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住宅ローンが高すぎた時はどうしたらいい?対処法を知って早めに対処しよう

住宅ローンが高すぎた時はどうしたらいいのでしょうか
「住宅ローンを組んだ時は大丈夫だと思っていたのに、返済が始まったらきつく感じる。」「住宅ローンが高すぎた……どうしたらいい?」どれだけ事前にシミュレーションをしていても、返済が思うように進まないこともあるでしょう。本記事では返済がきつくなる理由や高すぎたと後悔する人の特徴、高すぎると感じた時の対処法を解説します。

「高すぎた」と感じているのに放置していると、最終的には住宅を手放さなくてはならない可能性も出てきます。気付いた時に早めに対処することが大切です。

住宅ローンの返済がきつくなる理由

住宅ローンを高すぎたと感じる理由には収入の減少や支出の増加があります
住宅ローンを高すぎたと感じる理由には収入の減少や支出の増加があります

住宅ローンの返済が厳しくなる主な理由として、次の4つが挙げられます。

  • 収入が減った
  • 支出が増えた
  • 病気やケガで働けなくなってしまった
  • 配偶者の退職や離婚でライフスタイルが変わった

生活に大きな変化があると、住宅ローンの返済が苦しくなります。今後の対策を考えていくためにも、自分の状況を客観的に把握しておきましょう。

収入が減った

住宅ローンの返済計画は、借入時点での年収をもとに立てていきます。そのため、収入が減少してしまうと、家計に占める返済額の割合が高くなり、家計を圧迫することも。また、ボーナス払いを利用している場合には、支給額が減ってしまったり、支給自体がなくなったりすると、さらに返済が苦しくなってしまいます。

実際に、一般社団法人住宅ローン問題解決支援機構の「住宅ローンの支払い遅延に関する調査(2022年)」によると、住宅ローンの支払いが遅れた原因の1位は「収入減」で63.0%となっています。内訳は「残業規制等による収入減」が31.5%、「ボーナスの減少やカットによる収入減」が31.5%です。

支出が増えた

支出が増えると、住宅ローンの返済が苦しくなります。なかでも教育費は「人生の三大支出」といわれる大きな支出です。先述した調査でも、住宅ローンの返済が遅れた理由として2番目に多かったのは「教育費の増大」でした。

住宅ローンの返済計画を立てる際、子どもの進路を「国公立に進学する」という前提にする方が多い傾向ですが、実際のところ、私立大学へ進学する方の割合が圧倒的に高いです。文部科学省の「令和4年度 学校基本調査」の大学年齢別入学者数を見ると、全体では63万5,156人。そのうち国立は9万8,471人、公立は3万4,679人、私立は50万2,006人です。国公立大学への進学者は約20%、私立大学への進学者は約79%です。また、大学院への進学や留学などで想定していたよりも教育費がかかる場合もあります。

計画を立てる際には、必要な支出を多めに見ておく必要があるでしょう。

病気やケガで働けなくなった

病気やケガで働けなくなってしまうと、収入が減るだけでなく、医療費が増え、住宅ローンの返済がきつくなる可能性があります。

住宅ローンを契約する際には、一般的に金融機関から団体信用生命保険(団信)に加入するよう求められます。しかし、団信でカバーできない病気やケガになってしまうこともあります。もしカバーできたとしても、治療費がかかったり、介護が必要になる場合も。カバーできる範囲を広くしたい時には、保険を見直しましょう。手元にある程度のお金を残しておくことも大切です。

配偶者の退職や離婚でライフスタイルが変わった

妊娠・出産による配偶者の退職や、離婚などでライフスタイルに変化があった時も、住宅ローンの返済が難しくなることが考えられます。例えば、ペアローンや収入合算でローンを組んだ場合、離婚をしたり、収入が減ったりしても、返済は続けなければなりません。特に離婚は3組に1組がすると言われています。共有でローンを組む場合には、このようなケースも考慮しましょう。

