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住宅ローンの団体信用生命保険(団信)ってどこまで考える?種類や確認すべきことを解説

住宅ローンを契約する際に団信(団体信用保険)ついて初めて知る方が多いです
住宅ローンを契約する場合、一般的には、団体信用生命保険(団信)もセットで考えます。
ただ、ほとんどの方が、団信という言葉に馴染みがなく、団信についてしっかりと理解できていません。

すでに生命保険に加入しているのに、そもそも団信に入る必要はあるのだろうか、団信に加入する場合どこまで加入すればよいのだろうか、と思われている方も多いのではないでしょうか。

この記事を読むことで、団信への理解を深め加入の判断を適切におこなっていただければと思います。
ぜひ、最後までお読みください。

住宅ローンの団体信用生命保険(団信)とは

住宅ローンを契約する際に、セットで団信についても考える必要があります

団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローン返済中に契約者に万が一のことがあった際に、住宅ローンの残高を完済してくれる保険です。
保険会社から銀行へ保険金が支払われ、契約者の代わりに家族が家のローンを支払うことがないように家と家族を守ってくれる保険です。
子どもがまだ小さく契約者のみの収入でやりくりしているご家庭の場合などは、万が一の際に、残された家族へ債務が残らない方法があると安心ですよね。

そもそも団信は加入すべき?

契約者に万が一のことがあった際に、団信に加入していれば、残された家族がローンの返済に苦しむことがなくなります。
免除される生命保険で住宅ローン残債相当額を相殺できるのであれば、団信に入らないのも一つの選択ですが、特約なし団信は保険料がかからないケースが多いので、加入しておいたほうが無難です。
契約者が万が一の際に団信に入っていれば、住宅ローンの返済がなくなり、保険金は生活費や養育費などに使うことができます。
家族への負担が少しでも軽減できるよう、団信には加入しておいたほうがよいといえるでしょう。

団信はどこまで入るべき?事前に確認すべきこと

団信に加入する際は、きちんと内容を確認しましょう

通常の団信であれば、万が一の際の保障しかありませんが、特約をつけることにより、病気になった時でも保険が適用されます。
この章では、団信にどこまで入るかを決める際に、参考にしていただきたい内容を解説しています。

病気になる確率はどれぐらい?

国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計のまとめ」によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は以下となります。(2019年時点)

  • 男性65.5%
  • 女性51.2%

男女問わず、約2人に1人が一生のうちにがんにかかるということです。

また、厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、
主な死因の割合は以下となり約5割の方が、病気で亡くなっていることがわかります。

  • 悪性新生物<腫瘍>26.5%
  • 心疾患(高血圧症を除く)14.9%
  • 脳血管疾患7.3%

特約なし団信保険料は基本的には0円

特約の付いていない団信は、たいていの金融機関で保険料が0円となっています。
団信をつけることで保険料分の金利が上乗せされるのであれば、つけることを悩む必要がありますが、団信保険料が0円なのであれば、つけたほうがよいでしょう。
また、たいていの金融機関では住宅ローンを組む際に、団信をつけることが義務付けられています。

特約の上乗せ金利や保証内容を確認

特約の内容や保険料の代わりに上乗せされる金利は、各金融機関によって違います。
一般的には、特約の保障内容が多くなればなるほど上乗せされる金利も増えます。
上乗せされる金利が増えるということは、返済しなければならない金額も増えるということです。
保障が多いほうが安心感はありますが、余裕をもって支払いができるかという観点から考えてみることも大切です。
特約の内容に関しては、のちほど紹介していきます。

免責事項や債務弁済される条件をきちんと確認する

団信における免責事項とは、保険会社が保険金を支払わない場合のことをいいます。

例えば

  • 保障の開始日から1年以内に自殺した時
  • 故意により所定の高度障害状態になった時
  • 戦争・その他の変乱により死亡または所定の高度障害状態になった時

などがあります。

また、団信における債務弁済とは、保険会社が保険金を支払う場合のことをいいます。
下記の状態になった際に、保険金が支払われるのが一般的です。

  • 加入者が死亡または所定の高度障害状態になった場合

ただし、細かい条件は、各金融機関が取り扱う団信によって異なるため、きちんと確認する必要があります。
詳細については「住宅金融支援機構」のホームページを参考にしてください。

民間の生命保険と比べてみる

年齢や性別、健康状態、住宅ローンの借入額によっては、民間の保険にて団信の特約部分をカバーしたほうが安くなる場合もあります。
できれば、民間の保険の保険料と団信の上乗せ金利から想定される保険料を比べてみることをおすすめします。

代表的な団信の種類8選

団信には、特約をつけることが可能です

この章では、一般的な団信や、特約の種類を記載しています。
第2章でも少し触れましたが、各金融機関の取り扱っている団信によって内容が異なる可能性があるので、自身でも詳細を確認する必要があります。

一般団信

住宅ローンの契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、住宅ローンの残高相当額が支払われます。

がん保障付き団信

一般団信の保障に加え、がんと診断された時にも住宅ローンの残高相当額が支払われます。

3大疾病保障団信

一般団信の保障に加え、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)も保障されます。

7大疾病保障団信

一般団信の保障に加え、7大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変)も保障されます。

8大疾病保障団信

一般団信の保障に加え、8大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変、慢性膵炎)も保障されます。

