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住宅ローンの保証会社とは?審査の通りやすさに差はあるかなどの疑問を徹底解説!

住宅ローンの保証会社によって審査の通りやすさに差はあるのかを解説します
住宅ローンを組む時に利用する保証会社ですが、そもそも保証会社とは何でしょうか。また、保証会社によって審査の通りやすさに違いはあるのかなど、さまざまな疑問が浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事ではまず、住宅ローンの保証会社とは何かを解説していきます。続いて、保証会社によって審査の通りやすさに差はあるのかなど、よくある疑問に対しわかりやすく解説していきます。

住宅ローンの保証会社はどのような会社?

住宅ローンの保証会社とはどのような会社なのでしょうか
住宅ローンの保証会社とはどのような会社なのでしょうか

住宅ローンの保証会社とは、住宅ローンを借りる際、借り手が返済能力を失った場合にその債務を保証する会社です。保証会社を利用することで、金融機関は債務者の返済能力や信用リスクを軽減し、安心して住宅ローンを提供できるようになります。

この章では、保証会社が何をしているか、役割や保証会社の種類、保証料の支払い方を解説します。

保証会社の役割

住宅ローンの保証会社には、2つの役割があります。

  • 保証審査
  • 保証履行

保証会社は、申込者の信用力や物件の価値を評価する「保証審査」と、返済できなくなった場合に債務を代位弁済する「保証履行」の重要な機能を担っています。

まず、保証会社は保証審査を実施します。審査では、申込者の返済能力や購入する物件の担保価値などを評価し、保証を引き受けるか否かを判断します。保証会社を利用する住宅ローンでは、実質的な審査は保証会社がおこない、結果は融資自体の審査にも影響を与えます。

さらに、保証会社は保証履行もおこないます。保証履行とは、住宅ローン契約者が返済できなくなった場合に、一時的に債務を肩代わりする行為をさします。契約者は保証料を支払うことで、保証会社は保証人としての役割を果たし、金融機関のリスクを軽減します。
これにより、金融機関は安心して住宅ローンを提供し、借り手はよりスムーズな融資手続きを受けることができます。

保証会社の種類

保証会社には、以下のような種類があります。

保証会社の種類 概要
銀行子会社系 メガバンクなど大手銀行が設立した保証会社
 ・三菱UFJローンビジネス株式会社
 ・みずほ信用保証株式会社
 ・りそな保証株式会社
 ・横浜信用保証株式会社
 など
第二地銀系 第二地方銀行が地域毎に共同で設立した保証会社
 ・株式会社かんそうしん
 ・中国総合信用株式会社
 ・東北総合信用保証株式会社
 など
信用金庫協会系 全国の信用金庫と信金中央金庫が共同で設立した保証会社(保証基金)
 ・一般社団法人しんきん保証基金
 など
独立系 金融機関とは独立した立場の保証会社
 ・全国保証株式会社
 など

ただし、利用する保証会社は住宅ローン契約者が決めるのではなく、金融機関が指定します。そのため、利用する保証会社を、契約者が自由に選ぶことはできません。なお、どの保証会社を利用するかは、各金融機関のHPや契約書、パンフレットなどで確認できます。

保証料の支払い方

保証会社を利用する際には、保証料が発生します。保証料の支払い方法には「外枠方式」と「内枠方式」の2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

外枠方式(一括前払い)

外枠方式は、住宅ローンの契約時に数十万円から数百万円に及ぶ保証料を一括で支払う方法です。この方法を選ぶと、将来的に繰り上げ返済をおこなった際に、支払った保証料の一部が返金される場合があります。なぜなら、繰り上げ返済により返済期間が短縮されると、保証期間も短くなるからです。

外枠方式のメリットは、契約時に保証料を一括で支払うことで、毎月の住宅ローン返済額を抑えられる点です。さらに、金利を上乗せする内枠方式と比較して、返済総額が少なくて済む利点もあります。

ただし、デメリットもあります。外枠方式では、住宅ローン契約時にまとまった資金が必要になるため、貯蓄に余裕がない方やまとまった資金がない方にとっては実行が難しい可能性があります。

外枠方式は、将来の繰り上げ返済を見越してコストを削減したい方や、毎月の返済額を軽減したい方に選ばれる手段です。

内枠方式(金利へ上乗せ)

内枠方式は、住宅ローンの契約時の金利に一定の割合を上乗せして、保証料を毎月の返済額に含める方法です。金利の上乗せ率は、0.2%前後に設定されることが多いです。例えば、適用金利が1%で金利上乗せ率が0.2%の場合、借入金額には合計で1.2%の金利が適用されます。

