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契約社員でも住宅ローンを組めるって本当?審査の注意点とポイントを徹底解説!

契約社員であっても住宅ローンを組めるのでしょうか
契約社員であっても、夢のマイホームを手に入れるための住宅ローンは組めるのでしょうか。契約社員には、ローンを組む時に正社員とは違った注意点やポイントが存在します。
この記事では、契約社員が住宅ローンを組む際の実際の条件や、審査に通りやすくするためのコツを徹底解説します。マイホームを手に入れるための第一歩として参考にしてください。

契約社員でも住宅ローンの利用はできる

契約社員でも住宅ローンの利用ができます
契約社員でも住宅ローンの利用ができます

多くの人が住宅ローンの利用に関して、正規雇用者である必要があると誤解していますが、非正規雇用の契約社員や派遣社員でも利用できます。特に、住宅金融支援機構「フラット35」の住宅ローンは全期間固定型の金利で返済することができ、雇用形態に関わらず利用可能です。
例えば、パートやアルバイトの方でも、勤続2年以上の実績や継続雇用の実績があれば、ローンの審査対象として扱われ、年金受給者であってもローンを組めます。

契約社員が組みやすい住宅ローン

契約社員が住宅ローンを組むなら地方銀行かフラット35がおすすめです
契約社員が住宅ローンを組むなら地方銀行かフラット35がおすすめです

契約社員の方々は、正社員と比べて住宅ローンの審査が厳しいと感じることが多いのではないでしょうか。しかし、契約社員でも住宅ローンを組むチャンスは十分にあります。以下では、契約社員の方におすすめの住宅ローンについて紹介。押さえるべきポイントや、どのような注意点があるのか、徹底的に解説します。

地方銀行

銀行は都市銀行と地方銀行に大きく分けられます。地方銀行は、契約社員の方が住宅ローンの審査を受ける際、審査に通りやすい特徴があります。都市銀行と地方銀行についてそれぞれ見てみましょう。

都市銀行のメリットは、契約者向けのサービスが豊富で、全国どこでもサービスを利用できることです。また、金利に関してもさまざまな優遇されるプランや特典が用意されています。しかし、申込者の勤務先や年収の情報に基づいて、金利が変動することがあるほか、審査基準も比較的厳格であることがデメリットといえるでしょう。

一方、地方銀行は、申込者の勤務先や年収に対して柔軟な対応をしてくれるため、正社員ではない方でも住宅ローンの利用がしやすい点が大きなメリットです。しかし、地方銀行が提供する融資の対象エリアは限られているため、エリア外での利用は難しくなることがあります。さらに、金利も都市銀行に比べてやや高く設定される傾向があるのが、デメリットです。

フラット35

住宅金融支援機構「フラット35」は、契約社員をはじめとするさまざまな雇用形態の人々にとって、利用しやすい選択肢です。
「フラット35」は住宅金融支援機構とさまざまな民間の金融機関が協力して提供しているもので、審査項目に「雇用形態」や「勤続年数」が含まれていない点が特徴。派遣社員やパート、アルバイトの方々も含めて、幅広い雇用形態の人が利用できます。特に、転職をしたばかりの方や勤務年数が短い方にはピッタリのローンです。

フラット35の金利は全期間固定型となっており、金利の設定は建物の耐震性や断熱性などの品質に基づいています。申込者の勤務先や年収ではなく、建物の品質により金利が決定します。

また、住宅ローンでは団体信用生命保険(団信)への加入が必須となることが一般的です。フラット35では加入の義務はなく、健康に問題がある方でも安心して加入できます。ただ、フラット35のデメリットとして挙げられるのは、変動型のローンと比較すると金利が高めに設定されていることです。

ネット銀行

近年一般的になってきたネット銀行も、契約社員が住宅ローンを組む選択肢の一つです。とはいえ、正社員に比べると契約社員の場合に住宅ローンの審査条件が厳しくなることが一般的。

ネット銀行の審査では、申し込み要件や審査基準がネット銀行ごとに設定されていますが、特に安定した収入が重要視される傾向に。金融機関によっては、健康保険や厚生年金保険の被保険者であり、雇用保険への加入が確認できることが条件とされているところもあるため、事前に確認しておきましょう。

