このページの一番上へ

土地を売却する際の相談先はどこ?目的に適した相談先を紹介!

土地の売却では適切な相談先を選ぶ必要があります
土地の売却を検討していて、どこに相談するべきか悩んでいる方もいることでしょう。売却に関する全般的な内容であれば、不動産会社で問題ありません。しかし、土地の専門的な内容である場合は、目的に応じた相談先を選ぶ必要があります。

本記事では、目的に適した土地を売却する際の相談先を紹介します。土地の売却で特にメインの相談先になりやすい不動産会社・不動産買取会社・空き家バンクに関して、具体的な相談内容からどのような目的で相談するべきかを含めて詳しく解説。この記事を読むことで、土地の売却で何をどこに相談するべきかわかるようになるでしょう。

土地の売却でメインとなる相談先

 土地の売却でメインとなる相談先を紹介します
土地の売却でメインとなる相談先を紹介します

土地の売却そのものについて相談したい場合にメインとなる相談先は、不動産会社・土地の専門買取会社・空き家バンクの3つです。基本的な売却相談であれば不動産会社、土地の状況によって相談を検討する場所が不動産買取会社・空き家バンクになります。

それぞれ具体的な相談内容の例、どのような目的で相談するべきかを詳しく解説します。

不動産会社

不動産会社は、土地の売買仲介、市街地開発、資産運用コンサルティングなど幅広いサービスを一貫して提供します。広義では施工会社・管理会社も含まれますが、土地の売却を相談する不動産会社は、法的に宅地建物取引業者として認められた会社を指します。

幅広い疑問に対応できることから、土地の売却時に出発点となる窓口です。大手から地域密着型まで、多様な不動産会社が全国に存在します。2024年時点で宅地建物取引業者数は約13万であり、10年連続の増加となりました。日本では住んでいる場所を問わず、相談しやすい環境が整っています。

相談内容の例

不動産会社は不動産に関することであれば全般的に相談できる場合が多いでしょう。例えば相続登記は済んでいるものの、土地の相場がわからない場合に大まかな売却益を知るための相談などが挙げられます。

どのような目的で相談するべきか

初めて土地を売却するケースでは、上記の相談内容のとおり「何から手を付けていいのかわからず困っている」という状態に陥りやすいです。不動産会社に相談して現状を整理することで、これから何をするべきかわかるようになるでしょう。

また、基本的に不動産会社では土地の査定が無料でできるため、査定の相談にも適しています。登記や法的トラブルなど専門家が必要になる分野を除いて、土地の売却に関する総合的な相談ができるでしょう。

不動産買取会社

不動産買取会社は売買を仲介するのではなく、自社の資金で土地を直接買い取るビジネスモデルを採用しています。現行の建築基準法では建物を新たに建てられない再建築不可物件、他の人と所有権を共有している不動産の共有持分など、通常の仲介では買い手を見つけることが難しい土地も存在します。

このような課題のある土地でも、不動産買取会社に相談すれば現金化が可能になるでしょう。ただし、不動産買取会社の買取価格は市場価格と比較すると、低く設定されることが多いです。

相談内容の例

所有している土地が再建築不可なために売却活動が難航しており、市場より低い相場でもできるだけ早めに売却したい場合の相談などが挙げられます。

どのような目的で相談するべきか

例に挙げた相談内容では「保有している土地が現在の法令では再建築不可とされている」ことが問題です。隣地の買取による合筆や、敷地の一部を道路として提供するセットバックなどの手続きにより、土地に建物を建築できる状態にしなければ、買い手を見つけることは難しいでしょう。不動産買取会社は再建築不可物件を活用するノウハウがあるため、通常では買い手が見つかりにくい土地でも買い取ってもらえます。よって、条件が厳しい場合など買い手が見つかりにくい土地の売却を相談したい場合におすすめです。

また、仲介による売却と比較して、不動産買取会社の買取は数日から長くても1カ月程度で完了します。不動産をなるべく早く売却してお金を用意したい事情がある場合の相談先に適しているでしょう。

