買った時より高く売れる家の特徴は?少しでも高く売るための方法も紹介

本記事では、家が買った時より高く売れる理由を説明したうえで、そのような家の特徴を解説します。あわせて、買った家を少しでも高く売るための方法と家を売る時の注意点を紹介。記事を読むことで、買った家が高く売れる理由と高く売るために必要なことがわかるようになるでしょう。
記事の目次
家が買った時より高く売れる理由

近年では家を売ると、買った時よりも高く売れるケースが増えています。一般社団法人不動産流通経営協会によると「不動産流通業に関する消費者動向調査<第 29 回(2024 年度)>」では、2024年度の買い換えによる売却差額の発生状況について以下のデータが示されています。
売却差額 | 割合 |
---|---|
3,000万円以上 | 8.2% |
2,000万円~3,000万円未満 | 6.9% |
1,000万円~2,000万円未満 | 14.1% |
500万円~1,000万円未満 | 17.7% |
1円~500万円未満 | 12.8% |
0円(売却差額なし) | 7.5% |
-1円~-500万円未満 | 10.8% |
-500万円~-1,000万円未満 | 5.9% |
-1,000万円~-2,000万円未満 | 7.9% |
-2,000万円~-3,000万円未満 | 4.9% |
-3,000万円以上 | 3.3% |
プラスの売却差額が発生した割合が59.7%、マイナスの売却差額が発生した割合が32.8%です。また、プラスの売却差額が発生した割合は、前年度と比較して2.4%増加しました。つまり、6割近い人が家を売って得をしていることになります。
なぜ家が買った時よりも高く売れるのか、理由を以下にまとめました。
- 都市部や人気エリアの地価上昇
- 購入時と比較した周辺環境の充実
- 人口増加による住宅需要の高まり
それぞれ詳しく見ていきましょう。
都市部や人気エリアの地価上昇
都市部や人気エリアでは、交通インフラの整備や再開発がおこなわれることで、地価が継続的に上昇する傾向があります。建物部分と土地部分をセットで売却するにあたって、建物部分の価値が下がっても、土地部分の価値がそれ以上に高まっていれば、不動産全体では買った時より高く売れるでしょう。
国土交通省では毎年1月1日時点で、土地鑑定委員会が標準地の正常な価格を公示する地価公示を公開しています。公開されている地価変動率は全国平均において2022年以降から上昇を続けています。国土交通省の「令和7年地価公示の概要」をもとに、三大都市圏を中心に2025年の住宅地における地価変動率を以下にまとめました。
都道府県 | 地価変動率 |
---|---|
全国 | 2.1% |
東京都 | 5.7% |
愛知県 | 2.3% |
大阪府 | 2.3% |
沖縄県 | 7.3% |
地価は、都市部や人気エリアを中心に全国的に上昇しています。全国でもっとも地価変動率が高い都道府県は7.3%の沖縄県となりました。東京の23区エリアに限定すると、地価変動率は7.9%になるため、人気エリアほど地価は上昇している状況です。
よって、不動産全体の価値は「地価上昇による価値の増加 > 建物の経年劣化による価値の減少」となるケースが多いため、家を買った時よりも高く売れやすい状態になっていると考えられます。
購入時と比較した周辺環境の充実
家を購入した当初と比べて周辺環境が充実すると、利便性が大きく向上し、住みやすくなったことから住宅の価値も高まります。例えば、日常の買い物を支える大型スーパーの開業、医療サービスを受けられるクリニック・ドラッグストアの開業などが挙げられます。
購入当時と状況が変われば、周辺環境が充実したことを売り出し価格に上乗せしても、買い手が見つかりやすくなります。再開発により家を購入して数年で街が様変わりすることがあれば、過去の価格と比較しても大きな付加価値を生みやすいでしょう。
再開発による街の変化は生活が快適になりやすいため、一般的には前向きにとらえられます。しかし、購入当時の街が好きだった人にとっては、売却を検討する理由にもなります。周辺環境の充実による変化により、家の売却を検討するなら、買った時よりも高く売れる可能性が高いでしょう。
人口増加による住宅需要の高まり
特定のエリアで人口が増加すると、住宅の供給が需要に追いつかなくなり、住宅価格は上昇しやすくなります。住みたい人が増えれば、家の買い手が見つかりやすい状況になるため、不動産会社の仲介で売却する際にも高く売れやすくなるでしょう。住宅市場が活性化すれば、持ち家需要・賃貸需要など複数の需要が見込め、幅広い層から買い手が現れやすくなります。
人口が増加すれば学校や商業施設、公共交通機関などのインフラ整備も進むため、周辺環境の充実化も期待できます。急激な需要増加により住居の供給が不足している場合は、家の売却で高い利益を得ることが期待できる状況です。
買った時より高く売れる家の特徴