住宅ローンの8つの審査項目を紹介

住宅ローンの審査項目は8つあります
住宅ローンの審査項目は8つあります

住宅ローンを組む際、契約社員であることは一つのハードルとなるかもしれません。しかし、重要なのは、ローンの審査に関する知識を持っているかどうかです。住宅ローンの審査には8つの重要な項目が存在します。審査項目をしっかりと理解して準備をしておけば、契約社員であってもローンの契約が現実的になるでしょう。

年収

住宅ローンやクレジットカードの審査で、年収はたしかに重要な要素の一つですが、審査のすべてではありません。審査の基準は申込者の個別の状況に応じて異なります。例えば、正社員として働いている人は、雇用形態が比較的安定しているため、同じ年収の範囲であっても審査に通過しやすい傾向があります。
一方、自営業や派遣社員を含め非正規雇用の方は、毎年の収入が大きく変動する可能性があるため、同じ年収であっても審査のハードルが高くなるでしょう。

さらに、高い年収を持っていても、審査に通る基準とはなりません。例えば、申込者の勤務歴が短い、過去のローン返済で何度か延滞を経験している、あるいは他の金融機関からの多額の借り入れがある場合が該当すると審査で不利に働くことがあり、結果として審査に落ちる可能性も出てきます。
審査は総合的な評価に基づくため、「契約社員」という一つの要素だけに目を向けるのではなく、全体のバランスをよく理解することが大切です。

勤続年数

以前、住宅ローンの審査では「勤続年数3年以上」が一般的な目安とされていました。しかし、時代の変化とともに、2年程度の勤続年数でもローンの審査を受けることが可能に。新たに転職をして2~3年未満の場合、詳しい職務経歴や前職での業績などを証明するための「職歴書」の提出が求められることも考えられます。

転職をした直後に住宅ローンを申し込む場合、金融機関から見れば収入の安定性に疑問が持たれるため、注意が必要です。しかし、契約社員であっても転職先が大手の企業であったり、前職と同じ業界での昇進やスキルアップを目的とする転職であれば、勤続年数が短いデメリットを相殺することができます。また、転職先が大手でなくとも、企業が急成長している場面や、経営基盤がしっかりしている場合、住宅ローンの審査で有利な条件として評価される可能性が高まるでしょう。

完済時の年齢

住宅ローンを申し込む際、金融機関が設定している審査基準のなかには、申込者の年齢に関する規定が含まれています。ローンの返済が完了するまでの時間と、申込者の寿命の間に時間的な余裕を持たせるためのものです。多くの場合、上限年齢は「80歳までにローンを完済」するように設定されています。

年齢制限が存在する場合、申込者の年齢と上限年齢との差によって、実際に借入可能な期間が決まります。例として、50歳の時にローンを申し込むと「80歳-50歳=30年」が借入できる期間です。35年よりも短い期間での返済となるため、月々の返済額が大きくなります。加えて、希望していた金額を全額借りることが難しくなる場合も考えられるでしょう。年齢が上がるにつれて、住宅ローンの取得が難しくなる可能性があるため、早い段階での計画や相談が重要です。

借入時の年齢

住宅ローンは多くの人にとって生涯のなかで大きな借金となるため、金融機関は完済時の年齢だけでなく、借入時の年齢も審査ポイントとして重視します。一般的に、住宅ローンの借入に際しての最低年齢は20歳以上、一方で上限年齢は65歳未満とされることが多いです。しかし、住宅金融支援機構「フラット35」のように70歳未満とする金融機関もあります。年齢制限は、多くの場合、定年までにローンを完済することを前提として設定されています。

若い20代の場合、最長の借入期間を利用でき、健康面でもリスクが低いため、返済に対する安定が見込めるのがメリットです。しかし、職歴が短かったり、年収がまだ低い場合が多く、希望する借入金額全額を受け取れない可能性も。

一方、経験と収入が豊富な50代は、契約社員でも審査自体は通過しやすい状況にあります。しかし、デメリットは、返済期間が短くなり、月々の返済額が大きくなることと、健康上の理由で団信に加入できないことです。

