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土地売却で2,000万円なら税金はいくら?計算方法をわかりやすく解説

2,000万円で土地を売却する時の税金はいくらになるのでしょうか
土地を売却するなら、できるだけ高く売れたらいいなと思うものです。しかし高く売れた分、税金を多く払わなければなりません。もし土地を2,000万円で売却したら、税金は具体的にいくらになるのでしょうか。

本記事では、まず土地を売却した時にかかる税金を解説します。また、2,000万円で土地を売却する際に税金は具体的にいくらかかるのか、どのように計算するのかもお伝えします。

2,000万円で土地を売却するとどのような税金がかかる?

土地を売却するとかかる税金にはどのようなものがあるのでしょうか
土地を売却するとかかる税金にはどのようなものがあるのでしょうか

土地を売却して得た利益(譲渡益)には、税金がかかります。税金の種類は、「所得税」「住民税」「印紙税」「登録免許税」の4つです。

所得税と住民税

土地を売却して得た所得を、譲渡所得といいます。譲渡所得には、所得税と住民税が課税されます。譲渡所得の所得税と住民税は、給与所得や事業所得とは別に切り離した源泉分離課税として計算されます。
それぞれの計算方法は以下のとおりです。

・譲渡所得=売却代金-(譲渡費用+取得費)
・譲渡所得税=譲渡所得×税率

2,000万円で土地を売却した場合、譲渡所得は売却代金の2,000万円から譲渡費用(土地を売却するのにかかった費用)と取得費(土地の購入にかかった費用)を引いた金額です。

譲渡所得がゼロの場合は非課税となり、納税の必要はありません。譲渡費用がプラスであれば、金額に決まった税率をかけて、納税額が決まります。

税率は売却した土地の所有期間で分けられています。所有期間が5年以下の場合は所得税と住民税合わせて39%(復興特別所得税を含めると39.63%)、5年を超えていれば20%(復興特別所得税を含めると20.315%)です。

所有期間に
応じた税率
所有期間5年以下 所有期間5年超
所得税率 30% 15%
住民税率 9% 5%
合計税率 39% 20%

※平成25年から令和19年(2037年)12月31日までの売却は、復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされます。

なお、税率は土地を所有していた年数が長いほど低くなります。税金は、土地を売却した翌年に確定申告をして納めます。

ちなみに、土地の所有期間が10年を超えている場合は、以下の税率です。

課税長期譲渡所得金額
(=A)
税額
6,000万円以下 A×10%
6,000万円超 (A-6,000万円)×15%+600万円

※平成25年から令和19年(2037年)12月31日までの売却は、復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされます。

印紙税

印紙税は、法的文書や契約書に課される税金で、契約の成立を証明します。通常、印紙税は、書類に印紙を貼ることで納付します。印紙税の金額は、売却代金により変動し、2,000万円の場合は1万円です。

なお、印紙税の金額は以下のように決まっています。不動産の譲渡に関わる契約書で、記載金額が10万円以上のものは、平成26年4月1日~令和6年3月31日まで軽減措置の対象となり、軽減税率が適用されます。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え
50万円以下のもの
400円 200円
50万円を超え
100万円以下のもの
1,000円 500円
100万円を超え
500万円以下のもの
2,000円 1,000円
500万円を超え
1,000万円以下のもの
1万円 5,000円
1,000万円を超え
5,000万円以下のもの
2万円 1万円
5,000万円を超え
1億円以下のもの
6万円 3万円

※1億円以上は省略
引用:国税庁ホームページ 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

なお、印紙を貼付し忘れた場合には過怠税が課せられるので注意しましょう。

登録免許税

登録免許税は、不動産の売買契約を公正なものとして登記するための税金です。抵当権の設定や解除、所有権移転などの登記手続きにともない発生します。売却時には抵当権を解除するために必要であり、金額は土地1筆につき一律1,000円です。もし、土地と建物を売却してそれぞれに抵当権が設定されている時は2,000円になります。

金額としては安いですが、土地の登記簿上の変更を正確に反映させ、不動産取引の透明性と安定性を確保するために重要なものです。忘れず納めるようにしましょう。

2,000万で土地を売却した場合の譲渡所得税の計算方法は?

