更地とは?整地・造成との違いや更地にする費用についてわかりやすく解説

今回は更地をテーマに、更地の基本や整地・造成との違いを解説します。家を解体して不動産の売却を検討している方に向けて、更地にして売却するメリット・デメリットもご説明します。
記事の目次
更地とは?
更地とは、建物が土地の上に存在しておらず、また借地権のように土地の利用を制限するような権利が設定されていない土地を指します。
更地とよく混同される言葉に「整地」や「造成」があります。
次から、整地と造成の定義、更地との違いを詳しく解説していきます。
整地とは?
整地とは、建物を解体した後の更地を土地活用に適した状態にするために、木くずやコンクリートなどの産業廃棄物を処分し、重機で転圧処理をして凸凹した土を平らにならした状態の土地のことです。
整地の仕上げ方法には、おもに5つの種類があります。どのような目的の時にどの仕上げを選ぶのかを解説します。
荒仕上げ(粗整地)
粗整地はもっともシンプルな整地方法で、土地を平らにすることのみを目的にしています。解体工事後の産業廃棄物を、撤去したうえで平らにします。
砕石整地

砕石整地は、途中まで粗整地と変わりませんが、仕上げに砕石と呼ばれる石を敷いてきれいに仕上げます。平らにする作業は重機やローラーで転圧をすることが特徴です。粗整地よりは時間・費用がかかります。
真砂土整地

真砂土整地は、途中までは粗整地と同じ作業です。重機やローラーで転圧をして平らにしたあと、真砂土を敷きます。真砂土整地は仕上がりが美しくなり、購入者の意欲が高まりやすくなるため、売却を考えている場合に適しています。
コンクリート、アスファルト整地

コンクリート・アスファルト整地も、重機やローラーで転圧をして平らにするところまでは同様の作業です。仕上げに、コンクリートまたはアスファルトで舗装をして仕上げます。主に駐車場にする目的がある時におこないます。
防草仕上げ
防草仕上げは、整地完了後に防草シートや砂利などを敷いて、雑草が生えないようにする仕上げ方法です。
造成とは?

造成とは、土地を有効活用できるように、分譲や開発などの目的に合わせて、区画や形状を変えて整えていく開発工事です。傾斜のある土地を平行にしたり、軟弱な地盤を強化したい時にもおこないます。造成が開発工事であるのに対して、整地は解体した土地を対象にきれいに地ならしをする作業を指します。
一方、更地は造成も整地もしていない土地のことです。
解体・更地工事の流れ
土地を売却または有効活用するために、建物の解体から更地、整地と順におこなう場合があります。その流れは以下のようになります。
【更地工事の流れ】
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STEP 1
アスベスト調査・除去工事 建物を解体する前には、規模に関わらずアスベスト調査が義務付けられています。調査の結果、アスベストが含まれているとされた建物は、アスベスト除去工事をおこなわなければなりません。
手順として、工事内容の提示、飛散防止剤の塗布、専用の工法を用いて撤去、アスベスト建材の廃棄、行政への報告の流れになります。 -
STEP 2
家屋の解体工事 家屋の解体工事は、解体会社の相見積もり、会社・工事費の決定、家財の搬出、近隣への施工挨拶、隣接する塀などの現況確認、養生、建物解体、基礎解体の流れでおこないます。 -
STEP 3
廃材の処分 解体によって出た廃材は、木片・コンクリート片・鉄筋・ガラス・プラスチックなどを分別し、廃棄物処理法に準拠して、マニフェストを発行したのちに産業廃棄物として撤去します。 -
STEP 4
整地工事 解体工事終了後、重機やローラーなどを用いて地面を転圧します。解体後の目的に応じ、真砂土などを用いて仕上げをします。
なお、工事が終わったら、「建物滅失登記」を忘れずにおこないましょう。
更地・整地工事の費用

