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住宅ローンの事前審査にデメリットはある?不動産会社やハウスメーカー経由との違いは?

住宅ローンの事前審査を受けることにデメリットはあるのかを解説します
住宅ローンは契約する前に、2回審査を受けなければなりません。1回目の審査である事前審査を複数の金融機関で受けて、ローンの内容を比較したいと考える方もいるのではないでしょうか。今回、そもそも事前審査を複数受けることは可能なのか、複数受けることのメリット・デメリットを解説します。最適な住宅ローンを選べるよう、よく理解しておきましょう。

住宅ローンの事前審査とは

事前審査では主に個人信用情報と返済計画の妥当性が確認されます

まず、住宅ローンの事前審査とは何かをおさらいしましょう。事前審査とは、住宅を購入する前に、金融機関が申込者の信用力を評価し、返済計画が妥当か調べるものです。審査の結果は早ければ当日中、3日〜1週間程度で出ます。

事前審査をする目的は?

住宅ローンの事前審査は、契約を効率的に進めるためにおこなわれます。住宅ローンでは、年収の何倍にも当たる大きな資金が動くことになります。金融機関側からすると貸し倒れは避けたいものです。そのため、事前に審査をすることによって申込者の情報をある程度把握します。
そのうえで本審査をおこなうことで、本審査通過までの時間を短縮するのが目的です。

事前審査では何を見ている?

住宅ローンの事前審査では、申込者の信用力や返済計画の妥当性などを見ます。金融機関によっても異なりますが、主に個人信用情報と返済負担率の妥当性が確認されます。

個人信用情報

個人信用情報とは、ローンの契約内容や取引の履歴をまとめたものです。過去の支払い延滞や自己破産などの事故情報も記録されます。例えば、クレジットカードなどの支払いを2〜3カ月延滞してしまった場合、「異動」と記録され、問題があったと判断されます。個人信用情報は、下記の3つの信用情報機関で、自身でも調べることができます。

インターネット上でも確認できるため、不安な場合は一度調べてみるといいでしょう。

返済負担率

返済負担率とは、年収全体に占める住宅ローンの年間返済額の割合のことです。国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、返済負担率は注文住宅で16.4%、分譲戸建住宅で18.8%、分譲集合住宅で17.4%となっています。しかし、返済率はあくまで目安の一つです。ほかの支出も考慮しながら、返済計画を立てましょう。

住宅ローンの事前審査を複数の金融機関で申し込むことは可能?

住宅ローンの事前審査を複数の金融機関で受けるメリットは3つあります

住宅ローンの事前審査は複数の金融機関で受けることができます。事前審査は本審査の前段階で、通らなければ本審査を受けることができません。本審査の結果が出るまでには1カ月〜1カ月半かかります。落ちたあとに別の金融機関に申し込むとなると、さらに時間がかかってしまいます。事前審査は複数の金融機関で申し込むと、借り入れまでの時間を短縮できます。

住宅ローンの事前審査を複数の金融機関に申し込むメリット

住宅ローンをどこから借り入れるかは、大きな悩みでしょう。複数の金融機関で事前審査を受けるメリットを知ることで、より効率的に手続きを進めることができます。具体的なメリットとして、次の3つが挙げられます。

  • 住宅ローンの選択肢が広がる
  • 審査を通過する確率が上がる
  • 借り入れまでの時間を短縮できる

ここから詳しくみていきましょう。

住宅ローンの選択肢が広がる

複数の金融機関に事前審査を申し込むと、各金融機関の金利や内容を比較・検討することができます。比較・検討することで、より自分に最適な住宅ローンを選べるでしょう。住宅ローンは長期に渡って返済が続くものです。複数の金融機関で事前審査を受け、自分に合った住宅ローンを選ぶようにしましょう。

審査を通過する確率が上がる

複数の金融機関で事前審査を申し込むメリットとして、審査を通過する確率が上がる点が挙げられます。金融機関によって審査基準が異なるため、例えばある金融機関で落ちたとしても、別の金融機関は通過する可能性があります。

そもそも、自分がいいと思う住宅ローンの商品があっても、審査を通過しなければ、融資を受けることができません。複数の金融機関で事前審査を受けることで、審査を通過し、融資を受けられる確率を上げることができます。

借り入れまでの時間を短縮できる

複数の金融機関に事前審査を申し込むことで、借り入れまでの時間を短縮できます。各金融機関によって、審査の結果が出るまでの時間は異なります。一般的に事前審査では3日〜1週間程度、本審査では1カ月〜1カ月半かかるとされています。

もし一社しか申し込まず、事前審査に落ちてしまった場合、別の金融機関に申し込む段階からやり直さなければなりません。購入までのスケジュールが大幅にずれてしまい、金利が変わってしまう、最悪の場合は他の購入者に決まってしまう可能性もあります。同時に複数の金融機関で事前審査を受けることで、借り入れまでの時間を短くでき、スムーズに進められるでしょう。

住宅ローンの事前審査を複数の金融機関に申し込むデメリット

複数の金融機関に事前審査を申し込むデメリットも見ておきましょう。デメリットを把握しておくと、あらかじめ対策がとれ、スムーズに手続きを進められます。具体的なデメリットは次の2つです。

  • 時間がかかる
  • 他の金融機関の審査に影響が出る可能性がある

一つずつ詳しく解説していきます。

手間がかかる

複数の金融機関に事前審査を申し込むデメリットに、準備に時間がかかることが挙げられます。事前審査の段階でも書類を提出する必要があります。書類には、源泉徴収票など会社に発行を依頼しなければならないものがあります。

1社なら一枚で済むものも、複数となると何枚も必要になります。複数の金融機関で事前審査を受ける時には、手間や準備に時間がかかることを理解しておきましょう。

他の金融機関の審査に影響が出る可能性がある

複数の金融機関で事前審査を受けると、審査に影響が出る可能性があります。なぜなら、信用情報機関に情報を照会した記録が残るためです。事前審査では個人の信用情報が確認されます。審査を受けすぎると、照会履歴から「他の金融機関の審査に落ちているから別にも受けている」と悪いほうにとらえられてしまう可能性があります。そのため、事前審査でも2〜3社程度に絞り混むようにしましょう。

不動産会社やハウスメーカー経由で事前審査を申し込むとどうなる?

