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地積測量図とは?種類や違い・必要なタイミング・取得方法について徹底解説

地積測量図について詳しく解説します
「地積測量図」と聞いても、あまりなじみがない方もいるかもしれません。地積測量図は、土地情報の一つとして法務局に備え付けられている書類です。

地積とは土地の面積を指し、地積測量図は土地の広さや隣地との境界を表す公的な図面です。土地や土地付き一戸建てを売却する際に必要となります。売却を検討しているが隣地との境界が曖昧な場合に、地積測量図が役立つでしょう。

この記事では、地積測量図の見方から活用方法までわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。

測量図とは?

測量図の種類は3種類です。それぞれ違いを説明します
測量図の種類は3種類です。それぞれ違いを説明します

測量図は、土地の面積や隣接する土地や道路との境界を明確にするために作成する図面の総称です。測量図には3つの種類があり、ここではそれぞれの違いを解説します。

測量図の種類と違い

測量図には、地積測量図のほか、確定測量図、現況測量図があります。3つの測量図の違いを以下の表にまとめました。

確定測量図 現況測量図 地積測量図
必要な場面 土地を売却する場合や相続した土地を分筆する場合など 土地に建物を新築する場合や登記簿面積との違いを知りたい場合など 土地を売却する場合や相続した土地を分筆する場合など
取得方法 土地家屋調査士に依頼 土地家屋調査士に依頼 法務局で取得
取得費の
目安
35万円~50万円
※土地の形状や隣地の状況で変わります
10万円~20万円 一筆の土地につき450円
取得までにかかる
時間の目安
1.5カ月~3カ月 5~10日 1~5日

確定測量図

「確定測量図」は、土地のすべての境界で、隣地所有者の合意を得たうえで土地の面積や形状を確定させる図面です。

確定測量図は、測量図のなかでもっとも信頼性が高く、登記簿上の面積が確定測量の面積と異なる場合、地積更正登記(※)を申請することで、登記上の面積を正しい面積に修正できます。

※地積更正登記は、登記簿上の面積と測量した面積が異なる場合に、登記簿上の面積を実測面積に修正する登記

現況測量図

「現況測量図」は、ブロック塀や境界標、電柱など土地の現在の状況を調査し、おおよその土地の形状や面積を知るために作成される図面です。

土地にどれくらいの建物が建てられるかを知りたい時や登記上の面積と実際の面積の違いが知りたい場合に活用されます。

地積測量図

「地積測量図」は土地の面積や形状、境界標の位置や種類が明示された公的な図面で、法務局で誰でも入手が可能です。

土地の売買や土地を分割する際の土地面積の根拠として利用されますが、土地を購入した時期によっては、作成されていないこともあります。また、作成された時期によって、面積の算出方法や境界標の明示のルールが違っており、図面の精度や表記方法が異なるケースもあります。

土地の売買では、土地の面積が価格に反映されるため、精度の低い地積測量図だと取引に利用できないこともある点に注意が必要です。
地積測量図でわかることや見方のポイントを、次から具体的にお伝えします。

地積測量図でわかること

地積測量図は、公的な証明力を持つ図面であり、記載事項が定められています(不動産登記規則77条)。以下の記載事項から何がわかるかを解説します。

  • 地番(隣接土地の地番を含め)
  • 地番区域の名称(所在地)方位
  • 縮尺(原則1/250で作成)
  • 求積表
  • 境界標
  • 筆界(境界)点間の距離
  • 作成年月日
  • 申請人
  • 作成者(通常は土地家屋調査士の住所・氏名等)
  • 基準点の汎用
  • 基準点表・引照点表

※参照:不動産登記規則│e-Gov法令検索

地積測量図の地番や地番区域から、その土地の所在地がわかります。

「求積表」とは、土地の面積と算出方法を示した表です。ただし、作成された時期によって、異なる算出方法が記載されています。
現在は基準点の座標をもとに面積を求める「座標求積法」が用いられていますが、2005年3月7日の新不動産登記法施行前は、土地の図形から面積を求める「三斜求積法」が用いられていました。

