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住宅ローンを6,000万円組むのに必要な年収は?目安やシミュレーションを紹介!

6,000万円の住宅ローンを組むにはどれくらいの年収が必要なのでしょうか
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書(PDF)」によると、三大都市圏の住宅建築資金と土地購入資金を合わせた平均購入資金の総額は6,787万円でした。そのため、6,000万円で住宅ローンを組むことを検討する方は少なくないでしょう。しかし、6,000万円で住宅ローンを組むとなると、いくら年収が必要になるのか気になると思います。

住宅ローンを組むにあたって必要な年収の額を知らないと、審査に通らず借り入れることができません。また、住宅ローンを組めても返済額が多く、資金繰りに苦労することなどの問題が起きやすいです。

そこで本記事では、住宅ローンを組む際の必要な年収の目安や借り入れの際に押さえておきたいポイントなどを解説します。最後までご覧ください。

住宅ローンで6,000万円を組む際の年収の目安

住宅ローンで6,000万円を組む際の年収の目安を見てみましょう
住宅ローンで6,000万円を組む際の年収の目安を見てみましょう

まずは、6,000万円を借り入れるのに必要な年収の目安を知り、準備していきましょう。

物件価格は世帯年収の5.7~7.5倍が目安

住宅金融支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査(PDF)」によると物件価格に対する世帯年収の倍率が5.7〜7.5倍でした。そのため、物件価格は、世帯年収の5.7〜7.5倍が適正でしょう。例えば、年収が800万円の場合、4,560〜6,000万円が適正。年収が1,100万円だった場合、6,270〜8,250万円が適正になります。そのため、6,000万円の物件を住宅ローンで購入するとなると、世帯年収は800〜1,100万円が目安でしょう。

返済負担率は20%以内が目安

返済負担率は、年収に占める毎年の返済額の割合のことを指します。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2023年10月調査)(PDF)」によると、年収の15〜20%がもっとも多いです。例えば年収1,000万円の場合、毎年の返済額は、150~200万円が目安となります。

住宅ローンで6,000万円を借り入れする時におさえたいポイント6選

6,000万円の住宅ローンを組む際には6つのポイントをおさえておきましょう
6,000万円の住宅ローンを組む際には6つのポイントをおさえておきましょう

住宅ローンを組んで物件を購入する際、いくつか押さえるべきポイントがあります。事前にポイントを確認し、住宅ローンを組みましょう。

金利を選ぶ

金利とは、借りた金額に対して払うべき利息です。住宅ローンを組む際、金利には3つのタイプがあるため、それぞれの特徴を見ながら、自分にあった金利を見つけましょう。

全期間固定金利型

全期間固定金利型とは、返済が始まったら完済するまで一定の金利で返済し続ける方法です。金利が一定であるため、長期的な返済計画が立てやすいでしょう。

変動金利型

変動金利型とは、経済状況をもとに半年に1回金利が調整される返済方法です。返済額が変動しやすい分、他の金利と比べて金利が低く設定されています。また、大きな経済の変化があっても、金利の上昇率を前回の金利から1.25倍と決めている金融機関があるため、返済額が急激に増えてしまうことを避けることも可能です。

固定期間選択型

固定期間選択型は、返済が始まった時に固定金利で返済し、途中から変動金利に切り替える方法です。柔軟に返済方法を切り替えられますが、変動金利型のように金利上昇に制限がないため、返済額が高くなる可能性がある点には注意しましょう。

返済方法を決める

返済方法は、2つの方法にわかれます。それぞれの特徴を把握し、自分にあった返済方法を選択しましょう。

元利均等返済

元利均等返済とは、利息と元金を足した金額を一定にし、返済していく方法です。元利均等返済を選択すると、毎月の返済額が一定になるため返済計画が立てやすいでしょう。しかし、このあと説明する元金均等返済と比べて、最終的な返済額は大きくなってしまいます。

元金均等返済

元金均等返済とは、元金の金額を一定にし、返済していく方法です。利息は元金にかかるため、はじめは返済額が大きいですが、少しずつ元金と利息が減り、返済額も減っていきます。

返済負担率を決める

返済負担率の適正は、先述したとおり20%以内といわれています。20%を超えてしまうと、支出の返済額の割合が大きくなり、家計を圧迫してしまいます。返済負担率の計算方法は以下のとおりです。

年間の返済額÷年収×100=返済負担率

返済負担率が高すぎると家計が苦しくなってしまう可能性があるため、家計のことも考えながら返済負担率を調整しましょう。

購入時の税金を把握する

物件を購入する時には、不動産取得税などさまざまな税金がかかるため、事前に用意しておく必要があります。以下より各税金の種類を確認しましょう。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を購入した時にかかる税金です。相続の場合を除いて、無償で不動産を取得した場合でも、不動産取得税を支払わなければならないため注意が必要です。

