住宅ローンを利用する際にやってはいけない行動とは?シーン別にわけて解説
そこで本記事では、住宅ローンを利用する際にやってはいけない行動を詳しく解説します。契約前と契約後でやってはいけない行動が異なり、今回はそれぞれ解説していくので、ぜひ参考にしてください。
記事の目次
住宅ローンの審査前にやってはいけないこと
まずは住宅ローンの審査前のNG行動を見ていきましょう。
内容をよく理解せずに決断する
マイホームを購入する際に、住宅ローンの契約を検討する方が多く見られますが、しっかり内容を理解しておかなければなりません。住宅ローンには金利や保険、手数料など、お金に関する決めごとが多くあります。
お金に関して数字がたくさん出てくると途中で考えるのを諦めて、「これでいいや」と契約してしまうケースもあるでしょう。しかし、考えるのを諦めて簡単に片付けると、返済できなくなるなどの問題に発展する可能性があります。
例えば、変動金利を選択した場合は、状況によっては金利のリスクが低いですが、経済状況が変わると金利上昇のリスクがあります。変動金利を選択する際は、内容をよく把握し、数十年後の未来まで考えたうえで決めることが大切です。
転職後すぐに住宅ローンを申し込む
住宅ローンを利用する際は、仮審査と本審査があります。両方に通らなければ、住宅ローンの借り入れはできません。
金融機関によって審査基準が異なるものの、最低でも2〜3年の勤続年数を要求しているところがほとんどです。そのため、転職後すぐに住宅ローンに申し込んでも、仮審査の時点で落ちる可能性も。
住宅ローンの利用を検討している場合は、審査直前での転職はなるべく避けましょう。
無理な予算計画を立てる
夢のマイホームですから、あらかじめ予算を決めていても、理想が高くなり、予算オーバーしてしまうこともあるでしょう。しかし、予算オーバーを簡単に考えてはいけません。
「月々の返済額が増えるけれど、頑張れば何とかなるだろう」と思って、住宅ローンの借入額を高くする方も少なくないでしょう。しかし、無理なローンを組むと病気やリストラなどのトラブルがあった際に、支払いを続けるのが困難になってきます。
延滞や滞納すると、残債の一括返済を求められたり、マイホームを売却せざるを得なくなったりなどのリスクが出てきます。
住宅を購入する際は、無理なローンを組むのは避けましょう。税金や手数料など、ローン以外の出費も頭に置いたうえで決めることが大切です。
虚偽の申告をする
年収や信用情報に不安があるからといって、申込書に虚偽の内容を記載するのはNGです。虚偽の情報を書くと、審査に通る可能性は低いでしょう。審査をする際に、源泉徴収票などで年収は確認され、信用情報は信用情報機関に照会されます。虚偽の申告をしていた場合、信用度が低いとみなされ、審査に通らなくなる恐れがあります。
審査に受かるか不安でも、虚偽の申告をおこなうのは絶対にやめてください。
住宅ローン借入時にやってはいけないこと
次に、住宅ローンを借り入れする際にやってはいけない行動を説明します。
生活予備資金を残さない
生活予備資金とは、万が一の時に備えて準備しておく資金のこと。住宅ローンを利用する際は、頭金を多くするほど、金利が低くなる可能性があります。安定した収入があるとみなされ、借入額も少なくなり、適用金利が適用されるためです。しかし、金利を低くしようと頭金を用意しすぎると、手元に十分な資金が残らなくなります。
生活するうえで必要な資金を確保しておかなければ、月々の支払いが難しくなるだけではなく、万が一の時に対応できなくなるでしょう。
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広告を信じすぎる
不動産の広告では「家賃と返済額が同額で組める」とよく記載されています。この短い文章だけを見ればとてもお得に感じるかもしれませんが、内容を詳しく理解しておかなければ、損をしてしまう可能性があります。
具体的には以下の内容が含まれている可能性が高いため、十分に注意しておきましょう。
ボーナス払いが発生する可能性がある
これは不動産の広告のなかでもよくあるケースで、注意が必要。毎月の返済額だけを支払えばよいと思っていたら、ボーナスが入った時に追加で支払いが発生する事例です。
基本的に会社からのボーナスの支給額は、経営状況に左右されます。一年前は経営状況がよくても、今年は何らかのトラブルで経営状況が悪化し、ボーナスの支給額が下がるかもしれません。
ボーナス払いを利用している方は現在でも多いですが、金額が安定していなかったり、利息負担の割合が大きくなるため、あまりおすすめできない傾向にあります。ボーナスを住宅ローンに充てたくない場合は、ボーナス払いはやめておいたほうがいいでしょう。
返済期間が35年または50年に設定されている
基本的にローンの返済期間は、金融機関によって異なるものの1〜35年で設定されているところが多いです。場合によっては、50年まで設定されているところもあります。
ローンの期間が長いほど月々の返済負担額は減りますが、金利が高くなるため総返済額が増えてしまいます。月々の返済金額で悩んでいると、担当者が長い期間での借り入れを勧めてくることがありますが、安易に受け入れるのはやめましょう。
一方で、短期間でローンを組むと利息の面ではメリットがありますが、月々の返済額は多くなります。月々の返済額を収入や家計に合わせてしっかり考えなければ、返済が難しくなることもあるでしょう。病気やリストラなどのトラブルがあった際でも、滞りなく返済できるようにバランスよく考えて借り入れすることが大切です。
月々の返済額が変動金利をもとに計算されている
基本的にローンの金利は「変動金利」、「固定金利」の2種類があります。他にも細かな違いがある金利の種類はありますが、大きく上記の2つに分けられるでしょう。
変動金利を選んだ際は、月々の返済額は変動金利をもとに計算されます。現在では変動金利のほうが、金利が低い傾向にありますが、これからの状況によっては金利が高くなる可能性があります。
住宅ローン借入後にやってはいけないこと
ここからは住宅ローン借り入れ後にやってはいけない行動をご紹介します。
今後のことを考えずに繰り上げ返済をする
住宅ローンでは繰り上げ返済をすると、利息負担と残債が減ります。総返済額も軽くなるので、返済負担を大きく減らせるでしょう。
しかし、ボーナスや臨時収入など手元に少し資金ができたからといって、今後のことを考えずに繰り上げ返済するのは危険です。生活資金や教育資金、老後資金など十分に用意できていないまま繰り上げ返済をおこなうと、いざ出費が必要な時に資金が不足する可能性があります。
一時的に資金が増えたタイミングではなく、安定して資金が増えた際に繰り上げ返済を検討しましょう。
返済の延滞・滞納
住宅ローンの返済において、延滞や滞納するのはもってのほかです。返済を延滞したり、滞納したりすると信用情報に傷がつき、今後借り入れする際に不利になってしまいます。
住宅ローンの返済は長期間になるため、その間に病気や親の介護、転職などさまざまな生活の変化により返済が困難になる可能性もあるでしょう。しかし、延滞や滞納が続くと、最終的にマイホームを手放さざるを得なくなる状況になってしまいます。
返済が難しくなった場合は、延滞や滞納する前に金融機関に相談することが大切です。
住宅ローンを延滞すると4つのリスクがある
無理なローンを組んだり、新たに借り入れをしたりなど、さまざまな理由で住宅ローンを滞納してしまうケースはよく見られます。やむを得ず延滞してしまった場合でも、すぐに金融機関から全額返済を求められるケースは少ないです。
しかし、約半年も返済の延滞が続くと金融機関から通知が届いて、一括返済を求められることも。他にも、住宅ローンを延滞することでさまざまなリスクがあります。
連帯保証人へ請求がいく
延滞が続くと、連帯保証人に請求が発生します。連帯保証人とは、申込者の代わりに債務を保証する立場の人のことです。
連帯保証人は、延滞した分の返済だけではなく、完済するまで責任を負い続けなければなりません。仮に契約者が物件を売却した場合でも、ローンが残っていれば残債を支払う必要があります。連帯保証人の資産や給与なども差し押さえられる可能性があるため、請求が発生した場合は人間関係がこじれるリスクが高いでしょう。
ブラックリストに載る
住宅ローンを延滞すると、ブラックリストに掲載されるリスクがあります。ブラックリストというリストが実際に存在するわけではありませんが、信用情報機関にある事故情報リストのことを指します。
ブラックリストに掲載される基準の1つに、「61日以上の延滞、または3回目の支払い日を超える延滞」が挙げられます。
ブラックリストに載ると新規の借り入れが組めなくなったり、今後ローンが組めなくなったりなどの障害が起きます。例えば、クレジットカードを申し込んでも、ブラックリストに掲載されていれば審査に落ちる可能性が高くなるでしょう。
一定期間が過ぎればブラックリストから名前は削除されますが、しばらくは新規の借り入れやローンが組めなくなるので注意が必要です。
競売の申立がおこなわれる
金融機関によってスピードは異なるものの、延滞が続いた場合は競売の申し立てがおこなわれます。早い場合は半年以内に支払いを求める通知が送付され、それでも返済が滞った場合は強制的に立ち退きとなるケースがあります。
住宅ローンの一括返済を強いられる可能性がある
住宅ローンを3カ月程度延滞すると、金融機関から通知が届いて、残債の一括返済が求められます。分割払いの権利を失っているため、一括でしか返済できません。
一括返済となると返済負担が大きくなり、借り換えをおこなったり、家を売却したりなどの対処法を取らなければなりません。
無理な住宅ローンを組んだ際の対処法3つ
無理な住宅ローンを組んだ際でも、対処できる方法があります。
家計を見直す
無理な条件で住宅ローンを組んだ場合は、一度家計を見直してみましょう。節約できる部分の予算をカットすることで、住宅ローンの支払いにあてられます。
家計には「固定費」と「変動費」がありますが、節約しやすいのが固定費です。
節約できそうな固定費は主に以下のようなものです。
- 光熱費
- 保険料
- インターネットなどの通信費
- サブスクリプションや定額サービス
- 自動車に関する費用
- など
出費を洗い出して、節約できる部分を家族で話し合ってみましょう。
金融機関に相談する
無理に自分たちだけで解決しようとするのではなく、金融機関に相談するのも一つの手です。早めに相談することで、返済プランを変更できる可能性が高いです。金融機関によってルールは異なりますが、場合によっては返済期間の延長が可能なところもあります。
無理な返済を続けるよりも、早めに金融機関に相談することをおすすめします。
住宅ローンを借り換える
月々の支払いが難しくなった場合は、住宅ローンの借り換えをするのも一つです。現在よりも金利が低く、返済期間が長い住宅ローンに借り換えることができれば、現在の返済負担を減らせるでしょう。
住宅ローンを借り換える目安としては、以下の3つのポイントが挙げられます。
- 借り換え後に金利が1%以上下がった
- 住宅ローン残高が1,000万円以上
- 返済の期間が10年以上ある
ただし、借り換え時には繰り上げ返済費用保証料や登記費用などがかかるため、諸費用も念頭に置いたうえで検討しましょう。
まとめ
マイホームを購入するうえで住宅ローンはとても便利ですが、やってはいけない行動が多くあります。住宅ローンの仕組みを理解したうえで、正しい借り入れをおこなわなければ、あとから苦しい思いをしてしまうかもしれません。
特に、返済が遅れたり滞ったりすると、一括返済を求められたり、ブラックリストに載ったりなどさまざまなリスクが発生します。月々の返済を無理なくおこなうためにも、金融機関とよく相談し、シミュレーションを繰り返したうえで決めることが大切です。もし、月々の返済が苦しいと感じた時は、自分たちだけで解決しようとするのではなく、金融機関に相談してみましょう。
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執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
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