譲渡所得税はどのように計算すればよいのでしょうか
譲渡所得税はどのように計算すればよいのでしょうか

土地を売却して得た譲渡益にかかる税金の種類を見てきました。本章では、譲渡所得の計算を実際にしてみます。今回は2,000万で土地を売却した場合を想定します。条件は以下のとおりです。


  • 売却代金:2,000万円
  • 取得費:900万円(土地代+諸費用)
  • 譲渡費用:130万円
  • 所有期間:7年
  • 抵当権抹消の必要あり

譲渡所得は、売却代金から譲渡費用と取得費を差し引くと計算ができます。

よって、2,000万円から譲渡費用の130万円と取得費の900万円を差し引いて、譲渡所得は970万円です。

続いて、所有期間に応じた税率をかけ合わせます。

土地の所有期間は7年なので、所有期間が5年超えの「長期譲渡所得」の税率が適用になります。長期譲渡所得の税率は20%ですが、復興特別所得税を含めるとすると税率は20.315%なので、

970万円かける20.315%で、197万555円となります。

加えて、
抵当権抹消のための登録免許税が1,000円
印紙税が1万円

合計税額は、198万1,555円です。

2,000万で土地を売却した時に活用できる特例は?

特別控除を利用すると税金はどうなるのでしょうか
特別控除を利用すると税金はどうなるのでしょうか

これまで、2,000万円で土地を売却した時の譲渡所得の計算を説明しました。売却代金から譲渡費用と取得費を差し引いて譲渡所得を求める際に、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を利用すると譲渡所得がゼロ円になる場合があります。税金がゼロになっても、特別控除を利用する場合は確定申告が必須です。

譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例は、以下の2つです。それぞれ、条件を説明します。

特例 適用条件 (一部)
相続空き家の特別控除
・被相続人が住んでいた土地、もしくは相続してから家屋を取り壊した土地
・相続開始から3年経過する日が属する12月31日までに、売却する場合
居住用財産を譲渡した場合の
3,000万円の特別控除の特例
・自分が住んでいた土地
・家屋の取り壊しから1年以内に売却していること
・売却するまでに事業用として使用されていないこと
・売却の前年とその前にその他特例を利用していないこと

売却代金から譲渡費用と取得費を差し引いて譲渡所得を求める際に、3,000万円を差し引くことが可能です。細かい要件は国税庁のホームページで確認しましょう。

土地を売却する前に注意することは?

土地を売却する前に注意すべきなのはどのようなことでしょうか
土地を売却する前に注意すべきなのはどのようなことでしょうか

所得に応じて税金を払わなければなりませんが、使える制度を活用できずに余分に払うことになってしまうのはもったいないです。そこで本章では、土地の売却前に注意しておくことを紹介します。

5年以上所有してから売却する

譲渡所得税を計算する時、短期譲渡所得の税率と長期譲渡所得の税率では20%近く差が出ます。仮に、2,000万円の譲渡所得があった場合、短期譲渡所得に該当すると税金は約792万円、長期譲渡所得に該当すると税金は約406万円です。譲渡所得の金額が多くなるほど、税金の金額に差が出ます。売却するなら5年以上所有してからをおすすめします。

なお、所有期間の考え方は、売却した年の1月1日時点での年数で判断します。そのため、所有年月日から単純に5年間経過したからといって、5年以上所有しているとはみなされないので、注意しましょう。所有期間の考え方の事例は以下のとおりです。

例)


  • 5年以上と認められないケース
    令和1年5月1日から所有し令和6年5月2日に売却

  • 5年以上と認められるケース
    令和1年5月1日から所有し令和7年2月1日に売却

土地の価格は売却するまでわからない

不動産の売却価格は、多くの要因によって決定されます。例えば、土地の形状、面積、方角、周辺環境、隣接地との関係性、土地の状況などが価格に影響するでしょう。また、売主と買主の個々の背景も価格に影響を与えます。もし、売主が急いで売りたい場合、売却価格は安くなる可能性も。反対に、時間をかけてでも高く売りたい場合もあるでしょう。安い価格なら希望とは異なっても購入を検討することもありますし、気に入った場合は予算を上回っても購入を検討することもあります。さらに、土地売却は流動的で、買い手が現れない場合は売却価格を見直すこともあります。

