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資産価値が下がりにくいマンションのポイントを徹底解説!

せっかくマンションを買うのであれば、できるだけ価値が下がりにくいものを選びたいものです。では、どのようなマンションなら価値が下がりにくいのでしょうか。ここで、その特徴などを詳しく解説していきます。

資産価値の高いマンションとは?

マンションの資産価値とは、マンションを財産として評価した価格のことです。そして、その物件がある立地条件に大きく影響されます。例えば周辺環境の利便性、将来性、治安などが重要なポイントです。そのため、近隣に学校や病院、ショッピングセンター、公園などがあるとマンションの価値を高める要因となります。

築年数が古くなっても、リノベーションがされていたり管理が行き届いていたりする物件であれば、価値は下がりにくくなります。また、マンションにプールやジム、ゲストルームやコミュニティスペースなど共用施設がある場合もあるでしょう。このように施設が充実しているマンションも、利便性や居住環境が高く評価されて価値が下がりにくい傾向にあります。

価値の下がりにくいマンションは、このような点を踏まえて選びましょう。ただし、景気の影響を受けたり、将来的な周辺の環境の変化によって大幅に価値が変動したりすることもあります。したがって、マンション購入時には将来のことも含めて考えることが大切です。

マンションの資産価値が重視される理由

日本ではこれまで住居などを「資産」という感覚であまり考えてきませんでした。しかし近年は、マンションの資産価値が重視されるようになってきています。ここでは、その理由について見ていきましょう。

住み替えが定着してきた

以前の日本では、家を買ったらそのまま住み続けることが多く、資産としての考え方があまり定着していませんでした。しかし、近年では住み替えることが一般的になっています。そのため、売却した際にできるだけ高い価格で売れるよう、資産価値が重要視されるようになってきました。仕事や家庭の事情などから引越さなければならなくなり、マイホームを売りたいという場面も少なくありません。

資産としてマンションが認識されるようになった

一戸建てやマンションなどへの不動産投資も普及し、資産としてマンションが認識されるようになってきました。また、たとえマンションに本人が住まなくなっても、賃貸で家賃収入を得ることも。そのため、老後の生活費や将来の収入源としても考えられるようになってきています。

特に、一戸建ての住宅に比べてマンションを購入する方は、購入時に売却や貸出も考えて購入している方が多い傾向にあります。一般的に、一戸建てよりマンションのほうが売却しやすく、価値も下がりにくいことが特徴です。「マイホームは欲しいけど定住するかわからない」「途中で引越しする可能性がある」という場合に、マンションは適した選択肢といえるでしょう。

購入時に将来売却もしくは貸し出しを考えていましたか?
出典:不動産情報サービス アットホーム「住宅購入のプロセス&マインド

資産価値が落ちないマンションの特徴とは?

資産価値が落ちにくいマンションにはどのような特徴があるのでしょうか?マンション選びで重視したポイントについて、下記に詳しくご説明します。

価格以外で、現在の住まいを探した際に、最初から最後まで変わらずに重視したことは何ですか?(上位5項目)

    購入当時から売却・貸出検討者 全体
(2022)
全体との差
1 部屋の広さや間取り 54.4% 55.0% -0.6%
2 階建て(戸建の場合)
所在階(マンションの場合)
35.8% 26.3% 9.4%
3 築年 32.4% 23.3% 9.0%
4 日当たりの良さ 32.1% 35.9% -3.8%
5 最寄り駅から自宅までの距離 31.0% 26.1% 4.9%

出典:不動産情報サービス アットホーム「住宅購入のプロセス&マインド

立地条件がいい

マンションの資産価値を下げにくくする重要な要素の一つが、立地条件です。近くに学校や病院があるなど、利便性が高い物件は人気が集まりますし、その他にもさまざまなポイントがあります。具体的な立地条件について、下記で見ていきましょう。

エリアの人気が高い

マンションの価値は立地するエリアによっても違います。東京23区と近郊地域を比較してみても、図のように価格には大きな差が開いています。人口や企業数が多く、年収の高い世帯が集まる23区は、やはり人気が高いようです。

首都圏における「中古マンション」の平均価格
  23区 都下 横浜市・
川崎市
神奈川県 他
2023年2月 4,962万円 3,183万円 3,403万円 2,609万円

