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不動産売買契約書に収入印紙は必要?印紙税にかかる金額と購入方法について解説

不動産売買契約書に収入印紙は必要?印紙税にかかる金額と購入方法について解説
不動産取引がおこなわれる際は、売主と買主の間で「不動産売買契約書」が取り交わされます。この不動産売買契約書には、収入印紙の貼り付けが必須です。しかし、実際にいくらくらいかかるのかわからない方も少なくないでしょう。そこで本記事では、収入印紙が本当に必要か、いくら負担しなければならないのか、負担先などについて解説します。自宅の売却を検討している方や、不動産取引について把握しておきたい方はぜひ参考にしてください。

そもそも収入印紙とは?

そもそも収入印紙とはどのようなものでしょうか
そもそも収入印紙とはどのようなものでしょうか

収入印紙とは、契約書や領収書などの経済的な取引の際、作成した書類に課せられる税金を支払うための証票です。収入印紙の見た目は切手と似ており、国に対して支払います。不動産売買では、不動産売買契約書に貼り付けるのが収入印紙です。以下では、収入印紙によって納める印紙税について解説します。

印紙税(印紙代)とは?

印紙税とは、契約書や領収書などの課税文書に対して課税される税金のことです。金額は印紙税法によって定められており、契約書等に記載されている金額によって納める税金の額も変動します。印紙税は20種類の文書に課税されますが、なかには契約金額が少額なものや、国・地方公共団体等の非課税法人が作成するものなどの印紙税が課税されない「非課税文書」もあります。印紙税の納税義務は課税文書を作成したときに成立し、納税義務者は課税文書の作成者です。



不動産売買契約書に収入印紙は必要?

不動産売買契約書に収入印紙は必要です
不動産売買契約書に収入印紙は必要です

不動産売買契約書には、収入印紙の貼り付けが必要です。収入印紙を貼り付けることによって、課税文書に記載される契約金額に応じた税金を納められます。ただし、契約金額が1万円未満の場合、不動産売買契約書に収入印紙を貼り付ける必要はありません。また、電子契約の場合は文書の作成がないため、その場合も収入印紙は不要です。収入印紙が不要なケースもあるので、事前に準備が必要か確認するようにしましょう。

不動産売買における収入印紙が必要な書類

不動産取引において、以下のような書類を作成した場合にも収入印紙が必要になります。

  • 不動産の売買契約書
  • 不動産の譲渡証明書
  • 抵当権設定書
  • 担保権設定書
  • 贈与契約書
  • 宅地建物取引業法に基づく仲介契約書
  • 土地賃貸借契約書
  • 工事請負契約書 など

不動産売買契約書以外にも、さまざまな場面で収入印紙が必要です。上述のとおり、課税文書は不動産に関連するものや権利に関連するもの、請負契約に関連する契約書などが挙げられます。印紙税の金額と収入印紙が必要な文書を間違えないように注意しましょう。

不動産売買契約書にはいくらの収入印紙を準備する?

不動産売買契約書にはいくらの収入印紙が必要なのでしょうか
不動産売買契約書にはいくらの収入印紙が必要なのでしょうか

不動産売買契約書に貼り付ける収入印紙は、いくらのものを準備すればよいでしょうか。契約金額に対して必要な印紙代は以下のとおりです。なお、2014年4月1日から2024年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書に関しては、印紙税の軽減措置が講じられ、税率が引き下げられています。軽減措置の対象となる契約書の印紙代は、軽減税率の金額を納めるようにしましょう。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え 
50万円以下のもの
400円 200円
50万円を超え 
100万円以下のもの
1千円 500円
100万円を超え 
500万円以下のもの
2千円 1千円
500万円を超え
1千万円以下のもの
1万円 5千円
1千万円を超え
5千万円以下のもの
2万円 1万円
5千万円を超え 
1億円以下のもの
6万円 3万円
1億円を超え 
5億円以下のもの
10万円 6万円
5億円を超え 
10億円以下のもの
20万円 16万円
10億円を超え 
50億円以下のもの
40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

参照:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

例えば売買金額が4,000万円のマンションを売却する場合、軽減税率が適用されて1万円の収入印紙がかかることになります。1億円の戸建てを売却する場合は、3万円の収入印紙が必要です。不動産売買契約書には、売買金額が税込価格のみ記載されている場合と、消費税と分けて記載されている場合があります。税抜価格の記載があれば、税抜価格を契約金額として考えるようにしましょう。

収入印紙はどこで買える?