現在は、家が買った時より高く売れやすい状況にあることは間違いありません。しかし、高く売れるかどうかは家次第でもあります。買った時より高く売れる家の特徴は以下のとおりです。
- 築年数が浅い
- 建物の構造・性能が優れている
- 充実したリフォーム・リノベーションをおこなっている
それぞれ詳しく解説します。
築年数が浅い
築年数が浅い家は、建物の経年劣化が少ないため、購入当時の資産価値に近い状態で売却が期待できます。一般的に5年以内に売却すれば、建物部分の価値の減少は少なく、地価上昇の恩恵を受けられるため、高い売却益が期待できることも。中古住宅市場では、築浅物件は買い手からの需要が高いため、買い手が見つかりやすいでしょう。
建物の構造・性能が優れている
住宅の基本性能が高く、買い手にとって魅力的な家の場合は需要が高いです。家庭で1年間に消費するエネルギーが、ゼロまたはマイナスになる設計をするZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や、太陽光発電システムの搭載は買い手に魅力を訴求できる材料になります。
建物の構造が優れていれば、築年数が経っても快適に住みやすいと判断されることから、建物部分の資産価値を維持しやすくなるでしょう。家の質の高さも、買った時より高く売れるかどうかに影響を与える要素です。
充実したリフォーム・リノベーションをおこなっている
築年数が経過している家であっても、買ってからリフォーム・リノベーションをおこなった物件であれば、高く売れる可能性があります。不動産会社は個人から買い取った家をリフォーム・リノベーションして売り出す、買取再販物件の形式で売り出すことも。
個人でおこなう場合も、リフォーム・リノベーションによる物件価値の上昇を期待できる場合があるでしょう。築年数の経過した中古物件であっても、建物の劣化を改善していれば高値で売却できる可能性があります。
買った家を少しでも高く売るための方法

買った家を少しでも高く売るための方法を紹介します。
- できる限り築年数の浅い状態で売る
- 必要最低限の修繕・クリーニングをおこなう
- 家の需要が高まる時期を狙う
- 住宅の価格相場を調べる
- 信頼できる不動産会社に仲介を依頼する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
できる限り築年数の浅い状態で売る
家の建物部分の価値は、築年数が浅いほど市場価値の減少を抑えられます。築5年以内の築浅物件でなくても、1年でも築年数が浅い状態で売却すれば、少しでも高値での売却を期待できるでしょう。
ただし、一般的な木造の一戸建て住宅は、築20年で建物部分の価値がゼロになると言われています。建物の構造によっても異なるため、すべての家が必ずしも20年経てばゼロになるとは断言できません。しかし、築年数は1年経過するだけでも価値が大きく目減りするため、浅いほど売却で有利になるでしょう。家の売却を決めていて、高く売りたいと考えるなら、すぐに行動に移すべきです。
必要最低限の修繕・クリーニングをおこなう
リフォーム・リノベーションをおこなわなくても、必要最低限の修繕・クリーニングをおこなうことで、少しでも高く家を売れる可能性が高まります。特にキッチン・浴室などの水回りは汚れが溜まりやすく、買い手も重視する部分です。ハウスクリーニングで汚れを除去すると、低コストで売却価格にいい影響を与えられるかもしれません。
できる限りコストの低い修繕方法を選び、少ない投資で家の魅力を高めることで、買い手の値引き交渉材料を減らす効果も期待できます。家を売る際は、できる範囲できれいな状態にして売りに出すようにしましょう。ただし、コストのかかる方法を選ぶと、結果的に売却益が少なくなる原因になります。
家の需要が高まる時期を狙う
日本の不動産売買は、入学・就職などの新生活を控えた春先の2月~3月がもっとも活発です。ピークとなる3月に売るためには前年度の10月頃から売却準備を進めておくと、余裕をもって売却ができるでしょう。次点で9月~11月の秋口も転勤シーズンとして需要が高まるため、5月頃から準備を進めることをおすすめします。
家は売り時を重視することで、多くの買い手の目に留まる可能性が高まります。需要が高まる状況では、高い売り出し価格でも売却が期待できるでしょう。
住宅の価格相場を調べる
家を高く売りたいと考えていても、相場を知らなければ高く売ることは難しいです。不動産を売却するにあたって、売り出し価格が相場よりも高いのか低いのかわかっていなければ、高く売れたことが判断できません。相場とかけ離れた価格で売り出しても買い手が見つからないため、想定した価格で売ることはできないでしょう。
適切な売却価格を知るには、住宅の価格相場を調べることが重要です。オンライン上で複数の不動産会社に簡易査定を依頼すればおおよその相場を把握できます。一度に複数の不動産会社の査定価格を知ることができる一括査定を利用することも選択肢の一つになるでしょう。
国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」を利用すれば、不動産の取引価格と地価公示などの価格情報を調べることも可能です。複数の情報を駆使して住宅の価格相場を調べることで、相場からかけ離れない範囲で高い売り出し価格を設定できるようになるでしょう。
信頼できる不動産会社に仲介を依頼する
家をできる限り早く高値で売却するなら、不動産会社に仲介を依頼して売却することになります。その際に信頼できる不動産会社を選べるかどうかは、家の売却価格に大きく関わってくる要素です。例えば、不動産会社が査定で高額な売却価格を提示したとしても、相場から大きくかけ離れた価格であれば売れません。
査定が相場の範囲内であり、買い手が見つかることに納得できる説明が可能な不動産会社であれば信頼できるでしょう。売却までの期間や売却価格を大きく左右するため、複数の不動産会社に相談してから信頼できる不動産会社を選びたいところです。
持ち家を売る時の注意点