また、地積測量図には、境界の位置や境界間の距離、境界標の種類を表す凡例(基準点の汎用)が記載されています。石標、コンクリート標、金属標、金属プレート標、プラスティック標などの境界標の種類が記号で表されているのが特徴です(時期によって記載がない場合もあります)。

その他、作成を依頼した申請者や作成者の情報、作成年月日などがわかります。

作成された時期によって、地積測量図内の記載事項が異なり、把握できる情報に違いがある点には注意しましょう。また、地積測量図があっても、土地の売買には活用できないケースもあります。

地積測量図で確認すべきポイント

地積測量図は、家を建てる際に確認すべきポイントがいくつかあります。

建物を新築したり、増築したりする際には、建築基準法で建てられる面積や道路からの後退(セットバック)距離が定められています。そのため、地積測量図から土地の面積や境界、隣地や道路との境界を確認し、どのような建物が建てられるかを確認しなければなりません。また、残地の記載も確認しておいたほうがよいでしょう。

2006年以降、申請する土地だけでなく分筆後に残る残地の計算図面も必要になっています。しかし、それ以前は残地そのものの計算がされていない図面も多くあります。この場合、残地の面積は、分筆前の全体の登記簿面積から測量した土地面積を差し引いて計算されるだけのため、土地の情報としては不十分です。

将来の土地取引や建物を新築する際にも影響するため、残地の情報も確認したほうがよいでしょう。

地積測量図の見方

盛岡地方法務局「土地・建物の地図・図面など」地積測量図サンプル
出典:盛岡地方法務局「土地・建物の地図・図面など」地積測量図サンプル

ここからは、地積測量図のサンプルを参照しながら、図面の見方を説明します。

① 地番

土地の地番です。分筆後の地番だけでなく分筆前の地番が記載されていることもあります。

② 土地の所在

その土地の地番が含まれる場所を表しています。

③ 方位

方位が記されています。矢印の方角が北です。

④ 測量図

土地を測量した結果である測量図が記載されています。
土地の形状から境界標の有無と種類、境界点間の距離位置、分筆された土地それぞれの地番、隣接地の地番などが記載されています。

⑤ 基準点の汎用

境界標の記号と種類(コンクリートや金属プレートなど)の凡例です。

⑥ 求積表

土地の面積とその算出方法です。境界点と境界標の種類、辺長(境界間の距離)もわかります。
現在は、座標値から面積を算出する方法ですが、過去の地積測量図には、土地を複数の三角形に分割し面積を計算する三斜法で記載されているものがあるので、測量年月日を確認しましょう

⑦ 面積

地番ごとの面積、総面積が記載されています。

⑧ 測量年月日と座標系

測量日付と、計算を平面としておこなえるように定められた座標系が記載されています。

⑨ 縮尺

図面の縮尺です。原則1/250で作成することになっていますが、土地の状況により1/500や1/1000で作成されることもあります。

⑩ 作成者と作成年月日

地積測量図を作成した土地家屋調査士の住所・氏名、作成年月日が記載されています。

⑪ 申請者

登記を申請した人の氏名です。

地積測量図はいつ必要?

どのような時に地積測量図が必要になるのか解説します
どのような時に地積測量図が必要になるのか解説します

地積測量図は、土地を売買する時や1つの土地を分割する時の登記申請時に作成し、添付する必要があります。

ただし、登記申請時の地積測量図が必要となったのは1959年以降です。それ以前に申請された土地には地積測量図がないケースも。以下から、地積測量図が必要となる場面を解説しましょう。

土地を売買する時

土地を売買する際に、地積測量図が必要となります。

地積測量図によって、売買の対象となる土地の面積や隣接地との境界、接道状況などがわかります。売買対象の土地を明確にすることで、安心して取引ができるでしょう。
もし地積測量図がない土地の売買をするのであれば、一般的には売主の責任で土地家屋調査士に作成を依頼し、作成する必要があります。

また、すでに地積測量図があっても、買主から確定測量図を求められることがあることも知っておいてください。具体的には、隣地との境界が明確でない場合や、合意がない場合が該当します。
確定測量をした結果、登記簿上の土地面積と相違があれば、地積更正登記をしましょう。地積更正登記とは、登記上の面積と実測した面積が異なる時に、登記簿の内容を修正する登記です。