収入印紙の入手方法について解説します
収入印紙の入手方法について解説します

売買契約時に売主や買主が収入印紙を準備する場合、事前に収入印紙を購入しておかなくてはなりません。以下で、収入印紙を購入できる場所について解説します。急遽必要になった場合にも用意できることがあるので、参考にしてください。

法務局

不動産の登記関係で利用する法務局では、1円から10万円までの全31券種の収入印紙を購入可能です。ほかにも収入印紙を手軽に購入できる場所はありますが、すべての券種が揃っていない可能性があります。特に、5万~10万円などの高額な収入印紙はほかの場所では販売していないことがあります。そのため、高額なものが必要な場合に利用するとよいでしょう。法務局の開庁時間は平日の8時30分から17時15分までなので、平日に時間が取れる方におすすめです。

郵便局

切手などと同じように、郵便局でも収入印紙を販売しています。また、法務局と同じく全31券種の収入印紙が購入できますが、法務局よりも規模が小さいため、なかには高額な収入印紙を取り扱っていないこともあるかもしれません。小さな規模の郵便局では、一部購入できない収入印紙があるケースも少なくありません。そのため、規模の大きな郵便局に行くか、時間に余裕があれば他の郵便局から取り寄せて購入することをおすすめします。

コンビニエンスストア

コンビニでも収入印紙の購入が可能です。ただし、コンビニで販売している収入印紙の金額は低めであるうえに、同じチェーン店でも店舗によって取扱いがないものもあります。基本的にコンビニで販売しているのは、200円のみと考えておくとよいでしょう。複数の収入印紙が必要な場合や高額なものが必要な場合には、法務局や郵便局を利用するのが確実です。

不動産会社

売主や買主が自ら購入するのが難しければ、不動産会社が立て替えて準備してくれるケースもあります。一般的に個人の売主や買主は会社勤めをしていることが多く、平日に収入印紙を購入するのが難しいため、不動産会社が代わりに購入してくれます。その場合は、契約時に印紙代にかかる金額を現金で持参し、不動産会社に支払うようにしましょう。

不動産売買契約書の印紙税は、売主と買主どちらの負担?

印紙税は売主と買主どちらが負担するものでしょうか?
印紙税は売主と買主どちらが負担するものでしょうか?

不動産売買契約書に貼り付ける印紙税は、売主と買主どちらの負担になるのか考えることもあるでしょう。基本的に、収入印紙は売主・買主どちらも負担します。不動産売買契約書1通につき1枚の収入印紙が必要で、売主と買主それぞれに1通、合計2通の契約書を作成するのが一般的です。各自が保有する契約書に、その負担において法令所定の印紙を貼り付けることになっており、平等に負担することになります。

ただし、契約書の作成が1通で、一方がコピーのみでよいとする場合は、収入印紙1枚の金額を平等に負担するか原本を保有する側がすべて負担するケースもあります。負担割合は売主と買主で協議して決められるので、収入印紙の負担を減らしたい場合には不動産会社に相談してみましょう。

印紙代の負担を軽くする方法とは?

印紙税の負担を軽くする方法はあるのでしょうか?
印紙税の負担を軽くする方法はあるのでしょうか?

印紙税は、課税文書を作成する方に納税義務があります。物件価格が高くなるとその分だけ印紙税も上がり、大きな出費となります。高いものだと60万円(軽減税率48万円)もの印紙税の支払いが必要となり、決して負担は軽くありません。売主・買主双方が少しでも負担が軽くなるよう、以下のように工夫してみましょう。

最新の税率を調べる

不動産売買に関連する課税文書にかかる印紙税率は、変更される可能性があります。以前に調べたことがある場合でも、変更している可能性があるため最新の税率を確認してみてください。また、先述したように適用期間内に作成した文書であれば軽減税率が適用されます。通常の印紙税より負担金額を抑えられるため、期間内に契約書の作成・締結をおこなうようにしましょう。最新の税率や軽減税率の適用期間は、国税庁のホームページなどで確認できます。

税抜価格を記載した売買契約書を作成する

不動産売買は消費税がかかる取引です。売買契約書に物件の本体価格と消費税を分けて記載するか、税抜価格と税込価格を両方記載するようにすれば、印紙税の課税対象は本体価格(税抜価格)となります。中古物件などの場合、税込価格のみ記載された契約書も少なくありません。印紙税を抑えたい場合は、税抜価格を記載した売買契約書を作成してもらうよう、不動産会社に相談してみましょう。

不動産売買契約書を電子契約で締結する

不動産売買契約書を電子契約で締結すれば、印紙税はかかりません。2021年の「デジタル改革関連法」が施行されたことで電子化が進み、不動産売買取引においても売買契約書や重要事項説明書などの電子化が可能となり、電子契約を行った場合は書面での取り交わしが不要になりました。印紙税法では、電子契約は課税文書の作成には該当しません。印紙税が非課税となるため、印紙代がかからないという仕組みです。

電子契約は、物件価格が高額になるほど、売買取引にかかる諸費用の節約方法として高い効果を発揮します。また、電子契約にすることで書類を保管する管理コストが削減できるだけでなく、売主と買主の日程調整を行う手間や署名・捺印等の手続きの負担が軽減されるため、円滑に取引をおこなうことができるなど、さまざまなメリットを享受できます。印紙代の負担を軽くする方法としても、売買契約書を電子契約にて締結することが最も有効な方法といえるでしょう。

収入印紙を貼り忘れたらどうなる?

