2LDKマンションは本当に売れない?売れにくい理由と高く売るための対策

記事の目次
不動産市場での2LDKマンションの特徴

マンション市場のなかでも、2LDKは常に需要がある間取りの一つです。ファミリー層に人気の3LDKについで選ばれることが多く、特に2〜3人暮らしを想定した住まいとして注目を集めています。まずは、「資産性」「購入者層」「売却時の相場」の3つの観点から、2LDKマンションの持つ魅力を詳しく解説します。
2LDKマンションの資産性
2LDKマンションは、2つの居室に加えリビングを備えたシンプルな構成で、幅広い世帯に適したバランスのよさが特徴です。居住ニーズが安定しているため、資産価値が大きく下がりにくい点が評価されています。特に、交通利便性の高い駅近物件や都心の好立地に建つマンションでは、購入時の価格よりも高額で売れるケースもあり、リセールバリューを期待できる物件が多いことも魅力です。
また、「1LDKでは狭さを感じるが、3LDKでは広すぎて管理が大変だ」と考える世帯にフィットするのも強みの一つ。例えば、子どもが独立した夫婦や、効率的な住まいを重視する共働き夫婦に選ばれやすく、「無駄のない快適な住まい」として需要が継続しています。
こうした中間的な間取りの柔軟さと、都市部を中心とした高いニーズが、2LDKマンションの資産性を支える要因となっています。
2LDKマンションを選ぶ主な購入層
2LDKのマンションは、2〜3人暮らしに適した広さを持ち、生活スタイルに合わせて使い方を調整できる点が支持されています。実際に購入している層は以下のような世帯です。
- 子どもを持たない共働き夫婦(DINKs)
- 子育てを終えた中高年夫婦
- 予算を抑えて住宅を購入したい若いファミリー層
DINKsの場合、仕事とプライベートの両立を意識しやすく、デザイン性や立地条件にこだわった物件を選ぶ傾向にあります。社会の多様化やライフスタイルの変化にともない、この層は今後も拡大していくと考えられます。
また、子どもが独立したあとの夫婦にとっても、広すぎない2LDKは管理がしやすく、老後の暮らしを見据えた住み替え先として人気です。さらに、マンション価格の上昇を背景に、本来3LDKを検討していたファミリー層がコストを抑えるために2LDKを選択するケースも増加しており、実需層の広がりが売却市場の安定につながっていると考えられるでしょう。
2LDKマンションの売却相場
実際の相場感を把握するために、首都圏での中古マンションの間取り別平均価格を確認してみましょう。公益財団法人東日本不動産流通機構の「年報マーケットウォッチ2024年・年度」によると、間取り別に見た平均価格は次のとおりです。
間取り | 平均価格 (万円) |
平米単価 (万円/平方メートル) |
専有面積 (平方メートル) |
---|---|---|---|
ワンルーム | 2,058 | 81.98 | 25.11 |
1LDK・1DK | 4,182 | 104.04 | 40.20 |
2LDK・2DK | 5,773 | 93.69 | 61.62 |
3LDK・3DK | 5,003 | 68.74 | 72.78 |
4LDK・4DK | 4,761 | 51.53 | 92.38 |
中古2LDKの平均価格は5,773万円で、3LDK(5,003万円)や4LDK(4,761万円)より高く売買されています。また、平米単価を見ると2LDKは93.69万円/平方メートルと1DK・LDKについで高く、少人数世帯にニーズが高い間取り帯は、平米単価の高い立地で成約していることがわかるでしょう。
さらに、新築分譲マンションの契約率を見ると、2LDKの需要の高さがより明確になります。株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年7月」によると、新築分譲マンションの契約率は次のとおりです。
間取り | 発売戸数 | 契約戸数 | 契約率 |
---|---|---|---|
1LDK | 267 | 239 | 89% |
2LDK | 436 | 310 | 71% |
3LDK | 1,228 | 777 | 63% |
4LDK | 67 | 31 | 46% |
契約率を見ると、2LDKは71%と3LDKの63%を上回っています。供給数は限られているものの、需要が安定していることがうかがえます。契約率では1LDKについで高く、少人数向けの住まいが市場で求められていることが明確です。