最後に、持ち家を売る時の注意点を以下にまとめました。
- 築年数が浅い物件はオーバーローンに気を付ける
- 買ってから5年以内に売却する場合は税金が高くなる
- 欠陥が懸念される場合は瑕疵保険を活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
築年数が浅い物件はオーバーローンに気を付ける
ローンで購入した物件は築年数が浅いほど、返済しなければならない残高が残っているケースが多いです。ローンが残っている状態は、オーバーローンを招く原因になります。
オーバーローンとは、現時点の物件価格を上回る金額をローンで借り入れている状態を指します。そのまま売却するとローン残高が売却価格を上回り、完済できなくなることも。オーバーローンで家を売ると、売却後に不足分を自己資金で補填しなければなりません。
オーバーローンでは家の売却で得た資金が全額返済に回されるため、手元に資金は一切残りません。ローンで家を購入した場合は、家の売却価格のみでローンを返済可能であるアンダーローンであることを確認してから検討したいところです。
買ってから5年以内に売却する場合は税金が高くなる
家を買った時より高く売るには築浅物件であることが重要であり、一般的には5年以内とされています。しかし、住宅の購入後から5年以内に売却する場合は、短期譲渡所得に分類され、高い税率が課されます。
一方で、所有期間が5年を超える場合は、長期譲渡所得に分類されるため、税率が安くなります。築年数が4年前後で節税を重視したい場合は、長期譲渡所得が適用されることを優先して売却を検討することも選択肢の一つになるでしょう。具体的な税率は短期譲渡所得が39.63%、長期譲渡所得が20.315%であり、税率の差は19.315%です。
ただし、住んでいた家を売却する場合は、居住用3,000万円特別控除が利用できます。居住期間の要件はないため、売却価格が3,000万円未満である場合や、3,000万円前後である場合は、必ずしも高額な税負担にはなりません。
欠陥が懸念される場合は瑕疵(かし)保険を活用する
中古住宅の売買では、あとから隠れた欠陥(瑕疵)が見つかると、売主に補修費負担や、損害賠償が生じる可能性があります。家を高額で売却できても、あとから費用を負担することがあれば、手元に資金は残らなくなるでしょう。
対策としては、既存住宅売買瑕疵保険への加入が有効です。欠陥が見つかった場合でも保険金で賄われるため、売主の負担リスクを大幅に軽減できます。保険料を負担する必要がありますが、買い手も安心して購入しやすくなるでしょう。築年数が経っていても、地価の上昇で高額な売却価格を期待できる場合は、隠れた欠陥が見つかるリスクを避けるために瑕疵保険の加入を検討しましょう。
まとめ
建物部分の価値は築年数の経過により減少していきますが、エリアによっては地価が継続的に上昇していることから、不動産全体の売却価格は上昇傾向にあります。しかし、できる限り築年数の浅い状態での売却が、家を買った時よりも高く売るうえで重要になります。
売主の努力によって、家は少しでも高く売ることが可能です。高い売却価格で売ることが期待できる家があり、売却を決めているのなら、築年数が1年でも浅い状態で売却することを検討しましょう。
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執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
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