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住宅ローンはどれくらいが適正?無理なく返済するための6つのポイントも解説!

住宅ローンの借入額の目安をどのように決めたらいいのかを解説します
住宅ローンの借入額は明確に規定があるわけではありませんが、年収や返済負担率などを考慮して決める必要があります。
どのようなポイントを抑えて住宅ローンを借りるべきなのか気になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では住宅ローンを借りる適正金額や、無理なく返済するためのポイントを解説します。

住宅ローンはどれくらい借りるのが適正?

住宅ローンの適正金額はさまざまな視点から考える必要があります

住宅ローンを組む際「どれくらい借りるべきなのか……?」という問題は、多くの人が抱える悩みのひとつです。適切な住宅ローンの借入額を見極めるための基準と、個々のライフスタイルや経済状況に応じて調整する方法を解説します。

借りすぎてしまうと返済が困難になり、生活を圧迫する可能性があるため、自分に合った適正な額を見極めることが大切です。

年収から考える借入額

住宅ローンを組んで住宅を購入する場合、一般的には年収の5倍から7倍が借入額の目安とされています。
例えば、年収が600万円の場合、借入額の目安は3,000万円から4,200万円程度となります。

しかし、不動産の価格が上昇している現在、目安となる金額が適切なのかは疑問です。そこで、住宅金融支援機構が2022年8月に発表した「フラット35利用者調査(PDF)」のデータを参考にしてみましょう。

  所要資金 世帯年収 年収倍率
マンション 4,528万円 788万円 5.74倍
土地付注文住宅 4,455万円 639万円 6.97倍
建売住宅 3,605万円 563万円 6.40倍
注文住宅 3,572万円 602万円 5.93倍
中古マンション 3,026万円 608万円 4.97倍
中古戸建 2,614万円 508万円 5.14倍

参照元:住宅金融支援機構

表からもわかるように、マンションや土地付注文住宅、建売住宅、注文住宅、中古マンション、中古戸建などの所要資金は、世帯年収の5倍から7倍程度となっています。

負担額や家計から考える借入額

借入額を決める際には、毎月の負担や家計を考慮することが重要です。家計の支出額や返済負担率を考えながら、無理のない返済金額を設定しましょう。総務省のデータによると、2人世帯の月の支出額は約25万円です。

  2人 3人 4人 5人 6人以上
消費支出 255,318円 304,339円 330,355円 357,187円 361,307円

引用元:総務省

住宅ローンを組むと、毎月の返済額が発生するため、食費や光熱費などの返済以外の支出を考慮して借入額を決定するとよいでしょう。

ライフプランや家族構成から考える借入額

住宅を購入する際には、家族構成や将来のライフプランを考慮することが重要です。結婚や出産などのライフイベントによって家族構成が変化し、収入や支出も変わることがあります。家族構成の変化など、将来の変化を見越して借入額を決める必要があります。

返済負担率から考える借入額

返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの返済額の割合を指します。住宅金融支援機構「フラット35」では返済負担率が年収の35%以内であることが望ましいとされています。

例えば、返済負担率を35%に設定する場合、年収が500万円であれば、年間の返済額は175万円が基準となるでしょう。返済負担率を考慮しながら、自分の年収と返済額をバランスよく設定しましょう。

頭金の必要性

住宅ローンで住宅を購入する際には、購入費用の一部を頭金として支払うのが一般的です。頭金を支払うことで、総借入額を抑え、返済額を減らすことができます。

例えば、総額3,000万円を住宅金融支援機構「フラット35」の1.87%の金利で借り入れる場合、月々の返済額は97,389円で総返済額は約4,090万円です。

しかし、頭金として500万円を用意できる場合、借り入れる金額は2,500万円となり、月々の返済額は81,157円で総返済額は約3,408万円となります。

  月々の返済額 総返済額
借入額3,000万円 9万7,389円 4,090万3,133円
借入額2,500万円
(頭金500万円)
8万1,157円 3,408万5,972円
差額 1万6,232円 681万7,161円

つまり、頭金として500万円を用意すると、月々の返済額を16,232円減らし、総返済額を約680万円軽減できます。

住宅ローンを組む際の頭金の金額に規定はありませんが、一般的には住宅購入費の10~20%程度の頭金を用意することが多いです。

頭金を多く用意すると返済額の負担が軽減されますが、頭金を過剰にすると急な出費に対応できなくなる可能性があります。

また、一部の金融機関では頭金なしでフルローンを組むこともできるため、ライフプランに合わせて必要な資金を残した状態で住宅ローンを組むことも検討しましょう。

住宅ローンを無理なく返済するための6つのポイント

住宅ローンを無理なく返済するためには6つのポイントがあります

無理なく住宅ローンを返済するためには、どのようなポイントを意識する必要があるのかを解説します。ポイントを理解することで、住宅ローンの返済計画もスムーズに進めることができるでしょう。

