このページの一番上へ

住宅ローンを払えなくなったらどうなる?原因や対処法、やってはいけないことは?

住宅ローンを払えなくなる前に対処することが大切です 
30年以上に渡って返済が続く住宅ローン。給与が下がったり、病気になったりと、予想していなかった事態で支払いが難しくなることもあるでしょう。もし住宅ローンが払えなくなったら、どうなるのでしょうか?
この記事では、住宅ローンを払えなくなったあとに起こること、払えなくなる前にできること、払えなくなった時にやってはならないNG行動を解説します。支払いが厳しくなると「大丈夫だろうか……」と今後の生活が不安になるかもしれませんが、慌てず早めに対処することで道は開けます。本記事を参考にして、対処していきましょう。

住宅ローンを払えなくなったらどうなる?

住宅ローンが払えなくなると最終的に家が売られることになります
住宅ローンを払えなくなると最終的に家が売られることになります

住宅ローンを払えなくなったら、どうなるのでしょうか?「取り立てが来る?」「家はどうなる?」など、気になることがたくさんあるかと思います。本章では、返済できなくなったあとに起こることを時系列で解説します。 まず、簡単な流れを説明していきます。

  • STEP 1【1〜2カ月目】金融機関から支払いの請求がくる
  • STEP 2【3〜5カ月目】催告書や督促状が届き、期限の利益喪失が通知される
  • STEP 3【6〜7カ月目】期限の利益を喪失し、競売開始決定が通知される

住宅ローンの滞納を続けていると、家が競売にかけられ、強制的に退去させられることになります。 催告や督促など不安を感じる言葉が並びますが、早めに対処することで取れる対策も増えます。住宅ローンを払えなくなった場合のリスクを理解し、適切な対処法を知りましょう。

【1〜2カ月目】金融機関から支払いの請求がくる

住宅ローンを払えなくなると、借り入れている金融機関から支払いの請求がきます。最初は支払いを請求する内容の通知書だけですが、そのまま放置していると電話も入るようになります。請求がきたらそのままにしておくのではなく、すぐに金融機関に連絡を入れるようにしましょう。詳しくは後述しますが、相談すると返済を猶予するなどの措置を講じてくれる可能性があります。

【3〜5カ月目】催告書や督促状が届き、期限の利益喪失が通知される

住宅ローンの返済が滞り3カ月経つと、「期限の利益喪失」が通知されます。期限の利益損失とは、金融機関が住宅ローンの残債を一括返済するよう、債務者に対して求めることができるようになることです。

また、金融機関によりタイミングは異なりますが、個人信用情報機関に金融事故情報が記録されます。つまり、信用情報に傷がつき、金融機関からの借り入れが難しくなる可能性があります。 支払えなくなったからといって放置していると、クレジットカードを作ったり、新たにローンを組んだりすることが難しくなります。慌てず冷静に対処することが大切です。住宅ローンを借り入れている金融機関に相談し、適切に対処しましょう。

【6〜7カ月目】期限の利益を喪失し、競売開始決定が通知される

住宅ローンを払えず半年ほど経つと、裁判所から競売開始決定通知が届きます。競売開始決定通知とは、その名のとおり、家を競売にかける手続きを開始したことを知らせるものです。また、家を担保として差し押さえられたことになります。

通知されたあとは、実際に競売にかけられる手続きに入るため、裁判所の執行官と不動産鑑定士による現況調査がおこなわれます。有無を言わさず、写真撮影や間取りの確認、周辺の環境調査が実施されます。 現況調査によって、競売にかけられることは周りの方に知られてしまいます。競売を避けたい場合には、現況調査よりも前に、任意売却を金融機関に相談しましょう。任意売却は、周りに知られるリスクもなく、市場に近い価格で家を売却することができます。

住宅ローンを払えなくなると、家が競売にかけられ、強制的に退去させられます。金融機関に相談することで、適切な対処ができます。そのままにするのではなく、必ず相談しましょう。

住宅ローンを払えなくなる理由

住宅ローンを払えなくなる理由には、収入の減少や病気やケガで働けなくなるなどがあります
住宅ローンを払えなくなる理由には、収入の減少や病気やケガで働けなくなるなどがあります

住宅ローンを払えなくなると、経済的負担だけでなく精神的な負担も大きくなります。払えなくなる理由を理解することで、対策をとることができます。本章では、住宅ローンが払えなくなる理由で多い、次の3つを解説していきます。

  • 会社の倒産・リストラなどで収入が減った
  • 病気やケガで働けなくなった
  • 無理な住宅ローンを組んでしまった

それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。

会社の倒産・リストラなどで収入が減った

会社の倒産やリストラによる収入の減少で、住宅ローンの返済が難しくなることがあります。住宅ローンの返済は、毎月一定額の支出となるため、数万円でも収入が減ると家計に大きな負担となります。

なかには、返済をするため 仕事のかけ持ちをしたり、長時間働いたりと無理を続けたことで、身体に影響が出てしまう方もいます。無理せず、早い段階で金融機関に相談するようにしましょう。