出典:不動産情報サービス アットホーム 2023年2月 首都圏における「中古マンション」の価格動向

交通利便性がいい

交通の利便性がいいことも重要なポイントです。通勤や通学に便利な場所はやはり人気が高く、資産価値が下がりにくくなります。23区内でマンションを購入することが難しくても、複数路線が乗り入れている駅や快速、急行の停車駅などは近郊の地域でも交通利便性が高いといえるでしょう。

周辺環境がいい

周辺環境も資産価値に大きく影響します。具体的な内容について、以下に取り上げました。

生活に必要な施設が揃っている

学校や商業施設、病院など生活に必要な施設が周辺に揃い、利便性が高い環境は資産価値が下がりにくくなります。ただし、学校や病院の近くであったり、商業施設が充実していて今は人気があっても、将来的に学校が廃校になったり、病院が移転したりする可能性も。将来のことはどうなるかわかりませんので、この点は注意が必要です。

治安がいい

治安のよさも重要なポイントです。特に一人暮らしの女性やお子さんがいるご家庭にとっては、安心して暮らすために大切なことでしょう。また、物件のセキュリティがしっかりしていることもポイントになります。

災害リスクが低い

地震や水害などの災害が起きた際、被害に遭いにくいエリアであることも重要です。各地自体でハザードマップが公表されていますので、その地域にどのような災害が起きやすいかなど、事前に確認して選ぶとよいでしょう。

参考:ハザードマップポータルサイト (国土交通省)

文教地区である

住宅地に分類される地区のなかで、特に教育施設や図書館、美術館、博物館といった文化施設が集積している地区のことを「文教地区」と呼びます。各自治体が文教地区と指定することで、パチンコ店など教育に悪影響を及ぼすと考えられている風営法の適用を受ける施設が制限されます。文教地区に指定されている地域には、教育環境を意識した人が多い傾向があり、富裕層も比較的多いため人気で価値が高くなりやすいです。

エリアに将来性がある

今後、発展しそうな地域かどうかも大きなポイントです。人口減少が予想されているなかで、将来的にも発展することが予想されるエリアにある物件は、価値が下がりにくくなっています。各自治体から公表されている都市計画なども参考にしてみましょう。

十分な広さがあり、間取りの人気も高い

マンションが立地するエリアの世帯層に需要がある、十分な部屋の広さや、生活動線のいい間取りは人気です。ご自身やご家族が生活しやすいかという目線から間取りを選ぶことも、資産価値が下がりにくい物件を探すうえで大切な要因となります。

景観や日当たりがいい

景観や日当たりも、価値を決める重要な要素の一つです。マンションの高層階の部屋の価格が高いように、景観がいい場所は価格が上がりやすい傾向に。また、部屋に日が入る時間がより長い南向き、東向き、西向き、北向きの順で人気が高いです。さらに、明るい部屋で暮らすことが心理的にも快適であるとされ、価値にも差が生じます。一方で、景観や日当たりのよさは近隣の建物にも左右されるので、将来的に変化する可能性があり、注意が必要です。

マンション(ブランド)の人気が高い

大手ディベロッパーのマンションブランドは人気が高く、流動性も高いため資産価値が比較的下がりにくいです。そのようなマンションは、居住者向けのサービスや共用施設が整っていることが多く、人気を集めています。近隣のマンションと比較して、差別化できる要素にもなるでしょう。

築年数は資産価値にどう影響する?

マンションの資産価値を決めるうえでは、築年数も大きく影響します。

法定耐用年数とは?

法定耐用年数とは、国税庁が定めた対象の資産を使用できる期間のことです。その年数によって毎年税金を計算するための評価が変わります。鉄筋コンクリート、鉄骨、木造といった建物構造によって異なりますが、鉄筋コンクリートのマンションであれば耐用年数は47年です。法定耐用年数を過ぎても住めなくなったり、売却できなくなったりするわけではありません。

マンションの築年数と資産価値の推移

特に首都圏のマンションの築年数による資産価値は、以下のグラフのように推移していると「東日本不動産流通機構」が築年数に対する平均価格のデータを発表しています。実際に成約した物件でみたときに、築11年~15年の物件は新築物件に対し16%程度、築26年~30年の物件は57%程度、価格が下がっていることがわかります。

「家賃を払うより買ったほうがいい」と考える方は多いですが、このようにマンションの価値が下落すれば、ご自身の資産を減らしてしまうことにもなり、注意が必要です。
実際、地方においては建築してから30年が経過し、10万円で売られているといった物件も。築年数だけでなく、人口が減ってしまうなど物件の立地に関する理由で、ほとんど資産価値がなくなってしまうような場合も考えられるでしょう。

【首都圏】中古マンションの築年帯別平均価格
出典:REINS TOWER
築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」(PDF)

資産価値を維持するためには?

