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住宅ローンが残っている状態で家を手放したい時どうする?手放す方法や手順と注意点を解説!

住宅ローンが残っている家を手放したい時の方法や注意点を解説します
住宅ローンが残っているのに、家を手放したい状況になり、どのようにすればよいかと悩んでいませんか。「売却できるのか?」「ローンはどうなるのか?」「手続きの流れは?」など、疑問は尽きないでしょう。しかし、住宅ローンが残っている家を売る場合には、通常の売却と異なる注意点があります。計画的に進めなければ、思わぬ負担が生じるかもしれません。

本記事では、住宅ローンが残っている状態で家を手放す方法や手順、注意点を解説します。また、住宅ローンの残債を把握する方法、売却時にかかる費用や税金、抵当権の抹消手続きなど、スムーズに家を手放すための情報も紹介。家を売りたいけれど何から始めればいいかわからない方は、ぜひ最後までご覧ください。

住宅ローンが残っている状態で家を手放すケース

住宅ローンが残っている状態で家を手放すケースを解説します
住宅ローンが残っている状態で家を手放すケースを解説します

住宅ローンが残っている状態で家を手放すケースは、予想外の生活変化や経済的な理由から生じる場合があります。具体的にどのようなケースで家を手放すのか、以下3つの代表的なケースで解説します。

離婚する場合

住宅ローンが残ったまま家を手放したいケースの一つは、離婚です。離婚で住宅ローンが残ったままの家を手放す場合、特に夫婦共有の財産で購入した家に関しては、売却が複雑になるでしょう。

まず、住宅ローンの返済義務がどちらにあるか、また家の所有権をどちらが持つかを決めなければなりません。特に、ペアローンや連帯債務のように夫婦共同でローンを組んでいる場合、双方の合意がなければ家を売却できません。そのため、どちらか一方が家を手放したいと考えても、もう一方が同意しなければ売却は進まなくなってしまいます。

また、売却後に得られる金額がローン残高を上回らない場合、残った差額の支払いも問題になるでしょう。利益が発生した場合も、その分をどちらが受け取るかの点でトラブルが生じるかもしれません。

さらに、住宅ローン契約を変更する際には、金融機関との協議が必要です。名義変更や借り換えをおこなう場合、金融機関の承諾を得る必要があり、必ずしも希望どおりに名義変更ができるわけではありません。離婚で家を手放す場合は、事前の準備や手続きの確認が重要です。

引越しをしたい場合

引越しをしたい場合も、住宅ローンが残っている状態で家を手放すケースの一つです。引越しの必要性が生じる背景には、転勤や通勤の不便さ、家族構成の変化、ライフスタイルの変化などが挙げられるでしょう。

例えば、会社の異動や転職により、今の家に住み続けることが難しくなる可能性があります。また、通勤時間が長くなり、家族との時間が取れなくなる点も引越しを考える要因です。

さらに、家族構成の変化があると、引越しを考える転機になるでしょう。子どもが成長し、個室が必要になると、今の住まいが手狭に感じる可能性があります。反対に、子どもが独立して夫婦二人になった際には、広すぎる家を手放してコンパクトな住まいに移ることを検討するかもしれません。

また、親の介護が必要になり、実家近くへ引越しをせざるをえない可能性もあるでしょう。このように、引越しが必要になった場合でも住宅ローンが残っていると、売却時にローンを完済できるかが重要になります。 売却価格がローン残高を下回る場合は、自己資金の準備や金融機関との相談が必要になるため、慎重に計画を進めましょう。

住宅ローン返済が困難になった場合

家を手放したい理由に、住宅ローンの返済が困難になった場合も考えられるでしょう。生活の変化や収入の減少、病気や失業など、さまざまな理由で返済が滞る可能性があります。もし、返済が滞ると、最終的に金融機関から家を差し押さえられてしまうかもしれません。このような場合、早期に対処しなければ自宅を失う可能性が高まります。

ローンを返済できない場合には、まずは金融機関と相談し、返済の猶予やリスケジュール(返済計画の見直し)を依頼しましょう。その対応が取れない場合には、家を売却してローンを返済する方法がありますが、売却額がローン残債を下回る場合、残った差額を補うために追加資金が必要です。

もし自己資金でも返済ができなければ、任意売却や債務整理、さらには自己破産などをしなければならないかもしれません。任意売却は、売却価格でローンを返済しきれない場合でも、金融機関と協議のうえで売却できる方法です。通常の売却と異なり、債務者の同意を得ておこないます。ただし、この方法でも残りの負債が発生する可能性があるため、弁護士や専門家に相談しながら進めましょう。