契約書に収入印紙を貼り忘れたらどうなるのでしょうか?
契約書に収入印紙を貼り忘れたらどうなるのでしょうか?

適切な金額の印紙代を支払うことは、印紙税法で定められています。不動産売買契約書に収入印紙を貼り忘れてしまった場合、印紙税法に違反することになるので注意しましょう。なお、印紙を貼り忘れた場合でも不動産売買契約自体は有効です。収入印紙の貼り忘れにより印紙税を納付しなかった場合、納付していない印紙税額の3倍相当の過怠税を徴収されることになります。

また、収入印紙を不動産売買契約書に貼り付けたら、「使用済み」となるように消印が必要です。消印忘れや不備があった場合も、過怠税を科される可能性があります。他にも、税務署からの立ち入り調査を受けたり追納を求める通知が届いたりすることもあるため、貼り忘れだけでなく消印忘れもないよう十分に注意しましょう。

誤って多い印紙額を貼ってしまったら?

誤って多い印紙税の収入印紙を貼り付けてしまった場合は、印紙税の過誤納金として還付がおこなわれます。還付を受ける際は「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」に必要事項を記載し、収入印紙が貼り付けられた契約書等の文書と併せて納税地の税務署に提出しましょう。納税地は文書の種類や記載内容などによって異なる可能性があるので、事前に確認してください。

不動産を売却するなら、まずは売却査定をしよう

不動産情報サイト アットホームでは、マンション・一戸建て・土地など不動産の売却価格を無料で比較することができます。複数の不動産会社の査定金額や売り出し方法を比較することで、ベストな売却プランが見つかります。「そろそろ家を売ろうかな……」と思ったら、まずは売却査定から始めてみましょう。

まとめ

不動産売買契約書の収入印紙について、把握しておきたい項目を以下にまとめました。

不動産売買契約書に収入印紙は必要?

不動産売買取引において、不動産売買契約書に収入印紙の貼り付けが必要です。不動産、特に売買に関連する書類は課税文書とみなされるため、作成した際には収入印紙を忘れずに準備しましょう。ただし、契約金額が1万円未満の場合や電子契約の場合は収入印紙が不要なので、取引ごとに異なる点には注意が必要です。

不動産売買契約書の収入印紙はいくら?

不動産売買契約書に貼り付ける収入印紙の金額は、取引金額によって異なります。200円から10万円まで指定されており、一般的に多いのは取引金額1,000万円超え、5,000万円以下の場合の1万円です。なお、2014年4月1日から2024年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書は、印紙税の軽減措置が講じられます。そのため、軽減税率が適用された金額を納めるようにしましょう。

不動産売買契約書に収入印紙を貼り忘れたらどうなる?

不動産売買契約書に収入印紙を貼り忘れた場合、印紙税法に違反します。納税義務を怠ったとして過怠税を徴収される可能性があるため、貼り忘れには注意しましょう。過怠税額は、納付しなかった印紙税の3倍相当額です。また、消印忘れの場合も貼り忘れと同様に、過怠税が科される可能性があるため注意しましょう。

今回は、不動産売買契約書に貼り付ける収入印紙について解説しました。文書で作成する場合、収入印紙の貼り付けは必須です。不動産売却や購入にかかる諸費用を少しでも抑えたいのであれば、電子契約を採用したり文書の作成数を減らしたりするなど工夫しましょう。また、収入印紙は不動産売買契約書に限らずさまざまな文書に必要です。文書の種類によって金額が異なるため、間違えないように事前に不動産会社に確認しておくことをおすすめします。

阿孫 沙綾

執筆者

阿孫 沙綾

不動産エージェントおよびWebディレクター兼ライターのフリーランス。8年間で不動産売買・賃貸の仲介業、実需や収益不動産の仕入れ・販売業務を経験し、現在は個人エージェントとして活動中。また、幅広いジャンルの不動産業務に携わった経験を活かし、不動産・宅建ジャンルを中心に執筆や編集もおこなう。

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