マンション売却の流れや注意点を解説!失敗しないためのコツや不動産会社の選び方

大切な資産であるマンションの売却だからこそ「高く売りたい」「年末までに売りたい」などの希望もあるはずです。
この記事では、マンション売却の流れや不動産会社の選び方、失敗しないためのコツや注意点を状況別に解説します。どういった準備が必要で、何を注意しながらすすめていけばよいかが明確になります。ぜひ最後まで読んで、マンション売却にご活用ください。
マンション売却の基礎知識
初めてマンションを売却する方もいらっしゃるでしょう。まずは事前準備と売却の流れ、どういった売却方法があるかなど、基礎的な知識を説明します。
マンション売却の流れ
ステップ | かかる期間 |
---|---|
不動産会社に相談・査定依頼をする | 約1カ月 |
不動産会社を選定し媒介契約を結ぶ | |
販売活動を開始する | 約1~3カ月 |
買主と売買契約を結ぶ | |
決済・マンションの引渡し | 売買契約から約1カ月 |
確定申告をする | 売却の翌年 2月16日~3月15日 |
事前準備
・住宅ローンの残高を確認する
マンションを売却するには、住宅ローンを完済しなければなりません。
「売却収入で完済できるのか?」「できない場合、自己資金がいくら必要なのか?」を売却価格から判断するために、住宅ローンの残業を確認する必要があります。
住宅ローン残高は、金融機関のWebサイトや郵送されてくる返済計画表などで確認できます。
国土交通省の不動産価格指数によると、中古マンション価格は金融緩和、住宅ローンの低金利を背景に上昇傾向が続いています。
(参照:不動産価格指数、住宅は前月比 0.3%上昇、商業用は前期比 1.0%下落 ~不動産価格指数(令和5年2月・令和4年第4四半期分)を公表~│国土交通省(PDF))
地域ごとに中古マンションの相場は違います。売却前にある程度、マンションの売却相場を知っておくことも必要です。
相場を知るには、不動産ポータルサイトで条件が近いマンションの販売価格を調べる方法があります。調査できるのは販売中の価格。成約価格ではありませんが、ある程度の相場感を知ることができます。
また、不動産流通機構が運営する「レインズマーケットインフォメーション」は、過去の取引事例(成約価格)が登録されており、一般の方でも閲覧できます。
不動産情報サイト アットホームでは簡単にマンションの相場価格情報を調べることができます。
・希望する売却価格とスケジュールを整理する
住宅ローン残高と相場が把握できたら、希望する売却価格といつまでに売却したいか、販売スケジュールを整理しましょう。
一般的には3カ月以内で売却できる価格を設定します。状況に応じた売り出し価格が設定できるように整理しておきましょう。
ステップ1 不動産会社に相談・査定依頼する
希望する金額、販売期間が決まれば、物件がどれだけの市場価値があるのか不動産会社に査定を依頼します。
査定には、机上査定と訪問査定があります。
机上査定は、現地調査をしません。所在地や専有面積、築年数、間取り、所在階など基本情報をもとに、過去取引事例と比較し簡易的に査定する方法です。
訪問査定は、机上査定に加え、現地を訪問し、物件の状態や周辺環境など個別要因も踏まえ査定します。
机上査定より訪問査定のほうがより精度の高い査定結果がわかります。
不動産情報サイト アットホームの「不動産一括査定依頼サービス」は、無料でマンションや家(一戸建て)、土地の査定・比較が可能です。
ステップ2 不動産会社を選定し媒介契約を結ぶ
査定価格に納得できれば、依頼する不動産会社を決め、媒介契約を締結します。媒介契約には専任媒介契約・専属専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。自分に合った媒介契約を選びましょう。媒介契約の詳細は、後ほど詳しく説明します。
また、媒介契約を結ぶ時には、物件状況報告書、付帯設備表の作成などもおこないます。
不動産会社が実施するのは、現地調査だけではありません。役所、法務局で調査し、取引に必要な情報を収集します。売主が知っている物件情報を、物件状況報告書(告知書)と付帯設備表として作成します。
物件状況報告書は、物件の状態や周辺環境を報告する書類です。付帯設備表は、引渡しする設備とその状態を明確にするための資料です。
ステップ3 販売活動を開始する
媒介契約を締結し物件調査が終われば、いよいよマンションの販売開始です。
不動産会社は物件情報を広く拡散するため、レインズやアットホームなどの不動産ポータルサイトに登録します。
レインズは、全国の物件情報、成約情報を不動産会社が共有するシステムです。掲載情報を見た他の不動産会社(客付け会社)から問い合わせが入ることもあります。
