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住宅ローンの団信はいつから適用される?加入前に知っておきたい団信の種類ごとの注意点を解説

団信(団体信用生命保険)について解説します
住宅ローンを検討する際に、団体信用生命保険(以下、団信)の説明を受けたものの、詳細がよくわからない方も多いのではないでしょうか。
団信は、住宅ローンの契約者に万が一のことがあった際に、住宅ローン残債相当額を保障する保険です。 契約者に万が一のことがあった際には、保険会社から金融機関に、住宅ローン残債相当額が支払われます。

この記事では、団信の詳細を解説しています。さまざまな角度から解説しているので、団信について詳しく知りたい方、より理解を深めたい方はでぜひ最後までお読みください。

住宅ローンの団信はいつから適用?

団信(団体信用生命保険)の適用時期について解説します
団信(団体信用生命保険)の適用時期について解説します

団信の適用開始日は、加入する団信の種類や団信を契約する会社によって違います。
1年目の特約料を支払った日から保障が開始される場合もあれば、住宅ローンの借入日から保障が開始される団信もあり、さまざまです。

また、団信には免責期間があります。
免責期間とは、保険契約から一定の期間に保険事故が起きた場合に、保険会社が保険金を支払わないとしている期間です。

免責期間の例としては以下のような状況があげられます。

  • 団信の保障開始から1年以内に自殺した場合には、保険金を支払わない
  • がん団信では、保障開始から90日間はがんと診断されても保険金は支払わない

免責期間も各団信によって違うので、団信契約の際はしっかり確認するようにしましょう。

団信の種類

特約のない団信と、特約の付いている団信について解説します
特約のない団信と、特約の付いている団信について解説します
団信は契約者に万が一のことがあった際の保障以外にも、病気になった時の保障を特約として付けることができます。この章では「特約のない団信」と「特約の付いている団信」について、それぞれのメリットやデメリットを紹介します。

※各金融機関が取り扱う団信によって条件が違います。

特約なし団信

まず特約の付いていない普通の団信のメリット・デメリットを解説します。

特約なし団信のメリット

  • 団信保険料が無料
    一般的に、特約の付いていない普通の団信の場合、保険料が無料です。
    (保険料が別途かかる場合もあります。)

  • 万が一の際に安心
    残された家族に住宅ローンの残債が残らないため、借主に万が一のことがあった場合でも、安心です。
    (連帯債務などの場合、残債が残る場合があります。)

特約なし団信のデメリット

  • 保障内容が限られる
    保障が死亡時と高度障害時のみのため、ガンや脳卒中など病気になった場合には対応していません。

  • 健康状態が契約に影響する
    健康状態によっては契約ができず、団信に加入できないことがあります。

特約付き団信

特約付き団信は、特約なし団信と比べて保障が手厚くなります。
がんと診断された際に住宅ローン残債相当額の保障があるものや、三大疾病と診断された際に残債相当額が保障されるものなど、内容はさまざまです。
ここからは、特約付き団信のメリット・デメリットを解説します。

特約付き団信のメリット

  • 保障内容が充実する
    特約付き団信には、ガンに対応したものや三大疾病に対応したものなどがあり、特約なし団信に比べ、保障の幅が広がります。

  • 保険料が安くなる可能性がある
    一般的な医療保険などに比べ、保険料が安くなる場合があります。団信は、住宅ローン残債相当額が保障範囲です。残債相当額にもよりますが、一般的な保険で残債相当額を保障しようとすると、高額な保険料を支払わなければならない場合がありますが、特約付きの団信の場合は、返済に応じて徐々に保険料が安くなっていきます。

特約付き団信のデメリット

  • 金利が上がる
    一般的に、保険料分の金利が保険料に上乗せ、もしくは別途支払いが必要になります。

  • 支払い条件が厳しい
    支払い条件が一般的な保険に比べて厳しい傾向にあり、特約にある特定の疾患にかかっても、支払い条件をクリアしないと保険金の支払いがなされません。

  • 告知内容が厳しい
    特約なし団信に比べて、加入の際に申告する現在の健康状態に関する告知内容が厳しい傾向にあり、健康状態によっては契約できない場合があります。

団信に入れない時の対処法

団信に入れない時の対処法について解説します
団信に入れない時の対処法について解説します

団信に加入するには、告知書にて健康状態の申告が必要です。健康状態によっては、団信に入れないケースがあります。一般的な金融機関では、住宅ローンを契約する際に、団信の加入を条件としている場合が多く、団信に入れないと住宅ローンが契約できないことがほとんどです。この章では、団信に入れず住宅ローンの契約ができない場合の対処法を解説しています。