更地・整地工事にかかる費用の相場を紹介します。
建物の解体費用の相場
アスベスト調査・除去工事にかかる費用
アスベスト調査費用の相場は5~15万円程度です。
アスベスト除去工事費用について国土交通省が公表している相場は、以下の通りです。(建物の構造や立地、調査会社によって異なります)。
処理面積 | 除去費用 |
---|---|
300平方メートル以下 | 20,000~85,000円/平方メートル |
300から1,000平方メートル | 15,000~45,000円/平方メートル |
1,000平方メートル以上 | 10,000~30,000円/平方メートル |
(引用:国土交通省ホームページ「アスベスト対策Q&A」)
家屋の解体費用の相場
諸費用を含めた家屋の解体費用は、木造なら4~5万円/坪、鉄骨造は6~7万円/坪、鉄筋コンクリート造なら6~8万円/坪が目安です。
ただし、家屋の立地条件や構造などで金額が変わるうえ、深い基礎杭や大きな地中埋設物があると解体費用は大きく上がります。
解体費用については以下の記事で詳しく解説しています。
整地費用の相場
整地費用は仕上げの方法によって費用相場が異なります。次表で一覧にまとめました。
整地の仕上げ方法 | 1平方メートルあたりの費用相場 |
---|---|
荒仕上げ(粗整地) | 300円~600円 |
砕石整地 | 2,000円~7,000円 |
真砂土整地 | 3,000円~4,000円 |
コンクリート整地 | 5,000円~10,000円 |
アスファルト整地 | 3,500円~6,000円 |
防草仕上げ | 1,000円~6,000円 |
作業する土地の形状や大きさ、依頼する会社によって費用が異なりますので、上記は目安として考えてください。
諸経費の相場
整地にかかる費用として、営業経費、現場管理費、書類作成費(例:建物滅失証明書)、近隣への挨拶費、トラブル対応費(例:境界にある塀の破損)、機械損料費(重機のリース料)などが挙げられます。大抵の場合、諸経費は解体工事費用全体のおよそ1割程度です。
更地・整地にするメリット

空き家を持っている場合、家を解体して更地・整地にするべきか、悩む方も多いでしょう。次から、家を解体して更地・整地にする4つのメリットを紹介します。
家屋の維持費・管理が不要になる
建物を空き家のまま放置すると、設備や躯体(くたい)の劣化が居住している時よりも進みやすくなるため、定期的な掃除や修繕などをおこなう必要があります。往復の交通費や修繕費・草刈り費など、空き家の維持・管理にお金がかかることも。更地にすることで建物を維持するための手間や出費をなくせます。
土地が売れやすくなる
買い手にとって、更地は解体の手間や費用がかからないことや、土地の形状や大きさがわかりやすく、新築する建物のプランを立てやすいメリットがあるため、建物付き土地よりも売れやすくなります。古い家はシロアリ被害・基礎・建物の傾きなど瑕疵(かし)が出やすく、売買取引時のトラブルを引き起こす原因にもなるため、古い家が建っている土地を売却したいと考えている場合には、更地・整地にするメリットは大きいでしょう。
土地活用の幅が広がる
新たに土地活用をする際に、更地であればアパートの建設、駐車場の経営など、いろいろな選択肢を考えられます。以下に土地活用の4つの方法を紹介します。
賃貸住宅経営
アパート・マンションを建てて賃料収入で利益をあげる方法です。節税にも向いていますが、経営がうまくいくか否かは立地が重要となります。
駐車場経営
土地を整地して駐車場経営をおこなえば、月極駐車場やコインパーキングなどで収入を得られます。都心部の狭小地や所有する期間が決まっている場合の土地活用に向いているでしょう。
トランクルームやコインランドリーの経営
トランクルームやコインランドリーの経営は、居住しづらい立地や変わった形状の土地の場合に向いています。ただし節税効果は低めです。
太陽光発電
一定の面積があり、日当たりのよい場所であれば、更地に太陽光発電を設置することで売電収入をえることが可能です。設備の劣化や法制度の変更には注意が必要です。
更地・整地にするデメリット
更地・整地にする場合のデメリットもあります。以下にご紹介します。
更地にする費用がかかる
更地にするには、先述したように解体費用・整地費用がかかります。立地や建物の構造、地中障害物の量や杭の深さによっては想定以上の費用がかかる場合もあり、数百万円にのぼることもあるでしょう。
固定資産税が高くなる
居住用の建物に利用されている土地は、「住宅用地の課税標準の特例」によって、固定資産税が安くなっています。建物を解体することで、特例が適用されなくなり、固定資産税が高くなります。詳しくは以下の記事で解説していますので、読んでみてくださいね。
家を更地にして売却する時に注意すべきポイント