居住中のまま売却する場合、購入検討者の内覧に対応する必要があります。マンションの入居者の様子や共用部分、周辺環境、住みやすさなどの質問を受けることもあるでしょう。
購入希望者が現れると、正式な購入の意思表示として不動産購入申込書を受け取ります。この時価格交渉や条件面の調整が入ることもあります。
ステップ4 買主と売買契約を結ぶ
購入希望者と価格やその他条件で合意すれば売買契約を締結します。
売買契約は、売主と売主側仲介会社、買主と買主側仲介会社が、売主側の仲介会社の店舗に集まり、実施されることも珍しくありません。
売買契約締結前に、買主に対し、宅地建物取引士の有資格者から重要事項説明がおこなわれ、売買契約締結の証として、買主から売主へ手付金が支払われます。
このタイミングで、売主は不動産会社に仲介手数料の半額を支払う場合もあります(残りは引渡し時の支払い)。
ステップ5 決済・マンションの引渡しをする
売買契約締結後、売主と買主間で日程調整をし、決済・引渡しを迎えます。
決済では、買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関から融資が実行され、売買代金残代金、固定資産税やマンションの管理費、修繕積立金などの清算金が売主へ支払われます。
代金の受領もしくは売主の口座への着金確認ができれば、マンションの鍵を渡し、必要書類の引継ぎをおこないます。
その後、司法書士は所有権移転登記や抵当権抹消登記の手続きをします。
ステップ6 確定申告する
マンションを売却し利益が出た場合、譲渡所得税の支払いのため確定申告が必要です。
譲渡所得税はマンションを売却した翌年の2月16日~3月15日、住民税は翌年の6月頃に納税します。
なお、譲渡所得がある場合でも、3,000万円の控除の特例を利用し、税負担がなくなるケースもあります。いずれにしても確定申告は必要です。
マンション売却の方法
ここからはマンションを売却する4つの方法と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
不動産会社へ売却
不動産会社への売却とは、一般の個人ではなく不動産会社や買取会社に売却する、いわゆる買い取りと言われる方法です。
買い取りのメリットは、売却を急ぐ、もしくは早く現金化する必要がある場合、売却までの期間が短くできる点。仲介手数料がかからず、売買契約上の契約不適合責任が免責(責任を免除すること)される点もメリットです。
一方、買い取りのデメリットは、売却価格が低くなることです。一般的に仲介での売却より2~3割、物件よってはそれ以上安くなります。
物件によっては、買い取り会社が少ない場合もあり、選択肢が限られることもあります。
不動産会社による仲介
仲介とは、不動産会社が買主を見つけ、売却する方法です。
仲介による売却のメリットは、相場より高く売却できる可能性があることです。不動産会社によっては、建物保証やホームステージングなどのオプションサービスを活用しながら、売却活動ができることもあります。
一方、デメリットは仲介手数料がかかることです。
また、販売期間に3カ月程度はかかり、物件次第ではさらに長期化することもデメリットです。価格設定を間違えると、時間がかかるうえに、相場より低い価格での売却になることもあります。
任意売却
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になり、売却したお金で住宅ローンを完済できない場合でも、債権者である金融機関の承諾のもと売却できることです。
任意売却のメリットは、通常の売却手続きで進められるため、競売になった場合よりも高く売却できる点です。
一方任意売却のデメリットは、売却したあとに残った住宅ローンの返済が続くことです。
住宅ローンを滞納したまま売却できない時間が過ぎると、競売にかけられる可能性もあります。
買い取り保証付き仲介
買い取り保証付き仲介とは、一定期間を仲介で売却活動をすすめ、売却できなかった場合に不動産会社が買い取る方法です。
メリットは、希望する期間内で売却、現金化でき、売れ残るリスクがない点です。
買い取りの保証額や期間が決まっているため、売却後の資金計画も立てやすく、住み替えの計画などもしやすくなります。
デメリットは、通常の販売期間(3~6カ月くらい)中でも売却価格が下がり、一般的な仲介より売却金額が低くなる可能性があることです。
また、不動産会社と売り出し価格や買い取り保証金額、販売期間で合意する必要があるため、信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社と結ぶ媒介契約の種類
媒介契約には、3つの種類があります。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に依頼できます。物件次第では会社間の競争原理も働き、高く売れたり、早く売れたりする点がメリットです。強引に自社で買主を見つけようとする、いわゆる囲い込みを防げます。