空き家バンク

空き家バンクは、市町村が運営する空き家・空き地の情報提供プラットフォームです。自治体に物件を登録し、所在地・築年数・補修履歴・希望条件などを公式サイトや広報誌で公開します。

購入希望者が興味を示すことで、空き家を売りたい人と買いたい人をマッチングする制度。土地の売却では、空き家が建っている土地を売却したい場合に利用できます。ただし、空き家バンク自体は物件の売却活動を一切おこないません。購入希望者が現れてマッチングした場合は、自治体が不動産会社に引き継ぐサポートをしてくれます。

相談内容の例

築年数が経過し、劣化してしまった古屋付きの土地を、建物を解体しないままに売却したい場合などが挙げられるでしょう。

どのような目的で相談するべきか

建物は、一定の築年数が経過してしまうと価値がほとんどなくなるため、不動産全体の価値が土地の価値と同等に評価されることが多いです。よって、買い手を見つけるには空き家の解体が前提となります。もし、空き家を建てたまま売る場合には、解体費用の負担分の値下げを交渉されることもあるでしょう。

空き家のまま売るためには、自治体の空き家担当窓口に相談して、空き家バンクに登録する方法が考えられます。空き家バンクの物件情報は自治体の公式サイトと広報誌に掲載され、地方への移住希望者の目に留まりやすくなります。

自治体の移住支援制度と連携して、購入希望者に空き家の改修費用の助成制度を紹介してもらえば、空き家のままでも売りやすくなるでしょう。地方への移住希望者のなかには古い家を好む人もいるため、通常の売却活動では見つからない需要があります。買い手がつきにくい空き家が建った土地を売却する際は、空き家バンクへの相談も検討しましょう。

土地の売却に関する目的に適した相談先

土地売却に関する目的に適した相談先を紹介します
土地売却に関する目的に適した相談先を紹介します

土地の売却を進めていくなかで、不動産会社以外の専門家への相談が必要になる場合があります。相談の目的と対応する相談先を以下の表にまとめました。

相談の目的 相談先
測量と境界に関する相談 土地家屋調査士
土地の適正価格に関する相談 不動産鑑定士
登記に関する相談 司法書士
農地の売却に関する相談 行政書士
ローン・抵当権抹消に関する相談 利用している金融機関
法的なトラブルに関する相談 弁護士
税金に関する相談 税理士

それぞれ詳しく見ていきましょう。

測量と境界に関する相談:土地家屋調査士

土地家屋調査士は、隣接地との境界を調査・測量する、土地の測量に関する国家資格者です。境界確定測量は、売却後のトラブル防止に必須の手続きであり、土地の境界が不明瞭なことによる隣地との所有権争いを未然に防ぎます。

保有している土地の境界が不明瞭である場合は、土地家屋調査士に相談して境界を確定させましょう。土地の境界が確定していれば、買い手にも安心感を与えられます。

土地の適正価格に関する相談:不動産鑑定士

不動産鑑定士は、市場価格に左右されない土地の適正な価格を求める専門家です。地価公示などの公的指標を参照して、客観的に正しいと考えられる鑑定評価額を算出します。

不動産の正確な価値を把握したい場合に相談しましょう。親族間での不動産を売買するケースでは、不動産鑑定士が鑑定する鑑定評価額に基づいた取引が重要になります。

登記に関する相談:司法書士

司法書士は、不動産登記手続きを代行する法務の専門家です。ローン完済後の抵当権抹消など、専門家でなければ難しい登記手続きを代行してもらえます。

土地の売買ではトラブルを防ぐために、司法書士に引き渡し時に立ち合いを求め、その場で登記手続きをおこなうことが一般的。また、土地を相続した場合は、相続登記により売却前に被相続人の名義から相続人の名義に変更する登記手続きが必要になります。登記の相談と依頼は司法書士に任せましょう。

農地の売却に関する相談:行政書士

農地は売却・転用に行政手続きが必要であるため、行政手続きを専門にサポートする行政書士への相談が必要です。売却予定地の法令制限を確認して、必要な許可を明確にしたうえで申請書類を作成してくれます。