住宅ローンが高すぎたと後悔する人の特徴

住宅ローンを組んで後悔する人には特徴があります
住宅ローンを組んで後悔する人には特徴があります

住宅ローンを組んで後悔する多くの人に共通している特徴をまとめてみました。自分に当てはまるものはないか確認してみましょう。

  • 返済比率を把握していない
  • ライフスタイルの変化を考慮していない
  • 収入が上がることを前提としている
  • 金利の低さにこだわりすぎている
  • 返済期間が短すぎる
  • 定年後を考えていない
  • 住宅ローン控除の控除額を気にしている
  • 住宅ローンの比較検討をしていない

それぞれ詳しくみていきます。

返済比率を把握していない

住宅ローンを組む際、月々の返済額が収入に対してどれくらい占めているかを把握していない人は、借入額が高すぎたと後悔する可能性が高いでしょう。一般的に、返済比率は収入の20%以内に収めるのがいいとされています。しかし、これはあくまで目安であり、他に借り入れがある場合はもう少し下げなければ、収入に対して支出が占める割合が多く、負担に感じてしまいます。また、冠婚葬祭や医療費など急な出費に対処するのが難しくなり、生活が苦しくなるでしょう。

ライフスタイルの変化を考慮していない

返済計画を立てる際、ライフスタイルの変化を考慮していないと、のちに後悔する可能性が高まります。住宅ローンの返済期間は20年や35年など、長期間に渡るものです。そのなかで、出産や転職、病気、離婚など、さまざまな変化があることが予想されます。特に子どもに関して、仕事を辞めたり、私立に進学したり、収支に大きな変化を与える可能性があります。

今だけに目を向けるのではなく、ライフスタイルに変化があっても、将来的に払い続けられるか考えることが大切です。

収入が上がることを前提としている

年功序列の時代は、長く勤めるほど収入も上がっていきましたが、今はそうではありません。収入が上がることを前提に住宅ローンを組むと、なかなか上がらず思うように返済が進まなかったり、下がった場合に苦しくなったりします。前章でも説明したように、返済が苦しくなる原因の1位は収入の減少です。上がることを前提にするのではなく、将来の収入や支出を予測して借入額を決める必要があります。

金利の低さにこだわりすぎる

金利の低さばかりにこだわっていると、後悔することになります。住宅ローンの金利は市場の状況によって変動するため、今は低金利と言われ借りやすくなっていますが、返済比率が高ければ返済が苦しくなってしまいます。また、変動金利を選択している場合、今後金利が上昇していく可能性も。
金利が上昇すれば、返済額も増えていくため、さらに返済が苦しくなります。

返済期間が短すぎる

返済期間を短くすると利息が減るため、総返済額を減らすことができます。しかし、住宅ローンの返済期間が短すぎる場合、月々の返済額が高くなり、生活に大きな負担となることがあります。借入額が少なかったり、年収が多かったりする場合には問題ありませんが、そうでない場合は家計を圧迫してしまいます。

「できるだけ早く返したい」「定年までに返したい」など焦る気持ちもあるでしょう。繰上げ返済をすることで、同じように返済期間を短縮できます。返済期間は慎重に決めるようにしましょう。

定年後を考えていない

定年後の生活や収入の変化を考えていないと、後悔する原因となります。定年後まで住宅ローンの返済が残っていると、年金や貯金から支払うことになります。定年後も働くつもりでも、体力の低下や病気などで現役の頃と同じように収入を得られることは難しいでしょう。定年までに完済するのが理想ですが、返済期間が短すぎても月々の返済額が増えて負担となります。定年退職した時点でローンがどれくらい残っているのか、どうやって返していくのかを考えておきましょう。手元に残した資金で運用をし、定年までに一括完済するという方法もあります。