登録免許税

登録免許税は、登記した時にかかる税金です。所有権が設定されていない物件を購入した時におこなう所有権保存登記と、所有権が設定されている物件を購入した時におこなう所有権移転登記の2種類に分かれています。

印紙税

印紙税は、物件を売買する時の売買契約書や請負契約書、住宅ローンを組む際に発行する金銭消費賃借契約書などの書類を作成する時にかかる税金です。

消費税

消費税課税事業者から物品やサービスを購入する場合は、消費税がかかります。そのため、個人間での物件の売買では非課税になります。また、土地には消費税はかかりません。

不動産会社は消費税課税事業者であるため、不動産会社を介しての物件の購入や建築請負工事などには消費税がかかります。

購入時の諸経費を把握する

税金以外にも、物件を購入した際にかかる諸経費があります。項目ごとに確認しておきましょう。

仲介手数料

不動産会社を介して物件を購入した場合、仲介手数料がかかります。仲介手数料の上限金額は宅地建物取引業法によって決められているため、確認しておきましょう。

売買価格 報酬額
200万円以下の金額 5%+消費税
200万円を超え400万円以下の金額 4%+2万円+消費税
400万円以上を超える金額 3%+6万円+消費税

住宅ローン手数料

住宅ローンを利用する際は、各金融機関が定めた手数料を支払うことになります。主な内訳は、融資手数料や保証会社手数料、ローン保証料、斡旋手数料などです。

登記費用

所有権保存登記か所有権移転登記を発行する際に、かかる費用です。登記を司法書士や土地家屋調査士に依頼をした場合は、報酬料が別途かかります。

手付金

手付金とは、売買契約の際に買主が売主に支払うお金で、物件価格の5〜10%が目安です。買主の都合で、契約が破棄になった場合にキャンセル料として売主に支払います。売主の都合で、契約が破棄になった場合は、売主が買主に手付金の2倍の金額を支払わなければなりません。

火災保険

火災保険の加入は法的に強制されるものではありませんが、住宅購入の際に加入するとよいでしょう。火災保険は、火事だけではなく、雷や雪などの自然災害や盗難のような人災にも備えられる保険になります。

水道加入負担金

水道加入負担金は、水道利用時に水道会社に支払うお金。自治体によって料金が変わってくるため、確認が必要です。

購入後の維持費を把握する

物件は購入した日から老朽化が進みます。そのため、日々のメンテナンスで費用がかかります。また、物件を持ち続けているだけでかかる税金もあるため、各項目を確認しましょう。

修繕費用

修繕費用は、壊れた箇所や老朽化してしまった箇所を補強したり直したりする時にかかる費用です。修繕は、10〜15年を目安におこなうとよいでしょう。特に外壁や屋根の塗装はお金がかかりやすい項目です。また、白アリや蜂などの害虫が住みついた場合、駆除と対策でお金がかかります。

固定資産税

固定資産税は、所有している土地や建物にかかる税です。固定資産税の計算式は、以下のとおりです。

固定資産税評価額×1.4%=固定資産税額

都市計画税

都市計画税とは、都市計画事業に充てる税金です。都市計画法のもと、市街化区域内に属する土地や建物に課税されます。税率は、上限値が0.3%と定められていますが、自治体によって異なるため、詳しくは各自治体に問い合わせてみましょう。都市計画税の計算式は、以下のとおりです。

固定資産税評価額×0.3(上限値)=都市計画税

住宅ローンが6,000万円の返済額をシミュレーションで見る

6,000万円の住宅ローンを組む際のシミュレーションを見てみましょう
6,000万円の住宅ローンを組む際のシミュレーションを見てみましょう

住宅ローンを組んだ際、毎月の返済額を知っておかないと住宅ローンを借りたあとに返済額に悩むこととなるでしょう。事前に返済の程度を知り、返済計画を立てるとよいです。シミュレーションの前提条件は、以下のとおりです。

【条件】
・借入金額:6,000万円
・金利(25~35年):固定金利1.960%
・金利(40年):固定金利2.360%
・返済方法:元利均等返済
・小数点第二位は四捨五入

金利の値は、2024年2月時点の住宅支援機構のホームページを参照しています。

返済期間25年

25年で住宅ローンを組んだ時のシミュレーションです。

毎月返済額分 25万3,145円
毎年返済額分 303万7,740円
総支払額 7,594万3,602円

各年収で見る返済負担率は、以下のとおりです。

年収 返済負担率
800万円 38.0%
900万円 33.8%
1,000万円 30.4%
1,100万円 27.6%
1,200万円 25.3%

年収1,200万円でも返済負担率の適正に収まりませんでした。そのため、25年の返済期間で住宅ローンを組んだ場合、生活費や固定費などを切り詰める必要があるでしょう。

返済期間30年

30年で住宅ローンを組んだ時のシミュレーションです。

毎月返済額分 22万573円
毎年返済額分 264万6,876円
総支払額 7,940万6,255円

各年収で見る返済負担率は、以下のとおりです。

年収 返済負担率
800万円 33.1%
900万円 29.4%
1,000万円 26.5%
1,100万円 24.0%
1,200万円 22.1%

年収1,200万円でも返済負担率の適正に収まりませんでした。年収800万の方は、家計に占める返済額が3割を超えるため、家計で支出が大きい項目は見直しをする必要があるでしょう。