住宅ローンが残っている状態で家を手放せる?その方法とは

住宅ローンが残っている状態で家を手放せるかを解説します
住宅ローンが残っている状態で家を手放せるかを解説します

住宅ローンが残ったままでも、家の売却は可能です。ただし、住宅ローンを借りて購入した家には、金融機関などが設定した「抵当権」が付いています。この抵当権は、ローンの返済が滞った場合に、金融機関が担保として設定した家を競売にかけ、売却代金でローンの返済に充てるための権利。つまり、家を手放すためには、この抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権を抹消するための方法には、次の4つがあります。

  • 売却代金で住宅ローンを一括返済する
  • 売却代金と不足分を自己資金で補い住宅ローンを一括返済する
  • 住み替えローンを利用する
  • 任意売却をする

それぞれ詳しく解説します。

売却代金で住宅ローンを一括返済する

住宅ローンが残っている家を売却し、その売却代金を使って住宅ローンを完済することが一般的な方法です。問題なく売却できるなら、スムーズに住宅ローンの残債を一括返済できるでしょう。この場合、売却額がローン残債を上回る「アンダーローン」の状態なら、手元に資金が残る可能性があり、不動産会社が売却代金を金融機関へ支払い、抵当権が抹消される流れになります。

売却代金と不足分を自己資金で補い住宅ローンを一括返済する

売却額が住宅ローンの残債に届かない場合、不足分を自己資金で補って住宅ローンを完済しなければなりません。貯蓄を活用するほか、金融機関から一時的に資金を借りるパターンも検討できます。ただし、自己資金を投じてでも売却する価値があるかどうかを慎重に見極めるべきです。場合によっては、ほかの売却方法を検討したほうがよいケースもあるでしょう。

住み替えローンを利用する

住み替えローンとは、新しい住居の購入資金と現在の住宅ローン残債の返済資金を一括で借りるローンです。現在の家を売却した際に残債が発生する場合でも、このローンを利用すれば自己資金を追加せず新居へ移れます。ただし、審査が厳しく、一定の収入や信用力が求められます。また、借入額が増えるため、将来的な返済負担も考慮しなければなりません。

任意売却をする

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、金融機関の合意を得て市場価格に近い金額で家を売却する方法です。通常、ローンの滞納が続くと競売にかけられ、相場よりも低い価格で売却される可能性があります。しかし、任意売却であれば、市場価格に近い価格で売却できるため、債務負担を軽減しやすくなるでしょう。

また、売却後も残債が残る場合は、金融機関と交渉すれば、分割払いなどの条件で返済ができるかもしれません。ただし、任意売却には金融機関の同意が必要で、一定の条件を満たす必要があります。

住宅ローンが残っている状態で家を手放す時のポイント

住宅ローンが残っている状態で家を手放す時のポイントを紹介します
住宅ローンが残っている状態で家を手放す時のポイントを紹介します

住宅ローンが残っている状態で、家を手放すことは簡単ではありません。ローンを完済するためには家の売却が不可欠ですが、スムーズに進めるにはいくつかの重要なポイントがあります。少しでもよい条件で住宅ローンが残っている家を手放すために、本章で重要なポイントをみていきましょう。

査定は複数の不動産会社へ依頼する

最初におこなうことは、不動産会社への査定依頼ですが、1社だけに依頼するとリスクが高くなります。家を売る価格を決めるための査定は、不動産会社ごとに異なる場合が多いため、複数の不動産会社に依頼しましょう。複数の会社に査定を依頼すると、市場価格の幅が理解しやすくなります。同じ物件でも、会社によって査定額が数百万円違う場合もあるため、過小評価に気付かず売却価格を下げられてしまっては危険です。

また、不動産市場には地域ごとの特性があり、どのエリアで強みを持っているかは会社によって異なります。そのため、複数の会社に依頼すると比較検討でき、最適な会社が選べるでしょう。査定結果を比較して、信頼できる会社に依頼することをおすすめします。

家を手放す際にかかる諸費用を調べておく

住宅ローンが残った家を売却すると、売却代金を得られるだけでなく、さまざまな諸費用がかかります。これらの費用は、売却後に手元に残る金額に大きな影響を与えるため、事前の把握が欠かせません。