このように、価格・平米単価・契約率のいずれをとっても、2LDKマンションは資産性と需要の両面で高く評価される間取りといえるでしょう。
2LDKマンションが「売れにくい」と言われる理由

2LDKのマンションは一定の需要があるにも関わらず、「売れにくいのでは?」という印象を持たれることがあります。このような誤解の背景には、2LDKならではの立ち位置が関係しています。
そもそも2LDKは、1LDKでは狭いと感じる層と、3LDKでは広すぎると考える層の「中間」をターゲットにした間取りです。柔軟性が強みである一方で、購入希望者のライフスタイルや家族構成に合わない場合には、売却がスムーズに進みにくいこともあります。なぜ「売れにくい」と言われているのか、それぞれの理由を順に見ていきましょう。
単身世帯には広すぎると感じられる
一人暮らしをしている人にとって、2LDKは「広すぎて必要ない」と判断されることが多く、そもそも購入候補に入らない場合があります。そのため「売れにくい」というイメージがつきやすくなっています。一般的に単身者が選びやすい間取りは、ワンルームや1LDKなどのコンパクトな間取りです。必要十分な生活スペースを確保できるだけでなく、価格や管理の面でも現実的な選択肢になるでしょう。
それに比べ、2LDKは部屋数が多すぎると感じられるうえ、価格も1LDKより高めに設定されていることがほとんどです。このような事情から、単身者にとっては「広さも価格もオーバースペック」と受け取られやすく、売却のしづらさにつながるケースがあります。
ファミリー世帯にはやや手狭と感じられる
一方で、子どもが2人以上いる家庭にとっては、2LDKは部屋数が足りないことも多く、結果として購入対象から外れる傾向にあります。ファミリー層に定番として選ばれているのは、3LDK以上の間取りです。3LDKであれば、夫婦の寝室に加え、子ども部屋を2つ設けられるため、子どもが成長しても各自の部屋を確保しやすく、長期的に暮らしやすい住まいとされています。
しかし2LDKでは、子どもの成長とともに部屋数が足りなくなり、将来的に住み替えを余儀なくされる可能性も。上記の点を考慮し、「長く暮らすには不安」と判断して、ファミリー層が2LDKを避けるケースが多くなっています。
収納が少なく見えやすい
2LDKは収納スペースが限られていることがあり、購入希望者から「住みにくそう」と思われてしまうケースもあります。一般的に収納の数は居室数に比例しており、2LDKでは2か所程度、3LDKでは3か所などの配置が多い傾向です。さらに専有面積も3LDKに比べて小さいため、「収納が少ない=生活が不便そう」なイメージを持たれやすいでしょう。
実際には、2LDKでも2〜3人の暮らしであれば、十分な収納量を確保できるケースもあります。しかし、マンション市場の主流が3LDKであることから、比較するなかで2LDKは「収納不足の物件」と誤解されてしまうことも少なくありません。
所有する2LDKマンションが売れない時に考えられる要因

2LDKマンションは、夫婦2人暮らしなど、幅広い層に選ばれる人気の間取りです。前章でも触れたとおり、「2LDKだから売れにくい」という根拠はなく、むしろ市場では安定した需要があります。それでも思うように売却が進まない場合は、物件自体の条件や売り方に問題が隠れていることがあります。ここでは、2LDKマンションが売れ残る原因としてよく見られる4つの要因を詳しく見ていきましょう。
ターゲット層に合わない立地条件
2LDKマンションを購入する層の多くは、共働きの夫婦(DINKs)や子育てを終えて暮らしをコンパクトにしたい夫婦世帯などです。これらの層にとって重要なのは「生活の便利さ」。駅までのアクセス、スーパーマーケットや病院の有無、周辺の治安や環境などが重視される傾向にあります。
そのため、最寄り駅から遠い場所や、商業施設が少ないエリアの物件は、どうしてもターゲット層に響きにくくなります。特に共働き夫婦にとっては、通勤のしやすさが購入判断の大きな要素となるため、駅まで徒歩圏内でない場合は候補から外れることに。
一方で、郊外や閑静な住宅街を好む人もいますが、その層はファミリー向けの3LDKや4LDKを求める傾向が強いため、2LDKとの相性はあまりよくないでしょう。つまり「需要はあるのに、そのエリアの層とはかみ合っていない」などのミスマッチが生じ、結果的に売却が長引くケースも少なくありません。
間取りや設備に魅力が乏しい
