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住宅ローンで3,500万円を無理なく返済できる方法は?年収の目安や月々の返済額を解説

住宅ローンで3,500万円を無理なく返済できる方法とは
マイホームを購入するために、住宅ローンの申し込みを検討している方は多いでしょう。しかし近年では住宅価格の高騰により、年収に対して借り入れできるローンの金額が、年々増加傾向にあります。

とはいえ、自分の年収で3,500万円の住宅ローンを組めるのか不安に感じている方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、住宅ローンで3,500万円を借りた際に無理なく返済できる月々の返済額の目安を解説します。また、3,500万円の住宅ローンを組む際のポイントや注意点なども解説するため、ぜひご参考ください。

住宅ローンで3,500万円を組める年収の目安

住宅ローンで3,500万円を組める年収の目安とは

住宅ローンで3,500万円を借り入れる際に必要な年収の目安は、「年収倍率」で算出が可能です。捻出倍率は、住宅の購入額が年収の何倍に値するかを示した数値のことです。年収倍率は以下の計算式で算出できます。

年収倍率(%) =住宅購入額÷年収

以前までは「年収の約5倍の住宅ローンが組める」と考えられていましたが、近年では年収の約6倍以上の借り入れが可能になるなど、変化が見られます。年収がそれほど高くない場合でも、審査に影響はするものの、頭金によっては住宅ローンが組める可能性があるのです。

今回は、「2022年度フラット35利用者調査」を参考に、年収倍率を見てみましょう。

転載:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」

上記の表を見てみると、中古が6倍前後、新築が7倍前後であることがわかります。2012年から22年までの年収倍率の上昇は続いていますが、2022年度では「マンション」「中古戸建」が横ばい、「建売住宅」ではやや下降気味であることがわかります。

ただし上記は一例であり、金利や返済期間によって異なります。あくまでも参考程度として頭に入れておいてください。

3,500万円の住宅ローンを無理なく返済できる月々の返済額

住宅ローンで3,500万円を組んだ場合に無理なく返済できる月々の返済額とは

住宅ローンを組む際に注意しなければならないのが、月々の返済額です。年収と月々の返済額が適正でなければ生活が苦しくなり、返済も滞る恐れがあります。

一方で、月々の返済額が低すぎると元本の減りが遅くなることから多くの利息が発生し、経済的な負担が増える可能性もあります。

自分の年収に合わせて適した月々の返済額を計算するためには、「返済負担率」を計算する必要があります。一般的に、無理のない返済負担率は20%以下とされています。返済負担率の計算式は、下記のとおりです。

返済負担率=年間の返済額合計÷年収÷ 100

ただし、月々の返済額は金利の種類や返済期間、返済方法などによって変動するため注意が必要です。

ここからは、一般財団法人住宅金融普及協会「返済負担率の計算」をもとに、下記の5つのケースごとに月々の適正な返済額をご紹介します。

  • 世帯年収450万円の場合
  • 世帯年収500万円の場合
  • 世帯年収600万円の場合
  • 世帯年収700万円の場合
  • 世帯年収800万円の場合

自分の年収に合わせて、ぜひ参考にしてみてください。

世帯年収450万円の場合

世帯年収450万円の方が、頭金なしで3,500万円の住宅ローンを組んだ場合の返済金額の目安は以下のとおりです。なお、固定金利は0.345%を想定したうえで、計算しています。

返済期間 返済負担率 月々の返済額
20年 40.251% 15万941円
25年 32.476% 12万1,785円
30年 27.924% 10万4,715円
35年 23.594% 8万8,478円

上記の表を見てみると、返済期間が30年の場合の返済負担率は32.1%です。1番長い35年でも、返済負担率は23%となっており、他の借り入れがある場合、返済が厳しくなる可能性があります。