デメリットは、複数の会社に仲介を依頼した場合、不動産会社は自社で売却できるかわからないため、積極的な販売活動が期待できない可能性があります。また、複数の不動産会社とやり取りする手間もかかります。報告義務がないため販売状況がわかりにくい場合もあるでしょう。
一方、1社のみに依頼する媒介契約として専任媒介と専属専任媒介があります。
報告義務の頻度や、自分でみつけた買主と契約できるかなどの違いはありますが、それ以外に大きな違いはありません。
この2つの媒介契約のメリットは、1社専任で不動産会社に積極的な販売活動をおこなってもらいやすい点です。また、1週間あるいは2週間に1回以上の報告義務があり、販売状況を把握しやすいメリットもあります。
デメリットは、依頼する不動産会社次第では、1社に依存している分、売却活動がうまくいかない可能性があることです。売却までの期間が長期化するリスクもあります。
媒介契約の種類 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任 媒介契約 |
---|---|---|---|
複数社との契約 | 可 | 不可 | 不可 |
買主を自分で 見つけること |
可 | 可 | 不可 |
売却活動の 報告頻度 |
報告の義務 なし |
2週間に 1回以上 |
1週間に 1回以上 |
指定流通機構 (レインズ)への登録 |
義務なし | 7日以内に 登録 |
5日以内に 登録 |
契約期間 | 法律上の定め なし |
3カ月 | 3カ月 |
このように媒介契約にはそれぞれ特徴があるため、その違いをしっかりと理解したうえで契約を
結ぶようにしてください。
マンション売却に必要な書類

マンション売却時に必要な書類をリストにまとめました。チェック表としてぜひ活用してくださいね。
・不動産会社へ売却依頼時に必要な書類
名称 | 入手先 | |
---|---|---|
☐ | 登記簿謄本または登記事項証明書 | 法務局 |
☐ | 登記済権利証 (または登記識別情報通知書) |
売主 |
☐ | 物件購入時の売買契約書 | 売主 |
☐ | 物件購入時の重要事項説明書 | 売主 |
☐ | 固定資産税評価証明書 (または固定資産税納税通知書) |
市役所 都税事務所 (東京都の場合) |
☐ | 公図 | 法務局 |
☐ | 設備の仕様書 | 売主 |
☐ | 建築設計図書・工事記録書 | 管理組合・管理会社 |
☐ | マンションの管理規約または使用細則 | 売主・管理会社 |
☐ | マンションのパンフレット (間取り図などが分かるもの) |
売主 |
☐ | マンション総会議事録・長期修繕計画 | 売主・管理組合 |
☐ | 耐震診断報告書 | 管理組合・管理会社 |
☐ | アスベスト使用調査報告書 | 管理組合・管理会社 |
不動産会社が法務局や市役所などで準備する資料もありますが、物件資料はネット掲載や販売図面、チラシ作成をするうえでも活用できるため、自分で準備しましょう。
・マンションの引渡し時に必要な書類
名称 | 入手先 | |
---|---|---|
☐ | 身分証明書 | 売主 |
☐ | 住民票 | 市役所 |
☐ | 実印 | 売主 |
☐ | 印鑑証明書 | 市役所 |
☐ | 銀行口座の通帳 (銀行振り込み先情報) |
売主 |
☐ | ローン残高証明書 (またはローン返済予定表) |
売主・借入先金融機関 |
決済と同時におこなわれる引渡しは、同日中に登記手続きをし、不動産売買を完了させる大切な手続きです。必要書類は不動産会社に前もって確認し、不足がないように準備しましょう。
マンション売却にかかる費用・税金
この章ではマンション売却にかかる費用や税金を解説します。
マンション売却にかかる費用
マンションを売却する際には、一般的に以下の費用がかかります。
名称 | 金額 | 内容 |
---|---|---|
不動産会社への仲介手数料 | 売買金額×3%+6万円+税(上限) ※売買金額400万円超えの場合 |
売買が成立した報酬として不動産会社に支払う手数料 |
抵当権抹消の登録免許税 | 1,000円 (不動産1戸につき) |
不動産に設定されている抵当権抹消にかかる税金 |
司法書士への手数料 | 1~2万円 | 抵当権抹消を司法書士に依頼した場合の費用 |
住宅ローン繰上げ完済手数料 | 1~3万円程度 ※金融機関によります |
期限前に住宅ローンを完済する際の金融機関の手数料 |
売却しやすくする、付加価値をつけるためにハウスクリーニングやリフォーム、補修、建物調査などを実施する場合は、そういった費用も必要となります。
マンション売却にかかる税金