ワイド団信

ワイド団信は、一般的な団信に比べて引受範囲が広く、健康上の理由で通常の団信に加入できない場合でも加入できる可能性があります。ただし、どのような病気でも引受可能ではないことと、金利が上乗せされ、一般的な団信に比べて高くなる傾向があります。ワイド団信の取り扱いのない金融機関もあるので、事前に確認が必要です。

フラット35

フラット35とは、住宅支援機構が提供する住宅ローンです。
最長35年まで借入が可能で、全期間、団信の保険料を含んだ金利で固定金利が適用されています。
原則、団信の加入を条件としていますが、健康上の理由で団信に入れない場合は、団信の加入がなくても住宅ローンの契約が可能です。団信に加入しない場合は、団信保険料分の金利の割引があります。
ただし、団信に加入しない場合で、契約者に万が一のことがあった際には家族に住宅ローンの残債が残るので、団信に加入せずに住宅ローンを組む際は、十分検討しましょう。

フラット35については下記の記事で詳しく解説しています。

配偶者名義で申し込みをする

配偶者の方の健康状態が良好であれば、配偶者の方を契約者にする方法もあります。
ただ、住宅ローンを組む際に配偶者の年収が考慮されるので、ある程度の年収がないと希望する借入額でローンを組むことができないなど、難しいのが実情です。

団信に入る時に注意すること

団信に入る前に内容を確認するようにしましょう
団信に入る前に内容を確認するようにしましょう

ここでは、団信に入る時に確認しておきたいことを解説しています。

免責事項や債務弁済の条件を確認

団信における免責事項とは、先述したとおり保険会社が保険金を支払わない場合のことをいいます。例えば、下記のような場合には、保険金が支払われません。

  • 加入後、1年以内に自殺した場合
  • 故意により所定の高度障害状態になった場合
  • 契約から90日以内にがんと診断された場合(がん団信)

また、団信における債務弁済とは、保険会社が保険金を支払うことをいいます。例えば、下記の場合には保険金が支払われます。

  • 契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合
  • 住宅ローンの返済期間中に「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」を発病し、継続して60日以上所定の状態になっていると判断された場合

免責事項や債務弁済に関する詳細は、各金融機関が取り扱う団信によって異なるため、きちんと確認するようにしましょう。

特約の内容・上乗せ金利を確認

特約の内容や保険料の代わりに上乗せされる金利、支払い条件は、各金融機関によって違うため、確認が必要です。

特約の内容が思っていたものと違っていた、上乗せされた金利が高くて毎月の支払いが厳しい、病気になったものの免責事由に該当し、保険金が支払われなかったというケースもあります。そうならないためにも、しっかりと事前に特約の内容を確認し、納得したうえで契約するようにしましょう。

告知は真実を

告知では、現在の健康状態や過去の病歴などを申告します。告知書に自己申告で記載しますが、審査に有利になりそうだからと事実と異なる内容を書いてはいけません。重要な過失や故意によって事実と異なる内容を申告したり、事実を隠していた場合、万が一のことが起こっても、保険金の支払いがされない場合があります。

また、途中で告知義務違反が判明した場合、保険契約を解除されてしまう可能性も。
そうなってしまっては団信に加入する意味自体がなくなってしまうので、告知でわざと虚偽の申告をしないようにしましょう。

契約内容の変更ができない

団信の保障内容は、途中で変更ができません。特約をつけたことにより金利が上がって返済が厳しい、病気が心配だからあとから特約をつけたいなど、途中で契約を変更したいとならないためにも、契約前にしっかりと確認しましょう。

途中から加入できない

団信に加入できるのは、あくまでも住宅ローン契約時のみです。ローン返済の途中から加入したくてもできません。契約前にしっかりと検討するようにしましょう。

生命保険料控除の対象外

生命保険の場合、生命保険料控除の対象となりますが、受取人が自分または配偶者、その他の親族の必要があります。団信は、契約者に万が一のことがあった際には、保険会社から金融機関に保険金(住宅ローンの残高)を支払う仕組みです。よって、団信の保険金の受取人は金融機関であり、生命保険料控除の対象外となります。

まとめ

住宅ローンを契約する際に、団信の加入を条件としている金融機関も多く、住宅ローンを検討する際には、併せて団信についても検討することがほとんどです。
団信といっても取り扱い金融機関によって、支払条件や内容、団信の開始日が異なります。
住宅ローンを契約するまで時間的に余裕がないことも多いですが、しっかりと事前に確認し、納得してから契約するようにしましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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