広々とした土間から富士山を一望。 薪ストーブで冬も快適に暮らせる高原の家
林業が盛んで薪を入手しやすいのもこの地域の良さ。家の向きは土間から 富士山を眺めるよう配置しており、晴れた日は壮大な景色が広がる
2020.12.18

広々とした土間から富士山を一望。 薪ストーブで冬も快適に暮らせる高原の家

自然豊かな山麓にある5人家族の住まい。 多様な居場所と大きな薪ストーブ、窓からの美しい景色が満ち足りた日々をかなえる

TRIP
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雄大な自然が広がる富士山の麓、朝霧高原で生まれ育ったご主人は、大学時代を都会で過ごす中で地元の魅力を再認識してUターン。実家の牧場を継ぎ、結婚して子どもを授かったのを機に住まいを新築することにした。

物件データ 所在地/静岡県富士宮市
面積/139.12㎡
築年月/2019年6月
設計者/菊田康平・村上譲(Buttondesign)
www.buttondesign.net
施工/E-house㈱
e-house0909.co.jp

設計を依頼したのは、自分たちのライフスタイルを知りつくした友人であり建築家の菊田康平さんと村上譲さん。冬の寒さが厳しいこの地域では、暖かく過ごせる住環境が不可欠。また、富士山の眺めをどう取り込むかも大切なポイントになった。これらのテーマを体現するのが1階の中央に設けた薪ストーブと土間空間だ。

霧に浮かぶ富士山をイメージして外観はもや靄に溶け込むオフホワイトで統一。敷地が広いため、外で音楽を楽しむことも
右手の開き戸が玄関扉だが、正面にも格子の引違い戸を設けて土間からも出入りできるようにした

「牧場経営は始終、大自然と触れ合う仕事です。外界との接点をつくりながらも〝こもり感〞を出すことが重要と考えました」と菊田さん。
 土間の西側に景色を望む大きな窓を備えているが、左右に振り分けたリビングとダイニングキッチンの窓は小さめに。2階はプライベートなエリアだが、階下とは吹抜けでつながっているため、家族の気配を感じられ、暖気も家全体に広がる。

階段はあえて住まいの中心部に寄せて、2階に開放感が出るようにした。踏板までフローリング材を使い、シンプルでも趣のあるインテリアに
土間は表面に細かい凹凸があり、触れたときにひんやりしない福島産の白河石。住まいは薪ストーブだけで全体が暖まるよう断熱性能も備えている

「じんわりとした暖かさを感じながら揺らめく炎を見るのが、この季節の癒やしです」(奥さま)薪ストーブの周りは、富士山の特別な瞬間を捉えられる特等席。朝日に照らされる様子や夕日に赤く染まる姿、星明りに浮かぶシルエットなど毎日異なる姿を見ていると、新鮮な気持ちになれる。

ダイニングキッチンはあえて天井を低く窓も小さめにして"こもり感"を演出。キッチンは手元に立上りがあるので、ゲストがいても料理に集中できる

「大きな窓を一つに絞ったことで富 士山を身近に感じられるように。住むこと以上の体験ができています」(ご主人)
 3人の子どもがいるこの家では、週末に友人家族を招いてバーベキューを楽しむことも多い。表情の異なる複数の居場所は、一家の日常の幅を広げるのはもちろん、子ども連れのゲストが来たときも活躍。傍らで遊ばせたり、昼寝をさせたり、思い思いに過ごしている。
 ベランダ向かいの一帯は、自ら所有する牧草地。自然とつながる職住一体の暮らしが、今日も家族に充足感を届けている。

2階はゆったりしたワンルームで、将来、区切って子ども部屋にすることも想定している。ゆるやかなカーブを描いた天井には、暖気を巡らせる効果が
text_ Makiko Hoshino photograph_ Akira Nakamura
取材協力

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