マンションを売却した際にかかる税金は、以下のとおりです。
名称 | 金額 | 内容 |
---|---|---|
印紙税 | (売買金額に応じて)非課税から480,000円まで ※軽減税率 |
売買契約書など課税文書にかかる税金 |
登録免許税 | 1,000円 (不動産1戸につき) |
抵当権抹消登記にかかる税金 |
消費税 | 10% | 仲介手数料や司法書士報酬にかかる消費税 |
譲渡所得税 | 譲渡所得×税率 ※所有期間によって税率は異なります |
不動産売却で利益が出た場合にかかる税金 |
例)3,000万円のマンションを売却した場合
【印紙税】1万円 ※軽減税率適用時
【登録免許税】2,000円 ※土地、建物それぞれ1つとして
【消費税】96,000円 ※(3,000万円×3%+6万円)の10%
【譲渡所得税】課税譲渡所得を1,000万円、所有期間10年超えで3,000万円特別控除等の特例を考慮しない場合、
1,000万円×14.21%(税率)=1,421,000円
マンション売却の際の控除や特例について
マンションを売却した際に受けられる控除には、以下のようなものがあります。
名称 | 内容 |
---|---|
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 | 居住用の不動産を売却した時の譲渡所得から最大3,000万円の控除ができる特例 |
マイホームを売った時の軽減税率の特例 | 居住用の不動産を売却した時、長期譲渡所得(所有期間10年超え)の税率を通常の税率より軽減する特例 |
特定の居住用財産の買換えの特例 | 居住用の不動産を売却し、代わりのマイホームを買い換えた時に、売却の譲渡益にかかる税金を将来に繰り延べできる特例 |
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 | 相続または遺贈により取得した不動産を売却した場合に、相続税額の一定金額を売却資産の取得費に加算できる特例 |
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 | マイホームを買い換え、売却したマイホームで発生した譲渡損失を、その年の給与所得や事業所得などの他の所得から控除できる特例 控除しきれない譲渡損失がある場合、翌年以後3年以内に繰り越して控除できる |
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 | マイホームを、住宅ローン残高を下回る価額で売却して譲渡損失が発生した場合に、その年の給与所得や事業所得などの他の所得から控除できる特例 控除しきれない譲渡損失がある場合、翌年以後3年以内に繰り越して控除できる |
不動産を売却した場合に利用できる特例は、それぞれ要件を満たす必要があるため、不動産会社や税理士へ相談しながら節税対策をおこなってください。
売却益が出た場合
売却益が出た場合、以下の特例が使えます。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
- マイホームを売った時の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換えの特例
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
それぞれ要件を満たすことが前提ですが、3,000万円の特別控除と軽減税率の特例は併用できます。
売却損が出た場合
売却損が出た場合、以下の特例が使えます。
- マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
これらは併用できません。状況に応じて有利な特例を活用しましょう。
マンション売却に関する注意点

マンションを売却するにあたり、どういった点に注意すればいいのでしょうか。時系列と状況別に解説します。
売却前の注意点
マンション売却にあたり、売り出し価格や不動産会社を決める売却前の準備は重要です。注意すべき6つの点を解説します。
マンションの売り出しタイミングに気を付ける
マンションを売り出すタイミングは、経済状況や金利状況などの影響もありますが、年間でみると、1~3月にあわせると売れやすくなる可能性が高まります。
子どもの進学など年度末までに新居を見つけたい、転勤などで探される方など、物件探しの時間が限られる購入者の需要も見込やすい時期です。
また、大規模修繕中に売却するのは、内覧時の印象がよくないと考えられています。しかし、大規模修繕工事の直後に購入できるのがメリットと考える購入者もいらっしゃいます。
余裕を持ったスケジュールを立てる
引渡しを希望する時期から逆算して、余裕をもった売却のスケジュールを立てることが大切です。