内枠方式のメリットは、契約時にまとまった資金が必要ないため、初期費用の負担を軽減できる点です。ただし、外枠方式と同じ借入条件・返済期間であれば、外枠方式に比べて総支払額が大きくなる可能性がある点がデメリット。また、外枠方式と異なり、繰り上げ返済をおこなっても返金はありません。

内枠方式は、契約時の諸費用を抑えたい方に選ばれる手段です。

住宅ローンの保証会社を利用する利点

住宅ローンの保証会社を利用する利点は何でしょうか
住宅ローンの保証会社を利用する利点は何でしょうか

住宅ローンの保証会社を利用する利点で主なものは、以下の2つです。

  • 連帯保証人を立てなくてもよい
  • 審査に通りやすくなる

順番に解説していきます。

連帯保証人を立てなくてもよい

住宅ローンを組むにあたり、連帯保証人を立てるのは簡単なことではありません。兄弟や親族に頼む場合もありますが、保証人になれば多額のローンに対する保証を負わせることになります。人によっては、精神的・経済的負担を大きく感じる場合もあるかもしれません。連帯保証人になってくれる人がいればよいですが、お願いできる人が限られたり、いなかったりする場合もあります。
こうした状況で保証会社を利用できるのは大きな利点です。保証会社は、返済能力や信用情報を評価して債務を保証し、連帯保証人の代わりになる役割を果たしてくれるため、保証人を見つける必要がなくなります。

保証会社の存在は、住宅ローンを利用する際に困難な状況を克服する手段となり、多くの人にとって頼もしい選択肢となります。

審査に通りやすくなる

住宅ローンの保証会社を利用すると、収入が不安定な人でも審査に通りやすくなる利点があります。

通常、住宅ローンの審査では、収入が不安定な方は通過するのが難しい傾向にあります。収入が不安定なことで、住宅ローンの返済に影響すると評価されるためです。しかし、住宅ローンの保証会社を利用すると、審査に通りやすくなる利点があります。保証会社が介入すると、金融機関側のリスクが軽減されるため、保証人なしで審査を通過できる可能性が高まります。

住宅ローンの保証会社を利用する時の注意点

住宅ローンの保証会社を利用する時の注意点は何でしょうか
住宅ローンの保証会社を利用する時の注意点は何でしょうか

保証会社を利用するのはいいことだけでなく、注意点もあります。主なものは以下のとおりです。

  • 保証料が必要であること
  • 必ずしも住宅ローンの契約ができるとは限らないこと

保証料が必要であること

保証会社は、貸金業法に基づいて設立され、金融機関と借り手との間に立ち、返済の保証を提供する役割を果たします。当然ながら、住宅ローンの保証会社を利用する際には、保証料が発生します。

保証料は、先ほど説明したように、外枠方式か内枠方式で支払われます。例えば、外枠方式を採用し、借入額が3,000万円で保証料率が3.0%かかったとします。この場合、保証料は90万円となります。金額は、住宅ローンの借り入れ額に応じて変動するため、大きな負担となることがあります。
内枠方式を採用する場合だと、月々の返済額に0.2%や0.3%の金利が上乗せされ、保証料として請求されます。毎月の返済額の増加はわずかでも、返済が長期間にわたって続くため、経済的負担が大きくなる可能性があります。

保証会社を利用する場合には、保証料が発生するのを考慮して返済計画をたてましょう。

必ずしも住宅ローンの契約ができるとは限らないこと

保証会社を利用すると、収入が不安定な人でも住宅ローンの審査に通りやすくなると紹介しましたが、必ずしも審査に通る保証はありません。保証会社は多種多様で、保証会社の種類や独自の審査基準によって、審査の通りやすさにはばらつきがあります。

また、クレジットカードやカードローン、奨学金などの支払いに延滞がある場合には、住宅ローンの審査に通過しづらい可能性があることを理解しておきましょう。
契約の時に他のローンや延滞がなくても、過去にあった場合にも注意が必要です。さかのぼって審査する対象期間は金融機関によって異なり、具体的な判断基準が金融機関ごとに異なるため、審査内容が明確にされていないこともあります。金融機関は審査の詳細な内容を公表しないため、個々の審査基準やポリシーが不透明なままです。そのため、どの程度の過去の信用情報や支払い履歴が影響を及ぼすのか、明確に予測するのは難しいのが現状です。

保証会社の利用は、ローン審査通過に一定のメリットがある一方で、審査通過を保証するものではありません。

住宅ローンの保証会社によって審査の通りやすさに差はある?

