実家売却がつらい理由とやわらげる方法は?売却を成功させるポイントを解説
本記事では、実家売却がつらいと感じる理由を整理し、やわらげる具体的な方法を紹介します。記事を読むことで、前向きに実家の売却を検討できるようになるでしょう。
記事の目次
実家売却がつらい理由

実家には長年の暮らしのなかで築かれてきた家族の歴史や思い出があります。そのため、売却したほうがよいと頭では理解していても、気持ちが追いつかず、強い迷いや葛藤を抱えることも。さまざまな感情が入り混じり、決断が難しく感じられるかもしれません。
また、なにがつらいと感じているのかうまく言語化できない場合もあるでしょう。自分のなかの迷いを整理するために、実家の売却がつらいと感じる主な理由を以下にまとめました。
喪失感や罪悪感などの精神的な苦痛がある
実家を売却する際、喪失感や罪悪感などの精神的な苦痛が生じる場合が多いです。家族で食卓を囲んだ場面や、成長を見守ってくれた時間など、人生の大切な思い出が積み重なっています。実家を手放すことは、思い出そのものを失うように感じられ、強い喪失感につながることも。
また、親が大切にしてきた家を自分の代で売却することに対して、罪悪感を抱くかもしれません。気持ちの整理が十分につかないまま売却を進めると、精神的な苦痛が大きくなりやすいでしょう。感情的な問題であるため、人によって苦痛の感じ方はさまざまであり、痛みの強さは推し量れるものではありません。しかし、実家売却の苦痛の正体は、喪失感や罪悪感であることが多いです。
家族間で意見が対立する場合がある
実家の売却は、家族全体の問題であるため、意見が対立するケースもあります。「すぐに売却したい」と考える方もいれば、「思い出があるから残したい」と考える方もいるでしょう。家族として同じ時間を同じ場所で過ごしていても、実家に対する思い入れの強さや考え方は異なるため、判断が分かれる場合があります。
意見の違いから感情的になり、話し合いが長引くことも。相続人が増えるほど、異なる考え方を持つ人が増えるため、意見が食い違うリスクが高くなるでしょう。家族関係の悪化にもつながるため、ストレスからつらいと感じるケースもあります。
想定以上に時間がかかる
売却に対する気持ちの整理はできていても、実際に売却活動を開始すると想定以上に時間がかかることに負担を感じるかもしれません。相続した実家を売却する場合は、相続登記や名義変更などの売却の前に必要な手続きが多くあります。
一方で、実際に不動産会社に依頼して売却活動を開始してもすぐに買い手が見つかるとは限りません。築年数が古い、立地条件が厳しいなどの理由で売却に時間がかかることも。思いどおりに売却が進まないことに負担を感じる場合も考えられます。
売却価格に納得できない
実家の売却では、提示された価格が相場より安い場合だけでなく、相場どおりでも納得できないケースがあります。長年暮らしてきた家には思い入れがあるため、感情で価値を高く見積もってしまうことも。しかし、不動産の売却では思い出や感情は価格に反映されないため、想像より低い査定額を提示されることも少なくありません。
築年数の古い家は建物の価値がほとんど付かないことも多く、土地価格で算出されるケースもあります。不動産売却の実態を知らない方ほど、売却価格に対してショックを受けるかもしれません。感情的な価値と市場価格にギャップが生じることが割り切れず、苦痛を感じるケースもあります。
実家の所有を続ける場合のリスク

実家の売却がつらいと感じることを理由に、実家を売却せずに所有を続けることを考えるかもしれません。しかし、誰も住んでいない実家を維持するには、費用と手間がかかります。思い出を守る選択をすれば一時的な安心感を得られても、現実的な問題が積み重なるかもしれません。実家の所有を続ける場合のリスクを以下にまとめました。
維持費がかかり続ける
実家を所有している限り、たとえ誰も住んでいなくても維持費はかかり続けます。固定資産税や都市計画税などの税金は、毎年必ず支払いが発生し、長期間にわたると大きな負担になるでしょう。また、誰も住んでいない家は劣化しやすいため、実家の状態を維持するための費用がかかります。
住んでいない実家の所有を続けると維持費がかかるため、経済的な負担が重くなります。
定期的な管理が負担になる
