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住宅ローンをハウスメーカー経由で組むメリットとデメリットは?

住宅ローンをハウスメーカー経由で組む時のメリット・デメリットを解説します
「展示場に行ったらハウスメーカーから住宅ローンの事前審査を勧められた」……。家を見に行っただけのつもりが、本格的に話が進み始めると焦ってしまいます。知識がないからといって、ハウスメーカーに住宅ローンまで任せきりにしてしまうと後悔することになるかもしれません。
今回は、ハウスメーカー経由で住宅ローンを借りるメリットとデメリットを解説します。

ハウスメーカーとは

ハウスメーカーとは設計から内装まで一貫したサービスを全国規模で提供する会社です
ハウスメーカーとは設計から内装まで一貫したサービスを全国規模で提供する会社です

そもそもハウスメーカーとは何なのでしょうか。役割や特徴について理解し、住宅ローンをハウスメーカー経由で申し込む際の判断材料にしましょう。

ハウスメーカーの役割と特徴

ハウスメーカーとは、住宅の設計から建設、内装、設備まで一貫したサービスを全国規模で提供する会社です。会社自身で生産設備を持っており、工業化することで、注文住宅を大量に提供することができます。例えば、積水ハウスやダイワハウス、ミサワホームなどがハウスメーカーにあたります。

ハウスメーカーと金融機関の関係

ハウスメーカーはあくまで家を作る専門家であり、住宅ローンの専門家ではありません。しかし、ハウスメーカーの住宅は品質がいいと認められているため、金融機関も安心して審査ができる傾向にあります。

また、ハウスメーカーが金融機関と手を結び、顧客が不利になるようなことはしません。投資用物件になりますが、過去に問題があり、金融庁が是正を促しています。過去にあった問題とは、金融機関がアパートを建てたい顧客にハウスメーカーや建築会社を紹介し、報酬として建築費の3%の手数料を受け取っていたというものです。(日本経済新聞「アパート融資で建築業者から紹介手数料」2017年4月23日)

さらに、金融庁の「投資用不動産向けに融資に関するアンケート調査結果(主なポイント)」によると、2018年(平成30年)3月まで、紹介会社が紹介した顧客に融資を実行したことがある金融機関は多く、取引を開始・停止する基準を設けているのは少数でした。しかし、4月以降は、金融機関が紹介業者の信用情報を取得したり、不正行為をおこなった会社リストを整備したりと、基準を設ける姿勢が見られるようになっています。

金融庁の目も厳しくなり、金融機関内で取引して問題ない会社か否かを判断するようになっていることから、裏でやり取りをしているといったことはないと考えていいでしょう。

住宅ローンを任せきりにして後悔している人は多い

住宅ローンを不動産会社やハウスメーカーに任せきりにして、後悔している人は多いと知っていましたか?
株式会社MFS「住宅ローン選びの後悔」に関するアンケート」(出典:モゲチェック調べ)によると44%の人が住宅ローン選びで後悔していると回答しています。後悔している理由としては、上位から順に次のとおりです。

「金利の低い金融機関を選べばよかった」(42.7%)
「違う金利タイプを選べばよかった」(29.1%)
「不動産会社に言われるがままに選んでしまった」(22.5%)

また、不動産会社の紹介先金融機関を選ぶ人は62.0%と多く、半数以上を占めています。さらに、そのうち後悔している人の割合が45.7%と多く、約2人に1人が紹介先の金融機関を選んだことを後悔しています。

紹介先の金融機関を選んだ理由としては、49.0%と半数近い方が「自分の住宅ローン知識に自信がなかったから」と回答しています。

ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるメリット

ハウスメーカー経由で審査を受けるメリットは3つあります
ハウスメーカー経由で審査を受けるメリットは3つあります

ハウスメーカーや不動産会社に紹介された住宅ローンを組んで、後悔している人もいる住宅ローンですが、もちろんメリットもあります。ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるメリットは、次の3つです。