事前審査を不動産会社やハウスメーカーを通して申し込む場合のメリット・デメリットを解説します

「家の内覧に行っただけで事前審査を勧められた」「不動産会社から提携ローンを勧められた」など、不動産会社やハウスメーカーから事前審査を受けるよう勧められることもあります。自分で申し込むのではなく、不動産会社やハウスメーカーを通じて事前審査を受ける場合、何か違いはあるのでしょうか。メリット・デメリットを通して違いを知りましょう。

不動産会社・ハウスメーカー経由で事前審査を受けるメリット

不動産会社やハウスメーカーを通じて事前審査を受けるメリットとして、次の2つがあります。

  • 手続きを一部代行してくれる
  • 優遇金利が適用される

それぞれ詳しくみていきましょう。

手続きを一部代行してくれる

事前審査を不動産会社やハウスメーカーを通じておこなうメリットとして、手続きを一部代行してくれる点が挙げられます。事前審査には、購入を考えている物件の土地や建物の情報なども必要となります。不動産会社やハウスメーカーを通じて事前審査を申し込むと、必要な書類を準備してくれたり、申し込み方法を教えてくれたりと、手続きがスムーズになります。また、提携ローンには審査が早いというメリットもあります。時間が限られていて、少しでもスムーズに進めたい方は不動産会社やハウスメーカーを通して審査を受けるのも一つの方法でしょう。

優遇金利が適用される可能性がある

不動産会社やハウスメーカー経由で事前審査を申し込むメリットとして、優遇金利が適用される可能性がある点も挙げられます。不動産会社・ハウスメーカーと特定の金融機関が提携し、特別な条件を設けている提携ローンでよく見られるメリットです。

金融機関側からすると、少しでも顧客を増やしたいため、信頼関係ができている不動産会社やハウスメーカーの利用客には、低い金利で提供したいと考えています。反対に、過去にトラブルがあると、不動産会社やハウスメーカーが原因で金利が高くなることもあります。しかし、「トラブルがあった」とは正直に教えてくれません。不動産会社やハウスメーカーに任せきりにするのではなく、自分自身でも比較することが大切です。

不動産会社やハウスメーカー経由で事前審査を申し込むデメリット

不動産会社やハウスメーカーを通じて受ける事前審査は、手続きもスムーズで、優遇金利も適用される可能性があります。一方、デメリットは何かあるのでしょうか。具体的なデメリットとして次の2つが挙げられます。

  • 住宅ローンの比較が難しい
  • 費用がかかる

メリット・デメリットの両方を把握することで、より適切な選択ができるようになります。ここからは、デメリットを詳しく解説していきます。

住宅ローンの比較が難しい

不動産会社やハウスメーカー経由で事前審査を申し込むデメリットとして、住宅ローンの比較が難しい点が挙げられます。不動産会社やハウスメーカーは特定の金融機関と提携していることが多く、提携先のローンを優先して紹介する傾向があります。そのため、ほかに最適なローンがあったとしても、存在自体を知ることができません。

また、「住宅ローン選びの後悔」についてのアンケート(モゲチェック調べ)によると、不動産会社の紹介先から金融機関を選んだ人は62%おり、そのうち後悔している割合は45.7%となっています。半数近い方が、不動産会社経由で住宅ローンを組んだことを後悔しています。なお、自分で金融機関を選んだ方の後悔している割合は41.3%となっており、紹介される場合と比べ、多少なりとも納得感が得られることがわかります。

最適な住宅ローンを見つけるためには、自分で比較する必要があることを理解しておきましょう。

費用がかかる

不動産会社やハウスメーカー経由で事前審査を申し込むと、費用がかかる点がデメリットとして挙げられます。通常、住宅ローンの事前審査は無料でできます。しかし、不動産会社やハウスメーカーによっては、手続きの代行費用として手数料を請求する場合があります。

相場は会社によって異なり、なかには数十万円請求される場合もあるようです。ただでさえ、住宅の購入は大きな買いもので、少しでも費用を抑えたいところです。事前審査を受けるよう進められた場合には、費用がかかるのか、事前に確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、住宅ローンの事前審査を受けることのメリット・デメリットを解説しました。より自分に合った住宅ローンを見つけるためには、複数受けた方が見つかる可能性は高くなります。
しかし、事前審査を受け過ぎてしまうと、「他の金融機関の審査に落ちたから受けている」など、何か問題があると判断がされ、不利になってしまうことがあります。事前審査を受ける時には2〜3社の金融機関に絞るようにしましょう。
不動産会社やハウスメーカー経由も手続きが楽になる、金利が優遇されるなどのメリットがありますが、後悔している方が多いのも事実です。任せきりにするのではなく、自分自身でも比較するようにしましょう。

自分で住宅ローンを探す方法として、Web上で借りたい金額や自分の属性などの情報を入力すると、借りられる可能性が高い住宅ローンを提案してくれるサービス「モゲチェック」を活用するのもおすすめ。事前審査の申し込みもおこなうことができるので便利です。複数の住宅ローンを比較したり、プロのアドバイザーに相談することも可能なので、ぜひ利用してみてくださいね。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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