実家を空き家のまま所有する場合、適切な管理が欠かせません。定期的に実家に訪れて、換気や通水、郵便物の整理、庭の草刈りなどをおこなう必要があります。実家から遠方に住んでいる場合は、移動時間や交通費もかかるため、管理の手間が大きな負担になることも。
忙しいなかで実家の管理を続けることは、想像以上に難しい場合も多いです。続けていくうちに重荷に感じて、最終的には売却するケースも少なくありません。
空き家トラブルが発生する
実家に限らず空き家を所有すると、思わぬトラブルが発生する可能性があります。人の出入りがない家は、不法侵入や不法投棄の対象になることも。大切な実家の窓ガラスが割られたり、敷地内にごみを捨てられたりするケースも考えられます。
また、建物の老朽化によって、屋根材や外壁の一部が落下するなどの危険が生じることも。管理状態が悪ければ、近隣住民とのトラブルに発展するケースもあります。また、自治体から特定空き家に指定される場合もあります。
特定空き家は倒壊の危険性や、周辺の景観に著しく影響を及ぼす可能性がある自治体が指定した空き家です。特定空き家に指定されると、土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、維持費が増加します。空き家の所有はトラブルに発展する可能性があり、管理をおろそかにするほど危険性が高まるでしょう。
資産価値が下がる
実家を適切に管理しても、建物は築年数が経つほど評価が下がります。そのため、多くの場合は時間の経過とともに資産価値が下がる傾向にあります。あとから売りたいと考えても、売却価格が下がる可能性があるため、「はじめから売っておけばよかった」と後悔するかもしれません。
感情的な問題を理由に決断を先延ばしにすれば、資産価値が下がるリスクを抱え続けることになります。将来的に売却する予定があるなら、売却を後回しにしないことで、維持費の負担を抑えやすくなり、高値で売却できる可能性も高まります。
実家売却のつらさをやわらげる方法

実家売却のつらさをやわらげるには、気持ちを整理して、少しずつ向き合うことが重要です。気持ちの負担をやわらげて区切りをつけることができれば、前向きに売却を進めやすくなるでしょう。実家売却のつらさをやわらげる具体的な方法を5つ紹介します。
写真や動画で記録を残す
実家を手放す前に、写真や動画で記録を残しておくことは、気持ちの整理に役立ちます。売却して建物がなくなっても、記録を残しておけば思い出を形として残すことができます。いつでも振り返ることができるため、喪失感はやわらぎやすくなるでしょう。
実家付近にある思い出の場所を巡る
実家そのものだけでなく、周辺の風景にも多くの思い出があるでしょう。売却前に、実家付近にある思い出の場所を巡ることも、気持ちを整理する方法の一つです。通っていた学校やよく遊んだ公園、家族で買い物をした商店などを歩けば、当時の思い出を振り返ることができます。思い出は実家だけに限らず、地域や風景、人とのつながりのなかにもあります。思い出の場所を巡れば、気持ちに区切りをつけるきっかけになるでしょう。
家族で思いを共有する時間をつくる
実家の売却は、家族全員にとって大きな出来事です。それぞれが実家に対して抱いている思いは異なりますが、必ずしも自分だけがつらい思いをしているとは限りません。あらためて思いを共有する時間をつくることが、心の負担をやわらげることにつながるでしょう。
自分で部屋を整理する
自分の手で実家の部屋を整理すれば、区切りをつけるきっかけになりやすいです。長年使ってきた家具や写真、思い出の品に触れることで、過去を振り返る時間が生まれます。整理を業者に任せるより時間はかかりますが、自分で部屋を整理する過程が、心の準備につながるでしょう。部屋を整理するなかで、忘れていた大切なものが見つかるかもしれません。思い出の品を持ち帰ることで、実家とのつながりを形として残せます。

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状況を整理したうえで前向きに決断する
実家の売却を決断する前に、検討している背景をあらためて整理すると、感情に流されず冷静に判断しやすくなります。例えば、まとまった資金が必要である場合や、所有を続けるリスクを考えたうえで売却を検討していることが考えられるでしょう。さらに、自身や家族が将来的に実家に住む予定がない場合は所有を続ける理由はありません。気持ちに区切りをつけたうえで、状況を整理すれば、前向きに決断しやすくなります。
