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住宅ローンの完済年齢の理想は?現実とのギャップを埋める方法も解説

住宅ローンを完済するのは何歳が理想でしょうか
住宅ローンの完済年齢は多くの人にとって、将来の安定を考えるうえで重要なポイントです。完済年齢は早ければ早いほどよいですが、現実には収入の変動や生活の急変などさまざまな要因が影響し、完済までには年数がかかってしまいます。では、理想に近づくにはどのようにすればよいのでしょうか。

そこで本記事では、住宅ローンを組むにあたって理想の完済年齢を明らかにし、理想の住宅ローンを組んだ時をシミュレーション。そして、データから実際の完済年齢は何歳かを調べ、理想と現実のギャップを埋める対処法を解説します。

住宅ローンで理想の完済年齢は?

住宅ローンの理想的な完済年齢はどれくらい?
住宅ローンの理想的な完済年齢はどれくらい?

住宅ローンは何歳までに完済するのが理想ですか?おそらく多くの方は、定年までに返済を終えたいと考えるのではないでしょうか。そうなると、理想の完済年齢は65歳くらいといえます。もちろんもっと早く返済できるなら、早いほうがよりよいですが、定年退職後に収入が増える方はほとんどいらっしゃらないでしょう。また、退職後は年金で生活していく方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンの支払いが定年後まで続くことを考えると、不安に感じますよね。だからこそ、毎月お給料をもらい収入が安定している間に住宅ローンを完済すれば、資金難を心配する必要もありません。

なかには、65歳以降の設定にしていても、退職金があるから繰り上げ返済ができるので大丈夫、と考える方もいらっしゃるかもしれません。退職金が十分にある場合にはよいですが、会社の経営状況によっては退職金が思ったほどもらえない可能性もあります。また、退職金の全額を住宅ローン返済に充ててしまうと、その後の生活が圧迫されるかもしれません。

近年、医療技術の進歩などにより平均寿命が延びているため、リタイア後の生活を考えても65歳が理想の完済年齢です。

住宅ローン完済年齢が65歳になるための返済シミュレーション

住宅ローン完済年齢が65歳だと返済額はいくらなのかシミュレーションしてみます
住宅ローン完済年齢が65歳だと返済額はいくらなのかシミュレーションしてみます

本章では、65歳で住宅ローンを完済するまでのシミュレーションをおこなっていきます。シミュレーション条件は以下です。

借入金額 3,000万円
返済方式 元利均等方式
固定金利 全期間固定金利1.4%

借入時年齢別の返済シミュレーション

借り入れ時年齢 返済期間 毎月の返済額
30歳 35年 約9万円
35歳 30年 約10.2万円
40歳 25年 約11.8万円
45歳 20年 約14.3万円
50歳 15年 約18.4万円
55歳 10年 約26.8万円

借入時年齢を30歳から55歳までにし、住宅ローンを65歳までに完済するように組むと、毎月の返済額は上記のようになりました。金利の変動があれば、上記よりも金額は増減しますが、これは返済金額の一つの目安になります。
シミュレーションでは、借り入れ年齢が高いほど毎月の返済額が増えているのがわかります。65歳までの完済を目指しかつ、毎月の返済額をおさえたいなら、若いうちに住宅ローンを組まなければなりません。

実際の住宅ローン完済年齢は?

実際には住宅ローンを完済するのは何歳が多いのでしょうか
実際には住宅ローンを完済するのは何歳が多いのでしょうか

65歳で完済するためには、30歳で借り入れをするなら35年以内に返済、40歳で借りるなら25年以内に返済する計画を立てなければなりません。しかし、実際のところはどのようになっているのでしょうか。

以下の表は、国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査」のデータをまとめたものです。内容は、初めて住宅を取得する時の年齢や、平均返済期間などが示されています。