購入希望者が物件を選ぶ際、「間取りの使いやすさ」と「設備の新しさ・清潔さ」はとても重要です。2LDKは「コンパクトながらも快適に暮らせること」が求められるため、この条件が欠けていると選択肢から外れてしまうケースも。例えば、リビングが狭く家族でくつろぐイメージが湧かない、収納スペースが少なく荷物を置く場所に困る、キッチンや浴室が古く使い勝手が悪そうなどの点があると、購入希望者はすぐに他の物件に目を移してしまいます。
また、間取りが個性的すぎる場合も注意が必要。実際に住むことを想像しにくい間取りは使いづらそうな印象につながり、候補から外される原因になります。しかし、内装や設備は多少古くても、清潔に整えられていれば印象は変わるでしょう。そのため、リフォームやハウスクリーニングをおこない、見た目の魅力を高めることが売却成功のカギです。小さな改善でも「住みやすそう」と感じさせられるかどうかが、購入希望者の心を動かすポイントになります。
売却活動の不足や工夫の欠如
物件そのものに大きな問題がなくても、「売却活動の進め方」で売れ残るケースも少なくありません。売却活動が不十分だと、そもそも購入希望者の目に留まらないためです。よくある例としては、以下が挙げられます。
- 一般媒介契約を結んでいるために不動産会社が積極的に販売しない
- 物件情報がレインズ(不動産流通標準情報システム)に掲載されていない
- 広告の掲載数が少ない
- 内覧対応が形だけで熱意を感じられない
このようなケースでは、せっかくの物件の魅力が市場に十分に伝わりません。解決策としては、以下が挙げられます。
- 専任媒介契約や専属専任媒介契約に切り替える
- 不動産会社に広告や内覧対応の改善を依頼する
- 売主自身も積極的に内覧に協力する
購入希望者は「住みたい」と思えるイメージを求めているため、案内時の印象は大きな影響を与えます。売主が自らの言葉で物件のよさを伝えることも、信頼感を高める一つの手助けとなるでしょう。
周辺相場と合わない価格設定
物件を探す購入希望者は、複数のマンションを比較して検討していることがほとんどです。その際に真っ先にチェックされるものが価格。相場より高ければ「同じ広さで安い物件が他にある」と判断され、検討の土台にすら乗らないことがあります。特に数百万円単位で相場とかけ離れている場合、詳細を見てもらう前に敬遠される可能性が高まります。
反対に、相場より安すぎる場合も要注意。一見お得に見えても、「なぜここまで安いのか?」「瑕疵があるのでは?」と不安を抱かれ、結果的に内覧すら入らないことがあります。マンションの購入は人生に壮大な影響を与える大きな買い物だからこそ、とても慎重に判断しています。
価格設定を誤ると、せっかく魅力のある間取りや立地でも、購入希望者に届く前に選択肢から外されてしまうでしょう。そのため、査定は複数社に依頼し、最新の取引事例や相場と照らし合わせながら現実的な価格をつけることが重要です。
高く売りたいと思うのは自然なことですが、売れ残りが長引けば最終的に値下げせざるをえなくなり、結果的に損をしてしまうリスクもあります。
専門家に相談してみる
これまで紹介した方法を試しても、売却が難航している場合、不動産会社そのものを見直してみましょう。仲介実績が豊富な会社ほど、広告展開や販売戦略のノウハウが整っており、適切な価格設定や効果的な販促をおこなってくれる可能性が高いからです。
また、売主一人ひとりの事情に応じて「早く売りたいのか」「なるべく高く売りたいのか」などの希望を踏まえたプランを提案してくれるのも、経験豊富な不動産会社の強み。独力で悩み続けるより、専門家に相談することでスムーズに解決できることも多くあります。
2LDKでも売れやすいマンションの特徴

「2LDKは売れにくい」と耳にすることもありますが、すべての物件がそうとは限りません。むしろ、立地や設備、住環境などの条件がそろっていれば、3LDKに匹敵する人気を集めることもあります。ここでは、売れやすい2LDKマンションの特徴を解説します。
駅から近く生活利便性に優れている
マンション選びの際、重視されやすいのが「立地」です。特に駅から徒歩圏内にある2LDKマンションは、通勤・通学の利便性が高く、多くの購入希望者から注目されやすい傾向にあります。また、周辺にスーパーマーケット、病院、学校、商業施設などが揃っていれば、生活環境が整っている点も魅力として強調できます。「3LDKは広すぎるけれど、立地条件を優先したい」という共働き夫婦やシングル層にとって、駅近の2LDKは理想的な選択肢となるでしょう。
住環境が整っている