資産価値を維持するには、定期的にメンテナンスやリフォームをおこなう必要があります。キッチンやバスルームなどに新しい設備が入っていたり、床や壁紙がキレイにされていたりすれば、築年数が経っても価値を維持しやすいものです。どのような方法で維持することができるのか、以下で解説します。

マンションの管理体制を確認する

マンションがどのように管理されているか、管理や運営が適切におこなわれているかも重要です。

管理会社が入っている

マンション管理には、共用部分の清掃や設備のメンテナンス、大規模修繕の計画などをはじめ、管理会社が必要となる業務があります。エントランスやゴミ捨て場、駐車場などの共用部分の清掃は行き届いているか、外壁は修復が必要なところが放置されていないかなど、質の高い管理体制がマンションの価値を維持するためにとても大切。そうしないと、時間とともに資産価値が下がってしまう可能性が高まります。

現状で計画的なメンテナンスがおこなわれているか、あらかじめ確認しましょう。マンション住民による管理組合では対応が難しいこともあるため、管理会社が入っているかどうかは重要なポイントです。

修繕計画と修繕積立金がある

資産価値を維持するためには、修繕計画が立てられており、修繕積立金が計画に向けてしっかり管理されていることも重要です。修繕積立金が十分に積立されていないと、いざ修繕が必要となった際に、大きなお金がかかってしまうことも。いつ修繕する予定なのか、それに対して十分な積立金が積立てられているか確認しておきましょう。

リフォーム・リノベーションを検討する

前述のとおり、リフォームをおこなっていることも、マンションの資産価値の維持に影響します。単にリフォームするだけでなく、断熱性を向上させたり内装を一新してリノベーションしたりすることで、価値が大幅に向上することも。一概にはいえませんが、15年程度がリフォームを検討する時期とされています。古くなっても価値を維持するために、リフォームは有効な手段といえるでしょう。

マンションの資産価値を調べる方法

マンションの資産価値を調べるには、下記のような方法があります。

・国道交通省が公開する不動産取引価格情報検索サイトを利用する
国土交通省が公開する情報サイトで、不動産の取引価格などを検索して確認することができます。

不動産取引価格情報検索 (国土交通省)

・Webサイトなどで近隣のマンションの情報から比較する
同じエリアや同じような条件のマンションの価格を調べることで、自分のマンションの相場を知ることができます。

・地価公示価格から土地価格を調べる
不動産鑑定士に依頼すると、マンションの詳細な評価がおこなわれ、適正な市場価格を調査することができます。費用が高額になることもあるため、事前に依頼時に必要な費用を確認しておきましょう。

マンションの資産価値を調べる際には、物件としての価値と土地の価値を併せて考えます。そのそれぞれの価値を決めるのに、評価額が関わってきます。

マンションの資産価値を表す「評価額」

評価額とは、固定資産税を支払う際や相続税を計算する時に基準となる価格です。この評価額にはいくつか種類があり、マンションの資産価値を調べるための評価額は大きく6種類あります。

  • 実勢価格(売値)
  • 固定資産税評価額
  • 地価公示価格
  • 不動産鑑定評価額
  • 相続税評価額
  • 建物評価額

6つの評価額について、それぞれ意味する金額や使用するタイミングをあらかじめ確認しておきましょう。詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

資産価値が下がりにくいマンションのポイントについて、詳しくお伝えしてきました。資産価値が下がらないマンションには、良好な立地条件や交通の利便性、治安を含めた周辺環境のよさなどの特徴があります。

近年、マンション投資に興味を持つ方も多く見られるようになりました。その際にも、将来的な資産価値の減少は注意すべき点です。家賃収入は入ってきますが、資産価値が減少するということは、それだけ資産が減っていると同じ。売却時に大きく資産価値が下がってしまうと、せっかく家賃収入を得られても、結果的にあまり利益にならなかったということもあります。そのため、今後の資産価値という点にも注意しておきましょう。

資産価値が下がりにくいマンションを選ぶ、あるいは下がらないようにするためにどうすればよいか、この記事を参考に考えてみてください。

小川洋平

執筆者

小川洋平

合同会社clientsbenefit代表、CFP1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み、6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。住宅ローン相談も得意とし、自身が自宅の新築時に学んだ知識や、工務店のネットワークを活かし住宅購入のアドバイス等もおこなっている。

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