農地の売却は、農業委員会の許可が下りたあとにおこなうことが一般的。しかし、許可取得前に契約を締結して、許可が下りなかった際の取り決めを明確にする停止条件付き契約を結ぶこともできます。契約を結ぶ際も、行政書士に契約条項の文言のチェックを依頼しましょう。

ローン・抵当権抹消に関する相談:利用している金融機関

住宅ローンを利用して取得した土地を売却する際は、抵当権を抹消する必要があります。抵当権は融資の際に、借り手が返済できなくなった場合に備えて、金融機関が土地を担保に設定する権利です。抵当権を抹消する場合は、住宅ローンを契約している金融機関に相談しましょう。

手続きを怠ると、買主への名義変更ができず、売買契約が完了しないことも。一般的には、抵当権を持つ金融機関は土地の引き渡しに立ち合い、買主から売却代金を受け取ったタイミングで残債の返済を完了させます。

法的なトラブルに関する相談:弁護士

土地の売買で法的なトラブルに巻き込まれた場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。契約解除や損害賠償など法的な解決をおこなう必要がある場合は、早い段階で弁護士を介入させることで解決しやすくなります。相談する場合は、不動産問題に強い法律事務所や弁護士に絞って選ぶと成果を期待しやすくなるでしょう。

税金に関する相談:税理士

土地を売却して得た利益には、譲渡所得税・住民税がかかります。税金に関する相談をしたい場合や、確定申告を代行してもらう場合は税理士に相談しましょう。税理士に確定申告を依頼すると、利用できる節税制度を含めて最適な状態で申告してもらえるため、依頼料以上の節税効果が発生することも。土地を相続して売却する場合は、相続税対策を含めて相談を検討しましょう。

土地の売却を相談する際のポイント

土地の売却を相談する際のポイントを紹介します
土地の売却を相談する際のポイントを紹介します

土地の売却を相談する際のポイントを詳しく見ていきましょう。

求められた必要書類は忘れずに準備する

土地の売却の相談では、土地の情報を記録した登記事項証明書をはじめ、相談先によって異なる書類が求められます。相談先にコンタクトを取る際や、公式サイトなどで必要書類が記載されている場合は、忘れずに準備しましょう。

必要書類がなくても相談できる場合もありますが、書類がないと担当者との具体的な相談ができない可能性があります。相談の時間を有意義に活用するためにも、十分に準備をして臨むようにしましょう。

相談内容に適した相談先を選ぶ

土地の売却に関する悩みはさまざまありますが、上記で紹介したとおり、相談内容に適した相談先を選ぶことが重要です。正しい相談先に相談することで、的確なアドバイスと土地の売却に関する依頼ができます。

基本的には不動産会社に相談することになりますが、特殊な土地の場合は不動産買取会社・空き家バンクに相談します。また、専門家の知識が必要な場合は、相談内容に適した専門家に相談しましょう。

無料で相談しやすい公的機関の利用も検討する

専門家に相談する場合は、初回の相談だけであれば無料になることもありますが、有料になるケースも存在します。そのため、解決しやすい問題の場合は、公的機関の無料相談窓口を活用することも選択肢の一つです。相談の目的と代表的な公的機関の無料相談窓口を以下にまとめました。

相談の目的 相談先
不動産に関する基本的な相談 市役所・区役所
登記に関する相談 法務局
法的なトラブルに関する相談 法テラス
(日本司法支援センター)
税金に関する相談 国税庁

公的機関への相談は基本的に無料であることから気軽に相談しやすいです。専門家に相談する前に、公的機関への相談を検討しましょう。

まとめ

土地の売却を成功させるには、自身が直面している課題に対して適切な相談先を選ぶことが重要です。抱えている課題がわからない状態にある場合は、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。

また依頼する不動産会社を決める際は、複数の会社に相談してから、安心して任せられる不動産会社を選んで手続きを進めましょう。比較対象がないまま一つの不動産会社のみに依頼すると、売却額の相場が分からず、不適正な価格で売却されてしまっても気づくのが難しくなってしまうためです。

土地の売却では不動産会社に相談したあとも、専門家の助けが必要になる場面があるため、専門知識を有する相談先を選んで相談しましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る