実家売却で後悔しないための注意点

実家売却で後悔しないための注意点を以下にまとめました。それぞれ詳しく解説します。
売却を急ぎすぎない
実家の売却を急ぎすぎると、相場よりも低い価格で売却してしまい後悔につながることがあります。実家は保有を続ける限り維持費がかかるため、できる限り早く売却したいと考えるかもしれません。不動産会社を比較せずに売却を依頼した場合、結果的に売却にも時間がかかり、相場よりも安い価格で売却してしまうケースも。売却活動には時間もかかりやすいですが、十分に準備したうえで売却しなければ、納得できる条件で売却できない可能性があります。
法的手続きは早めに済ませる
相続した実家を売却する場合は、必要な法的手続きを完了させることが重要です。特に確認したい手続きは、相続登記です。登記が完了していなければ、不動産を売却できません。手続きを後回しにすると、買い手が見つかっても売却できずに、売却のタイミングを逃す可能性があります。
また、2024年から相続登記は取得した日から3年以内におこなうことが義務化されました。正当な理由なく相続登記をしなかった場合は、10万円以下の過料が課される場合もあります。そのため、相続登記などの必要な法的手続きは早めに済ませるようにしましょう。
売却にかかる費用を把握する
実家の売却にはさまざまな費用がかかります。必要な費用は売却のケースによっても異なりますが、主な費用を以下にまとめました。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に仲介を依頼した場合に支払う成功報酬 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙代 |
| 登記費用 | 登記をおこなう際の登録免許税および司法書士報酬 |
| 測量費 | 土地の境界が不明確な場合に必要 |
| 解体費用 | 古家を取り壊して更地にして売却する場合の費用 |
| ハウスクリーニング費用 | 室内を清掃して売却しやすくするための費用 |
仲介手数料・印紙税・登記費用は不動産売却の代表的な費用であり、多くの場合に発生します。測量費・解体費用・ハウスクリーニング費用は必要に応じてかかる費用ですが、発生する場合は負担になる可能性も。
また、不動産の売却では売却価格がそのまま手元に残るわけではなく、売却の利益に対して譲渡所得税がかかります。あらかじめ費用の内訳を整理しておかなければ、「思ったよりも手元にお金が残らなかった」と後悔する原因になるでしょう。
実家売却を成功させるポイント

実家売却を成功させるポイントは以下のとおりです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
売却価格の相場を調べる
実家の売却では感情に流されることなく、不動産市場の相場に沿った価格で売り出すことが重要です。価格設定が適切でなければ、売却期間が長引く原因になります。相場を把握するには、近隣で実際に売却された事例を調べるようにしましょう。
建物や土地の広さ、立地条件が似た物件の成約価格を比較すれば、相場を把握できるようになります。比較には国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」などの信頼できるデータを活用しましょう。適切に価格を設定すれば、実家を適切な価格で早期に売却できる可能性が高まります。
適切な売却方法を選ぶ
実家の売却方法には仲介と買取があります。仲介は、不動産会社が買主を探す方法で、市場価格に近い金額で売りやすいです。一方で、物件の条件によっては買主が見つかるまで時間がかかることもあります。相場を調べて一定の価格が期待できる場合は、仲介で売却するほうが高値での売却が期待できるでしょう。
買取は、不動産会社が直接物件を買い取る方法です。短期間で現金化できますが、価格は市場価格より低くなる傾向があります。仲介では買主が見つかりにくい築年数の古い物件を売却する場合や、価格よりスピードを優先したい場合に有効です。
物件や売却で重視したい条件によって適切な売却方法が変わります。実家を売却する場合は総合的に判断して売却方法を選ぶようにしましょう。
