多いため、強気の価格設定が可能です。
築15~20年程度になると、建物自体はまだまだ使えるものの、部屋内だけでなく外壁や屋根の補修時期を迎えるタイミングです。内覧時の印象や補修費用を考慮した販売方法や価格設定が求められます。
さらに築30年以上となってくると、建物自体の価値はほとんどなくなります。場合によっては、古家付きの土地として売却を進めたほうがよい場合もあるでしょう。その場合、解体費用が売却価格に影響する可能性もあるので、注意が必要です。

家の外観を整える

一戸建ての内覧時に、見た目の印象は大切です。劣化状況によって外壁などの塗り替えが必要なタイミングがあります。そこまでではない場合でも、高圧洗浄機で外壁の汚れをきれいにするのも一つの手です。費用次第で外壁の清掃会社に依頼することを検討してもよいでしょう。
あわせて、過去の屋根、外壁などの修繕履歴を準備しておくことで、買主は購入判断がしやすくなります。

家の内装を整える

リフォームまでの費用をかけられなくても、ハウスクリーニングなどでフローリングや内装、水回りの設備をきれいにすることも一つの方法です。
さらに、部屋のイメージに合わせて家具や小物で演出するホームステージングなどを活用することで、問合せや内覧数のアップ、売却しやすさが上がることが期待できます。

特に、築年数が古い物件は、シロアリなどの経年劣化に気を付け、リフォーム歴がわかる書類を用意しておくといいでしょう。それぞれを詳しく説明していきます。

雨漏りやシロアリなど被害がないかチェックしよう

雨漏りやシロアリなど被害がないかチェックしよう

天井やクロスに症状が出ている場合は別として、雨漏れやシロアリなどの状況を自分で調べるのは簡単ではありません。屋根や小屋裏、ベランダ、外壁、開口部、床下まで調査するとなると費用はかかりますが、専門会社へ依頼することがおすすめです。
雨漏れ箇所の修繕費用は、程度によって異なり、数万円から200万円程度かかる場合があります。また、シロアリの駆除は、作業内容に応じて3,000円~1万円/坪程度の費用がかかります。

リフォーム履歴がわかる書類を用意しよう

リフォームを実施している場合、時期や修繕箇所、作業内容を記録した履歴情報を準備しておくとよいでしょう。給湯器や水回りの設備は、耐用年数があり、参考情報として有効です。故障箇所を交換、修繕した場合、いつ、どういった会社に依頼したのかなど記録があると買主も購入判断がしやすくなります。

一戸建て売却が得意な不動産会社を選ぶ

不動産会社は、全国に支店をもつ大手から地域密着の中小不動産、マンション専門、リフォームやリノベーション提案を得意とする不動産会社までさまざまです。
なかでも、一戸建て売却の実績がある不動産会社を選ぶのがおすすめ。状況に応じてリフォームや屋根外壁の補修などの提案内容も加味して、最適な会社を判断しましょう。

不動産会社の担当者にマメに連絡する

売却活動中も不動産会社の担当者には、連絡や相談はマメにするようにしましょう。マンションと比べて販売期間が長くなりがちな一戸建ての売却では、販売状況や担当者の対応をしっかりと把握しておくことも重要です。担当者が複数の物件を担当している場合もあるため、しっかり対応してもらうためにも連絡はマメにとるようにしましょう。

内覧対応を丁寧におこなう

内覧の前には、建物周り含め片付けや清掃を丁寧におこなうことで、内覧時の印象は変わります。また、内覧時に購入検討者から部屋や設備の使い方や周辺環境など質問を受けることもあります。
物件の使われ方だけでなく、売主の人柄も含め購入判断に影響するかもしれないことを頭に入れておきましょう。

購入希望者の与信に注意する

購入希望者が住宅ローンを利用する場合、買主の与信の確認が大切です。
売買契約後、問題なく住宅ローン審査をクリアできそうな人であるか、資金計画含め不動産会社を通じて確認しましょう。
売買契約後、住宅ローンの承認が得られず、住宅ローン特約で白紙解除になる事態は避けたいところです。

【状況別】一戸建て売却の特徴や注意点

一戸建ての売却といっても状況によって注意すべきポイントがあります。

築年数の経過した物件の場合

築年数の経過した物件の場合

一般的には、木造で築30年を超える年数が経過している物件では、実際にはまだ住める状態であっても、建物自体の価値を価格に反映させることは難しくなります。
ただし、建物の修繕やメンテナンスを丁寧におこなっている場合、その価値をしっかりと販売活動で活かすことが重要です。
また、旧耐震基準の物件となると、耐震性、安全性の面での評価は厳しくなります。購入後耐震改修工事を実施するとなれば、それだけの費用がかかるため、価格設定が重要となります。

