通りすがりの不動産屋で、偶然見つけた掘り出し物件。お屋敷のような一軒家なのに、手頃な価格の賃貸だった。思わず飛び付き、住むことに決めるが、そこでは奇妙なことが起こる。どこからともなく料理が出現したり、誰かの気配を感じたり……。不思議と不快感はないのだが、その家には何があるのか?
僕は、科学的根拠のないものなど信頼していない。だから、いままさに目の前にいる「幽霊」は、単なる錯覚だと思っている。24時間住人の命令に従い身の回りの世話をするアイムーブカメラ205完備の学生寮で暮らし始めた僕。度々現れる彼女の残像の正体とは、そして機械と人間の絆が残したものとは?
周りから一目置かれているイケメン新人くんと会社の打ち上げの後にいっしょに帰り着いた先は、なんと同じ駅の同じマンションだった。不要なパソコンをもらうついでに立ち寄った男のきれいな部屋を目の当たりにしたみきは、今こそ理想の住まいを築いて、男を招待しようと固く決心する。
家に居場所のない孤独で閉ざした15歳の少女が一人暮らしをはじめ、優しいオーナーのおばあちゃんや、自分のように孤独で傷ついた少年との出会いを通して強く成長し、気づいていく物語。一人暮らしを始めて初めて、一人ではなくなった。家とはなんなのか。
大学生の圭太は、十畳ロフト付きワンルームの理想の部屋で一人暮らしをしていた。しかしある日、そこに見知らぬ男が現れる。うっすらとしたその存在に、初めはそれが幽霊かと思ったが、実はその男は、以前圭太と同じ部屋に住んでいた人物なのだとわかる。部屋をとても気に入っている圭太は、過去の住居人との同居生活を始める。
17歳の僕は、見え隠れする“大人”に心を揺り動かされていた。嫌悪感と不安感と、身近な親友の意図しない訓示と。僕は大きな一歩を踏み出すきっかけを探していた。「大好きだから、離れる」。そうして、僕は“みらい”を手に入れる。
エルヴィス・プレスリーが大好きな大学生の私はテスト期間の夏の日、地方番組のお笑いコンテストでエルヴィスのものまねをする芸人志望の若者を見て激しく嫌悪し怒り狂う。そんなある日、私はその若者と出くわし、彼を特訓するようになる。
鈴木優香は、この春に異動になった部署での飲み会で、独身男性の若本博文との仲を取り持とうとする先輩に、面白い話をしてと言われて短大生のときにひょんなことから始まったお隣さんとの文通について話し始める。話し終えるとこちらを見つめる若本と目が合い、お隣さんが若本であることを知る。
SEの桐橋祐司は、異動で配属された先の静かさを寂しく感じていた。ある金曜日、訪れた店の店員と話していると、彼女はなぜか不思議な表情をする。「明日は楽しみですね」。翌日、祐司の部屋の外から、子どもの声が聞こえてきた。
家族で今暮らす家へ引越して五年の間、私は両隣さんと挨拶をたまにするていどの付き合いだ。学生時代吹奏楽部にいた私は、結婚をした当時住んでいたマンションでトランペットを吹き、隣人から苦情を持ちこまれた。以来楽器とは疎遠となった。最近隣りの高橋さん家からトロンボーンの音が聞こえてくる。
三十路目前の丸山美紀は、男っ気もなく、家と会社の往復の日々。そんな折、超イケメンの沢井陸が隣に引っ越して来た。美紀は好意を持つが、隣から愛の言葉が聞こえる。恋人か? と思いきや、陸が役者の卵で、「ロミオとジュリエット」のセリフ練習だったことがわかり、壁越しにセリフを言い合うようになる。
〈私〉は人とつきあうのが苦手で近所づきあいもない。というか、このあたりの家はみんなどこか冷めている。ボケが進行している母との暮らしは疲れるばかりで、いつのまにか自分が、年齢以上に老いてしまっているのを感じる。母と死に向かっていく日常のなかで、きょうも左隣の家から爆発音が聞こえる。
怪我をして母の住む熱海で湯治することにした私は、熱海で過ごすうちに東京で暮らすよりも熱海の方が合っているような気がしはじめる。そして、自分がしたい暮らしについて考えるようになる。
静岡県伊豆の国市、田中山のふもとに店をかまえるコンビニ、広重マート。アルバイト店員の馬波蛍斗に、常連客が「一時間だけ孫を預かって欲しい」と依頼する。短い時間の中で二人は少しずつ心を通わせていった。これはのんびりとした街並みに灯る小さな灯りにも似た、人々の憩いの場にまつわる物語。
山梨の夏は暑い、馬鹿みたいに暑い。どれくらい暑いかというと、42度超えることなんてざら。42度って、お風呂並みよ、信じられない。でも珍しい話じゃなくて、山梨の夏だとありふれた話で。蒸し焼きにされそうな夏の日々を山梨は毎年過ごしている。
ヒロユキは、兵庫県北播磨の小さな町で育った。卒業と就職を翌年の春に控えた高校三年の夏、ふと立ち寄った野球部のグラウンドに立ち、自らの高校生活最大のイベントとなった「甲子園出場」に思いを馳せながら、ある「儀式」を通じて、野球と故郷への決別を誓った。そして、それから……
「向う横丁のお稲荷さんへ 一銭上げて ざっと拝んでお仙の茶屋へ 腰をかけたら渋茶を出して 渋茶よこよこ横目で睨んで 米の団子か土の団子か お団子団子……」江戸時代にはやった手まり唄で、埼玉県では今に歌いつがれている、息の長いヒットソングであります。
魔法使いじゃないかとうわさされているおばあさんから買った特別な大麦を植木ばちに植えたら子どもが生えた。女の子だ。名前はマイア。親指の半分くらいの大きさだった。近所の詮索好きのおじいさんに攻撃されないように引っ越して、私とマイアと動物たちの生活がはじまった。
猟師に助けられた赤ずきん。だが、オオカミに食べられそうになった一件で、赤ずきんの両親は村の人々から責められ、おばあちゃんも面会謝絶の状況に追い込まれる。このままでは危ないと引っ越しを決意し、様々な街や国を訪れるが、どこもかしこも問題だらけ。困り果てた両親に対して赤ずきんは…。
私の名前は新田 麗蘭(しんでんれら)。決してシンデレラではありません。が、共に暮らすのは父と継母それから義理の姉達。奴らは底意地の悪い・・・では無く何とも拍子抜けな、ほのぼのした人達だ。ある日、勢いから一人暮らしを宣言してしまう私。さっそく翌日仲介業者に出向くのだが・・・。