  • 手続きをサポートしてくれる
  • 優遇金利が適用される可能性がある
  • スムーズに審査が進む

メリットを知ることで、自分に合った選択ができるでしょう。それぞれ詳しく解説していきます。

手続きをサポートしてくれる

ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるメリットとして、手続きをサポートしてくれる点が挙げられます。一般的に、住宅ローンの審査を受けるためには、金融機関の窓口に書類を提出する必要があります。しかし、金融機関が開いているのは平日であることから、仕事を休まなければならない方もいるでしょう。一方、ハウスメーカー経由であれば、物件の書類を用意してくれたり、金融機関に書類を提出してくれたりと、手続きを代行してくれます。住宅を購入する際は、初めてのことが多く不安を感じますが、サポートしてくれることで安心感があります。

優遇金利が適用される可能性がある

ハウスメーカー経由で住宅ローン審査を受けるメリットとして、優遇金利が適用される可能性がある点が挙げられます。ハウスメーカーはその地域で長く営業しており、信頼されていることから、金融機関から金利を優遇されている場合があります。金利が下がれば、その分返済額も少なくなるため、経済的負担が軽減されます。しかし、すべてのハウスメーカーで金利の優遇があるわけではありません。事前に確認してみましょう。

スムーズに審査が進む

ハウスメーカー経由で審査を受けるメリットの3つ目は、スムーズに審査が進むことです。住宅ローンの審査は2回あります。はじめの事前審査では、返済計画の妥当性と個人の信用情報を確認する程度です。しかし、2回目の本審査では、物件が建築基準法や権利関係に問題がないかなど、細かいところまで確認します。ハウスメーカー経由だと、あらかじめ申請していて物件の審査が通過している場合があり、スムーズに進む傾向があります。

ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるデメリット

ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるデメリットは3つあります
ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるデメリットは3つあります

ハウスメーカー経由で審査を受けるデメリットは何があるのでしょうか。具体的なデメリットは次の3つです。

  • 代行手数料がかかる
  • 自分に最適な住宅ローンとは限らない
  • 住宅ローンへの理解がおろそかになる

デメリットを知ることで、ハウスメーカーに任せるのか、自分で申し込むのかの判断材料となります。それでは一つずつ見ていきましょう。

代行手数料がかかる

ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるデメリットとして、代行手数料がかかる点が挙げられます。代行手数料とは、住宅ローンの手続きをハウスメーカーに代わりにしてもらう時に払う費用です。約5〜10万円が相場となっていますが、法律の決まりがないため、上限がありません。本来であれば、ハウスメーカーを経由しなくても、自分でできる手続きです。代行手数料を払ってでもハウスメーカーに依頼するメリットがあるかをよく考えましょう。

自分に最適な住宅ローンとは限らない

ハウスメーカー経由で住宅ローンの審査を受けるデメリットの2つ目は、自分に最適な住宅ローンとは限らない点です。ハウスメーカーが紹介する金融機関は限られており、商品や金利タイプも制限されます。優遇金利が適用されたとしても、それが自分にとって最適な住宅ローンとは限りません。ハウスメーカーに任せきりにするのではなく、自分自身でも探してみましょう。

住宅ローンに対する理解がおろそかになりやすい

ハウスメーカー経由で審査を受けるデメリットの3つ目は、住宅ローンに対する理解がおろそかになりやすい点です。任せきりにしていると、言われるがまま手続きが進み、きちんと理解ができていない状態で住宅ローンを契約してしまう可能性があります。ハウスメーカーは住宅ローンの専門家ではありません。仕組みやリスクについて、十分な説明を受けられない可能性があります。自分で調べたり、ファイナンシャルプランナーといった専門家に相談したり、理解を深めてから住宅ローンの契約をするようにしましょう。

自分に合った住宅ローンの選び方

任せきりにして後悔しないためにも住宅ローンに関する知識を自分でも身につけましょう
任せきりにして後悔しないためにも住宅ローンに関する知識を自分でも身につけましょう

住宅ローンを不動産会社やハウスメーカーに任せた理由で一番多かったのが「知識に自信がないから」でした。しかし、任せきりにしたことを後悔している方も一定数いることから、自分自身でも最低限の知識を身につける必要があります。ポイントを押さえれば、難しいことはありません。また、全て自分で決めるのではなく、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら進めていきましょう。本章では、手順ごとに解説してきます。