共有者がいる場合

共有者がいる一戸建てを売却する場合、自分の共有持分だけを売却する方法と、共有者全員の同意を得たうえで、土地建物の全体を売却する方法が挙げられます。

自分の共有持分だけを売却する場合、第三者への売却はなかなか難しく、他の共有者や買い取り会社への売却が現実的な方法です。ただし、買い取り会社へ売却する場合は、売却価格も低くなる可能性が高くなるので、注意が必要です

共有者全員の同意のもと全部を売却する場合、売買契約や決済引渡し手続きも原則として全員でおこなわなければなりません。それが難しい場合、代理人を選任する方法を採ります。
いずれにしても、売却価格や進め方で揉めることがないように慎重に進める必要があります。

相続が関わる場合

相続が関わる売却の場合、注意しなければならない点があります。
相続前に売却する場合と相続後に売却する場合に分けて解説します。

相続前に売却する場合

相続財産に不動産がある場合、相続後に権利関係が複雑になることも踏まえ、相続前に売却することも考えらます。
相続前の売却は、通常の売却と同様に、利益が出た場合は不動産譲渡税がかかることがあることが、デメリットといえるでしょう。

相続後に売却する場合

相続後の売却には、相続人への名義変更が求められます。
相続人が複数いる場合、遺言があればそれに従い、ない場合は相続人で遺産分割協議をおこないます。
この時、共有者の1人が相続し売却後に現金を分割する方法と、共有名義のまま売却を進める方法があります。いずれにしても、共有不動産を売却する時と同様に、売却金額や販売方法で揉めることがないように慎重に進めることが必要です。

なお、相続前に一戸建てを売却して現金を相続するか、一戸建てを相続してから現金化するかで、相続税の課税対象が変わる点にも注意が必要です。
前者の場合、売却された現金に相続税がかかります。後者の場合、固定資産税評価額(市場価格のおよそ7割)に対して課税されるため、かかる相続税が変わる可能性があります。

優良な不動産会社の探し方

優良な不動産会社の探し方

一戸建て売却を成功させるためには、優良な不動産会社を探すことが重要です。以下のポイントに注意して探してみてください。

  • 大手と地元密着型企業を比較する
  • 売却実績や得意分野を確認する
  • 査定の根拠を確認する
  • 売却経験者による評価・口コミをチェックする
  • 担当者との相性も考慮する

地元密着型の企業は地域の事情に詳しい強みがあり、見込み顧客を抱えている可能性もある一方で、大手企業は知名度やノウハウによる販売力があり、信頼性も高い特長があります。また、売却実績や得意分野を事前に確認し、売却したい物件の特性にマッチする不動産会社を探すことも大切。口コミや評判を調べることもおすすめです。複数の不動産会社を比較し、査定額の根拠や契約条件、担当者との相性なども含めて判断すると、自分に合った優良な不動産会社を選ぶことができるでしょう。

一戸建て売却でよくある質問

一戸建てを少しでも高く売却するコツは?

不動産会社選びを間違わないことです。
査定価格や売り出し価格の設定、販売方法など提案内容に加え、担当者の相性、対応まで十分に納得したうえで販売活動をスタートすることが大切です。

一戸建てを少しでも早く売るコツは?

売り出し価格の設定を間違わないことです。
売り出し価格が高すぎると、販売開始時の新鮮な時期に問い合わせや内覧希望数が減るなど、結果的に販売が長期化する可能性が高くなります。価格は二の次でスピード重視の場合は、価格設定を慎重におこなうとともに不動産会社による買い取りも検討しましょう。

2023年は一戸建てを売るのにベストなタイミング? 

2020年以降、一戸建ての価格は上昇傾向にあります。また、住宅ローン利用者の約7割が利用する変動金利は、引き続き低金利の状況が続いています。したがって、2023年も売却するにはベストに近いタイミングです。

なかなか売れない場合はどうすればいい?

まずは不動産会社と相談しながら売れない原因を解明し、改善できるものは対策することです。そのうえで、広告媒体や売り出し価格の見直し、不動産会社の変更を検討します。それでも売れそうにない場合は、売却価格は下がりますが買い取りも検討してみましょう。

まとめ

いかがでしたか?一戸建て売却の基礎知識や注意点などを詳しく解説しました。一戸建ては、マンションの売却に比べ、建物と土地の名義人を調べたり、土地の境界線が確定されているかを確認するなど、準備の段階からすべきことが多くあります。状況に応じてリフォームや屋根外壁の補修などが必要となる場合もあるので、優良な不動産会社を選ぶことはとても重要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、自分に合った不動産会社を見つけて、一戸建ての売却を成功させましょう!

吉満 博

執筆者

吉満 博

株式会社あつみ事務所 代表

宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー
不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。また、これまでの建築設計、不動産売買の実務を踏まえた情報発信を積極的におこなう。

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