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マンションの売却活動で「疲れた」と感じる理由は?対処法や見直すべきポイントを解説!

マンションの売却活動で疲れたと感じる理由や負担を減らす方法を解説します
マンションの売却活動をしていて、「思うように進まず疲れた」と感じる方もいるでしょう。不動産会社がメインとなって売却活動をおこないますが、内覧の対応や書類の準備など、売主もしなければならないことが数多くあります。

本記事では、マンションの売却で疲れたと感じる理由や、負担を減らす方法を解説します。少しでもスムーズに進めるために、できることから取り組んでいきましょう。

マンションの売却で疲れた・大変と感じる理由

マンションの売却活動で疲れたと感じる理由は何でしょうか
マンションの売却活動で疲れたと感じる理由は何でしょうか

マンションの売却活動をしていて「疲れた」「大変」と感じている方もいるでしょう。しかし、何が原因でそのように感じているのか、理由をわかっている方は少ないのではないでしょうか。理由がわかれば、対策を講じることができます。本章では、多くの方が売却活動で「疲れた」「大変」と感じる理由を解説します。

専門知識が必要になる

マンションの売却活動で疲れや大変さを感じる理由の一つに、専門知識の必要性があります。不動産の売却では、法律や税金、市場動向など、多岐にわたる知識を求められるため、すべてを自分で把握しようとすると、負担が大きくなります。

特に、売却時のトラブルを避けるためには、法律に関する知識が欠かせません。例えば、売主には契約不適合責任があり、売却したマンションが契約内容と適合していなかった場合、責任を負う必要があります。下表に、不動産売却に関係する法律をまとめました。

法律名 内容
民法 契約に関するルールが定められている
宅地建物取引業法 不動産会社が宅地や建物の取引をおこなう際のルールが定められている
不動産登記法 不動産の状況や権利の登記に関するルールが定められている
登録免許税法 不動産売買時に発生する登録免許税に関するルールが定められている

このように、マンションの売却にはさまざまな法律が関係するため、専門知識が求められます。また、納得のいく価格で売却をするためには、税金や費用、市場動向などに関する知識も求められます。売却活動は不動産会社と一緒におこないますが、知識がなければよく理解できないまま進み、場合によっては損をしてしまうかもしれません。このように、幅広い専門知識を求められることが、「疲れた」と感じる理由の一つです。

手続きが複雑で手間がかかる

マンションを売却するまでの手続きが複雑で、手間がかかることも、「疲れた」と感じる理由の一つです。マンションの売却は、次のような手順で進みます。

  1. 査定を依頼する
  2. 媒介契約を締結する
  3. 内覧者対応をおこなう
  4. 売買契約を締結する
  5. 引き渡しをおこなう
  6. 確定申告をする

査定を依頼するにも、信頼できる不動産会社を探し出すために、複数社に依頼する必要があります。また、媒介契約や売買契約などでは複数の書類が必要になり、専門用語が多く、初めての方にとっては負担になることも。さらに、売却が完了するまでには4カ月以上かかるケースが多く、その間、複数の方とやりとりをする必要があるため、「疲れた」「大変」と感じる要因となります。

内覧対応が負担になる

マンションの売却活動で疲れる理由として、内覧対応が負担になることも挙げられます。内覧は、購入希望者の判断を左右する重要な機会です。購入希望者にいい印象を持ってもらうためには、部屋を清潔に保つ必要があります。

しかし、売却予定のマンションに住みながら内覧をおこなう場合、掃除や時間調整が負担に感じることも。特にお子さんがいる場合、内覧のたびに清掃をするのが難しい場合もあるでしょう。また、内覧は週末に集中しやすいため、プライベートの予定を組みづらくなります。

さらに、内覧当日は、立ち会って購入希望者の質問に答えなければなりません。よく見せようと誤った回答をしてしまうと、のちにトラブルになる可能性もあるため、慎重に回答する必要があります。このように、内覧対応ではさまざまな面で気遣いが欠かせないため、疲れを感じる原因となります。

売却までに時間がかかる

売却までに時間がかかることも、マンションの売却活動で疲れを感じる原因です。特に、売却期間が長引くと、精神的な負担が増大し、焦りや不安を感じやすくなります。先述したように、売却するまでにはさまざまな過程があり、それぞれ時間がかかります。実際に公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」によると、中古マンションの登録から成約までにかかった日数は次のとおり。