家を更地にして売却する時、注意したほうがよいポイントを4つご紹介します。
土地の査定価格と工事費用を比較しよう
土地の売却を検討している時はまず、土地の査定価格と更地にする工事費用を比較しましょう。更地にする工事費用が土地の査定価格を上回りそうであれば、売っても赤字になるため、解体しないほうがいい場合もあります。
建築制限を確認しよう
家を解体する前に、土地が市街化調整区域内(原則として建物の建築や建て替えが制限されるエリア)や、現状の建築基準法で再建築できない(接道要件を満たしていない)土地ではないかを、事前に確認しておきましょう。市街地調整区域かを調べる方法や、もし市街地調整区域だった場合の土地の活用法などは、以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
土地の境界線を確認しよう
隣地の所有者とのトラブルを防止するために、法務局の地積測量図や登記簿謄本、現地の境界杭で土地の境界線を確認しましょう。必要に応じてあらためて測量しなければならないこともあります。また、隣地との境界となるブロック塀やフェンスは、隣家の景観や生活に関わることもあるので、解体する時には事前に確認することが必要です。
古家付き土地として売ることも検討しよう
ホームインペクション(建物状況調査)を実施し、問題がないようであれば古家付き土地として売ることも可能です。
古家付き土地は更地と比べて価値が落ちることが多く、更地として売却するよりも売却金額が低くなりやすい傾向にあります。しかし、更地にする工事費用額によっては古家付き土地で売却したほうが得になるケースも。近年は、中古住宅を購入して自分好みにリノベーションしたいという需要も多くなっているので、まずは気軽にWebでできるアットホームの一括売却査定をおこなってみてはいかがでしょうか。
更地・整地に関するよくある質問
更地をそのままにしておくデメリットは?
更地をそのままにしておくと、固定資産税や都市計画税などの税金が、建物がある時よりも多くかかります。また、所有地内にゴミを不法投棄されたり、放火されるなどのリスクも考えられます。
整地工事をしたほうがいい場合はどんな時?
整地工事をしたほうがいいのは、以下のような時です。
新たに家を建てようと考えている場合は、土地の高低差が無くじゃまな草木の無い状態に整地したほうがよいでしょう。また、土地を高値で売却したいと考えている場合は、イメージのよい真砂土整地にすることで、買主の意欲を向上できます。
土地の有効な活用方法が決まっていない場合や、駐車場として活用するのにも、柔軟に対応できる整地にすることをおすすめします。
工事会社を選ぶ時のポイントは?
工事会社を選ぶ時、複数の会社に相見積もりを取ることが大事です。思ったより金額にばらつきが出ることがあります。ただし、見積もり金額だけで判断せずに、会社のホームページや口コミサイトで解体や整地工事の実績や口コミを確認するようにしましょう。また、工事見積書の明細に、「一式」のような表記ではなく、詳細に項目が書かれているかを目を通すことも大切です。
まとめ
更地にすると、土地が売れやすくなったり、活用しやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。ただし、更地・整地工事をおこなう際、近隣からのクレームや仕上がり具合、工事費などでトラブルにつながることが多くあるので注意が必要。ホームページや口コミサイトによる事前調査や、一括査定を利用して複数の会社から見積もりを取り、ヒアリングすることが大切です。