世帯年収500万円の場合

世帯年収500万円の方が、頭金なしで3,500万円の住宅ローンを組んだ場合の返済金額の目安は以下のとおりです。

返済期間 返済負担率 月々の返済額
20年 36.226% 15万942円
25年 29.228% 12万1,783円
30年 24.565% 10万2,354円
35年 21.234% 8万8,475円

上記の表をもとに考えると、返済期間を35年にすると、無理なく返済できる可能性が高いでしょう。しかし、借り入れ期間が長くなるほど、元本の減りが遅く、利息の負担は増えます。総返済額とのバランスを見ながら、返済期間を検討しましょう。

世帯年収600万円の場合

世帯年収600万円の方が、頭金なしで3,500万円の住宅ローンを組んだ場合の返済金額の目安は以下のとおりです。

返済期間 返済負担率 月々の返済額
20年 30.188% 15万940円
25年 24.357% 12万1,785円
30年 20.47% 10万2,350円
35年 17.695% 8万8,475円

上記の表をもとに考えてみると、経済的に余裕がある場合は25〜30年の返済期間がおすすめです。ただし、ライフスタイルの変化での資金や教育資金を準備する必要がある場合は、30〜35年を選ぶなど、柔軟に対応する必要があります。

世帯年収700万円の場合

世帯年収700万円の方が、頭金なしで3,500万円の住宅ローンを組んだ場合の返済金額の目安は以下のとおりです。

返済期間 返済負担率 月々の返済額
20年 25.876% 15万768円
25年 20.877% 12万1,783円
30年 17.546% 10万2,352円
35年 15.167% 8万8,474円

上記の表をもとに考えると、年収が700万円以上の方であれば返済期間が短くても返済負担率は20〜25%程度に抑えられます。早く返済を終わらせたい方は20年、月々の支出が大きくなることに不安を感じる方は25年など、家計のバランスなども考えたうえで返済期間を決めましょう。

世帯年収800万円の場合

世帯年収800万円の方が、頭金なしで3,500万円の住宅ローンを組んだ場合の返済金額の目安は以下のとおりです。

返済期間 返済負担率 月々の返済額
20年 22.641% 15万940円
25年 18.268% 12万1,787円
30年 15.353% 10万2,353円
35年 13.271% 8万8,473円

上記の表をもとに考えると、年収800万円以上の方は返済負担率は低くなるものの、年収が高いため月々の返済額は大きく変化しないことがわかります。経済的に余裕がある場合は、20年でも問題なさそうです。返済期間が短いほど利息の負担が軽減されるため、より借り入れた金額に近い金額の返済になるでしょう。

ただし、年収700万円以上の方と同様に、ライフスタイルの変化による資金や教育資金が必要な場合は、経済状況に合わせて返済期間を選びましょう。

年収が450万円以下でも住宅ローンで3,500万円を組むためのポイント

年収が450万円以下でも住宅ローンで3,500万円を組むためのポイントはあるのでしょうか

年収が450万円以下でも、住宅ローンで3,500万円を組むためには4つのポイントがあります。

  • 頭金を準備する
  • 繰り上げ返済をする
  • 住宅ローン控除を利用して返済負担を削減する
  • 共働き夫婦なら収入合算やペアローンを検討する

それぞれのポイントを以下で詳しく解説します。

頭金を準備する

1つ目は頭金を用意することです。頭金とは、住宅を購入した金額のうち、最初に現金で支払う費用のことです。

頭金を用意することで住宅ローンの借入額を減らせるため、年収が低い方でも審査に受かる可能性が高まります。また、借入額を減らすことで利息も抑えられるため、経済的な負担も軽減できるでしょう。

頭金の金額は決まっていません。ご自身の経済状況に合わせて頭金の金額を決められます。ただ、一般的には、住宅購入額の10〜20%程度が頭金の目安とされているため、参考にしてください。

そのため、3,500万円の住宅ローンを組む際は、350〜700万円の頭金を用意しましょう。

購入したい物件の金額と年収のバランスが悪い方ほど頭金の金額によって審査に影響が出るので、3,500万円の住宅ローンに受かるか心配な方は、あらかじめ資金を用意しておくことをおすすめします。