物件種目 初めて住宅を取得した時の年齢 住宅ローンの利用率(%) 住宅ローンの平均返済期間
注文住宅 もっとも多い年代:30歳代(45.1%)
平均年齢:
39.5歳
78.6% 32.8年
※建築のみ、土地購入代は除く
分譲戸建住宅 もっとも多い年代:30歳代(50.4%)
平均年齢:
37.5歳
64.9% 32.7年
分譲マンション もっとも多い年代:30歳代(45.2%)
平均年齢:
39.9歳
59.7% 29.7年
中古戸建住宅 もっとも多い年代:30歳代と40歳代同率(32.7%)
平均年齢:
43.6歳
58.6% 28.4年
中古マンション もっとも多い年代:30歳代と40歳代同率(32.1%)
平均年齢:
43.7歳
52.5% 28.5年

上記を見てみると、住宅を取得する年齢は30代が多いようですが、購入者の平均年齢は30代後半から40代前半となっています。また、住宅ローンの返済期間は30年程度が多く、30代後半から40代にかけて住宅ローンを組んで返済期間が30年だと、完済年齢は70代になるパターンもあると考えられます。理想は65歳までの完済ですが、現実はそれ以上になる場合も多いようです。

住宅ローンの完済年齢を理想に近づけるためには?

住宅ローンの完済年齢を理想に近づけるためにはどのようにすればよいでしょうか
住宅ローンの完済年齢を理想に近づけるためにはどのようにすればよいでしょうか

前章では、住宅ローンの完済年齢の現実を調べました。結果、住宅ローンの支払いは70代まで続く場合もあることがわかりました。では、住宅ローンの完済年齢を理想に近づけるためにはどのようにすればよいでしょうか?本章では、65歳までに完済する設定にするための対策と、65歳を超えてしまう時の対策を紹介します。

65歳までの完済を目指す対策

住宅ローンの設定が初めから65歳になるようにするには、どうすればよいのか解説します。

購入物件を見直し、借入金額を減らす

購入する物件を見直して借入金額を減らすのは、65歳までの完済と返済額のコントロールが重要な手段です。はじめから予算に合わせた物件を選べば、必要な借入金額を最小限に抑えられるので、月々の返済額も削減でき、65歳までの完済がより現実的なものとなります。

一般的に物件選びでは、希望する以上の広さや設備を持つ物件を選びがちです。理想の住まいへのこだわりが強すぎて、予算を超過した物件を選んでしまうと、必要以上の借入をしなければなりません。予算を超えた住宅ローンは将来的な生活負担を増やし、65歳までの完済が難しくなる要因となります。

購入物件を見直すメリットは、借入金額の削減による返済負担の軽減です。適切な物件の選択は将来の生活で経済的な余裕をもたらし、老後の生活を安定させます。

頭金を多く入れ、借入金額を減らす

頭金を多く入れるのは、65歳までの完済と返済額の抑制に効果的な方法です。まず、頭金を多く支払うと借入金額が減らせるため、月々の返済額が抑えられ、返済期間も短縮できます。借入金額が低いほうが将来の利息負担を軽減し、返済にかかる総負担を減らせます。

頭金がない、あるいは少なくして住宅ローンを組むと、借入金額が増えて月々の返済額が増加し、返済期間も長くなります。そうなると、完済年齢を65歳におさめるのが大変難しくなるでしょう。頭金を入れて借入金額を減らすと、返済期間を短縮でき、将来の金利負担も減らせます。

できるだけ金利が低い住宅ローンを選ぶ

金利の低い住宅ローンを選ぶことは、65歳までの完済で極めて重要です。低金利の住宅ローンを選択すると、返済総額が削減され、月々の返済額も抑えられます。
逆に、高金利の住宅ローンを選択すると、返済総額が増加して月々の返済額も膨らみます。毎月の返済金額が高くなり過ぎてしまうと、返済期間を延ばさなければなりません。できるだけ低金利のローンを選べば、無理なく65歳までの完済を達成する可能性が広がります。

完済年齢が65歳を超えてしまう場合の対処法

始めから完済年齢を65歳までに設定できればよいですが、必ずしもうまくいくとは限りません。では、完済年齢が65歳を超えてしまう時は、どのようにすればよいのでしょうか。

