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住宅ローン返済額の平均は?返済額を決めるためのポイント3つを解説!

住宅ローンの適正な借入額を決めるポイントや気をつけるべき点を解説します
住宅ローンを組む際、「返済を続けられるのか?」「完済できるのか?」など、不安に思うことでしょう。特に返済額は、自分に見合ったものになっているのかが気になる方も多いと思います。他の方はどうなのか、平均のデータを知ることで比較が可能です。本記事では、住宅ローンに関するさまざまなデータの平均をまとめました。
また、適正な借入額を決めるためのポイントや注意点を解説します。返済期間や金利などはあとから変更できますが、借入額だけは変更できません。無理なく返済を続けるためにも、自分にあった返済額を決めるようにしましょう。

住宅ローンに関するさまざまな平均のデータ

住宅ローンの返済負担率や返済額などの平均データを見ていきましょう
住宅ローンの返済負担率や返済額などの平均データを見ていきましょう

平均のデータを知ると、目安がわかります。ただし、あくまで「そういう傾向がある」というデータ上の話でしかありません。大切なのは、自分の家計に合った住宅ローンを組むことであることを、肝に銘じておきましょう。

住宅の購入価格の平均

住宅の購入価格はどれくらいなのでしょうか。地域や種類、築年数などによっても変わりますが、国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、下表のとおりです。

物件タイプ 購入資金
注文住宅 4,713万円
分譲戸建住宅 4,074万円
分譲集合住宅 5,048万円
中古戸建住宅 3,025万円
中古集合住宅 2,943万円

なお、注文住宅の調査地域は全国ですが、その他は3大都市圏での調査です。分譲集合住宅は5,000万円を超えています。新築よりも中古のほうが低くなっていますが、それでも3,000万円前後と高額です。住宅が「人生の3大支出」の一つと言われる理由がよくわかります。

住宅ローンの借入額の平均

みなさん住宅ローンはどれくらい借り入れているのでしょうか。先ほど取り上げた調査に借入額のデータもあるため、見ていきましょう。

物件タイプ 借入金
注文住宅 3,772万円
分譲戸建住宅 3,205万円
分譲集合住宅 3,610万円
中古戸建住宅 2,070万円
中古集合住宅 1,641万円

引用:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書

購入価格が高かった注文住宅と分譲集合住宅が、3,600万円を超えており、借入額が多くなっています。注文住宅は土地も購入するため、借入額も多くなる傾向にあるようです。

住宅ローンの返済負担率の平均

返済負担率とは、収入に対する住宅ローンの返済額の割合のことです。返済負担率が高いほど、家計に占める住宅ローンの割合も多くなるため、経済的な負担が大きくなります。一般的に無理のない返済負担率は20%以下とされています。

物件タイプ 返済負担率
注文住宅 16.4%
分譲戸建住宅 18.8%
分譲集合住宅 17.4%
中古戸建住宅 16.6%
中古集合住宅 16.6%

引用:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書

どの物件タイプにおいても、返済負担率は16〜18%に収められています。あくまで目安の一つですが、参考にするといいでしょう。

住宅ローンの返済額の平均

みなさん住宅ローンはいくら払っているのでしょうか。返済額の平均を見ていきましょう。国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅ローンの年間返済額は下表のとおりです。表にある「月々の返済額」は、年間返済額を12で割り、1カ月分に直した返済額です。

  年間返済額 年間返済額から求めた
月々の返済額
注文住宅 174万円 14.5万円
分譲戸建住宅 126.6万円 10.5万円
分譲集合住宅 148.1万円 12.3万円
中古戸建住宅 106.7万円 8.8万円
中古集合住宅 101.3万円 8.4万円

月々の返済額を見てみると、新築では10万円以上を超えており、注文住宅では14万円を超えています。一方、中古は戸建、集合住宅ともに8万円台となっており、新築と比較して低くなっています。

住宅ローンの返済額は、借入額や金利、返済期間などによって変化します。しかし、上記のデータを考えると、新築であれば10万円以上、中古であれば8万円台が一つの目安といえるでしょう。ただし、収入や他の借り入れ状況によっては、これらの金額が難しい場合もあります。大切なのは、ご自身の家計に合った返済計画を立てることです。