返済期間35年

35年で住宅ローンを組んだ時のシミュレーションです。

毎月返済額分 19万7,528円
毎年返済額分 237万336円
総支払額 8,296万1,577円

各年収で見る返済負担率は、以下のとおりです。

年収 返済負担率
800万円 29.6%
900万円 26.3%
1,000万円 23.7%
1,100万円 21.5%%
1,200万円 19.8%

適正負担率に収まるのは1,200万円のみでした。1,200万円以外であっても家計の収支を調整できれば、返済できる可能性があるでしょう。

返済期間40年

40年で住宅ローンを組んだ時のシミュレーションです。

毎月返済額分 19万3,261円
毎年返済額分 231万9,132円
総支払額 9,276万5,520円

各年収で見る返済負担率は、以下のとおりです。

年収 返済負担率
800万円 29%
900万円 25.8%
1,000万円 23.2%
1,100万円 21.1%
1,200万円 19.3%

適正負担率に収まるのは、1,200万円のみでした。36年以上の返済期間になると金利が上がってしまうため、35年の返済期間と比べて負担率に大きな変化はありませんでした。住宅ローンを40年で組むと、総支払額が9,000万円を超えますが、月々の負担を抑えることができます。住宅ローンで6,000万円借り入れを検討する際には、慎重に資金計画を立てて判断をしましょう。

住宅ローンで年収が届かない時の対策を2つ紹介

住宅ローンを組む際に年収が届かない時の対策が2つあります
住宅ローンを組む際に年収が届かない時の対策が2つあります

住宅ローンを借りる際、年収が届かないと借り入れができないことがあります。対策を知っておけば、年収が届かなくとも住宅ローンを借りられる手立てが見つかるでしょう。

住宅資金贈与の特例

住宅資金贈与の特例とは、住宅購入時、父母や祖父母から贈与を受ける場合、最大1,000万円まで贈与税がかからない特例です。

また、住宅資金贈与の特例は、贈与の基礎控除と併用できるため、住宅資金贈与の特例に加えて年間110万円までの贈与では税金がかかりません。

父母、祖父母に資金提供してもらえる方には、ぴったりな制度です。詳しく知りたい方は、国税庁のホームページ「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」をご覧ください。

収入合算とペアローン

収入合算とは、住宅ローン契約者の収入に、他の家族の収入を合算したものです。1人の収入だけでローンを組むよりも合計金額が大きくなり、借り入れできる金額も増えます。

ペアローンは、夫婦がそれぞれ住宅ローンを組むことです。単独で住宅ローンを組むよりも、借入金額を増やすことができます。また、それぞれで住宅ローンを組むため、住宅ローン控除も1人ずつ受けることができ、節税の効果が高いです。

住宅ローンを無理なく返済する5つのコツ

住宅ローンを無理なく返済するコツが5つあります
住宅ローンを無理なく返済するコツが5つあります

住宅ローンを借りても、資金繰りが悪くなってしまうと、物件を手放さなければならない事態になってしまいます。そのため、住宅ローンを借りる前に、返済のことも考え、対策を練っておくとよいでしょう。

住宅ローン控除を使う

住宅ローン控除を使えば、所得税や住民税の支払いを少なくできるでしょう。住宅ローン控除は、返済期間が10年以上であることや物件を取得してから6カ月以内に入居しなければならないなどの条件があります。詳しくは、国税庁「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」のホームページをご覧ください。

繰り上げ返済をする

繰り上げ返済をおこなえば、支払い総額が減ります。繰り上げ返済には2つの方法があり、返済期間短縮型と返済額軽減型です。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 返済期間短縮型は、毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする方法
  • 返済額軽減型は、返済期間は変えずに毎月の返済額を少なくする方法

同じ借入金額、金利、返済方法であった場合、返済期間短縮型の方が完済時の支払総額は低くなります。自分の返済計画に合った方法を選び、繰り上げ返済できるとよいでしょう。

頭金を多くする

住宅ローンを組む際に、住宅購入資金を満額で借りるより、頭金を用意した方が住宅ローンの審査が通りやすいです。また、満額で借り入れた時よりも毎月の返済額を少なくできるため、返済プランを立てやすいメリットも。金融機関によっては頭金が融資率の1割以上だと金利を低くできるプランもあるため、活用しましょう。

まとめ

本記事では、住宅ローン6,000万円を借り入れするために必要な年収の目安を記載しました。住宅ローンを借りる際、年収倍率や返済負担額を目安にしましょう。住宅ローンの借入額は一度決めてしまうと変更できません。今後のライフプランを踏まえたうえで慎重に検討する必要があります。ファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談しながら、決めるようにしましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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