家を手放す際にかかる諸費用
仲介手数料 売却価格の3% +6万円(税込)
印紙税 収入印紙を契約書に貼り付ける際必要で
契約金額によって金額は異なる
抵当権抹消費用 1,000円(不動産1戸あたり)
繰上返済手数料 3~5万円程度(金融機関で異なる)
その他諸費用 新居の購入費用、引越し費用、測量費用、
固定資産税など

まず、不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。仲介手数料は売却価格の3% +6万円(税込)が上限ですが、この金額を予算に含めておくようにしましょう。

さらに、売却にともない必要な書類作成費用や登記費用、税金が発生する可能性があります。特に、固定資産税や都市計画税などの税金が売却時に清算される場合もあるため、これらも欠かさずチェックしておきましょう。

また、家を売却したあとに新しい住居を購入する場合は、その購入費用も必要です。もし家を売却して新たな家に引越す場合、その引越し費用や家具・家電などの購入にかかる費用も予算に含めなければなりません。これらの諸費用を正確に見積もっておかなければ、売却後に予想以上の支出が生じ、住宅ローン残債の支払いに困る可能性もあります。早い段階で費用を把握し、適切な準備を進めましょう。

売却時に利益が出た場合は税金が発生することを把握しておく

住宅ローンが残っている状態で家を売却し、売却額がローン残債や諸費用を差し引いても利益が出た場合、「譲渡所得税」が発生する可能性があります。譲渡所得とは、家を売って得られた利益を指し、給与所得や事業所得と同じように課税対象です。

売却後、この税金を適切に納めるために、確定申告が必要になる可能性があります。確定申告を怠ると、延滞税や加算税などのペナルティが科せられる可能性があるため、注意しましょう。また、確定申告をしなければ適用できる控除や特例を活用できず、結果的に余分な税金を支払う可能性もあります。

譲渡所得税が発生するかどうかは、売却を依頼する不動産会社に相談し、おおよその判断をしましょう。ただし、具体的な税額の計算や税務処理は、税理士などの専門家に相談が必要です。特に、不動産売却に関する税制には、さまざまな控除や軽減措置があり、適切な方法で申告すれば、税負担を抑えられる可能性があります。家を売る際には、売却価格だけでなく売却後にかかる税金も事前に確認し、スムーズに手続きを進められる準備をしておきましょう。

住宅ローンが残っている状態で家を手放す際の手順

住宅ローンが残っている状態で家を手放す際の手順を解説します
住宅ローンが残っている状態で家を手放す際の手順を解説します

住宅ローンが残った状態で家を手放す場合、慎重に進めることが重要です。住宅ローンを完済できるように売却するためには、下記のステップを踏む必要があります。

  • STEP 1現在の住宅ローンの残債を把握する
  • STEP 2不動産会社に査定を依頼する
  • STEP 3売却代金で住宅ローンを完済できるかを確認する

以下からは、住宅ローンが残った状態で家を手放すための手順を具体的に解説します。

STEP 1. 現在の住宅ローン残債を把握する

まずは、現在の住宅ローンの残債を正確に調べましょう。残債を把握せずに売却を進めてしまうと、売却額がローン残債を下回る場合、差額をどうするかという問題が発生してしまいます。また、もしペアローンや連帯債務など、複数の住宅ローンを組んでいる場合、それぞれのローンの残債も正確に確認するようにしましょう。

残債を確認する方法は以下です。

  • 残高証明書
  • 返済予定表
  • 銀行の残高照会サービス

一般的な方法は「残高証明書の確認」で、通常、金融機関から毎年11月から翌1月ごろに郵送されてくる書類で確認できます。住宅ローン控除を受けるためにも必要な書類であるため、特別な手続きなしで手に入れられます。また、万が一紛失してしまった場合でも、借入先の金融機関に依頼すれば再発行してもらえるでしょう。

次に、返済予定表には、毎月の返済額やボーナス返済額、金利、元本の内訳などが記載されており、住宅ローンの返済計画がわかります。しかし、金利が変動する変動金利のローンの場合、返済額が変更される場合があるため、返済予定表で正確な残債の確認が難しいかもしれません。

また、最近ではインターネットサービスを提供している金融機関も多く、パソコンやスマートフォンを使って住宅ローンの残債をオンラインで照会できる場合もあります。金融機関によっては無料で利用できるため、手軽に残債を確認する方法として有効でしょう。

STEP 2. 不動産会社に査定を依頼する

残債の確認ができたら、売却額がローン残債を上回る可能性があるのかを確認するために、不動産会社に査定を依頼しましょう。査定を依頼すると、市場価格や適切な売却額がわかり、ローン完済のためにいくらの価格で売却すればよいかが見えてきます。

