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住宅ローンで減額承認されたら?原因を知って対処しよう!

住宅ローンで減額承認される原因と対処法を解説します
住宅ローンを組みたいと考えている方のなかには、審査を受けた際、本来の希望よりも融資額が少なくなってしまった方もいらっしゃると思います。そんな時、なぜ融資額が少なくなってしまったのか、何か対処法はないのかと思った方もいらっしゃるでしょう。また、減額承認と聞いたけれど詳しい意味はわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、住宅ローンの「減額承認」とは何か、なぜ減額承認されるのかを詳しく解説。さらに、減額承認を受けた時の対処法も紹介していきます。

住宅ローンの減額承認とは?

住宅ローンの減額承認とは何でしょうか
住宅ローンの減額承認とは何でしょうか

住宅ローンの減額承認とは、住宅ローンを申し込んだ時、希望した融資額よりも減額されて融資が承認されたことをいいます。例えば、3,000万円の融資を希望していたが、実際には2,500万円なら融資可能と言われたケースです。

住宅ローンの審査は通常、事前審査(仮審査)と本審査の2回おこなわれます。それぞれの審査で、金融機関は借り主に融資をしてもよいのか、融資をするならいくらまでかを判断します。融資の可否や融資金額の判断は、借り主の年収や勤務先、勤続年数などさまざまな要素から審査されます。

審査の結果、借り主は3,000万円の融資を希望していても、返済が難しい可能性があると判断されれば、返済ができそうな金額に減額されることになります。そして2,500万円なら滞ることなく返済が可能とみられると、希望額よりも減額された金額での融資が決定します。

減額承認になってしまうと希望どおりの金額での融資は受けられず、金額に満たない分は自己資金を用意するしかありません。預貯金があるとか、家族・親族に援助を受けられる場合は問題ないかもしれません。しかし、資金が用意できない場合は減額承認された範囲内で購入できる住宅を選び直すか、住宅の購入を諦めることになってしまいます。

物件を変えるとしても、なぜ減額承認になったかは確認しておく必要があります。借り主の問題か、物件の問題か、金融機関に問い合わせるなどして明確にしておきましょう。

ここからは、よくある減額承認の原因や対処法を紹介していきます。

住宅ローンで減額承認となる原因と対策は?

住宅ローンで減額承認となる理由にはどのようなものがあるのでしょうか
住宅ローンで減額承認となる理由にはどのようなものがあるのでしょうか

本来なら希望額どおり融資を受けられればベストですが、減額承認となってしまう可能性はあります。ではなぜ、減額承認となってしまうのでしょうか。以下のような理由が考えられます。

収入の安定性が不安視された

収入の安定性を不安視されると、減額承認となる要因になります。特に、住宅ローンの融資審査では、年収の安定性が重視されます。住宅ローンは長期間に渡って返済する場合が多いので、返済を続けられる可能性があるのかを金融機関は注視します。

年収の安定性は収入や勤務先、勤続年数や雇用形態などの要素で判断されます。年収が不安定だったり、転職して1年くらいなど勤続年数が短かったりすると、収入の安定性を疑われ、減額承認になる可能性があります。

対策としては、正社員になり勤続年数を増やすなど、安定した勤務実績を作っていくことが求められます。もし直近で改善が難しければ、数年経ってからあらためて住宅ローンの審査を受けることも考えましょう。

個人信用情報に傷があった

キャッシングで支払を滞納した経験がある人は注意が必要です。クレジットカードの利用状況など、本人が重視していないところで信用情報に傷がついていると減額承認の要因になります。うっかり携帯料金を滞納し、連絡が来ていたにも関わらず忘れてしまったなど故意でなく支払いを延滞してしまったりしても要注意です。

また、実際には借り入れをしていなくても、キャッシング枠が付いたクレジットカードを持っている場合に借り入れをしているとみなされるケースがあります。クレジットカードを複数枚所有している人は注意が必要です。借り入れがあると返済負担率を上げる要因になり、結果として減額承認になる可能性があります。