土地を分割したり、2つ以上の土地を1つにする時

土地を分割することを「分筆(ぶんぴつ)」、逆に2つ以上の土地を1つにすることを「合筆(ごうひつ)」といいますが、これらの場合にも地積測量図が必要です。

土地を分割するケースとして、相続財産の土地を相続人間で分割する時や土地の一部にだけ抵当権の設定をしたい場合が考えられます。相続人間でもめることなく土地を分割するため、また、金融機関の担保となる土地の価値を明確にするためにも、地積測量図の作成が欠かせません。

このように1つの土地を分割した土地に分ける登記を分筆登記といいます。それぞれの土地の登記上の面積と測量した面積を一致させることが可能です。

また、複数の土地を1つにする場合にも、地積測量図の作成が求められます。この時におこなう登記を合筆登記といいます。

地番のない土地に地番をつける時

地番がない土地に新たに地番を付ける場合にも、地積測量図が必要です。

国や行政が所有する道路や水路が、所有する土地に隣接している場合に、長年、道路や水路としての用途として使われておらず、将来も活用される予定がなければ、払下げによってその部分の土地を取得するケースがあります。

道路や水路部分を取得するには、隣接地との境界確定をおこなう必要があるため、地積測量図の作成が求められます。この際に申請するのは、もともと地番のない土地に地番をつける表題登記です。

地積測量図の入手方法

地積測量図を入手するのにいくつか方法があります。ご自身の都合にあうものを選んでください
地積測量図を入手するのにいくつか方法があります。ご自身の都合にあうものを選んでください

法務局に備え付けられている地積測量図を入手する方法として、3つの方法があります。取得費用などを含めて入手方法を解説します。

法務局で取得する

法務局に出向いて取得する方法を見ていきましょう。

自宅と所有する土地が離れていても、現在はどこの法務局でも全国の土地の情報を取得できます。そのため土地の所在地を管轄する法務局でなくても手続きが可能です。

窓口の取扱い時間は、平日の8時30分から17時15分までです。申請費用(450円)を準備して時間内に申請しましょう。

【法務局で地積測量図を取得する流れ】

  • STEP 1近くの法務局を探す
  • STEP 2法務局で申請書に記入する
  • STEP 3収入印紙で費用を支払う
  • STEP 4地積測量図を受け取る

申請書には、土地の特定するための情報を記載します。普段使用している住居表示(●番▲号)ではなく、土地の地番表示が必要です。もし、地番がわからない場合は、法務局に事前に電話したり、インターネットで調べておきましょう。

インターネットで請求する

次に、インターネットで地積測量図を請求する方法ですが、方法として3つのパターンがあります。以下それぞれを解説します。

インターネットで請求し法務局に取りに行く

1つめは、インターネットで請求し、法務局に取りに行く方法です。法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」サイトで申請手続きをおこないます。初めての場合、申請者情報の登録が必要です。

【インターネットで請求し法務局に取りに行く流れ】

  • STEP 1「登記・供託オンライン申請システム」にアクセス
  • STEP 2不動産登記情報の請求画面で土地の地番情報を入力
  • STEP 3受け取り方法で「窓口受取」と受取する法務局名を選択
  • STEP 4請求を確定
  • STEP 5インターネットバンキングで手数料を納付

証明書の種類は、図面証明書の地積測量図を選択します。

インターネットからの申請は平日8時30分から21時まで可能ですが、法務局での受け取りは、平日8時30分から17時15分までです。窓口で受け取る場合、430円の手数料がかかります。

インターネットで請求し郵送してもらう

他にもインターネットで請求し、自宅など特定の住所に郵送してもらう方法もあります。

【インターネットで請求し郵送してもらう流れ】

  • STEP 1「登記・供託オンライン申請システム」にアクセス
  • STEP 2不動産登記情報の請求画面で土地の地番情報を入力
  • STEP 3受け取り方法で「郵送」を選択
  • STEP 4請求を確定
  • STEP 5インターネットバンキングで手数料を納付