マンションの価値は、間取りや築年数だけでなく「住環境の快適さ」にも左右されます。例えば、日当たりや風通しがよい物件、窓からの眺望が開放的な物件は、それだけで大きな魅力になります。また、周囲が閑静で落ち着いた住宅街にある、災害に強い立地に建っているなどの条件も、購入希望者にとって安心感につながるでしょう。2LDKはファミリー層よりもDINKsや単身者がターゲットになりやすいため、「暮らしの質」を重視する層に響くアピールが有効です。
専有面積が広い
2LDKと一口にいっても、専有面積によって印象は大きく異なります。一般的な2LDKは50~60平方メートル程度ですが、60平方メートル以上あれば「広めの2LDK」として評価されやすく、売却の際にも有利に働きます。リビングが広くとれる、各部屋にゆとりを持てるなど、住みやすさの魅力を強調できる点も大きなポイントです。
管理が行き届いている
マンションを購入する際、物件の内部だけでなく「管理体制」も重視されます。エントランスやエレベーターホール、廊下、ゴミ置き場など共用部分が清潔で整えられていると、買い手に安心感を与えられます。反対に管理が行き届いていないと、築年数が浅くても印象が悪くなることも。管理人の常駐や清掃体制、防犯カメラなどのセキュリティが整っているかどうかも、売れやすさを左右する大切なポイントです。
付加価値がある
他の物件にはない「付加価値」を持っているマンションは、2LDKでも売れやすくなります。例えば、以下が挙げられます。
- 高い人気のあるマンション(ブランド)
- オートロックや最新の防犯カメラによるセキュリティ
- ペット可物件としての希少性
- 敷地内駐車場や駐輪場の充実
- 共用施設(宅配ボックス、ラウンジ、フィットネスルームなど)の利便性
このような付加価値は、実際の生活を豊かにするだけでなく「この物件に住みたい」と思わせる大きな決め手になります。特に、近年は共働き世帯の増加により宅配ボックスの需要が高まっており、実用性のある付加価値はセールスポイントとして強くアピールできるでしょう。
収納が多い
2LDKは部屋数が限られるため、収納の有無や広さは暮らしやすさに直結します。特にウォークインクローゼットやシューズインクローゼットなどの大容量収納がある物件は人気が高く、実際の生活をイメージしやすいため購入につながりやすい傾向があります。収納が多いと「実際の居住空間を広く使える」などのメリットもあり、他の2LDKとの差別化要素として大きな強みになるでしょう。
2LDKのマンション売却を成功させるポイント

2LDKのマンションは安定した需要がある一方で、物件によっては売却が長引いてしまうケースもあります。そのような場合に重要となるのが「販売戦略」です。ここでは、売却をスムーズに進めるために意識したいポイントをご紹介します。
ターゲット層に合った販売戦略を立てる
2LDKマンションを売却する際は、まず「どの層により響く物件なのか」を明確にしなければなりません。購入を検討する層としては、共働き夫婦(DINKs)、価格を重視する若いファミリー層、または子どもが独立したシニア夫婦などが挙げられます。
例えば、DINKsをターゲットにするなら「駅からのアクセスのよさ」「デザイン性の高い内装」「在宅ワーク向けの書斎スペース」などのライフスタイルに直結する魅力を強調すべきです。反対に、コストを抑えて持ち家を手に入れたいファミリー層に向けては「十分な収納」「学校や公園の近さ」「3LDKよりも価格を抑えられる点」が強みになります。
このように、誰に向けて売るのかを具体的に想定することで、広告の打ち出し方や内覧対応の準備がより効果的になるでしょう。漠然と「広く売りたい」と考えるよりも、ターゲットを絞って戦略を立てたほうが、結果的に売却成功への近道となります。
2LDKならではの間取りの強みを訴求する
売却をスムーズに進めるためには、2LDKにしかない魅力をしっかりと伝えることが重要です。1LDKと比較した場合、「夫婦それぞれが自分の部屋を持てる」「仕事部屋と生活空間を分けられる」などの快適さをアピールできます。
また、3LDKと比べると「コンパクトで無駄がない」「光熱費や管理費を抑えられる」「掃除や片付けの負担が少ない」などの日常生活に直結するメリットを伝えられます。購入希望者は「この間取りで自分たちの生活がどう変わるか」を想像するため、そのイメージを具体的に描けるような説明や写真の見せ方が効果的。「2LDKだからこそ叶う暮らし方」を提示することが、購入希望者の心を動かす大きなポイントとなります。