借り入れ金額を決める

まず、借り入れ金額を決めましょう。とはいえ何千万という大きな数字を決めるのは難しいものです。月々いくらなら返済できるのかを考えてみましょう。しかし、「今の家賃と同じくらい」と考えるのは危険です。なぜなら、月々の返済だけでなく、別のお金がかかるからです。持ち家であれば固定資産税が毎年発生します。マンションであれば、修繕積立金や管理費がかかります。これらの費用を家計から出すためには、家賃より少し下げた返済額でなければ、家計が苦しくなってしまいます。月々の返済額だけでなく、他にも支出が必要な費用を計算してから借り入れ金額を決めましょう。

住宅ローンの種類を決める

借り入れ金額を決めたら、ローンの種類を決めましょう。ここでいう種類とは、民間や公的ローン、フラット35のことです。民間ローンとは、銀行や信用金庫など、民間の金融機関から借り入れる住宅ローンのこと。公的ローンとは、都道府県や市町村など、地方自治体が住民支援のためにおこなう融資のことです。また、勤務先で財形貯蓄をしている方が利用できる融資もあります。フラット35とは、住宅金融支援機構が、民間の金融機関と連携して提供するローンを指します。最長で35年間、全期間固定金利で借りられます。

金利タイプを決める

金利タイプを決めましょう。実際に金利を見ると、お得な変動金利から見たくなるでしょう。しかし、固定金利のローンから見るのがおすすめです。固定金利だとずっと返済額が変わらないため、より根拠があり、納得できる結果を導きやすくなります。シミュレーションサイトを使いながら、試算結果を見てみましょう。固定金利の試算結果を確認してから、変動金利でシミュレーションをします。この時、金利が上昇すると想定して試算することが重要です。

住宅ローンの組み方を決める

住宅ローンの組み方を決めましょう。組み方にはさまざまな種類があります。例えば、一人が債務者となる、夫婦の収入を合算する、夫婦それぞれが持分を別々にして住宅ローンを組むなどです。住宅ローンの審査では、返済負担率が確認されます。返済負担率とは、年収に対して住宅ローン返済額が占める割合のことです。25%以下が一般的ですが、無理なく返済できるよう、ローンの組み方を考えましょう。

ハウスメーカー経由で住宅ローンを契約することに関する質問

Q1:ハウスメーカー経由だと住宅ローンの審査が通りやすいって本当?

ハウスメーカー経由での住宅ローン審査が通りやすいとは限りません。なぜなら、ハウスメーカーはあくまで住宅ローン審査の依頼をするだけです。金融機関が見ているのは、契約者の信用情報や完済時の年齢、返済計画の妥当性、物件の価値などであり、ハウスメーカーがどこであるかは重要な要素ではありません。ハウスメーカーが物件の申請をしていれば、スムーズに審査が進む可能性はあります。

Q2:ハウスメーカー経由でないと住宅ローンは借りられない?

ハウスメーカー経由でなくても、自分自身で金融機関を探し、住宅ローンを契約することができます。書類を準備したり、手続きに行ったりと手間はかかりますが、どういう目的で書類が必要なのか、手続きが必要なのかなど住宅ローンに対する理解が深まるでしょう。また、より自分に合った住宅ローンを見つけられる可能性があります。ハウスメーカー経由の住宅ローンはその金融機関と取引があるというだけであり、自分にとって最適とは限りません。後悔しないためにも、自分自身でも住宅ローンを調べるようにしましょう。

Q3:住宅ローンで借りたお金はハウスメーカーに振り込まれる?

住宅ローンで借りたお金は、まず契約者の口座に振り込まれます。そのあと、指定された方法でハウスメーカーに振込みます。金融機関によっては「代理受領」という方法を採用している場合もあります。代理受領とは、金融機関にあらかじめ借入金を受け取る人を指定する方法です。借り入れ後のお金の流れは、金融機関によく確認しておきましょう。

まとめ

ハウスメーカー経由で住宅ローンを組むことは可能です。大きなお金が動く不安もあり、サポートしてくれるのは心強いでしょう。しかし、ハウスメーカーは住宅のメーカーであり、お金の専門家ではありません。自分自身でも最低限の知識を身につけることが大切です。勧められた住宅ローンが自分に合ったものなのか、よく考えながら検討をすすめましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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