登録から成約にかかった日数
2020年 88.3日
2021年 74.7日
2022年 71.4日
2023年 80.1日
2024年 85.3日

これを見ると、2カ月半程度となっていますが、立地が悪かったり、需要が低かったりする場合には、さらに長くなることも考えられるでしょう。

マンションの売却活動時の負担を減らす方法

マンションの売却活動時の負担を減らす方法を解説します
マンションの売却活動時の負担を減らす方法を解説します

前章では、マンションの売却活動で「疲れた」と感じる理由を見てきました。売却活動が長引くほど、精神的な負担が重くなります。また、値下げを繰り返し、思うような価格で売れなくなる可能性が高まります。本章では、売却活動時の負担を減らす方法を見ていきましょう。

余裕を持った売却スケジュールを立てる

マンションを売却する際には、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。ゆとりのあるスケジュールを立てることで、精神的な負担を減らすことができます。先述したように、マンションの売却には平均4カ月以上かかるとされています。

スケジュールを決めておかないと「早く売らなければ」という気持ちから、値下げ交渉に応じて想定より低い価格で売却してしまうおそれも。売却全体のスケジュールを決めておくと、予定からズレてしまった時に、売却活動を見直すタイミングができ、軌道修正ができるでしょう。

信頼できる不動産会社を見つける

マンションの売却活動時の負担を減らすためには、複数の不動産会社を比較検討し、信頼できる不動産会社を見つけることが重要です。不動産会社の力量や得意分野は、それぞれ異なります。比較せずに決めてしまうと、売却価格の相場感が把握できず、損をしてしまう可能性も。

例えば、売却価格が相場より大きく離れていると、買い手が見つからず、売却活動が長引く原因にもなります。複数社を比較するには手間がかかりますが、しっかり検討することで、より信頼できる不動産会社に売却活動を依頼できるでしょう。

内覧対応を不動産会社に任せる

内覧対応を不動産会社に任せると、マンション売却活動の負担を減らせます。内覧対応は、売却活動のなかでも売主の負担が特に大きい部分です。部屋の掃除や購入希望者とのやりとりなど、身体的や精神的にも労力がかかります。これらを不動産会社に任せることで、ストレスから解放されるでしょう。

また、売主のプライバシーも守ることができます。ただし、内覧が終わったあとの鍵の保管場所や「寝室は見せないでほしい」といった内覧のルールなど、事前に不動産会社と打ち合わせをしておきましょう。

必要に応じてハウスクリーニングを利用する

必要に応じてハウスクリーニングを利用することも、マンションの売却活動時の負担を減らす方法の一つです。内覧は、購入希望者の購入意欲を高める絶好の機会です。しかし、仕事や家事で忙しいなか、隅々まで掃除をするのは大変でしょう。

特に、キッチンやトイレなどの水回りは、購入希望者がよくチェックするところですが、素人では掃除が難しい部分です。プロに任せることで、マンションの印象を向上させることができ、売却につながる可能性も高められるでしょう。

書類作成や手続きを専門家に依頼する

マンションの売却活動時の負担を減らすためには、書類の作成や手続きを専門家に依頼することも一つの方法です。マンションの売却には、さまざまな書類や手続きが必要です。例えば、売主から買主へ所有権を移転する際には、登記手続きをしなければなりません。専門家である司法書士に依頼することで、不備なく手続きを進められるでしょう。ただし、依頼する際には報酬が発生するため、念頭に置いておきましょう。

売却前に引越しを済ませておく

売却前に引越しを済ませておくと、マンション売却活動時の負担を減らせるでしょう。住みながら売却する場合、内覧のたびに部屋を掃除したり、スケジュールを調整しなければなりません。しかし、売却前に引越しを済ませておけば、空室の状態にできるため、内覧対応の負担を減らせます。また、引き渡しもスムーズに進められるでしょう。

ただし、仮住まいをする場合、売却が思うように進まなかった時に、住宅ローンと仮住まいの家賃との二重負担が発生することも。新居に住む場合も、売却が遅れれば二重ローンになる可能性もあります。売却前の引越しにはメリット・デメリットがあるため、事前によく検討しましょう。

マンションの売却活動で疲れた時に見直すポイント

マンションの売却活動が進まない時に見直したいポイントを解説します
マンションの売却活動が進まない時に見直したいポイントを解説します

マンションの売却活動は、時間も手間もかかるものですが、何かを見直すことで、スムーズに進む可能性もあります。本章では、売却活動が進まない時に見直したいポイントを解説します。