実績豊富な不動産会社に相談する
物件のよさを的確に市場に届けるには、不動産会社の力が欠かせません。特にマンション売却に強い会社は、広告の出し方や販売戦略の立て方にノウハウがあり、ターゲット層に合わせた提案をおこなってくれるため、売却のスピードや価格に大きな差が出ることがあります。
また、媒介契約の種類によって、売却活動に影響が出る可能性があります。一般媒介契約を結んでいる場合は、不動産会社が積極的に販売活動をおこなわないことも。その場合は、専任媒介契約や専属専任媒介契約に切り替える、または他の不動産会社に相談し直すことも選択肢です。売却戦略が変わるだけで、購入希望者の反応が大きく変わることも少なくありません。「なかなか売れない」と感じた時こそ、信頼できるパートナー選びが成功のカギになります。
内覧準備・対応を徹底する
2LDKマンションは間取り上、内覧時の印象によって評価が大きく変わる傾向があります。実際に「問い合わせはあるのに契約につながらない」などのケースは少なくありません。その多くは、内覧時に与える第一印象が弱いことが原因となっています。
まず基本となるのは「清掃」です。部屋が散らかっていたり、埃や汚れが目立っていると、せっかくの物件の魅力が半減してしまいます。特に水回り(キッチン・浴室・トイレ)は重視されるポイントの一つとして清潔感が求められるため、徹底した掃除をおこないましょう。
次に注意したいのが「臭い」です。人は部屋に入った瞬間の匂いで印象が左右されることも。内覧前にはしっかり換気をおこなうことが大切です。ペットやタバコの臭いは特に嫌われやすいため、消臭剤を活用したり、カーテンやソファなど布製品を洗濯することも効果的です。
さらに、内覧時には物件の魅力をわかりやすく伝える準備も必要です。例えば、DINKsをターゲットにしている場合には「在宅ワークが快適にできるスペース」や「夫婦それぞれがプライベートを確保できる間取り」などを説明すると効果的です。シニア夫婦が内覧に来た場合には、「近隣施設の利便性」「段差の少なさ」など、生活の安心感につながる情報を重点的に伝えるとよいでしょう。
内覧は単なる見学の場ではなく、購入希望者に「ここで暮らす未来」をイメージしてもらう重要な場です。そのため、事前準備を怠らず、来訪者に合わせた対応を徹底することで、成約率を大きく高められます。
2LDKのマンションが売れない場合の選択肢

戦略を工夫しても売却や値下げが難しい事情がある場合には、売却以外の選択肢も検討してみましょう。ここでは代表的な方法をご紹介します。
不動産会社に買取を依頼する
通常の仲介で買い手が見つからない場合でも、不動産会社による「買取」があります。これは不動産会社が直接物件を購入する仕組みで、買い手を探す必要がないため、スピーディーに現金化できる点が大きなメリットです。売却時期が限られている場合や、早急に資金が必要なケースにおすすめです。
ただし、買取価格は仲介で売却する場合よりも低めに設定されることが一般的。これは、不動産会社が購入後にリフォームや再販売をおこなう際のコストを見込んでいるためです。それでも「売却価格より時間を優先したい」「早く売って次のステップに進みたい」などの場合には、安心かつ確実な方法の一つでもあります。
賃貸物件として活用する
売却を無理に進めず、所有している物件を賃貸として貸し出す選択肢もあります。賃貸に出せば家賃収入を得られ、空き家のまま所有するよりも経済的なメリットがあります。さらに、将来的に売却を再検討する際にも「賃貸実績のある物件」として価値を高められる場合も。
ただし、住宅ローンが残っている場合には契約違反になる可能性があるため、借り入れをおこなった金融機関に確認が必要です。また、賃貸経営には入居者募集や設備の維持、家賃滞納・空室リスクへの対応など、一定の手間と知識が求められます。自主管理が難しい場合は、管理会社に委託することも視野に入れるとよいでしょう。売却が難しい時の「つなぎ」にも賃貸活用は有効な手段です。
3LDKへリフォームして売却する
2LDKを3LDKにリフォームしてから売却する方法も一つです。3LDKはファミリー層に根強い人気があり、物件のターゲット層を広げられる可能性があります。特に立地や築年数が良好であれば、部屋数の増加によって購入検討者の目に留まりやすくなるでしょう。
ただし、売却を目的としたリフォームにはリスクもともないます。リフォーム費用を価格に上乗せしても、購入希望者にその価値が伝わらなければ、投資した分を回収できない可能性があります。