買主は、すぐに見つかるとは限りません。販売期間が短くなると、売り出し価格にも影響します。時間に余裕がなくなり価格交渉に応じざるを得ないと、売却金額は低くなってしまうことが多いので、注意しましょう。
複数の会社に査定依頼する
複数の会社に査定依頼をすることを推奨します。
査定金額は不動産会社によって異なる場合も少なくありません。1社の査定金額に依存しすぎると失敗する可能性も。
また販売方法は会社ごとにやり方があり、販売に利用するサイトや広告媒体などが違います。
したがって、適正な査定価格を知るうえでも、信頼できる不動産会社を選ぶ意味でも、査定は複数の不動産会社に依頼するほうがよいでしょう。依頼は一括査定サイトが便利です。簡単に複数の不動産会社に査定依頼ができるので、ぜひ利用してみてくださいね。
マンション売却が得意な不動産会社を選ぶ
依頼する不動産会社を選ぶ時は、マンション売却を得意とする不動産会社を選びましょう。
マンションを売却するといっても、駅近か郊外か、空き家か居住中か、リフォームの要否など条件はさまざま。全国に拠点がある大手から地域密着の会社、マンション専門会社、リフォームやリノベーションの提案を得意とする会社まであります。
物件の条件にあわせ、マンション売却を得意とする不動産会社を選ぶと、スムーズに売却が進められるでしょう。
相場を参考に売り出し価格を設定する
売り出し価格は、相場をもとに設定しましょう。
売主は、査定価格が高い不動産会社を選びたくなります。しかし、売却を成功させるのに大切なのは、最終的な成約価格であり、査定金額の高さではありません。
売り出し価格が高すぎると、売り出し直後でも反響、内覧が少なくなるリスクがあります。次第に鮮度を失い、売れ残り感が出てしまうと、結果的に相場よりも低い成約金額になってしまう可能性も。
相場と物件の売りやすさ、販売期間などを踏まえながら売り出し価格を設定することが重要です。
売却価格で住宅ローンを完済できるか確認する
住宅ローンの残債がある場合は、売却金額で完済できるかを確認しておきましょう。
売却には諸費用がかかります。売却収入で完済できない場合、自己資金が必要です。
住み替えの場合には、新居購入の資金計画にも影響する可能性もあります。
売却活動中の注意点
次に販売活動が始まったあとの注意点を解説します。
営業担当者とマメに連絡を取る
販売活動が始まると、問い合わせや内覧希望の連絡が入ります。
一般媒介契約以外は、販売活動の状況報告が義務付けられています。しかし、売主からも、集客状況や内覧結果、買主の反応など、積極的に担当者と連絡をとり販売状況を把握するようにしましょう。
担当者も1つの物件だけを担当しているわけではありません。任せすぎるよりマメに確認、相談したほうがよいでしょう。
内覧時の対応を丁寧におこなう
内覧時の対応は大切です。
居住中の物件であれば、内覧前に部屋の掃除や片付けを済ませておきましょう。
内覧時の質問には愛想よく答え、丁寧な対応を心がけるのもポイント。買主も、どのような売主で、どういった部屋の使われ方をしてきたかは気になる点です。周辺環境や買い物、学校などの情報提供ができれば、購入判断もしやすくなります。
欠陥箇所を正確に伝える
物件や設備の状態を、内覧中に質問されることもあります。のちにトラブルへ発展しないためにも、欠陥や不具合の状態を正確に伝えましょう。
事故物件をはじめ心理的瑕疵も同様です。不動産会社から伝えることもありますが、該当するものがあれば、自ら伝える必要があります。
建物・設備の欠陥や心理的瑕疵の有無は、売買契約上の契約不適合責任の範囲を明確にするものです。既知のうえで伝えていなければ責任を問われる可能性があります。
買主の与信に注意する
不動産会社を通じて、購入申込者の資金計画や住宅ローン事前審査の状況などを確認し、売却判断する必要があります。購入希望者が現れても、最終的に決済・引渡しまでいかないと意味がありません。
売買契約後、買主の住宅ローン借入が承認されず、契約が白紙解除になる事態は避けたいところでしょう。
値下げ交渉は慎重に対応する
購入希望者から価格交渉で値下げを求められることもあります。不動産の場合、金額が大きいことも踏まえ慎重に判断すべきです。もともと売り出し価格に価格交渉を織り込んでいる場合、すでに最初の売り出し価格から値段を下げている場合など、状況に応じて検討します。
また、不動産会社が契約を急ぐために安易に価格交渉を進めていないかも注意しましょう。
売買契約後の注意点
売買契約後の手続きで注意すべき点を解説します。
マンションの管理組合に報告を忘れない
マンションを売却すると、管理組合に区分所有者変更の届け出が必要です。買主に管理費や修繕積立金などの引き落とし口座を登録してもらう必要があります。多くの場合、売主側の不動産会社がその書類を手配しますが、マンションに管理人がいる場合などは、自分からも一言伝えておくとよいでしょう。