病気やケガで働けなくなった

病気やケガで働けなくなり、住宅ローンを払えなくなることもあります。住宅ローンを契約する時には、障害を負ってしまったり、心の病気を抱えてしまったり、長期間働けなくなる事態を想定することは難しいでしょう。

リスクに備えて保険に加入する方も多くいますが、あくまで通院や治療費を補助するためのものであり、住宅ローンを補填するためのものではありません。身体に障害が残る高度障害の場合には、団体信用保険で補償を受けられる可能性があります。病気やケガで働けなくなった場合には、金融機関に相談するようにしましょう。

無理な住宅ローンを組んでしまった

無理なローンを組んでしまった場合、住宅ローンを払うのが難しくなります。今は晩婚化が進み、家を購入するタイミングも遅くなっているため、定年後も住宅ローンを支払い続けるケースが増えています。定年後は安定した収入がなくなるため、現役で働いていた時のように毎月返済することは大きな負担です。

また、住宅を購入するとローン以外の費用がかかります。具体的には、固定資産税やマンションの管理費、修繕管理費などです。そういった費用を想定せずローンを契約してしまい、予想以上に負担がかかり、支払えなくなる可能性があります。住宅ローンを契約する際には、ローン以外にかかる費用も含めて返済計画を立てるようにしましょう。

住宅ローンを払えなくなる前にすること

住宅ローンを払えなくなる前に、金融機関に相談すると返済期間の延長や支払額の減額などの対応をしてもらえることがあります
住宅ローンを払えなくなる前に、金融機関に相談すると返済期間の延長や支払額の減額などの対応をしてもらえることがあります

「払えなくなったらどうしよう」とどうしたらいいかわからず、途方に暮れる方もいるのではないでしょうか。払えなくなったあとに行動するのではなく、払えなくなる前に対処することが大切です。住宅ローンを払えなくなる前にできることは次の4つがあります。

  • 家計を見直す
  • 住宅ローンを借り換える
  • 金融機関へ相談する
  • 保険や給付金を確認する

ここからは、具体的に解説していきます。

家計を見直す

住宅ローンを払えなくなる前にできることの1つ目は、家計を見直すことです。家計を見直すことで無駄な支出を減らすことができます。例えば、利用頻度の少ないサブスクリプションの解約、通信費の見直しなどがあります。家計を見直す時には、固定費から確認するのがおすすめです。一度見直すだけで、節約効果が長く続きます。

もし、余裕があるのなら収入を増やすことも考えましょう。現在は、副業が認められている会社も増えており、ネットでできる副業もあります。収入を増やしやすい環境が整っているため、選択肢の一つとして考えましょう。 先述したように、住宅ローンを払おうと無理して身体を壊してしまう方もいます。無理はせず、できる範囲で取り組むようにしましょう。

住宅ローンを借り換える

住宅ローンを借り換えることで、毎月の返済額を減らすことができます。ただし、借り換えには手数料がかかるため、借り換え前後で総返済額を比較して判断する必要があります。次に挙げる条件が、うまく借り換えられる目安となります。

  • 住宅ローンの残高が1,000万円以上ある
  • 返済期間が10年以上残っている
  • 借り換えると金利が1%以上下がる

返済期間が長く、金利差が大きいほど、住宅ローンを借り換えると返済負担を軽くできます。上記に挙げた条件に当てはまるか一度確認してみましょう。

金融機関へ相談する

住宅ローンを払えなくなる前に、金融機関に相談することが大切です。金融機関には、契約者専用の相談窓口が設けられています。相談すると、支払い猶予やリスケジュールを検討するなどの対応をしてもらうことができます。リスケジュールとは、返済期間を延長したり、ローンの支払額を一定期間減額したりすることで、月々の返済額を減らすためのものです。

住宅ローンを払えなくなり、滞納してしまうと金融機関からの信用を失い、家を手放さなければならない可能性もあります。そうなる前に、早めに相談するようにしましょう。

保険や給付金を確認する

住宅ローンを払えなくなる前に、保険や給付金を確認することも大切です。例えば、住宅ローンを契約する時に加入することが多い団体信用生命保険は、契約者が高度障害になった場合、住宅ローンの残債が免除されます。

また、病気やケガで働けなくなり、収入が減少した時にローンの返済額を補償する、住宅ローン返済支援保険もあります。自分自身が対象になっていないか確認してみましょう。

さらに、経済状況が大きく変化した場合に、給付金が支給されることがあります。例えば、コロナ禍では「特別定額給付金」として一人10万円が支給されました。また今も、賃貸にはなりますが、住居確保給付金では離職やリストラなどで生活が苦しくなった方に対して給付金が支給されています。 アンテナをはり、積極的に情報を集めるようにしましょう。

住宅ローンを払えない時の対処法

住宅ローンを払えない時には、まず借金の返済を目指しましょう
住宅ローンを払えない時には、まず借金の返済を目指しましょう

住宅ローンを払えなくなると、遅延損害金が発生し、返済額は増えることになります。借金を増やさないためにも、早めに対処することが必要です。家を所有し続けることではなく、家を手放し借金の返済を目指す必要性があります。ここでは、住宅ローンを払えなくなった場合の対処法を4つご紹介します。