年齢層によって住宅ローンのメリット・デメリットが異なるため、自身の状況をしっかりと把握し、計画的に申し込みをおこなうことが重要です。

健康状態

住宅ローンの申し込み時に、健康診断証明書を提出する必要は基本的にありません。しかし、多くの金融機関では、住宅ローンの契約を結ぶ際に団信への加入を条件としています。団信は、ローンの返済中に何らかの事故や病気などで借主が亡くなった際に、保険金を使って残りのローンを返済するものです。
団信は生命保険の一種で、契約者の健康状態が悪いと加入できなくなる可能性があるため、注意しましょう。

担保評価

融資を受ける際、金融機関はリスクを回避するために「担保設定」を要求します。担保は、融資を受けた者が返済を滞らせるリスクに備え、金融機関が融資額を取り戻せるようにするのが目的です。担保には大きく分けて「人的担保」と「物的担保」の2つが存在します。「人的担保」は、借り手が返済不能となった際に代わりに返済を担当する人を指し、保証人や連帯保証人が該当します。「物的担保」は、特定の物件や土地などの資産を担保とするもので、売却されることで返済額を回収する仕組みです。

特に住宅ローンの場合、購入する家や土地がそのまま「物的担保」として設定されるのが一般的です。しかし、単に物的担保として設定されるだけではなく、土地や家の価値を金融機関が評価する「担保評価」がおこなわれます。
物件の価値が融資額に見合わないと判断されると、融資を受けることができなかったり、希望する金額よりも少ない額しか借りることができない可能性もあります。

返済負担率

返済負担率は、金融機関が住宅ローンの審査をおこなう際の重要な指標として用いられるもので、申込者の収入のなかで返済に充てられる額の比率を示します。一般的には、返済負担率が年収の20%以内に収まることが望ましいです。20%を基準とすることで、申込者が適切な返済計画を持ち、無理なく返済していくことができると判断されます。

しかし、返済の対象となる負債は、住宅ローンだけではありません。マイカローンや生活資金を借りるカードローン、結婚資金としてのブライダルローンなど、さまざまなローンや借入が考慮されます。すべての返済額を合計したうえで、年収の20%を超える場合、金融機関の審査を通過するのが難しくなる可能性が高まります。融資を受ける前に、自身の返済能力をしっかりと確認しておくことが大切です。

自己資金

住宅ローンを申し込む際、持っている自己資金の額は重要な要素です。自己資金とは、住宅購入のために自らの手元に用意できる資金のことを指します。自己資金が多ければ多いほど、金融機関から見た時の申込者の信用度が上がります。

なぜなら、自己資金が豊富であれば、融資を受ける必要がある金額は相対的に少なくなり、返済の負担も軽減されるからです。例えば、ある物件を購入する際に半分の金額を自己資金で賄えると、残りの半分だけを金融機関からの融資で賄うことができます。同じ物件を購入する場合でも、自己資金が少ない人に比べて、返済の総額も少なくなり、毎月の返済額も低くなることを意味するため、審査に通過する可能性が高まるでしょう。

住宅ローンの審査を通りやすくするための5つのポイント

住宅ローンの審査を通りやすくするためのポイントは5つあります
住宅ローンの審査を通りやすくするためのポイントは5つあります

住宅ローンの審査は、契約社員である方にとっては一つの大きな壁と感じるかもしれません。しかし、正しいアプローチと準備で、壁を乗り越えることは十分可能です。審査を通りやすくするための具体的なポイントを実践することで、マイホーム購入の夢が現実に一歩近づくでしょう。住宅ローンの審査をスムーズに通過するための5つのポイントを詳しく解説します。

頭金を用意する

住宅ローンの申し込み時、契約社員という雇用形態は審査の障壁となることがありますが、障壁を乗り越えるための有効な方法として「頭金の充実」が挙げられます。頭金とは、物件を購入する際に自らの資金で先に支払う金額のことを指し、金額が多いほど、借りる金額は減少します。結果として、毎月の返済額や総返済額が少なくなるため、金融機関も返済能力があると判断しやすくなるでしょう。