引渡しに向けて速やかに引越しをおこなう
引渡し日が決まったら、新居にむけて引越し手続きをすみやかにおこないましょう。
撤去する設備と引渡す設備、最終の部屋の状態を確認したうえで引渡しする必要があります。余裕をもったスケジュールを立てておくと安心です。
鍵が揃っているか確認する
引渡しまでに部屋、共用部分の鍵がそろっているかを確認しましょう。もし鍵を紛失し足りない場合は、重要事項説明で事前に伝えておく必要があります。
また、集合ポストの開け方、宅配ロッカーの使い方なども買主に引き継げるように準備しておきましょう。
手元に残る金額に注意する
売却金額だけでなく、売却にかかる諸費用、引越し代、税金などを差し引いた手残りの金額も事前に確認しておきましょう。住み替えで新居を購入したり、引越したりする場合に、資金が足りない事態にならないように注意が必要です。
確定申告を忘れずにおこなう
不動産売却によって所得を得た人は、確定申告で納税する義務があります。また、特例を活用し、税金の負担を減らす場合にも確定申告が必要です。忘れずに必要な手続きをおこなうようにしましょう。
【状況別】その他の注意点
マンションの売却では物件や所有者によって、いろいろな状況があります。ここでは、5つの状況別に注意点を解説します。
居住中のマンションを売却する場合
居住中のマンションを売却する場合、事前に内覧日の日程調整をしなければなりません。内覧に備えて部屋を片付けたり掃除をする必要もあるでしょう。また、日当たりがポイントとなるマンションであれば、売却時期や内覧時間帯を考えたほうよい場合もあります。
販売機会を失わず、効果的にPRするために、不動産会社としっかりと連携しながら適切な対応をしましょう。
遠方のマンションを売却する場合
遠方のマンションを売却する場合、依頼する不動産会社は、その地域に強い会社を選ぶことが大切です。
契約手続きは郵送や持ち回りなどで完結できることもあります。しかし、契約前の物件はしっかりと確認する必要があります。
また、遠方にあるからといって、物件状況報告書や付帯設備表に不備があると、トラブルになりかねません。契約上の責任(契約不適合責任)を問われることもあるので、注意が必要です。
マンションを賃貸している場合
賃貸中のマンションを売却するには、賃貸したまま売却する方法と空き家にして売却する方法があります。
賃貸したまま売却する場合、賃借人からするとオーナー(賃貸人)の変更となります。連絡をしっかりおこなうとともに、預かっている敷金を含め契約上の内容をどう取り扱うか決めておきましょう。
一方、賃貸中のマンションを空き家にして売却する場合、契約内容の確認、賃借人との交渉、立ち退き料の準備をおこないます。立ち退きの通知は、借地借家法26条により、期間満了の6カ月から1年前までにおこなう必要があるため、早めに準備するようにしましょう。
共有のマンションを売却する場合
複数人で共有するマンションを売却する場合、持分のみを売却する方法と共有者全員の同意のもとマンション全体を売却する方法があります。
・持分を売却する
共有する自分の持ち分だけを売却する場合、第3者への売却は難しいでしょう。他の共有者や買い取り会社へ売却することが現実的です。
ただし、買い取り会社への売却は、相場よりも低い価格になることに注意しましょう。
また、他の共有持分者へ売却する際は、売却金額で揉めないように適正な査定、売却金額を設定することが大切です。
・共有者全員の同意を得て売却する
共有者全員の同意を得て売却する場合、売買契約や引渡しなどの手続きにも共有者全員の署名、捺印が必要です。
共有者が何人もいる場合や遠方の場合、本来全員の立ち合いが望ましいのですが、代理人を選任し売却手続きを進められます。ただし売却後のトラブルを防ぐためにも、価格や売却方法の同意を得ながら進めることが大切です。これらの段取りには、手間と時間がかかる点に注意しましょう。
相続による不動産売却の場合
相続による不動産売却は、売却するタイミングによって注意点が異なります。
ここでは、相続発生前に売却する場合と相続後登記未完了で売却する場合を解説します。
・相続発生前にマンションを売却する
相続財産にマンションがある場合、相続後に複数で共有するより、相続前に売却して現金を分割したいと考える場合もあるでしょう。
相続前にマンションを売却し譲渡所得(利益)が出た場合、不動産譲渡税がかかります。
相続税の観点からは、不動産を相続する場合より相続税が高くなる点に注意が必要です。
マンションを相続した場合の相続税は、市場価格より低い固定資産税評価額(およそ7割程度)に対して課税されます。一方、相続前に市場価格で売却し現金を相続した場合、その現金に対して課税されます。