対策としては、使用しないクレジットカードを所持している場合は、不要なカードは思い切って処分しましょう。また、キャッシング枠は最低限にするか、使用しないなら解約すると安心です。さらに、個人信用情報の内容を確認したい方は、個人信用情報機関に信用情報の照会を依頼して確認しておきましょう。普段からクレジットの使用に気を配り、個人信用情報をクリーンに保てるよう意識することがポイントです。

返済負担率が高すぎた

他での借り入れを含めた返済負担率が規定に迫るほど高くなっていると、減額承認になる場合があります。一般的な融資審査では、無理のない返済負担率は20%程度、高ければ35%ほどです。返済負担率は、借り入れ予定の住宅ローンに加えて、すでに借り入れをしている分や、奨学金、自動車のローンなども含めて計算されます。

他のローンがある方は、そちらを完済させて返済負担率を抑えましょう。他のローンがなくても返済負担率が高めの方は、収入とのバランスに問題があります。可能なら収入を上げることも検討したいですが急には難しいため、借入金と収入のバランスを適正にした返済計画を立て直しましょう。

完済時年齢が高かった

完済時の年齢が高い場合も、減額承認になる原因になります。特に、完済年齢が65歳を超える設定は要注意です。多くの人は、定年を迎えると退職し収入が減る可能性があります。

また、年齢を重ねれば健康状態にも不安が出て、医療費が増える可能性が高まります。そのため、完済時年齢が高いほど住宅ローンを完済するのが難しい要因が増え、金融機関にとってはリスクになります。すると、完済時年齢が高いことが減額承認の要因になります。

対処法としては、65歳までを目安にできる限り完済までの期間を短くするようにしましょう。ただし、返済期間を短くすると返済負担率もあがり、返済が苦しくなるかもしれません。非現実的な計画になっては結局実行できなくなるため、自分だけで判断が難しければファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、バランスのよい返済計画を検討しましょう。 

物件の担保評価に問題があった

もし、年収や完済時年齢などに問題がなく、減額承認となってしまった場合は、物件の担保評価に問題があるかもしれません。物件の担保評価とは、特定の物件がいくらで売却できる価値があるかを示すものです。

もし住宅ローンの返済が途中でできなくなった場合、物件は競売にかけられ売却されます。その際、融資額よりも物件の価格が低くなってしまうと、金融機関が債権を回収できなくなってしまいます。そうならないように貸主の金融機関は、物件の担保価格よりも低い借入金額で融資を通す傾向が強まります。

物件の担保評価で注意すべきなのは中古物件です。なぜなら中古物件は物件価格よりも担保評価が低くなる場合があるためです。担保評価で減額承認になるのを避けるには、物件の見直しや資金計画の見直しが必要です。

住宅ローンで減額承認された時の対処法は?

住宅ローンで減額承認になった時の対処法にはどのようなものがあるのでしょうか
住宅ローンで減額承認になった時の対処法にはどのようなものがあるのでしょうか

減額承認となってしまう理由にはさまざまなものがあります。個人信用情報に傷がついている場合は、対処して審査を通すのは難しいですが、収入面で減額承認となった場合には対処法があります。以下で解説します。

夫婦で協力する

夫婦の収入を合算すると、減額承認されにくくなります。

例えば、妻が毎月安定した収入を得ている場合(パートタイムの仕事やアルバイトを含む)、夫婦で収入を合算すると、住宅ローンの返済能力があがります。
しかし、このアプローチを選ぶ際の注意点として、将来の計画をしっかりと立てる必要があります。なぜなら、現時点で問題なくても将来的に妻が仕事を辞めると返済が厳しくなる可能性があるからです。例えば、出産や育児で妻が仕事をやめてしまうケースです。そのため、夫婦で収入を合算して住宅ローンを申し込む際には借り入れができればよいのではなく、将来の返済計画を踏まえて熟考するのが肝心です。