住宅ローン控除の控除額を気にしている

住宅ローンの控除額を気にしすぎると、借入額が多くなり、返済がきついと後悔してしまいます。控除額は、年末時点の住宅ローンの残債額によって決まります。借入額が多いほど、控除額も多くなるため、税金の負担を減らすことが可能です。しかし、税金負担を軽くするために、借入額を身の丈に合わない額にしてしまうと、返済が苦しくなってしまいます。

住宅ローン控除は、住宅の購入にともなう負担を減らすためのものですが、大切なのは、返済を無理なく続けられるかです。返済計画にしっかり目を向けるようにしましょう。

住宅ローンの比較検討をしていない

住宅ローンを選ぶ際には、複数の金融機関から比較検討することが重要です。ハウスメーカーや不動産会社から薦められたものが、自分に最適なものとは限りません。実際に、株式会社MFS「住宅ローン選びの後悔に関するアンケート」(出典:モゲチェック調べ)によると不動産会社に薦められた金融機関を選ぶ方は62.0%。そのなかで「後悔している」と回答している方が45.7%と、約2人に1人が後悔しています。また、後悔している理由としては「もっと金利の低い金融機関を選べばよかった」「違う金利タイプを選べばよかった」が挙げられています。

ハウスメーカーや不動産会社が薦める住宅ローンにはメリットもデメリットもそれぞれあります。
住宅ローンを選ぶ際には、比較検討しある程度知識をつけて、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

高すぎる住宅ローンを払い続けているとどうなる?

住宅ローンを高すぎると感じたまま放置していると、さらに返済が苦しくなります
住宅ローンを高すぎると感じたまま放置していると、さらに返済が苦しくなります

住宅ローンを高いと感じたまま払い続けていると、深刻な影響を及ぼす可能性があります。本章では、払い続けるリスクとその結果について解説します。

さらに返済が苦しくなる

高すぎる住宅ローンの返済は、生活がさらに苦しくなる可能性が高まります。また、貯蓄ができていない場合、急な出費に対応できないなど、ストレスや借金を抱えてしまうこともあり、生活の質が低下する恐れがあります。また返済が苦しくなると、延滞してしまうかもしれません。

3カ月(61日)以上延滞すると、いわゆるブラックリストに載ってしまい、信用情報に傷が付きます。傷が付くと、新たな借入ができない、クレジットカードが作れないなど、不都合が生じます。詳しくは後述しますが、早めの対処が大切です。

最終的には家を競売にかけられる

延滞を続けていると、金融機関は住宅ローンの残債を回収するため、家を競売にかけます。競売では市場価格よりも低い価格で売却されることが一般的です。もし競売後も住宅ローンの残債が残った場合、返済義務は免除されないため、返済を続ける必要があります。家を失っているにも関わらず、返済を続けなければならないのは経済的・精神的にも負担になるでしょう。

住宅ローンが高すぎたと感じた時にすべきこと

住宅ローンの返済を負担に感じる時には早めに対処しましょう
住宅ローンの返済を負担に感じる時には早めに対処しましょう

住宅ローンの返済を負担に感じる場合には、すぐに対処することが大切です。早めに対処することで、経済的にも安定し、マイホームを手放すこともなくなります。具体的な対処法としては次のとおりです。

金融機関に相談する

まずは住宅ローンを借り入れている金融機関に相談しましょう。具体的には下記のような対処法がお願いできます。

  • 返済期間の延長
  • 一定期間の元本据え置き
  • 一時的な金利の見直し
  • ボーナス払いの金額変更

しかし、これらは半年〜3年と期間限定での措置です。根本的な見直しではないため、急に収入が減った時など、あくまで返済額を一時的に抑えたい場合に有効な方法と理解しておきましょう。