住宅ローンの頭金の平均

頭金とは、住宅ローンを借り入れる際に支払う、物件価格の一部の金額のことをいいます。例えば、4,000万円の住宅を購入する際、頭金として1,000万円を支払うとしましょう。そうすると、住宅ローンの借入金額は3,000万円に抑えられます。頭金が多いほど、借入額を減らすことが可能です。国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、物件タイプ別に見た自己資金額と自己資金比率は下表のとおりです。

物件タイプ 自己資金 自己資金比率
注文住宅 941万円 20%
分譲戸建住宅 869万円 21.3%
分譲集合住宅 1,438万円 28.5%
中古戸建住宅 955万円 31.6%
中古集合住宅 1,302万円 44.2%

新築では自己資金比率が20%台となっており、低い傾向にあります。一方、中古は高い傾向にあり、集合住宅では44.2%と半分近くを占めています。

住宅ローンの適正な借入額を決めるポイントは?

借入額はあとから変更できないため慎重に決めましょう
借入額はあとから変更できないため慎重に決めましょう

住宅ローンはあとから金利や返済期間を変更できますが、借入額だけは変更できません。そのため、慎重に決める必要があります。本章では、適正な借入額を決めるポイントを解説します。

頭金を決める

まずは頭金の金額を決めましょう。頭金を用意すると、借入額が減り、月々の返済額が減らせるため、経済的な負担が軽くなります。しかし、資金に対して頭金を入れすぎてしまうと、病気やケガで働けなくなった時などに対応できなくなるため、ある程度の資金は手元に残すようにしましょう。

手元に残しておく金額は、短期的だけでなく、長期的な視点からも考えて決めましょう。短期的なものには、不測の事態に備える費用として生活費の半年分は残しておきましょう。もし自営業の方なら、1〜2年分あると安心です。長期的なものとしては、教育費や老後資金などがあります。どういうライフプランを送りたいかによって、必要となる金額は異なります。こういったライフイベントに必要な積立金額と合わせて、住宅ローンの返済額を決めましょう。ファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談するのも一つです。

毎月の返済額を決める

頭金の金額が決まったら、毎月の返済額を決めましょう。住宅ローンの返済は35年など、長期間にわたって続くものです。無理な返済額にしてしまうと、生活が苦しくなり、住宅ローンの返済が滞ってしまうかもしれません。年収をもとに借入額をシミュレーションできるサイトも数多くありますが、それぞれの家計事情を汲んだものではありません。家計やライフプランにあった返済額を決めるようにしましょう。また、住宅を購入すると、住宅ローンの返済額以外にも、必要となる費用が発生します。例えば、固定資産税やマンションであれば管理費や修繕積立金などです。月々2〜3万円が目安となるため、これらの費用を含めたうえで、住宅ローンの返済額を決めましょう。

返済期間を決める

返済期間も住宅ローンの適正な借入額を決めるうえで大きなポイントです。借入額が同じ場合、返済期間を長くすると、月々の返済額が抑えられます。実際に下記の条件でシミュレーションをしてみましょう。

<条件>
借入金額:3,000万円
金利:全期間固定1.91%
返済方式:元利金等返済方式

返済期間 20年 35年
毎月の返済額 15万489円 9万7,998円
利息 611万7,384円 1,115万9,336円
総返済額 3,611万7,384円 4,115万9,336円

借入金額は同じ3,000万円ですが、返済期間を長くすると、月々の返済額は約6万円抑えられました。しかし、返済期間を長くした分、元本の減りが遅く、利息が増えるため、総返済額は約500万円増えてしまいました。月々の返済額だけでなく、総返済額も考慮したうえで検討しましょう。

また、完済時の年齢が何歳になるかも、計算してみましょう。例えば、35歳で30年のローンを組む場合、65歳で完済できます。65歳まで今の収入が見込めれば、特に問題はないでしょう。しかし、40歳で30年のローンを組む場合、完済時年齢は70歳です。定年退職し、年金が収入のメインとなった時、返済は厳しいでしょう。現在の家計だけでなく、将来の収支状況も考慮したうえで、返済期間を決めましょう。

住宅ローンの借入額を決める際に気をつけるべきこと

適正な借入額を決める際に気をつけるべきポイントを解説します
適正な借入額を決める際に気をつけるべきポイントを解説します

住宅ローンの適正な借入額を決める際、気をつけるべきことがあります。それぞれ詳しくみていきましょう。

金利タイプの特徴を理解して決める

住宅ローンを組む際には、金利タイプの特徴を理解して決めましょう。金利タイプには変動金利、固定期間選択型、全期間固定金利の3つがあります。それぞれの特徴は次のとおりです。