住宅ローンを早めに組む

住宅ローンを組む際に、金利と返済期間は重要です。若いうちにローンを組むと、返済期間が短くなります。
例えば、3,000万円の借入金利が1.87%で返済期間が30年の場合、月々の返済額は108,945円で総返済額は約3,922万円です。

しかし、同じ条件で返済期間が35年になると、月々の返済額は97,389円で総返済額は約4,090万円となります。

  月々の返済額 総返済額
返済期間30年 10万8,945円 3,922万336円
返済期間35年 9万7,389円 4,090万3,133円
差額 1万1,556円 ▲168万2,797円

返済期間が長くなると総返済額は増えますが、月々の返済額は減少します。またこの場合、定年退職後も返済が続くことになるため、若いうちにローンを組むことで返済期間を短くし、安定した返済を目指しましょう。

低金利の金融機関を選ぶ

無理のない返済をするためには低金利の金融機関を探すことが重要です。金利が低いほど月々の返済額も減ります。

例えば、3,000万円の借入金額で返済期間が30年の場合、金利が1.0%なら月々の返済額は96,491円、金利が2.0%なら110,885円です。

  月々の返済額 総返済額
金利1.0% 9万6,491円 3,473万6,908円
金利2.0% 11万0,885円 3,991万8,769円
差額 ▲1万4,394円 ▲518万1,861円

金利の差が1.0%だけでも月々の返済額は約14,000円も変わります。複数の金融機関を比較し、低金利の選択肢を探しましょう。

安価な物件を選ぶ

無理のない返済をするためには安価な物件を選ぶことも検討しましょう。物件価格が低ければ借入額も抑えられます。

希望する条件や予算に合わせて探し、妥協点にも柔軟に対応しましょう。また、地域によって物件価格も異なるため、穴場の物件を探すために不動産会社に相談するのもおすすめです。

中古物件を検討する

無理のない返済をするためには中古物件も視野に入れましょう。中古物件は新築物件よりも価格が比較的抑えられるため、借入額を減らすことができます。

先述したとおり、新築マンションと中古マンションの所要資金には1,502万円の差があります。金利1.87%、返済期間35年の場合、新築マンションの所要資金4,528万円なら月々の返済額は146,992円ですが、中古マンションの所要資金3,026万円なら月々の返済額は98,233円となります。

  月々の返済額 総返済額
新築マンション
(借入金額4,528万円)
14万6,992円 6,173万6,686円
中古マンション
(借入金額3,026万円)
9万8,233円 4,125万7,635円
差額 4万8,769円 2,047万9,051円

中古物件を検討する際は、リフォームや修繕がおこなわれた物件を選ぶことで、快適な住環境を手に入れながら費用を抑えることができます。

賃貸併用住宅を考える

賃貸併用住宅にすることも対策のひとつです。賃貸併用住宅を持つことで、収益源を確保し、賃料収入を住宅ローンの返済に充てることができます。

例えば、2階建ての住宅を建てて、2階の一部を月に10万円で賃貸に出すことで、月々の返済額から10万円を確保できます。

一般的に、賃貸用不動産を所有する場合は住宅ローンではなく不動産投資用のローンを組むことになるでしょう。ただし、金融機関が提携しているハウスメーカーを選ぶなどの条件を満たせば、住宅ローンを利用することも可能です。

賃貸部分に入居者がいない場合は、自分たちが利用しない部分に返済を続ける必要があるため、注意が必要です。

贈与税非課税措置を利用する

住宅ローンを無理なく返済するためには、贈与税非課税措置を利用することも有効です。贈与税非課税措置は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅購入のための資金の贈与を受けた場合に、最大で1,000万円までが非課税となる制度です。

通常、現預金の贈与を受けると最大55%の贈与税がかかりますが、制度を利用することで節税をおこなうことができます。

非課税限度額は住宅の質によって異なり、一般住宅の場合は500万円、省エネ住宅の場合は1,000万円が上限となります。

一般住宅の場合は、制度を利用するための要件は以下のとおりです。

  • 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
  • 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
  • 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。
  • 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。
  • 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
  • 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

引用元:国税庁

省エネ住宅にするためには、上記の要件に加えて以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること。
  • 耐震等級2以上または免震建築物であること。
  • 高齢者等配慮対策等級3以上であること。

引用元:国税庁

一般社団法人不動産流通経営協会の調査によると、住宅購入時に親からの援助を受ける割合は14.2%です。
親からの援助を受ける際に、制度を利用することで無駄な税金を支払わずに、浮いた資金を住宅ローンに充てることができます。

まとめ

住宅ローンを組む際にどれくらい借りるべきなのかは、さまざまな視点で考えることが必要です。無理なく返済できるポイントを抑えて住宅ローンを借りないと、返済を滞らせてしまう可能性があります。返済を滞納し続けると金融機関から対象の不動産を競売にかけられてしまうリスクが発生します。滞納をしないためにも、無理なく返済できる借入額を把握し、希望の物件を選ぶようにしましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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