病気やケガの場合は保険適用を確認する

病気やケガが原因で収入が減り、返済が困難になった場合は、保険が適用されるか確認しましょう。住宅ローンを組む際には、一般的に金融機関から団体信用生命保険に加入するよう求められます。契約者が亡くなったり、高度障害を負ったりした場合に、ローンの残債を補償してくれるものですが、契約している内容によっては、特定の病気にかかった場合にも保険金がおりるものもあります。契約内容がどうなっているか確認してみましょう。

家計を見直す

家計の見直しも住宅ローンの負担を軽くするために有効です。特に固定費の見直しは、一度実行すると節約効果が長く続き実感しやすいです。例えば、スマホを格安SIMに変更する、プランを見直す、サブスプリクションを解約するなどがあります。また、車も維持費がかかるため、週末しか乗らない場合は手放してしまうのも一つの方法です。家計を見直す際には、ファイナンシャルプランナーに相談するのもいいでしょう。

住宅ローンの借り換えを検討する

住宅ローンが高すぎたと感じたら、ローンの借り換えを検討するのも一つの方法です。借り換えがうまく作用する条件としては、次の3つが挙げられます。

  • 住宅ローンの残債が1,000万円以上ある
  • 返済期間が10年以上残っている
  • 借り換えで1%以上金利が下がる

しかし、借り換えには手数料や保証料がかかるほか、再度審査が必要になります。そういった経費をかけて返済額がどれくらい減るのか、事前にシミュレーションをしましょう。

公的な融資制度を利用する

公的な融資制度としては「緊急小口資金貸付」「総合支援資金」などがあります。貸付のため返済する必要がありますが、生活を立て直すまでに必要な費用や、病気やケガの治療に必要な費用などを借りることができます。一時的な収入の減少や急な出費があった際には有効でしょう。

リースバックを検討する

リースバックとは、自宅を売却した売却代金を元手に、リース会社から自宅を賃貸として借りる方法です。自宅を手放すことなく、住み続けることができます。しかし、通常の売却価格よりも安い傾向があり、契約期間が2〜3年と制限があることが多いです。契約内容によっては、契約期間終了後に対処しなければなりません。リースバックを検討する際には、契約内容を細かく確認しましょう。

住宅の売却を検討する

最終手段ですが、返済が苦しい場合、住宅の売却も視野に入れましょう。売却代金で住宅ローンを完済できれば、返済から解放されます。売却価格がどれくらいになりそうか、複数の不動産会社に見積もりを依頼し、相場を把握することが大切です。なお、不動産会社に依頼する場合は一般的に、売却価格の3〜5%の仲介手数料が発生します。手数料を考慮したうえで、依頼するか判断しましょう。

この記事のまとめ

住宅ローンが高すぎたと感じる原因は?

収入の減少や支出の増加、ライフスタイルの変化が挙げられます。住宅ローンを組む際には、無理なく返済を続けられるよう計画を立てることが大切です。

住宅ローンが高すぎたと感じる人の特徴は?

高額な住宅ローンの借り入れを後悔する人の特徴は次のとおりです。

  • 返済比率を把握していない
  • ライフスタイルの変化を考慮していない
  • 収入が上がることを前提としている
  • 金利の低さにこだわりすぎている
  • 返済期間が短すぎる
  • 定年後を考えていない
  • 住宅ローン控除の控除額を気にしている
  • 住宅ローンの比較検討をしていない

住宅ローンが高すぎたと感じる時はどうしたらいい?

高額な借り入れを後悔している時は、早めに対処することが大切です。返済が苦しくなり、滞納してしまうと信用情報に傷を付けることになってしまいます。金融機関への相談や家計の見直しなど、できることから始めましょう。

今回の記事では、住宅ローンが高すぎたと感じる時の原因や後悔する方の特徴、具体的な対処法を解説しました。高すぎたと感じたまま返済を続けていると、さらに返済が苦しくなり、滞納してしまうと最悪の場合、競売にかけられてしまいます。そうなる前にも早め早めの行動が大切です。対処法はあるため、一人で抱え込まず、相談するようにしましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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