夫婦で協力し収入を合算すると、住宅ローンの審査が通りやすくなる可能性がありますが、将来のライフプランまで考えた資金調達計画を立てることが不可欠です。

頭金を多く入れる

頭金を多く入れると、減額承認の対処法の一つになります。金融機関から見れば、頭金を用意できる貯蓄がある状態は、信用性が高いと評価されるポイントになります。このアプローチで、住宅ローンの希望額に近づき、より多くの借入金が手に入るかもしれません。

頭金を支払うには、自己資金を用意する必要があるので実際は厳しいかもしれません。しかし、もし実行できれば可能性が広がります。現状として資金調達が難しい場合にも、計画的に頭金を準備すれば、住宅を手に入れるチャンスを高められるでしょう。

金融機関を変える

返済負担率に問題がなく、個人信用情報に傷があるわけでもなく融資が通らない場合は、金融機関を変えてみるのも一つの方法です。
なぜなら、審査基準は各金融機関によって異なるため、他の金融機関で再審査をおこなえば、満額の融資を受けられる可能性があるからです。

ただし、審査の結果が出てから新たな金融機関へ申し込むと、時間がかかってしまいます。そのため、減額承認を受けた瞬間から別の選択肢を探すのではなく、計画的に進めることが大切です。複数の金融機関に同時に申し込んでおけば、効率的な対処法となります。新たな金融機関への申し込みを柔軟に検討するのも重要です。

フラット35を検討する

「フラット35」を利用するのも有力な対処法になります。フラット35は、住宅金融支援機構が提供する住宅ローンの一種で、住宅購入初心者や審査に通過するのが難しい利用者に適しています。

このプランは、金利が他の住宅ローンに比べてやや高いのが難点ですが、その代わりに審査が比較的やさしくなっています。そのため、担保評価が低い場合でも、減額承認を受けにくいことが期待できます。

この記事のQ&A

Q:住宅ローンの減額承認とは?

A:住宅ローンの減額承認とは、住宅ローンを申し込んだ時、希望した融資額より減額されて融資承認されたことをいいます。例えば、3,000万円の融資を希望していて、実際には2,500万円なら融資可能だったケースです。

Q:住宅ローンで減額承認となる原因と対策は?

A:住宅ローンで減額承認になる原因はいくつかあります。収入、個人信用情報の傷、返済負担率や、完済時年齢などが要因になります。また、借り主自体に問題がなくても、物件の担保評価に問題があると減額承認される要因になります。対処するには、原因となる要素を排除するかもしくは、物件や資金計画を見直す必要があります。

Q:住宅ローンで減額承認された時の対処法は?

A:減額承認を受けても、住宅ローンの融資ができなくなるわけではありません。信用情報に問題があったり、返済負担率が基準を超えている場合には、審査を通過するのは困難かもしれませんが、そうでない場合にはいくつかの対処法があります。問題が収入面であれば、夫婦で協力し収入合算すると乗り越えられるかもしれません。また、可能であれば頭金を増やすのも有力な方法になり得ます。また、他の金融機関で再審査するの手です。さらに、フラット35を利用すると選択肢が増えます。

まとめ

本記事では、減額承認とは何か、なぜ減額承認されるのかを詳しく解説しました。さらに、減額承認された時の対処法も解説しました。

減額承認されるのは、収入面や返済負担率、個人信用情報に傷かあるなど、何かの問題があるためです。事前に対処できる問題については、意識して審査前にクリーンな状態にしておきましょう。大きな問題がなくても融資が難しい場合は、審査を申し込む金融機関を変えるなどの対策をしましょう。

住宅の購入は人生にとって大きなイベントです。住宅購入にあたり、できるだけ希望額の住宅ローン融資を受けるのは重要事項の一つです。この記事が、住宅ローンの減額承認を受けた方や、減額承認について調べておきたい方の参考になれば幸いです。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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