一部繰り上げ返済をおこなう

完済年齢が65歳を超えてしまう時の対処法のひとつは、一部繰り上げ返済をする方法です。繰り上げ返済をすれば、借り入れ後でも返済期間を短縮できます。繰り上げ返済には、2つの方法があります。繰り上げ返済をした資金を充当して返済期間を短くする「期間短縮型」と、期間は変えず残りの返済金額に分配して返済金額を減らす「返済額軽減型」です。特に、「期間短縮型」を選択すると、返済額軽減型よりも利息軽減効果が高いので、総返済額を減らせる利点もあります。

ただし、一部繰り上げ返済をおこなうには、毎月の住宅ローン返済と並行して貯蓄をしていかなければなりません。住宅ローンの返済と生活費の支払いでカツカツの状態では実行できません。住宅ローン借り入れ前に事前のシミュレーションをおこなっておきましょう。

借り換えをおこなう

場合によっては、住宅ローンの借り換えで金利を下げ、返済期間を短縮できる可能性もあります。最初の住宅ローン借り入れ後、より金利が低い住宅ローンが見つかった場合は検討する余地があります。借り換えは理論上、審査さえ通過できるのであれば何度でも利用できます。借り換えで金利が下がり、総返済額が減れば、返済期間を短縮できる可能性があります。ただし、タイミングよく見つかるかわからないので、繰り上げ返済よりも難しくなります。

住宅ローンの完済年齢についてよくある質問

住宅ローンの完済年齢に関してよくある質問を以下でまとめました。住宅ローンの借入期間について悩んでいる方はぜひ参考にしてください!

住宅ローンで理想の完済年齢は?

理想の完済年齢は65歳くらいです。その理由は、多くの方が定年を迎えるまでに返済を終えたいと考えているためです。一般的に定年を迎えると収入が減ることになります。また、長く住んでいると設備等のメンテナンスも必要となるため、ある程度の貯金も必要となります。
完済年齢は早ければ早いほど理想的ですが、多くの方にとって理想の住宅ローン完済年齢は65歳が目安になるでしょう。

住宅ローン完済年齢が65歳になるためにはいくら返済すればよい?

仮に3,000万円の住宅ローンを組んだとして、65歳までに完済するなら月々いくら返済していけばよいかシミュレーションしたとします。すると、30歳で35年ローンを組むと毎月の返済額は約9万円、40歳だと約11.8万円、50歳では約18.4万円になります。当然、住宅ローンを組む年齢があがればあがるほど返済期間が短くなり、毎月の返済額も遅くなればその分返済期間は短くなり、返済額も高くなります。65歳までの完済を目指しかつ、毎月の返済額をおさえたいなら、若いうちに住宅ローンを組まなければなりません。

実際の住宅ローン完済年齢は?

国土交通省のデータによると、住宅を取得する年齢は30代が多いですが、購入者の平均年齢は30代後半から40代前半となっています。住宅ローンの返済期間は30年程度が多くなりました。
その結果、30代後半から40代前半に住宅を購入した場合、30年位の返済期間があるため実際の完済年齢は70代になるパターンもあると考えられます。

住宅ローンの完済年齢を理想に近づけるためには?

65歳までに完済する設定にするためには、住宅ローンを組む前段階の試みも重要です。まず購入物件を見直し、借入金額をできるだけ減らす努力をしておきましょう。次に住宅ローン契約では頭金を多く入れ、借入金額を減らすようにします。住宅ローンを組む際には、金利が低い住宅ローンを選ぶようにするのも重要です。

それでも住宅ローンの完済年齢が65歳を超えてしまう時には、一部繰り上げ返済をおこなったり、借り換えをするのが有効です。予算や毎月の返済額の関係上、返済期間が65歳を超えてしまっても対処法があります。ただし65歳までに完済する住宅ローンを組むには、工夫が必要です。理想の住宅を手に入れるため、さまざまな方法を活用しよく検討して選びましょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンを組むにあたって理想の完済年齢を明らかにしました。多くの方が定年を迎え、収入が減ることが予想される65歳が理想といえるでしょう。しかし、初めて住宅を購入した時の年齢から実際の完済年齢を推測すると、70歳を超える場合もあるようです。
ここまで理想と現実のギャップを埋める対処法を解説しました。理想の完済年齢で住宅ローンを検討している方は、この記事を参考にしてみてください。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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