複数の会社に査定を依頼する
実家売却を成功させるためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。1社だけで判断すると提示された査定額が適切であるかどうか判断が難しくなります。しかし、複数社に査定を依頼すれば、相場から極端にかけ離れた査定をする不動産会社を避けられるでしょう。
査定額が高い不動産会社が必ずしもよいとは限りません。仲介の場合、相場より高すぎる価格で売り出すと、売却できない可能性があります。査定の理由を丁寧に説明してくれる信頼できる会社を選ぶことが実家売却の成功につながります。
必要があればハウスクリーニングや修繕をおこなう
仲介で実家を少しでもよい条件で売却するために、ハウスクリーニングや簡単な修繕を検討する価値があります。長期間にわたって暮らしてきた家には、個人の清掃では落とせない汚れがあることも。専門業者によるハウスクリーニングをおこなえば、物件の見学に訪れた方に清潔感のある印象を与えやすくなります。
壁紙のはがれや水栓の不具合など、軽微な不具合は事前に修繕するほうがよい場合もあります。ただし、大規模な修繕は費用対効果を慎重に検討する必要があるため、不動産会社に相談したうえでおこなうようにしましょう。
利用できる補助金や税制優遇を確認する
実家売却で少しでも手元に残るお金を増やすために、利用できる補助金や税制優遇制度を事前に確認しましょう。空き家対策として自治体が実施している補助金制度が利用できる場合があります。解体費用やリフォームに対する支援制度がある地域もあるため、利用できる場合は出費が抑えられることも。ただし、制度は年ごとに変更されることもあるため、最新情報のチェックが必要です。
また、実家の売却で譲渡所得が発生した場合は、税制優遇制度を利用できる場合があります。例えば、両親から相続した実家を売却する場合は「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が利用できるケースも。一定の要件を満たす場合に譲渡所得から最高3,000万円を控除できるため、税額の大幅な減少が期待できるでしょう。制度を活用すれば、実家の売却で手元に残るお金を増やせます。
実家売却に関するよくある質問
実家売却に関するよくある質問をまとめました。
実家の売却にはどれくらい時間がかかる?
実家の売却にかかる期間は、売却方法や物件の需要によって異なります。一般的な仲介売却の場合は、売却まで3カ月~6カ月程度かかることが多いです。一方で、不動産買取の場合は最短1~2週間程度、長くても1カ月程度で売却が完了します。
古い実家は建物を解体してから売るべき?
古い家を解体して更地にすると土地を求める買主の需要が高まり、売却しやすくなる場合があります。しかし、実家の築年数が古くても必ずしも解体が必要とは限りません。立地や地域の需要によっては、古家付き土地として売却できるケースもあります。解体には費用がかかるため、不動産会社に相談したうえで判断したほうがよいでしょう。
実家の売却に税金はかかる?
実家の売却で利益が出た場合は、譲渡所得税がかかる可能性があります。ただし、条件を満たせば、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除などの税制優遇制度を利用できるため、税金がかからなくなることも。税制優遇制度を利用して税金を納める必要がなくなった場合も、確定申告は必要であるため注意しましょう。
まとめ
実家の売却は家族の思い出と向き合う大きな決断であるため、苦痛を感じることはめずらしくありません。少しでも苦痛をやわらげて前向きに決断をするために、気持ちを整理することが有効です。つらい気持ちがやわらげば、冷静に判断ができるようになるでしょう。
感情を理由に先延ばしせず売却を進めれば、所有を続けることによって発生するリスクを防げるようになります。家族とも話し合ったうえで、自分や家族にとって納得できる選択をしましょう。
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執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ



