このページの一番上へ

住宅ローンのボーナス払いの割合はどれくらいがいい?決めるためのポイントは?

住宅ローンのボーナス払いはどれくらいの割合にするのがいいのでしょうか
住宅ローンを組む際、ボーナス払いを利用するか悩まれる方もいるでしょう。毎月の返済額を減らせる一方、デメリットもあります。また、ボーナス払いの割合をどれくらいにするのかも悩みどころです。
今回は、ボーナス払いのメリットとデメリットを解説します。また、住宅購入後の返済が負担にならないよう、ボーナス払いの割合を決めるためのポイントも押さえておきましょう。

住宅ローンのボーナス払いとは

ボーナス払いは毎月返済分とボーナス分に分けて並行して返済していく方法です
ボーナス払いは毎月返済分とボーナス分に分けて並行して返済していく方法です

住宅ローンのボーナス払いは、毎月の返済に加えて、ボーナスを活用して追加返済をおこなうことです。借入金を毎月返済する分とボーナス払いする分に分けて、それぞれのローンを並行して返済していきます。

総返済額に対してボーナスで返済する割合をボーナス返済割合といい、住宅ローンを契約するときに決めます。例えば、3,000万円を借り入れ、ボーナス払いの割合を50%とした場合、毎月返済分とボーナス払いでそれぞれ1,500万円ずつ返済していきます。割合の上限は金融機関によっても異なりますが、借入金の40%〜50%としているところが多いようです。

ボーナス払いを利用している人の割合

ボーナス払いを利用している方はどれくらいいるのでしょうか。株式会社ベクトルの「住宅ローンについてのアンケート調査」によると、約35%の方がボーナス払いを利用しているという結果が出ています。また、ボーナス払い月の増額分は「20万円(それ以上も含む)」が一番多く、「15万円」「10万円」と続きます。このことから「返せる時にまとめて返したい」と考えている方が多いようです。

ボーナス払いと繰り上げ返済はどちらがお得?

ボーナスが支払われる時期に返済額を増額するボーナス払いのほかに、毎月の返済の他にまとまった金額を返済する繰り上げ返済という方法もあります。ボーナス払いか、繰り上げ返済のどちらがお得かは、個々の状況によって異なります。しかし、総返済額を減らしたい場合には、繰り上げ返済の方が適しています。繰り上げ返済はすべて元本に充てられるため、支払う利息が減り、総返済額を減らすことができます。ただし、繰り上げ返済をしすぎると、手元の資金がなくなってしまう可能性があります。将来の支出のために、予備資金を残したうえでおこなうようにしましょう。

一方、ボーナス払いは利息負担が大きいため、総返済額が増えます。ですが、月々の返済額は抑えられるため、他に借り入れがあり、月々の支出を抑えたい場合にはボーナス払いが合っているでしょう。詳しくはデメリットの章で後述します。

住宅ローンにおけるボーナス払いのメリット

住宅ローンのボーナス払いは月々の返済額が抑えられます
住宅ローンのボーナス払いは月々の返済額が抑えられます

住宅ローンのボーナス払いには、メリットが2つあります。それぞれ詳しくみていきましょう。

月々の返済額を抑えられる

1つ目は、ボーナス払いのメリットとして、月々の返済額を抑えられることが挙げられます。では、ボーナス払いの有無、またボーナス払いの割合で返済額がどう変わるのか、シミュレーションを見てみましょう。

<条件>
借入金:3,000万円
返済方式:元利均等方式
金利:1.6%(固定金利)
返済期間:35年

  ボーナス払いなし ボーナス割合
20%
(600万円)
ボーナス割合
30%
(900万円)
ボーナス割合
40%
(1,200万円)
毎月返済分 9万3,331円 7万4,665円 6万5,332円 5万5,999円
ボーナス
払い分
なし 11万
2,276円
16万
8,414円
22万
4,552円
総返済額 3,919万
9,268円
3,921万
8,638円
3,922万
8,330円
3,923万
8,028円

毎月返済のみと比べて、ボーナス払いありの方が、月々の返済額が抑えられるのがわかります。また、ボーナス払いの割合が多いほど、月々の返済額が減ると同時に、ボーナス払い分と総返済額が増えていきます。

ボーナス月で一時的に大幅な返済をおこない、他の月では生活費に余裕を持つことができます。他の借り入れがある、月々の支出を抑えたい方には適切な返済方法でしょう。

返済期間を短縮できる

2つ目は返済期間を短縮できることです。ボーナス払いを利用すると、返済をすべて元本のみに充て、その分の利息負担がなくなる期間短縮型の繰り上げ返済と似たような効果があります。ただし、ボーナス払いでは、期間短縮型の繰り上げ返済と違い、利息負担があることを理解しておきましょう。住宅ローンを組んだ年齢が遅く、定年退職するまでに完済したい場合には検討してもよいでしょう。

住宅ローンにおけるボーナス払いのデメリット

住宅ローンのボーナス払いは利息負担が大きくなるというデメリットがあります
住宅ローンのボーナス払いは利息負担が大きくなるというデメリットがあります

住宅ローンのボーナス払いにはデメリットが2つあります。それぞれ詳しくみていきましょう。

利息負担が大きくなる

1つ目のデメリットは、利息負担が大きくなることです。住宅ローンの利息は元本に対して月割りで発生するため、返済初期の頃は、返済額に対して利息の割合が大きくなります。ボーナス払いは年に2回のため、その分元本の減るスピードは遅くなり、利息の割合も多く、結果として総返済額は多くなります。実際にシミュレーションをしてみましょう。

<条件>
借入金:3,000万円
返済方式:元利均等方式
金利:1.6%(固定金利)
返済期間:35年

  ボーナス割合
20%
(600万円)
ボーナス割合
30%
(900万円)
ボーナス割合
40%
(1,200万円)
毎月返済分 初回元金 4万2,665円 3万7,332円 3万1,999円
初回利息 3万2,000円 2万8,000円 2万4,000円
返済額 7万4,665円 6万5,332円 5万5,999円
利息総額 735万
9,339円
643万
9,356円
551万
9,380円
ボーナス
払い分
初回元金 6万4,276円 9万6,414円 12万
8,552円
初回利息 4万8,000円 7万2,000円 9万6,000円
返済額 11万
2,276円
16万
8,414円
22万
4,552円
利息総額 185万
9,299円
278万
8,974円
371万
8,648円
毎月返済分・ボーナス払い分利息合計 921万
8,636円
922万
8,330円
923万
8,028円
総返済額 3,921万
8,636円
3,922万
8,330円
3,923万
8,028円

ボーナス割合が多くなるほど、利息も多くなるのがわかります。また、ボーナス払いの初回利息額を見ると、返済額に対しての利息割合が約42%と大きくなっています。ボーナス払いの割合を多くして返済額を増やすと、返済が進んでいるように感じられますが、実際には支払い回数が少なく元本の減りが遅いため、利息負担は大きくなっています。

ボーナスが支給されなかった時のリスクが大きい

2つ目のデメリットは、ボーナスが支給されなかった時のリスクが大きいことです。ボーナスの支給は法律上での決まりはなく、就業規則や給与規定で定められています。もし経済状況や企業の業績が悪化すれば、支給されなかったり、支給額が減らされてしまったりする可能性があります。

そうなると返済が滞ってしまうことにもなりかねません。住宅ローンを組む際には、ボーナスを前提としない返済計画を立てることが重要です。また、ボーナス払いの代わりに繰り上げ返済を検討することも一つの選択肢となります。

ボーナス払いの割合を決めるポイント

無理のない返済計画を立てるために4つのポイントを押さえましょう
無理のない返済計画を立てるために4つのポイントを押さえましょう

無理のない返済計画を立てるためにも、ボーナス払いの割合をどれくらいにするのかは重要なポイントです。本章では、ボーナス払いの割合を決めるために4つのポイントをご紹介します。一つずつ見ていきましょう。

ボーナス払いの金額が家計の収支に合っているか

ボーナス払いの金額を決める際には、収支に合わせた適切な金額に設定するようにしましょう。
まとまった収入が入るボーナスは、住宅ローンの返済だけでなく、貯金や冠婚葬祭への備え、家具・家電の購入費などに充てることも多いでしょう。ボーナス払いの金額を多くすればするほど、他の支出に充てることができなくなってしまいます。せっかくのボーナスもすぐになくなり、場合によっては支出の方が上回ってしまう可能性もあります。年間を通して必要な支出を見通したうえで、ボーナス払いの割合を決めるようにしましょう。

ボーナスでもらえる金額が減っても払えるか

ボーナス払いの割合を決める際には、企業の業績によってボーナスが支給されなかったり、支給額が変動する可能性も踏まえて検討しましょう。返済に支障をきたさないよう、ボーナスがなくなったとしても支払える額に設定することが大切です。

株式会社MFSの「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」によると、「新型コロナウイルスの状況を受けて、ボーナス払いについて検討・実行したことはありますか?」という質問に対して、30代では40.4%が検討・実行したと回答しました。
また、多かった対策としては「借入先の金融機関への相談」が43.3%、「他金融機関への借り換え」が32.8%となっています。ボーナス払いが厳しくなったとしても対処法はありますが、時間がかかるほか、手数料がかかる場合もあります。  

ボーナス払いを利用する場合には、ボーナスが変動しても負担できる割合にしましょう。

ライフスタイルが変化しても払えるか

ボーナス払いの割合を決める際には、将来のライフスタイルの変化にも対応できるようにしましょう。例えば、子どもの誕生や進学など、家庭状況が変わると支出も増減します。また、定年退職後も返済が続く場合には、ボーナスの支給がなくなることを踏まえたうえで、返済計画を立てる必要があります。現役時代でどれくらい貯金できるのか、退職金で完済できるのか考慮してから、ボーナス払いの割合を決めましょう。

貯金できる家計になっているか

ボーナス払いの割合を決める際には、貯金できる家計になっているかも重要なポイントです。病気やケガで収入が減ってしまったり、車の買い替えや家のリフォーム代など、まとまったお金が必要になるタイミングは必ずあります。子どもの教育費など必要な時期が予測できるものもありますが、予測できないものもあります。不測の事態に備えられるよう、貯金できる家計にしておきましょう。

ボーナス払いがきつくなった時の対処法

ボーナス払いがきつくなった時には2つの対処法があります
ボーナス払いがきつくなった時には2つの対処法があります

経済状況が悪化し、ボーナスの支給額が減ったり、支給がなくなったりすると、ボーナス払いがきつくなってしまう可能性があります。本章では、ボーナス払いがきつくなった時の対処法を2つ解説します。

ボーナス払いの割合を変更する

まずは、ボーナス払いの割合を変更することです。住宅ローンを借り入れている金融機関に相談してみましょう。割合を減らすだけでなく、ボーナス払い自体をやめることも可能です。しかし、住宅ローンの契約内容を変更するにあたって、手数料がかかる場合があります。事前に手数料がいくらかかるのかを確認しておきましょう。

住宅ローンを借り換える

住宅ローンの借り換えも、ボーナス払いがきつくなった時の対処法として有効です。住宅ローンを借り換える際には、次の3つを満たしていると検討する価値があるといえます。

  • 現在のローン残高が1,000万円以上ある
  • ローンの返済期間が10年以上残っている
  • 金利が今より1%以上低い

しかし、借り換えにも手数料がかかります。手数料を払っても、借り換えるメリットがあるか、よく検討しましょう。

この記事のまとめ

最後に、住宅ローンのボーナス払いについてよくある質問をまとめてみました。

住宅ローンのボーナス払いって何?

ボーナス払いとは、毎月返済分とボーナス分に分けて並行して返済していくことです。ボーナス払いの割合とは、総返済額に対する割合のことをいいます。

ボーナス払いのメリット・デメリットは?

ボーナス払いには、次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 月々の返済額を抑えられる
  • 返済期間を短縮できる

デメリット

  • 利息負担が大きくなる
  • ボーナスが支給されなかった時のリスクが大きい

デメリットも理解したうえで、利用するか検討しましょう。

ボーナス払いの割合を決めるポイントは?

ボーナス払いの割合を決める時には、次の4つのポイントを確認しましょう。

  • ボーナス払いの金額が収支に合っているか
  • ボーナスでもらえる金額が減っても返済できるか
  • ライフスタイルが変化しても返済できるか
  • 貯金できる家計になっているか

今回はボーナス払いのメリットやデメリット、割合を決めるためのポイントを解説しました。ボーナス払いを利用すると月々の返済額を減らすことができますが、割合を多くすると、他の出費に備えられず、家計がうまく回らない可能性も出てきます。
ボーナスが支給されなかったり、支給額が減ってしまっても返済を続けられるよう設定することが大切です。ファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る