実際、多くの専門家や金融機関は、頭金として物件価格の約20%用意することを推奨しています。例えば、3,000万円の物件を購入する場合、頭金として600万円を目指すのが望ましいです。頭金を増やすことで、金融機関からの信頼を得やすくし、住宅ローンの審査をスムーズに進めることができるでしょう。

勤続年数を長くする

住宅ローンの審査で、勤務年数は重要な要素です。一般的に、勤務年数が長ければ長いほど、金融機関から見て返済能力が高いと判断されます。特に、転職を頻繁に繰り返すような働き手は、安定した返済能力が見込めないと見なされがちです。
しかし、大手企業への転職や、スキルアップを目的とした転職であれば、短い勤務年数でも十分に信頼を勝ち取ることができるでしょう。契約社員であっても、長期間同じ企業での勤務実績や、継続的に雇用されている実績があると、安定した収入を持っているとみなされ、審査が有利に進むことが期待できます。
住宅ローンを考える際には、勤務年数や転職履歴、そして雇用形態をしっかりと把握し、もっとも有利なタイミングで申し込むことが重要です。

ペアローンを検討する

住宅ローンの申し込みを単独でおこなうと、審査のハードルが高くなることがあります。しかし、親子や夫婦の収入を合わせて申し込むことで、より高額のローンを得る可能性が高まります。夫婦での住宅ローンの申し込み方法には、「ペアローン」、「収入合算の連帯保証型」、そして「収入合算の連帯債務型」の3つのパターンが主流です。

ペアローンは、夫婦双方が同じ金額を返済する形になります。収入合算の連帯保証型は、一方が返済を滞るともう一方が責任を負う形となります。そして、収入合算の連帯債務型は、夫婦双方が返済の義務を持ち、一緒に返済する形です。いずれかを利用することで、2人の合計年収に基づくローンの金額が設定され、より審査が通りやすくなる可能性があります。特に、高額な物件を購入する際や、一方の収入だけでは審査に難しさを感じる場合には、ペアローンを検討してみましょう。

正社員になることを検討する

住宅ローンの審査は、申込者の収入や雇用形態を重視しておこなわれるため、契約社員や派遣社員の方が審査で不利になることが少なくありません。もし雇用形態が審査の障壁となってしまった場合、正社員に転職することを考えることが住宅ローンを組むための大きなステップとなるでしょう。

実際に、勤務先に正社員登用制度があれば契約社員として5年間勤務したあとで正社員に昇格することができます。住宅ローン審査の観点から見れば、申込者の収入の安定性や将来性が高まったと評価され、審査の際に有利に働く可能性が高まります。
住宅の購入を真剣に考えている方で、雇用形態がネックとなっている場合は、正社員への道を探ることで、よりローンの審査に通りやすくなるかもしれません。

現金で購入できる価格にする

住宅購入の過程で住宅ローンを組むのが一般的ですが、唯一の方法ではありません。特に、都心部の不動産価格が高騰している現代で、駅から少し離れた物件や築年数が経っている物件は、手ごろな価格で取引されることがあります。都心から遠くとも交通アクセスが良好で、生活必需品を揃えることができる施設が近隣に充実している地域は、住みやすさを兼ね備えています。

また、築年数が経過している物件でも、適切なリフォームをおこなえば新築同様の快適さを手に入れることができるでしょう。価格が手頃なため、貯蓄を活用して現金購入を検討することも可能です。ローン返済の負担を考えると、予算内での現金購入は賢明な選択となるでしょう。

まとめ

契約社員でも住宅ローンの利用は可能で、特にローンを組む際には地方銀行がおすすめです。難しい場合は、フラット35を考慮するのもよいでしょう。住宅ローンの審査には8つの項目があり、年収や勤続年数、完済時や借入時の年齢などが考慮されます。

また、審査をスムーズに進めるためには、頭金の準備や勤続年数を3年以上にし、ペアローンや正社員への転職を考慮するなどの方法が考えられます。マイホーム購入の際には、ポイントを押さえてリスクを回避し、賢く物件選びをすることが重要です。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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