売却価格が相場とかけ離れていないか

売却活動が進まない時、売却価格が相場とかけ離れていないかを見直してみましょう。価格設定が不適切の場合、購入希望者が現れず、売却活動が長引く原因となります。

例えば、売却価格が高すぎると、購入希望者が「手が届かない」と感じ、敬遠する可能性があります。反対に低すぎる場合、「何か問題があるのかも?」と不信感を持たれ、売却が難しくなるおそれも。適切な価格に設定すると、購入希望者の目に留まりやすくなり、売却につながる可能性が高くなるでしょう。売却価格の相場の調べ方は、次章で詳しく解説します。

売却活動が適切におこなわれているか

マンションの売却活動が滞っている場合、活動が適切におこなわれているかを見直してみましょう。売却活動は、チラシの配布や不動産ポータルサイトの掲載など、さまざまな方法があります。売却活動がしっかりおこなわれていれば、売却価格の変更や広告の実施などの改善策を提案してくれるはずです。もしそのような提案がない場合は、具体的にどのような売却活動をおこなっているのか、どのような改善策を考えているのか、不動産会社に確認してみましょう。

媒介契約の種類は適切か

不動産会社との契約の種類を見直すことも一つの方法です。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。下表に3種類の違いを簡単にまとめました。

契約形態 複数社への依頼 自己発見取引 活動報告義務
一般媒介契約 任意
専任媒介契約 × 2週間に
1回以上
専属専任媒介契約 × × 1週間に
1回以上

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に依頼できますが、報告義務がないことから、売却活動の状況がわかりにくいというデメリットがあります。一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約は、1社に売却活動を依頼するため、手厚いサポートが期待できます。しかし、売主の利益より不動産会社の利益を優先している場合、売却活動がなかなか思うように進まないでしょう。

例えば、需要が低く売却が難しいと考えられる場合、より積極的な売却活動を期待できる専任媒介契約や専属専任媒介契約のほうが適しているでしょう。売却活動が長引いている場合は、不動産会社との媒介契約の種類が合っているかを見直すことをおすすめします。

不動産会社との相性は合っているか

これまでにご紹介したポイントを見直しても、売却が見込めない場合、不動産会社を変更することも視野に入れましょう。不動産会社によって、得意とするエリアや物件などは異なります。

例えば、単身者用のマンションの売却を得意としている不動産会社に、3LDKといったファミリー向けのマンションの売却を依頼しても、既存顧客への紹介や販売網の活用ができないため、売却活動が滞る原因となります。

売却予定のマンションと似た物件の売却実績が多い不動産会社に売却を依頼しましょう。

マンションを売却する目的は何か

そもそもなぜマンションを売却したいのか、目的を再確認することも一つです。例えば、早く現金化したい場合、売却ではなく買取という選択肢もあります。買取とは、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらうこと。売却活動の手間がなくなるため、早ければ1カ月程度でマンションを手放すことができます。

ただし、買取価格の相場は、市場価格の7〜8割程度と安くなるため注意しましょう。しかし、売れ残る心配がないため、確実に早く手放したいという方は検討するとよいでしょう。

マンションの売却活動をスムーズに進めるためにしておくべきこと

マンションの売却活動をスムーズに進めるためのポイントを解説します
マンションの売却活動をスムーズに進めるためのポイントを解説します

これまで見てきたように、マンションの売却活動にはさまざまな過程があり、専門知識を求められます。売却活動をスムーズに進めるために、事前にしておくべきことを解説します。現在、売却活動中の方も、これから売却活動を始める方も、ぜひ参考にしてください。

売却価格の相場を把握する

売却活動をスムーズに進めるために、売却価格の相場の把握が欠かせません。相場を知ると、現実的な価格設定ができ、早期売却につながります。売却価格の相場を調べるには、以下のような方法があります。

  • 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を利用する
  • レインズマーケットインフォメーションを利用する
  • 不動産会社の査定を利用する

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、取引価格や成約価格を調べられます。レインズマーケットインフォメーションは、レインズが保有する成約価格をもとにした取引情報を確認できます。一括査定を利用すると、複数の不動産会社に査定の依頼が可能。不動産情報サイト アットホームの「不動産一括査定依頼サービス」では、物件種別、都道府県、市区町村を選択すると、無料で査定の依頼ができます。複数の情報源を活用すると、より正確な情報を得られ、適正価格を把握しやすくなるでしょう。

売却時の費用・税金を計算する

マンションの売却では、売却した際に得られる利益に目が行きがちですが、さまざまな費用や税金がかかります。これらの費用を把握しておくことで、売却時のお金に関する不安を軽減できるでしょう。マンションの売却時にかかる費用には、次のようなものがあります。