したがって、相続前に売却する時の税負担には注意を払いましょう。
・相続登記未了でマンションを売却する
マンションを相続した時、相続税の支払いに期限はありますが、相続登記に期限はありません。ただし、相続登記をしないまま売却はできませんので、相続したマンションを売却したい場合は事前に必ず相続登記をおこなうように注意してください。
マンション売却の失敗例と対応策

ここではマンションを売却する際の失敗例と対応策をお伝えします。
マンション売却の実績の乏しい不動産会社に依頼してしまった
マンション売却の実績が少ない、もしくは地域の情報に精通していない不動産会社に依頼した場合、不慣れなため希望金額で売却できない、販売期間が長期化するなどの失敗が考えられます。
マンションの価格は、物件だけでなく立地やその地域のマンション流通量などの影響を受けます。したがって、その地域の情報に精通し、マンションの販売実績が多い会社に依頼することが成功のポイントです。
新生活までにマンションが売れなかった
住み替えで新生活を間近に控えているケースでは、マンションの売却時期に制約があり、その期間内に売れなかった、もしくは価格を下げざるを得なかった失敗例があります。
特に、売却後の住み替えで時間に制約がある場合は、期間内に売却できるよう余裕をもったスケジュールを立てることが大切です。
チャレンジ価格が高すぎて売れなかった
売り出し価格が高すぎて、なかなか売れないケースもよくある失敗例です。時間がかかったうえに、結果的に価格を大きく下げざるを得なくなったなんてことも。
売り出し価格と成約価格は違います。高値売却を狙うにしても、査定価格や売却価格の根拠はしっかりと確認し、納得したうえで販売開始することが必要です。
高すぎる価格設定は、問い合わせ数が減る可能性があります。情報の鮮度が落ち販売期間が長期化するデメリットもあることを踏まえておきましょう。
手付金を使ってしまったあとに契約解除になってしまった
売買契約で手付金を受領したあと、買主の住宅ローンの承認が得られない理由で契約が解除されることもあり得ます。手付金は売買代金の一部です。契約が白紙解除の場合、受領した手付金は返金しなければなりません。
契約前に買主の資金計画をしっかり確認するとともに、決済・引渡しなど売買手続きが完了するまで手付金を他の用途に使うべきではありません。
付帯設備表と告知書に不備があった
売買契約時に付帯設備表、物件状況報告書(告知書)を買主に書面で提示し、物件や設備の状態を説明します。説明後、内容に合意すれば署名捺印します。
これは、建物や設備の状態をあらかじめ買主に説明することで、のちのトラブルを防ぐことが目的です。加えて、売主の契約不適合責任を負う範囲を明確にする意味もあります。
これらの書類に不備や漏れがあった場合、トラブルに発展し、責任を追及されることが起こりえます。
したがって、付帯設備表には買主に引き渡す予定の設備、状態などすべて記載する必要があります。知っていることはすべて告知しなければなりません。
住み替えをうまくすすめるコツ

売却して新居を購入する住み替えは、売却だけの場合と比べ、資金計画やかけられる時間などの点で難易度は高くなります。
ここでは、住み替えをうまくすすめるための方法や知識を解説します。
売り買いのタイミングを考える
住み替えの進め方として、売却を先行する売り先行と、購入を先行させる買い先行があります。
売り先行のメリット・デメリット
売り先行のメリットは、売却金額を踏まえて購入の資金計画が立てられるため、予算や資金計画で失敗するリスクが減る点です。
デメリットは、売却、購入のスケジュールがうまく調整できない限り、引渡し後から購入した新居への入居まで仮住まいの費用と手間が必要となる点です。
買い先行のメリット・デメリット
買い先行は、新居購入後に売却するため、じっくりと新居探しができ、仮住まいが必要ない点がメリットです。
一方のデメリットは、いくらで売却できるかが明確でないまま、新居の購入計画を進めなければならない点です。また、二重ローンが発生する場合、状況次第では物件を売り急ぐ必要があります。
売り先行は売却価格にもこだわってじっくり売却できます。新居の購入資金をしっかり確保したい場合は売り先行が適しています。一方ローン完済済みで資金的に余裕がある、もしくは新居の住宅ローンを利用しない場合は買い先行の方が進めやすいでしょう。
住み替えローンを活用する
住み替えローンは、マンションを売却しても住宅ローンが完済できない状況(いわゆるオーバーローン)で住み替えをする場合に、新居の購入資金とあわせ完済するための不足資金を借入できるローンです。
住み替えローンは取り扱う金融機関が限られます。加えて、審査が厳しく、金利が高く設定されていることに注意してください。