請求の仕方は窓口で受け取る場合と同じですが、受け取り方法の選択を間違わないように注意しましょう。郵送で請求する場合の手数料は450円です。

登記情報提供サービスにてデータを取得する

インターネットで地積測量図を閲覧することもできます。こちらの場合、一般財団法人・民亊法務協会が運営する「登記情報提供サービス」を利用します。

一時利用の登録で閲覧でき、利用料金は362円と他の方法より安く取得できます。PDFでダウンロード・印刷もできますが、閲覧と同等のサービスのため、公印や証明文はなく法的な証明力はないため、注意しましょう。

また、すべての登記情報が閲覧できるわけでなく、閲覧できる情報は、コンピューター化されている登記情報のみです。

サイトは、平日の8時30分~23時、土日祝の8時30分~18時の利用が可能です。地積測量図を含む地図および図面情報は平日の8時30分~21時まで利用可能となっています。

地積測量図がない場合は土地家屋調査士に依頼する

法務局に地積測量図がない場合、土地家屋調査士に依頼し、地積測量図を作成する必要があります。その場合は2~3カ月以上かかることもあるので、余裕を持って依頼をしましょう。

依頼する不動産会社やハウスメーカーから土地家屋調査士を紹介されるケースもあります。土地を購入した際の資料や登記関係の資料など手元にあるものは事前に準備してから相談するとスムーズです。

測量費の目安

測量費用は、現況測量とするか確定測量までおこなうかで金額が変わります。

現況測量は、土地の境界があいまいな場合でも、土地の現在の状況から境界を想定して作成するため、確定測量と比べると要する期間も短め。費用の目安は10万円~20万円です。

一方、確定測量は、隣接する土地所有者からすべての境界の交渉を含めて合意を得て、境界確認書を取得します。
その合意のもとに境界標を設置し、土地の形状、面積を確定させるため、時間も手間もかかります。費用の目安は30万円~50万円です。隣接地の所有者の数が多い場合、公有地と隣接している場合などは、さらに手間も時間も増えるため、費用が大きく変わる可能性もあります。

測量にかかる費用や手続きを詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

地積測量図についてよくある質問

地積測量図に関するよくある質問に答えます。
地積測量図に関するよくある質問に答えます。

最後に、地積測量図に関するよくある質問をまとめました。

地積測量図で何がわかる?

土地の面積(算出方法を含め)、境界標の位置や種類、隣地の地番、作成年月日などが地積測量図からわかります。

土地の売買時などに必要となりますが、作成時期によって、記載されている項目や地図の精度が異なり、確定測量が必要となることもあるでしょう。

確定測量図と現況測量図との違いは?

確定測量図は、隣地の所有者の合意を得たうえで作成されるより信頼性が高い図面です。土地の売買に活用され、土地を分筆した時などに作成されます。
一方、現況測量図は、現状の土地の状況から境界を予測して作成され、隣地との境界に関する合意もありません。おおよその土地の広さや形状を知りたい場合に利用されます。

地積測量図は誰でも取得できる?

地積測量図は、土地の地番がわかれば誰でも取得可能です。

地積測量図がない時はどうすればいい?

もし、土地の売買などで地積測量図が必要で、法務局に備え付けられていなければ、土地家屋調査士に依頼して作成する必要があります。

まとめ

この記事を参考に、地積測量図について理解を深めましょう
この記事を参考に、地積測量図について理解を深めましょう

地積測量図は、土地の面積や境界を証明する公的な図面です。土地売買時や分筆時に必要になるケースが多いでしょう。入手するには、法務局に直接出向いて取得するほか、インターネットで申請し、取得ができます。
しかし、土地の取得時期によっては図面そのものがなかったり、あっても精度が低かったりと、取引に利用できない場合も。その時は、土地家屋調査士に依頼して地積測量図を作成することをおすすめします。

一般的にあまりなじみがないうえに、記載されている内容や見方もわかりにくい点も多いと思いますが、土地を売却したり、相続したりした場合に求められる大切な資料です。
ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

吉満 博

執筆者

吉満 博

株式会社あつみ事務所 代表

宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー
不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。また、これまでの建築設計、不動産売買の実務を踏まえた情報発信を積極的におこなう。

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