査定時には、物件の状態や周辺環境も重要な要素です。例えば、物件の立地条件やリフォームの有無、築年数などが査定額に影響するでしょう。査定を依頼する際には、複数の不動産会社に依頼して、それぞれの査定額を比較することがおすすめです。

STEP 3. 売却代金で住宅ローンを完済できるかを確認する

不動産会社に査定を依頼し、売却額が明確になったら、その売却額でローンを完済できるかを確認しましょう。もしできなければ、住宅ローンを完済するための追加資金を調達しなければならず、売却できません。

もし、売却額がローン残債を上回っていれば、家を売却して住宅ローンを完済でき、そのあとは手元に利益も残るでしょう。

しかし、売却額がローン残債に届かない場合、その差額をどう補うかを考えなければなりません。この場合、自己資金で不足分を補填するか、金融機関と交渉して支払い方法を調整する方法も考えられます。

住宅ローンが残る家を手放したい時によくある質問

住宅ローンが残る家を手放す場合に関するよくある質問をまとめました。

住宅ローンが残っている状態で家を手放すのはどのようなケース?

離婚、引越し、ローン返済困難の3つが代表的です。離婚の場合、夫婦で共有の住宅ローンを組んでいると、どちらがローンを返済するのか、売却後の利益や残債をどう分配するのかを決めなければなりません。また、住宅ローンの名義変更には金融機関の承認が必要で、希望どおりに進まない可能性もあります。

転職や生活環境の変化による引越しで家を手放す際には、売却額が住宅ローンの残債を下回ると差額を自己資金で補わなければならず、慎重な市場調査や金融機関との相談が欠かせません。

住宅ローンの返済が困難になった場合、早めに金融機関と相談し、返済計画の見直しを検討しましょう。売却を選択する場合、ローン残債を売却額で賄えなければ、任意売却や債務整理の可能性も出てくるため、専門家の助言を受けながら慎重に進める必要があります。

住宅ローンが残っている家を手放す方法は?

抵当権を抹消しなければなりません。住宅ローンを一括返済する方法があり、売却代金を利用して完済することが一般的です。売却額がローン残債を下回る場合は、自己資金で不足分を補うか、住み替えローンを利用する選択肢もあります。また、ローンの返済が困難な場合には、金融機関の合意を得て任意売却をおこなうと、市場価格に近い金額で売却でき、残債の返済方法を交渉する余地も生まれるでしょう。

住宅ローンが残っている状態で家を手放す場合のポイントは?

まず、不動産の査定を複数の不動産会社に依頼し、市場価格を適切に把握しましょう。査定額は会社ごとに異なるため、比較検討すると最適な売却額を見極められます。

次に、売却にともなう諸費用を事前に把握する点も重要です。仲介手数料や抵当権抹消費用、税金、引越し費用などを考慮しましょう。

また、売却によって利益が出た場合は、譲渡所得税が発生する可能性があり、確定申告が必要になるため注意が必要です。税負担を軽減する控除や特例があるため、不動産会社や税理士に相談し、適切な準備を進めるとスムーズな売却ができます。

住宅ローンが残っている状態で家を手放す手順は?

まず、現在の住宅ローン残債を正確に把握し、売却額がローン残債を上回るかを確認しましょう。残債の確認方法には、残高証明書や返済予定表の確認、金融機関のオンラインサービスの利用などがあります。

次に、不動産会社に査定を依頼し、市場価格を把握しましょう。この際、複数の不動産会社に依頼して査定額を比較すると、より適正な売却額を見極められます。その後、売却額でローンを完済できるかを確認し、不足分がある場合は自己資金で補うか、金融機関と交渉しましょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンが残った状態で家を手放す際に必要な知識を解説しました。住宅を売却する理由は人それぞれですが、どのような状況であっても、ローン残債や市場価格、売却にかかる費用を正しく把握し、適切な手続きを進めましょう。

急な引越しや経済的な理由で売却を考える場合にも、ローンの残債と売却額の差額をどのように補填するかを検討する必要があります。また、抵当権の抹消や売却後の税金も理解しておき、予想外の負担を避けましょう。

また、複数の不動産会社に査定を依頼し、市場価格を知っておくと、適正な価格で売却する判断材料になります。本記事を読んで、さまざまなケースに対応するための基礎知識を整理し、自身の状況に応じた最適な方法を選択できるために役立ててください。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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