売却時に
かかる費用
内容 費用の目安
仲介手数料 売却の成功報酬として不動産会社に支払う 成約価格400万円超:売却価格×3%+6万円(税別)
印紙税 売買契約書に貼付する 売却金額に応じて変動する
抵当権
抹消費用
抵当権を抹消するための費用 不動産1件ごとに1,000円
住宅ローン
一括返済手数料
住宅ローンを一括返済するための手数料 金融機関によって異なる
譲渡所得税 譲渡所得に対してかかる税金 譲渡所得に応じて変動する

譲渡所得税の税率は、マンションの所有期間によって変わります。また、これら以外にもリフォーム代やハウスクリーニング代がかかることも。あらかじめ把握しておくと、売却後に手元に残る金額とのギャップも減らせるでしょう。

売却価格で住宅ローンを完済できるか確認する

マンションの売却活動を本格的に始める前に、売却価格で住宅ローンを完済できるかを確認しておきましょう。住宅ローンが残っているマンションを売却する時、原則として、売却代金でローンを一括返済しなければなりません。もし、売却価格がローンの残債を下回る場合、不足分を自己資金で補うか、新しく購入する住宅のローンと一緒に借り換えを検討する必要があります。

不動産情報サイト アットホームの「不動産のプロが選ぶ!「不動産売却準備で押さえておくべきポイント」ランキング」でも、「ローンの残債の確認をする」が1位に挙げられています。売却代金や資金計画に大きな影響を与えるため、金融機関に確認するなどして住宅ローンの残債を把握しておきましょう。

マンションの売却活動でよくある質問

マンションの売却活動でよくある質問をまとめました。

内覧なしでもマンションを売却できる?

内覧をせずとも、マンションの売却は可能です。ただし、内覧は購入希望者にとって判断材料を集める重要な機会です。そのため、内覧がないと物件の状態を確認できないことから、相場より価格を低く設定しなければ売却しにくくなります。また、売却期間も長引く可能性もあるため、慎重に判断しましょう。

1カ月経っても内覧の申し込みがない時はどうすればいい?

売却活動を始めて1カ月経っても内覧の申し込みがない時は、価格設定が不適切か、売却活動に問題がある可能性があります。なぜなら、売却活動を始めてから最初の1カ月は、もっとも注目が集まる時期だからです。多くの購入希望者は、新着物件の情報を常にチェックしています。

この時期に内覧の申し込みがないということは、相場よりも価格が高く候補から外されている、もしくは購入希望者の目に留まっていない可能性が高いと考えられるでしょう。そのため、次のような対策が考えられます。

  • 売却価格を見直す
  • チラシやポータルサイトの掲載写真、情報を見直す
  • 物件情報の掲載先を見直す

これらの対策をしても申し込みがない場合は、不動産会社の変更も視野に入れてみましょう。

住みながら内覧対応する時の注意点は?

住みながらの内覧は、生活感が強く出ると「使用感」が出てしまい、悪いイメージを与えてしまうおそれがあります。特に、キッチンやトイレなどの水回りが汚れていると、「状態が悪いのでは」と不安材料になることもあるため、重点的に清掃しましょう。

また、家族の予定を把握し、問題のない時間帯を確保しましょう。購入希望者は複数の物件を見て回っているため、日程が合わなければ内覧に来ない可能性もあります。内覧はアピールする絶好の機会のため、希望があれば、応えられるように準備しておきましょう。

内覧件数は平均でどれくらい?

マンションの売却が成立するまでには、平均で6〜10回の内覧が必要とされています。内覧の件数が少ないと、「本当に売れるのか?」と不安になるかもしれません。しかし、重要なのは件数ではなく、「購入意欲の高い購入希望者に見てもらえるか」です。内覧に来る方は、すでに物件に強い関心を持っている可能性が高いです。せっかくのチャンスを逃さないよう、丁寧な対応を心がけましょう。

まとめ

今回は、マンションの売却活動で疲れる理由や負担を減らす方法を解説しました。マンションの売却活動は専門知識が求められ、関係各所とのやりとりが長期間続くことなどから、多くの方が「疲れた」と感じます。

特に、内覧対応は売主にとって負担がかかるものです。しかし、内覧希望者は購入意欲がすでに高いと考えられるため、丁寧な対応を心がけましょう。マンションの売却活動が思うように進まない時には、売却価格や活動内容、媒介契約の種類などを見直してみましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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