  • 不動産会社の仲介による家の売却
  • 任意売却
  • リースバック
  • 個人再生

それでは、一つひとつ解説していきます。

不動産会社の仲介による家の売却

住宅ローンを払えなくなった時、家を売却して残債を返済するという選択肢があります。この時に、不動産会社を仲介することで、より高値で売却できる可能性があります。ただし、不動産会社に仲介を依頼する際には、手数料が発生します。売却価格の3〜5%程度が一般的です。そのため、手数料を考慮したうえで、不動産会社に依頼するかを判断する必要があります。また、不動産会社によって、査定額が数百万円変わることがあります。必ず複数の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。

任意売却

住宅ローンを払えなくなった時の対処法として、任意売却があります。任意売却とは、金融機関の同意を得て家を売る方法で、競売よりも高く売却できる可能性があります。家を売るため、引越しが必要になりますが、売却益の配分を金融機関と相談できるため、引越し費用を補うことも可能です。

競売にかけられると、売れても低い価格になり、周りに知られるリスクもあります。住宅ローンを払えなくなる前に、金融機関に相談するようにしましょう。

リースバック

リースバックは、自宅を売却し資金を得たあと、売却後の家を借りて住む方法です。自宅を売り(Sell)、賃貸(Lease)として住むため、セールアンドリースバックと呼ばれることもあります。リースバックで得た資金で、ローンを返済することが可能です。しかしながら、売却価格が通常の売却と比べて安くなる傾向があります。また、賃貸期間が制限されるケースもあり、長く住み続けられるわけではないことを理解しておきましょう。

そして、リースバック後は家賃を支払い続けることになるため、住宅ローンの返済額とリースバック後の家賃を比較したうえで考えましょう。

個人再生

住宅ローンを払えなくなったら、個人再生する方法もあります。個人再生とは、裁判所に申し立てをおこない、借金を減額または免除してもらう手続きです。個人再生をおこなうと、借金の返済期間が3〜5年に延長され、毎月の返済額が減ります。

また、住宅資金特別条項という特則を利用すれば、家を残すことができます。具体的には、住宅ローンは今までとおり支払い、またはリスケジュールをして、家を処分されないようにし、住宅ローン以外の借金を個人再生によって減額するということです。個人再生をおこなうためには、一定の条件を満たす必要がありますが、家を残したい方には有効な選択肢となるでしょう。

住宅ローンを払えない時のNG行動

住宅ローンを払えなくなった時には、焦らず金融機関に相談しましょう
住宅ローンを払えなくなった時には、焦らず金融機関に相談しましょう

住宅ローンを払えなくなると焦ってしまい、やってはならない行動をとってしまうこともあります。本章では、住宅ローンを払えない時のNG行動をご紹介します。具体的には次の3つです。

  • 金融機関に相談しない
  • 新たに借入をする
  • 夜逃げする

次から詳しく説明していきます。

金融機関に相談しない

住宅ローンを払えない時のNG行動の一つは、金融機関に相談しないことです。「払えないと言ったらすぐに家を差し押さえられる?」「取り立ての人が来る?」これらは間違った思い込みです。金融機関に相談すると、返済額を減らしたり、返済期間を延長したりなどの解決策を提案してくれます。

相談せず払えないままにしていると、家を売られる手続きが進んでいくことになります。住宅ローンを払えなくなった時には、焦らず金融機関に相談しましょう。

新たに借り入れをする

住宅ローンを払えなくなった時、キャッシングやカードローンで新たに借り入れをしようと考える方もいるでしょう。しかし、これは絶対にやってはならない行動です。新たに借り入れをすると、返済額が増え、返済がさらに難しくなる可能性があります。

また、キャッシングやカードローンの借入歴があると信用情報に傷がつき、住宅ローンの借り換えの際に、審査にとおりにくくなる場合があります。住宅ローンを払えなくなった時には、必ず金融機関に相談するようにしましょう。

夜逃げする

住宅ローンを払えなくなった時、すべてを投げ出し夜逃げを考えることもあるでしょう。しかし、夜逃げは絶対にやってはならない行動です。その場はしのげても、返済義務がなくなるわけではありません。常に追われる不安を抱えながら過ごすことになります。

また、連帯保証人が住宅ローンの返済を負わなければならなくなり、連帯保証人との関係も悪くなるでしょう。夜逃げを考えなければなるほど思い詰める前に、金融機関に相談するようにしましょう。

まとめ

収入が減ったり、病気で働けなくなったりすると、住宅ローンを払えなくなったらどうしようと思い悩むことが増えるでしょう。しかし、立ち止まるのではなく、少しでも行動を起こすことが大切です。金融機関に相談すると、返済期間の延長や返済額の減額など、返済負担を軽減する提案をしてくれます。

何もしなかったり、新たに借入をすることは絶対にやめましょう。これらの行為は、将来的に大きな問題を引き起こす可能性があります。住宅ローンを払えなくなる前に、まずは金融機関に相談しましょう。自身の状況に応じて、適切な対応策を提案してくれるでしょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る