都心で本格的な野菜づくりが楽しめる、 農園付き賃貸住宅
採れたての野菜を使った料理を振る舞うイベントもよく開かれ、交流が楽しめる
2013.06.20

都心で本格的な野菜づくりが楽しめる、 農園付き賃貸住宅

東京の元麻布で、農家とともに土いじりと交流を楽しむ、 農業・アーバンライフ一体型の新しい住まい方

TRIP
14

都市生活者の中には、野菜づくりや庭いじりに憧れる人が少なくない。だが、畑で本格的に育ててみたいとなると、郊外の庭付き住宅に住むか、倍率の高い区民農園に申し込むなどの手段を選ばざるを得ないのが現状だ。しかし、都会の真ん中で、思い切り畑仕事ができる集合住宅がある。2011年に誕生した農園付きシェア住居「元麻布農園レジデンス」だ。こちらはもともと、外国人向けの高級レジデンスだった物件。
 「東京に住んでいても土いじりができて、農と食と交流を楽しめるコミュニティースペースがあったら面白いと考え、建物に隣接していたコインパーキングを農園にするアイデアをオーナーに提案しました」(運営会社スタッフ)。

物件データ 所在地/東京都港区
面積/(建物)床面積 499.35m²
   (農園)地積 137.45m²
築年/1978年8月
リノベーション年/2011年5月
リノベーション設計・運営/株式会社 アスラボ
www.asulabo.jp
高級感あふれる白亜のファサード。もともとは100m²超の広さがある4戸が収まっていた
東京の真ん中とは思えない本格的な農園。土には有機肥料がたっぷり入っている

農園は、住人はもちろん、地域住民にもレンタル農園として開放されている。野菜づくりのアドバイスと同時に、つくり手の思いや苦労も知ってもらいたいと、新潟県から若手農家を月に2回招き、本格的な有機野菜講座も開講しているという。さらに、建物内に設けられた「コミュニティーラウンジ」では、食にまつわるイベントやアウトドアイベントなどが毎月開催され、都心とは思えない、「農のあるくらし」が満喫できるのだ。


元麻布農園レジデンスには、ざまざまな年代、職業の男女が楽しく暮らしている
外国人向けに建てられただけあって、バスルームはアメリカのドラマのワンシーンのよう

全17室の居室に現在暮らしているのは27歳から51歳まで。入居して1年半ほどになるという下岡賢吉さん(39歳)は、デジタルプロモーション企画会社代表。料理が好きで、食に関するイベントの企画や、社会に貢献する取組みをしたいと考え、一人暮らしから、人との交流が身近にできるシェア暮らしにシフトしたという。
「仕事でデジタルにどっぷりつかっているので、野菜づくりに参加すると気持ちが切り替えられます。引越してきた最初の日、鳥の鳴き声で目が覚めたときは感動しましたね」。
 一方、会社員の西脇大喜さん(28歳)は実家が兼業農家。「子どもの頃から畑仕事を手伝っていましたが、ここで講座を受けて初めて、自分がこなしていた作業の意義が分かりました。将来も、生活の一部として農業がごく自然にある、というのが理想ですね」。 気負わずに農を楽しむ暮らしは、都会、郊外を問わず、これからもニーズが高まっていくことだろう。

アパレル会社勤務の30代女性の居室。元麻布という場所と畑のある暮らしを満喫している
有機栽培の野菜は、育ててみて初めてその苦労が分かるもの。それだけに収穫の喜びも大

text_ Takako Yoshida photograph_ Akira Nakamura

取材協力

HOMETRIP Styles of living

コミュニティーラウンジは、食に関するイベントが多いため、キッチンも広々 イベント時には30人もの参加者が訪れるというラウンジ。窓の外も緑がいっぱいだ
  • <
  • /
  • <
close
prev
next
athome
このサイトに掲載している情報の無断転載を禁止します。