また、最近では「購入後に自分好みにリフォームしたい」ニーズも高まっており、完成済みのリフォーム物件は敬遠される場合も少なくありません。そのため、リフォームを検討する際は、不動産会社と相談し、費用対効果をしっかりと見極めることが重要です。
マンションの売却に強い不動産会社の特徴

2LDKのマンションは、3LDKと比べると需要がやや限定されるため、「売却が難しい」と感じるケースも少なくありません。そのため、売却を検討する際には、経験豊富でマンション売却に強い不動産会社への仲介依頼が重要なポイントとなります。売却に強い不動産会社にはいくつかの共通点があり、依頼先を見極める際にはそのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、マンション売却に強い会社の特徴を詳しく解説します。
マンションの販売実績が豊富にある
まず注目すべきは、その会社がマンション売却の実績をどれだけ持っているかです。販売実績が豊富な会社は、それだけ多くの取引を成立させてきた経験を持っています。エリアごとの市場価格や購入希望者の傾向、成約につなげるための広告戦略などを熟知している可能性が高く、早期売却に期待できるでしょう。
また、実績が豊富な不動産会社には、地域に根差した独自のネットワークを築いているところも多く、売却を検討している段階から的確なアドバイスを受けられるメリットがあります。「ただ売る」のではなく、「どうすれば早期かつ希望に近い価格で売れるのか」という戦略を立ててくれる点が強みです。
交渉力と販売力が強い
マンションの売却は数千万円規模の取引になるため、買い手との価格交渉や条件交渉は避けて通れません。交渉力の弱い担当者だと、買い手の要求をそのまま受け入れてしまい、結果として売却価格が大幅に下がる可能性もあります。
一方、交渉力のある営業担当者は、買い手と売り手の要望をバランスよく調整し、双方が納得できる形で契約成立が可能です。単に値下げに応じるだけではなく、「物件の魅力をあらためて伝える」「将来の資産価値を説明する」などの形で、価格以外の面から納得感を持たせることに優れています。
さらに、販売力のある会社であれば、広告戦略や見せ方の工夫によって購入希望者を増やし、競争原理を働かせることで有利な条件で売却できる可能性が高いでしょう。
売り手の希望を丁寧にヒアリングしてくれる
重要な点が、売り手の希望をしっかりと聞き取ってくれるかどうかです。例えば「できるだけ高く売りたい」人もいれば、「早く現金化したい」「住み替えに合わせて売りたい」などの人もいます。こうした売主の背景をきちんと理解し、希望に合わせた売却プランを提示してくれる会社は信頼できる可能性が高いです。
また、売主が抱える不安や疑問に真摯に答えてくれる担当者であることもポイント。実際に利用した人の口コミや評判を確認すれば、「担当者が話しやすかったか」「希望どおりに売却できたか」などの実体験がわかります。最終的には、担当者と直接会って話した時に「この人なら任せられる」と感じられるかどうかが決め手になるでしょう。
販売チャネルが豊富で多くの買い手にアプローチできる
売却の成否を大きく左右する要素が「どれだけの買い手候補に情報を届けられるか」です。不動産会社によっては、自社のホームページや店頭広告だけで販売活動をおこなっている場合もありますが、それでは十分な集客につながらないことがあります。
一方、販売チャネルを幅広く持つ不動産会社は、以下のように多様な手段でアプローチをおこないます。
- 不動産ポータルサイトへの掲載
- SNSを活用した情報発信
- メールマガジンでの案内
- 店頭での掲示や来店者への紹介
- 折込チラシやポスティング広告
上記を組み合わせることで、より多くの人に物件情報を届けられ、買い手が見つかる可能性も高まります。実際に媒介契約を結ぶ前には、どのような媒体を使って販売活動をおこなう予定かを担当者に確認しておくと安心です。
まとめ
2LDKマンションは「売れない」と思われがちですが、実際には需要があり、ターゲット設定や売り出し方次第で十分に成約を目指せます。駅近や収納の充実などの特徴を丁寧に伝えることで、購入を検討している層にしっかり響くでしょう。もし売却活動が長引いている場合は、不動産会社を見直したり、価格設定を調整することも有効です。「売れない」と諦めず、戦略的に進めることが成功のカギとなります。

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