変動金利

  • 金利が低めであることが多い
  • 返済期間中の金利の見直しがおこなわれるため、将来の返済額が変わる可能性がある

固定期間選択型

  • 自分が選択した一定期間、金利が固定される
  • 固定期間中は金利も返済額も変わらない
  • 固定期間終了後は、変動か固定か選べるものもある
  • 一般的に固定期間が長いほど金利が高い

全期間固定金利

  • 最初から完済まで、金利が固定されており、返済額が変わらない
  • 金利が高めであることが多い
  • 金利や返済額が変わらないため、ライフプランを立てやすい

変動金利は低めの傾向にありますが、上がった時のリスクが高いため、慎重に検討しましょう。それぞれの特徴をよく理解したうえで、選択しましょう。

ライフイベントを考慮する

住宅ローンを組む際には、現在の収支状況から考えがちですが、将来に起きうるライフイベントも考慮しましょう。例えば、もし共働きをしていて、妻が妊娠・出産をすれば収入が減るため、家計の収支が大きく変わります。子どもが大きくなれば、習い事などの教育費もかかるようになります。また、老後資金にも備えなければなりません。他にも車の購入や旅行など、まとまったお金がかかるライフイベントはいろいろあります。それらを考慮したうえで、返済額を決めるようにしましょう。

完済時の年齢を考慮する

住宅ローンの借入額を決める際には、完済時の年齢を考慮しましょう。完済時に定年退職している場合、収入が減っている可能性があるため、住宅ローンの返済が難しくなる恐れがあります。また、住宅ローンの審査でも完済時の年齢は大きなポイントです。国土交通省の「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、融資をおこなう際に考慮する項目は下記のとおりです。

項目 割合
完済時年齢 98.7%
健康状態 97.9%
借入時年齢 97.2%
担保評価 96.1%
勤続年数 93.2%
連帯保証 93.1%
返済負担率 93.0%
年収 92.9%
金融機関の営業エリア 90.7%
国籍 73.3%

完済時年齢が98.7%と一番高くなっており、多くの金融機関が重視している項目であることがわかります。完済時の年齢を考慮し、無理のない返済計画を立てましょう。

住宅ローンの返済額を決める際によくある質問

住宅ローンの返済額を決める際には、「本当に大丈夫だろうか」と不安になる方も多いでしょう。本章では、よくある質問として返済額を決める際に気になる点をまとめました。

借入額はいくらにすべき?

「年収が◯万円だから借入額は×円です」と正確に答えることはできません。家計の状況や家族構成、ライフプランなど、どれも人それぞれ異なります。大切なのは、住宅を購入することではなく、購入したあとの生活です。繰り返しになりますが、ご自身に合った住宅ローンを組むことが大切です。現在の収支状況だけではなく、将来起こりうるライフイベントに必要な支出や、完済時の年齢など、さまざまな点を考慮したうえで検討しましょう。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら決めるのもいいでしょう。

頭金は多いほうがいい?

頭金を多くすると、毎月の返済額を減らすことができ、経済的な負担は軽くなります。しかし、返済額を減らしたいからといって多く入れすぎるのは問題です。万一があった場合に対応できる分や、車検代や子どもの進学費用など、1年以内に使う予定のあるお金は最低限残しておきましょう。自営業の方は会社員と違い、保障が限られるため、多めに手元に残しておくと安心です。

返済期間は長くするのがいい?

同じ借入額でも返済期間を長くすると、月々の返済額が抑えられます。ただし、元本の減りが遅いため利息が増え、結果として総返済額が増えることを理解しておきましょう。また、返済期間を長くすると、借入額を増やすこともできます。住宅ローンを組む年齢が早いほど、定年退職するまでに完済できるため、老後の心配も減るでしょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンの返済額をはじめ、借入額や頭金などの平均を、データを用いながら解説しました。平均はあくまで一つの目安でしかないため、鵜呑みにしないようにしましょう。大切なのは、ご自身の家計状況や将来のライフプランなどを踏まえ、無理のない返済額で住宅ローンを借り入れることです。借入額はあとから変更できないため、ファイナンシャルプランナーなどと相談しながら、慎重に決めましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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