住宅ローンの保証会社によって審査の通りやすさに差はあるのでしょうか
住宅ローンの保証会社によって審査の通りやすさに差はあるのでしょうか

前述にあるように、保証会社の種類や独自の審査基準によって、審査の通りやすさには差が存在するとお伝えしました。この章では、審査が通りやすい保証会社と通りにくい保証会社を紹介します。

審査が通りやすいのは独立系の保証会社

先ほど記載したように、保証会社には、大手メガバンクが運営する銀行子会社系のものと、地方銀行などが共同して設立した第二地銀系・信用金庫協会系のもの、金融機関からは独立しているものがあります。3つで比較すると、審査に通りやすいのは全国保証株式会社などの独立系の保証会社です。独立系の保証会社は、他社のカードやローンなどの信用情報を調査せず、収入や職業など独自の基準で判断しているためです。

審査が通りにくいのは銀行子会社系の保証会社

銀行子会社系の保証会社は、審査が通りにくい傾向にあります。銀行子会社系の保証会社は、住宅ローンを提供する金融機関とは独立していますが、貸し倒れの際にはグループ全体で損失を被る可能性があるため、審査が厳しくなります。
外部企業が関与する保証会社ほど、金融機関全体の貸し倒れリスクが軽減されるため、審査が通りやすい傾向があります。

住宅ローンの保証会社に関するよくある質問

住宅ローンの保証会社に対しよくある質問を集めました
住宅ローンの保証会社に対しよくある質問を集めました

保証会社の審査では何を確認している?

保証会社の審査では、まず申込者の返済能力や、住宅の担保価値があるかを確認します。特に、申込者情報のチェックが重点的におこなわれます。

次に、個人信用情報が詳細に確認されます。年収や勤務先に加え、申込者の過去の借入や返済状況、滞納歴なども遡って調査されます。クレジットカードやカードローンだけでなく、携帯代の分割払いや奨学金の滞納情報など、これまでの金融取引に関連する情報が入念に確認されます。

ただし、審査基準は保証会社によって異なるため、どのような履歴や借入が審査に通るかの判断基準を事前に把握するのは困難です。一般的には、返済能力の高さや信用力が重視されますが、具体的な基準は保証会社ごとに異なります。

保証会社が同じだと、違う銀行でも審査に通らない?

A銀行の住宅ローン審査に落ちた場合、同じ保証会社を利用しているB銀行の審査にも落ちてしまうのではと不安になるかもしれません。結論からいうと、必ず落ちるわけではありません。もし、A銀行独自の審査基準により落ちてしまった場合には、B銀行では審査を通過できる可能性があります。ただし、保証会社の審査で落ちていた場合には、金融機関を変えても審査に通過できません。

繰り上げ返済すると保証料が戻る?

外枠方式を採用し、保証料を一括で支払っている場合、繰り上げ返済で短縮された期間に応じて保証料が戻る場合があります。ただし、いくら戻ってくるかは、利用する金融機関や返済期間によって異なります。

記事のおさらい

Q:住宅ローンの保証会社はどのような会社?

A:住宅ローンの保証会社は、住宅ローンを借りる際、借り手が返済能力を失った場合にその債務を保証する会社です。保証会社を利用することで、金融機関は債務者の返済能力や信用リスクを軽減し、安心して住宅ローンを提供できるようになります。

Q:住宅ローンの保証会社を利用するメリットとは?

A:住宅ローンの保証会社を利用するメリットは、連帯保証人が不要で住宅ローン契約ができること、収入が不安定でも審査を通過しやすくなることです。

Q:住宅ローンの保証会社を利用するデメリットとは?

A:保証会社を利用するデメリットは、保証料の支払いが必要になることと、過去の履歴によってはローンの契約ができないことです。

Q:住宅ローンの保証会社によって審査の通りやすさに違いはある?

A:保証会社の種類によって、審査の通りやすさは違います。一般的に、審査に通りやすいのは全国保証会社などの独立系、審査が厳しいのは銀行子会社系の住宅ローンといわれています。

Q:保証会社の審査では何を審査する?

A:保証会社の審査では、債務者の返済能力の確認と、住宅自体の価値を確認されます。

Q:保証会社が同じだと、違う銀行でも審査に通らない?

A:同じ保証会社を利用しているからといって、違う銀行の審査にも落ちるわけではありません。銀行独自の審査で通過できなかった場合は、銀行を変えれば通過できる可能性があります。ただし、保証会社の審査で落ちた場合には、銀行をかえても審査に通過できません。

Q:繰り上げ返済すると保証料が戻る?

A:外枠方式を採用し、保証料を一括で支払っている場合、繰り上げ返済で短縮された期間に応じて保証料が戻る場合があります。ただし、いくら戻ってくるかは、利用する金融機関や返済期間によって異なります。

まとめ

本記事では、住宅ローンの保証会社とは何かを解説しました。そして、保証会社によって審査の通りやすさに差はあるのかなど、よくある疑問に対しわかりやすく解説しました。
住宅ローンの保証会社の役割や審査のポイント、利用するメリット・デメリットなどを理解し、住宅ローンの組む際の参考になれば幸いです。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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