土地の売却価格は多岐にわたる要因に左右され、売主と買主のニーズや状況によって異なります。実際に売却されるまでわからないと心得ておき、市場の変動や需要動向を観察し、柔軟に交渉する姿勢が大切です。

この記事のQ&A

Q:土地を売却するとかかる税金にはどのようなものがある?

A:土地を売却して得た譲渡所得には、税金がかかります。税金の種類は、「所得税」「住民税」「印紙税」「登録免許税」の4つです。

譲渡所得に課される所得税と住民税は、給与所得や事業所得とは別に切り離した源泉分離課税として計算されます。譲渡所得がゼロの場合は非課税ですが、譲渡費用がプラスであれば、金額に決まった税率をかけて、納税額が決まります。税率は土地の所有期間で分けられており、所有期間が5年以下の場合は所得税と住民税合わせて39%(復興特別所得税を含めると39.63%)、5年を超えていれば20%(復興特別所得税を含めると20.315%)になります。

印紙税は、法的文書や契約書に課される税金で、契約の成立を証明します。通常印紙税は、書類に印紙を貼ることで納付します。印紙税の金額は、売却代金により変動し2,000万円の場合は1万円です。現在は軽減措置が取られていますが、期限が決まっているため、注意しておきましょう。
また、登録免許税は、不動産の売買契約を公正なものとして登記するための税金です。抵当権が設定された土地の場合に必要であり、金額は土地1筆につき一律1,000円です。

Q:2,000万で土地を売却した場合の譲渡所得税の計算方法は?

A:2,000万で土地を売却して、仮に土地代と諸費用を含めた取得費が900万円、譲渡費用が130万円、所有期間が7年で抵当権抹消の必要がある場合の譲渡所得税は、197万555円です。加えて、抵当権抹消のための登録免許税が1,000円と印紙税1万円を加えると、合計税額は、198万1,555円です。なお、印紙税は売却金額によって変わります。

Q:2,000万で土地を売却した時に活用できる特例は?

A:譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例は、相続空き家の特別控除と居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例です。売却代金から譲渡費用と取得費を差し引いて譲渡所得を求める際に、3,000万円の特別控除を使用します。結果、譲渡所得がゼロあるいはそれ以下になって税金がゼロ円になる場合があります。ゼロ円でも確定申告で必ず申告しましょう。もし申告しなかった場合、延滞税などのペナルティが発生します。

Q:土地を売却する前に注意することは?

A:譲渡所得税を計算する時、土地を所有していた期間が関わる短期譲渡所得の税率と長期譲渡所得の税率では20%近く差が出ます。譲渡所得の金額が多くなるほど、税金の金額に差が出るので、もし可能であれば、5年以上所有してからを売却することをおすすめします。なお、所有期間の考え方は、売却した年の1月1日時点での年数で判断されるため、気をつけましょう。

また、不動産の売却価格は、多くの要因によって決定されます。土地の形状や周辺状況、隣接地との関係性なども影響するでしょう。土地売却は流動的で、買い手が現れない場合は売却価格を見直すこともあります。実際に売却されるまでわからないと心得て、柔軟に交渉する姿勢が大切です。

まとめ

本記事では、土地を売却した時にかかる税金にはどのようなものがあるかを紹介しました。そして、2,000万円で土地を売却したら税金は具体的にいくらかかるのか、どのように計算するのかも解説しました。

土地が高く売れるのはいいことですが、譲渡所得が高いほど税金がかかります。土地の売却をする場合に税金の面で慎重に計画を立て、効果的な節税対策を検討しましょう。本記事では、具体的な計算方法の解説もしているので、土地売却時に税金の計算をする際に活用してみてください。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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