11大疾病保障団信

一般団信の保障に加え、11大疾患(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変、慢性膵炎、大動脈瘤解離、上皮新生物、皮膚がん)も保障されます。

全疾病保障団信

一般団信の保障に加え、すべての病気やケガで働けなくなった場合に、毎月の支払が保障されます。 また、働けない場合が一定期間続いた場合に住宅ローンの残高相当額が支払われます。

※精神障害に関しては支払い対象外となっていることがほとんどです

ワイド団信

健康上の理由で、一般団信に加入できない方でも加入できる可能性もある、引受条件が緩和された保険です。

※疾病については支払い条件がある場合があります(「就業不能状態が1年以上続いた場合に保障が適用される」など)
※各金融機関が取り扱う団信によって支払い条件が異なる場合があります

団信に入る時に注意することは?

団信を契約する際は、注意しなければならないことがあります。

ここからは、団信に加入する際に追加で注意することをお伝えしていきます。

健康状態によっては加入できない

団信に加入するには「告知」が必要です。
告知とは、現在の健康状態や過去の病歴などを保険会社に報告することです。
告知された内容によっては、団信に加入できない場合があります。
健康上の理由で一般の団信に加入できない場合は、ワイド団信や一般の生命保険で告知のないものや、職業告知のものなどを検討してみてもよいかもしれません。
一般の生命保険でも、住宅ローン残高相当額以上に保障の出る保険があれば、契約者に万が一のことがあった際に、住宅ローンの支払いをカバーできます。

働けなくなった時には対応していない

一般の団信は、死亡または高度障害状態になった時にしか保障がないため、病気やケガで働くことができず、収入がなくなった時には対応していません。
会社員の方などで傷病手当金がある場合などは心配ないかもしれませんが、そういった保障がない場合は、仕事ができなくなった場合の住宅ローンの支払いにも備えておく必要があります。

特約を支払うには条件がある

第3章でも触れましたが、特約を支払う場合には条件がある場合があります。
特定の疾病と診断されただけで保険金が支払われるケースもあれば、一定期間、その状態が続いていることが保険金支払いの条件となっている場合もあります。
特約を追加する場合には、支払い条件や免責事項についてもしっかりと確認するようにしましょう。

借り換え時には契約が終了する

借り換えをする際には、借り換え前の団信は終了します。
新たに借り換え先で団信に加入しなければなりません。
その時の健康状態によっては団信に加入できない可能性があり、加入できても、以前加入していた団信とは条件が異なる場合があります。
借り換えをする際は、住宅ローンの内容だけでなく団信の内容についても確認するようにしましょう。

生命保険料控除の対象ではない

団信は、生命保険ではあるものの、受取人が金融機関となっており、生命保険料控除の適用はありません。
民間の生命保険や医療保険であれば、生命保険料控除の対象となります。

場合によっては家族にローンが残る場合がある

万が一、住宅ローンの滞納があった場合、団信の保険料となる金利部分の支払いができず、団信が終了します。
団信が終了してしまった場合、契約者に万が一のことがあっても、住宅ローン残高は残ったままとなります。

また、ペアローンや連帯債務で住宅ローンを契約していた場合、どちらか一方に万が一のことがあっても、ローンの残額がすべて団信でカバーできるわけではありません。

ペアローンの場合は、2本ローン契約を組み、団信もそれぞれ個別に加入します。そのため、どちらか一方に万が一のことがあった際には、もう一方のローン契約はそのまま継続します。

一方、連帯債務の場合は、1本のローン契約に複数の人が連帯して責任を負います。
団信に関しても一般的に、主債務者のみが加入でき連帯債務者は加入できません。
連帯債務者に万が一のことがあった際でも、主債務者のローンは残ります。

住宅ローンの契約の仕方によっては、団信が住宅ローン残高全額をカバーできない場合があるため、「そんなこと知らなかった」とならないためにもしっかりと確認するようにしましょう。

解約後に再加入できない

一度、団信を解約してしまうと再度加入ができません。
「特約をつけたせいで返済額が上がってしまい、ローンの返済が難しくなってきた。団信を解約したい」といった事態にならないためにも、加入する際に返済できるかも含めしっかりと確認してから加入するようにしましょう。

契約内容の変更ができない

一度、団信を契約すると変更ができません。
途中で特約をつけたいと思ってもつけることができないので、自身の返済余力や特定の疾患になりやすいかも含め、しっかりと検討したうえで団信に加入するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?住宅ローンを契約する際に考えなければならない団信ですが、住宅ローンを検討する段階に来てはじめて「団信という言葉を聞いた」という方は戸惑うかもしれません。

団信にはさまざまな特約をつけることができ、つけることで安心感が増すのは確かですが、支払い条件があったり金利が上乗せになったりと注意しなければならない点もあります。
また、必ずしも万が一の際の備えを団信でカバーしなければならないというわけでなく、民間の保険で代替できる部分もあります。
住宅ローンを契約するまで時間がタイトになることが多いですが、後悔しないようにしっかりと確認したうえで選択するようにしましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成を行うため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ
ライフマネー研究所

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