上記のようなデメリットもありますが、住み替えにともなう資金確保が難しい場合、住み替えローンを活用するのも1つの方法でしょう。
住み替えで使える税金の特例を利用する
住み替えする時に使える特例として、マイホームを買い換えた場合の特例があります。この特例は、税負担が減るのではなく繰り延べできるだけである点に注意が必要です。
したがって、節税効果のある3,000万円特別控除の特例、軽減税率の特例、また購入時の住宅ローン控除などを含め、減税効果の高い特例を利用することがおすすめです。
すぐに売却せずに賃貸に出す選択肢もある
住み替えにあたって将来戻ってくることも想定して、売却せずに賃貸に出す選択肢もあります。
賃貸に出すメリットとして、賃料収入が得られることや、相続税対策になることがあります。
しかし、注意点もあります。住宅ローンが残ったまま賃貸に出す場合、自己居住用の物件ではなくなるため、原則住宅ローンを利用できなくなることです。一括返済や金融機関への相談が必要となります。
また、賃貸に出す以上、管理や入居者対応が欠かせません。管理会社に依頼するにしても費用がかかるため、固定資産税の負担や賃料、管理費などをしっかりシミュレーションすることが求められます。
優良な不動産会社の探し方

不動産会社は、大手から地元密着の会社、マンションに特化した会社、リフォームやリノベーションの提案に強い会社までさまざまあります。
優良な不動産会社をみつけるには、会社の販売実績や特徴などを調べることが肝要です。売却経験者の口コミや評価も参考にするのもよいでしょう。
また、マンション売却では会社選びも大切ですが、担当者も重要です。売却前の準備から始まり、販売期間中、契約、引渡しまで、長期間にわたり担当者から報告を受けます。こちらから相談することもあるため、担当者の対応、相性含め適任かを判断しましょう。
しかし、適正な査定価格や優良な不動産会社、担当者を見極めるのは難しい面もあります。
不動産は1つひとつの個別性が高く、評価がわかれる商品です。1社だけの査定や販売方法だけで決めるのは、リスクがあります。リスクを回避するためにも、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果やその根拠、担当者の対応を比較して決めることが有効です。
マンション売却でよくある質問

マンションを少しでも高く売却するコツは?
マンションを少しでも高く売却するコツは
- 希少性の高い築浅のうちに売却する
- できるだけ同一マンション、地域での競合を避ける
- 瑕疵保険加入などの付加価値をつける
- 年度末などの引越しシーズンに合わせる
などがあります。
ポイントを踏まえながら、信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。
2023年はマンションを売るのにベストなタイミング?
2023年は引き続きマンションの売り時です。
新築マンションの人件費、建築資材、人件費の高騰から新築価格の上昇に引っ張られている面もあります。
また、買い手にとって変動金利を中心とした低金利状況が続き購入しやすい環境が続いています。
マンションを賃貸しているが、売却できる?
マンションを賃貸中でも売却できます。
ただし、賃貸したまま売却するのであれば、賃借人への連絡、敷金の取り扱いなど契約条件をしっかりと確認して進める必要があります。
マンションを売却する前にリフォームはした方がいい?
マンションを売却する前のリフォームは、基本的にはしなくて大丈夫です。
理由は、リフォームの価値を買主に理解してもらいにくい、これから住む買主がリフォーム箇所、デザインを決めるほうがよいからです。
ただし、物件の状況に左右されるため、ハウスクリーニングや部分的な補修なども含めて個別に判断する必要はあります。
ペットを飼育していたマンションは高額売却しにくい?
ペットを飼育していただけで査定価格が下がることはありません。
ただし、ペット飼育の影響を含め部屋の状態によっては、価格が変動することはあります。
ペットのにおいやクロスやフローリングなどの破れ、傷がひどい場合は、何らかの対策をしたほうが高値売却につながることもあります。
まとめ
ここまでマンション売却の費用や状況別に注意点を解説してきました。
マンション売却を成功させるためには、物件や売主の状況にあわせた価格設定、販売方法をすることが必要です。また、パートナーとなる信頼できる不動産会社をみつけることも大切なポイント。ただし、不動産会社や担当者を見分けるのが難しい面もあるので、いくつかの不動産会社を比較し、会社の信頼性や適性価格を判断しましょう。
不動産一括査定依頼サービスを活用しながら自分にあった不動産会社をみつけ、マンション売却を成功させましょう。
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