繰り上げ返済をする

返済期間を長くすることで月々の返済額が低くなるため、借入額に対して年収が低い方でも審査に通る可能性が高まります。とはいえ、返済期間を長くするほど利息の負担が増えるため、途中で繰り上げ返済をすることを検討しましょう。

繰り上げ返済には、種類が2つあります。1つ目は「返済期間短縮型」です。返済期間短縮型では月々の返済額を変えずに、返済期間を短くできます。

2つ目は「返済額軽減型」です。返済額軽減型は、返済期間は変えずに、月々の返済額を減らせる方法です。

利息を減らして総支払い額を抑えたい場合は、返済期間短縮型を選ぶとよいでしょう。一方で、月々の返済額を抑えて家計やライフスタイルにともなう資金に充てたい方は、返済額軽減型がおすすめです。

年収が上がったり、ボーナスが増えたりなど、ある程度貯蓄が増えたタイミングで繰り上げ返済を検討してみてください。

住宅ローン控除を利用して返済負担を削減する

住宅ローンには「控除」があります。住宅ローン控除を利用すれば、返済負担を軽減できます。

住宅ローン控除は年末調整や確定申告で申告することで、住宅ローン残高の0.7%で算出した金額が所得控除となり、所得税を節税できるのが特徴です。

ただし、住宅ローン控除を利用する際には条件を満たさなければいけません。

  • 床面積が50平方メートル以上
  • 自分自身が居住している
  • 住宅の引き渡し日または工事が完了する日から6カ月以内に居住
  • 返済期間が10年以上

また、上記の条件を満たしていても、中古住宅の住宅ローンの場合は「1982年以降に建築されているか」なども追加条件となるため、事前の確認が必要です。

共働き夫婦なら収入合算やペアローンを検討する

共働き夫婦の場合は、収入合算やペアローンも検討するとよいでしょう。収入合算とペアローンのメリットデメリットを以下の表でまとめたので、ぜひ参考にしてください。

特徴 契約者・住宅ローンの契約 メリット デメリット
ペアローン 夫婦別々で住宅ローンを契約する 1物件に2つの住宅ローン
夫婦それぞれが契約者となる
・夫婦どちらとも住宅ローンの控除が受けられる
・夫婦どちらとも団体信用生命保険に加入が可能
・夫婦2人分の事務手数料を支払う必要がある
・夫婦のどちらかが死亡した場合、亡くなった方の債務のみ免除されるため、生存している方の債務は免除されない
収入合算 夫婦両方の収入で審査される 夫婦のどちらか1人
1物件に1つの住宅ローン
・事務手数料を安く抑えられる ・住宅ローン控除を受けられるのは主債務者のみ
・団体信用生命保険の補償を受けられるのは主債務者のみ

どちらの方法も、夫婦どちらか一方の年収だけで住宅ローンを組むよりも、借り入れ金額を増やせる可能性があります。収入合算とペアローンの大きな違いは、1つの住宅に対する住宅ローンの数です。

また、収入合算の場合は家族に万が一のことがあった場合、遺族は団体信用生命保険によって保証されるため、返済義務はなくなります。しかし、ペアローンの場合は夫婦それぞれが契約者となるため、万が一、一方の契約者に何があっても、遺族は残った住宅ローンを返済しなければなりません。

収入合算もペアローンも、メリットとデメリットがあるため、それぞれを比較したうえで、家庭に合った方法を選びましょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンで3,500万円を無理なく返済できる方法や月々の返済額の目安などを解説しました。返済額を決める際は、今回ご紹介した表をもとに検討してみてください。

また、無理なく返済できるポイントや注意点も解説したので、これから住宅ローンの申請を検討している方は、ぜひ参考にしてください。返済の負担を抑えられるポイントを先にしておけば、家計への負担を減らしながらの返済が可能となるでしょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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