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切土とは?盛土との違いやメリット・デメリット、関連する法律について徹底解説

切土と盛土の違いは?メリット・デメリットや費用相場も解説
土地探しをしていると、「切土」「盛土」「切盛土」といった言葉を目にすることもあるでしょう。この3つの造成方法は内容が異なるため、違いがわからないままでは、地盤の状態や追加工事の必要性を判断できません。

そこで本記事では、切土の意味から盛土との違い、メリット・デメリット、関連する法律、工事費用の考え方まで順に解説します。切土がおこなわれた土地についての詳細な情報を紹介します。土地の造成方法について理解を深めたい方は、本記事を参考に購入を検討してみてください。

記事の目次

切土とは

切土とは何を指すのでしょうか?
切土とは何を指すのでしょうか?

切土とは、傾斜した土地や高低差のある土地の地盤を削り、必要な高さや形に整える工事のこと。例えば、斜面の一部を削って平らな建築スペースを確保する時に用いられる造成の方法です。削る部分は自然に形成された地盤であることが多く、工事後は元の地盤を活かして建物を支えます。

ただし、切土をすれば地盤が強くなるというわけではありません。地質が軟らかい土地や風化した斜面を保護するには、擁壁が必要になるケースもあるでしょう。さらに、地下水や湧水の状態によっては排水対策も欠かせません。土地の安全性は「切土かどうか」だけで判断せず、地盤調査や現地の状態を含めて確認することが大切です。

切土と盛土・切盛土との違い

土を削るのが切土、足すのが盛土です。
土を削るのが切土、足すのが盛土です

切土と盛土は、どちらも土地の高さや形を整える造成工事です。ただし、土を「削る」のか「足す」のかが大きな違いです。

実際の宅地造成では一方だけを採用するとは限らず、敷地内で切土と盛土を組み合わせることも少なくありません。どの方法で造成されたかによって、建物を支える地盤の性質や注意したい場所が変わるため、それぞれの造成方法の内容の違いを把握しておくことが大切です。

切土と盛土の違い

切土は、もともとの地盤を削って土地の高さを下げる工事です。一方、盛土は低い場所や斜面に土を盛り、地盤面を高くしたり平らにしたりする工事をいいます。切土部分では自然地盤が残ることが多いのに対し、盛土部分は搬入した土や敷地内で発生した土を締め固めてつくる点が特徴です。

この違いは、造成後の地盤にも影響します。盛土は適切な材料を使い、一定の厚さごとに十分な締固めと排水処理をおこなう必要があり、施工が不十分だと沈下や変形につながる可能性があります。切土も斜面の角度や地質によっては法面の対策が必要になるため、単純に工法のみでは、どちらが安全かを判断することはできません。

切土と切盛土の違い

切盛土とは、同じ造成地のなかで切土と盛土を組み合わせた方法です。斜面の高い側を削り、低い側に土を盛って平らな宅地をつくる方法が切盛土の代表例です。敷地の中で地盤が異なるものの、完成後の見た目だけでは切土部分と盛土部分を判別しにくいことがあります。

ここで注意したいのは、切土部分と盛土部分の境界です。自然地盤と人工的に締め固めた地盤では沈下の仕方が異なることがあり、建物が境界をまたぐと不同沈下の要因になる場合があります。そのため、住宅の配置や基礎計画では造成図面と地盤調査の結果を確認し、必要に応じて地盤改良などを検討する必要があります。

切土・盛土に関する法律

切土と盛土に関する法律がいくつかあります
切土と盛土に関する法律がいくつかあります

切土や盛土は造成する場所や規模によって、災害防止の観点から法律に基づく許可や届出が必要となります。特に、現在は「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」が盛土や切土を広く規制しており、住宅地だけでなく農地や森林も対象です。土地の購入後に造成を予定している場合は、知識の一つとして規制区域と手続きの要否などを確認しておきましょう。

盛土規制法

盛土規制法は2023年5月26日に施行された法律で、都道府県知事などが指定する規制区域では、一定規模を超える盛土や切土などに許可が必要です。

宅地造成等工事規制区域では、高さ2mを超える崖が生じる切土や、面積が500平方メートルを超える盛土・切土などが許可対象となります。このほかにも盛土の高さなどに応じた基準があり、災害の発生のおそれがないと認められる一定の工事は対象から除かれます。

規制の対象は盛土だけではない点に注意が必要です。切土や土石の一時的な堆積も含まれるため、土地を削る工事でも確認が必要です。また、許可対象となる規模は規制区域の種類や工事内容で変わります。自治体が指定した区域や手続きも確認し、設計者や施工会社と早い段階で相談すれば、住宅建築の計画を進めやすくなるでしょう。

なお、無許可工事や命令違反には罰則が設けられているため、費用や工期だけで判断しないことが重要です。

出典:国土交通省 「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称「盛土規制法」)について

宅地造成等規制法

宅地造成等規制法は、宅地造成に伴う崖崩れや土砂流出による災害を防ぐ目的で運用されてきた法律です。ただし、2022年の法改正によって内容が大きく見直され、2023年5月26日から名称も「宅地造成及び特定盛土等規制法」に変わりました。現在、工事を検討する際は旧法である宅地造成等規制法ではなく、盛土規制法と呼ばれる現行制度が基準となっています。旧法では主に宅地造成を対象としていましたが、現行法で対象範囲が広がったのが大きな変更点です。

古い造成許可書や不動産資料では「宅地造成等規制法」という名称が残っていることもあるため、過去の資料を読む際は旧法名だと理解しておきましょう。購入予定地の現在の規制状況は、自治体が公表する規制区域図などで確認することが大切です。

出典:国土交通省 旧宅地造成等規制法について(宅地防災関係)

切土・盛土工事が必要な理由

切土・盛土工事はなぜ必要なのでしょうか?
切土・盛土工事はなぜ必要なのでしょうか?

切土や盛土は、傾斜や道路との高低差を調整し、住宅を建てられる敷地を整えるための工事です。ただ土地を平らにするだけではなく、建物を安全に支えられる状態にするため、地盤の強さに加えて擁壁や排水設備も含めて計画する必要があります。ここでは、住宅用地で切土・盛土工事が必要になる主な理由について解説します。

安全な宅地を造成するため

切土や盛土が必要になる理由の一つは、住宅を安全に建てられる宅地を造成するためです。傾斜が急な土地や凹凸の大きい土地の地形を整えないまま住宅を建てると、斜面の崩れや地盤の沈下などにつながるかもしれません。そのため、土地の状態に合わせて切土や盛土をおこない、建物を支えられる地盤を整えることが重要になります。

例えば、盛土では土を十分に締め固めるとともに、雨水や地下水が内部にたまらないよう排水対策をおこないます。切土によって斜面が生じる場合は、地質や傾斜に応じて法面を保護したり擁壁を設置したりすることも必要です。

さらに、造成後の地盤調査で強度が不足しているとわかれば、地盤改良を検討する場合もあるでしょう。このように、切土や盛土は土地を平らにするだけではなく、住宅を長く安全に支えられる宅地をつくるために欠かせない工事です。

高低差を解消するため

切土や盛土は、道路と敷地の高低差を解消し、生活しやすい土地に整えるために必要です。高低差が大きいままでは、玄関までの移動や車の出入りに負担がかかり、住宅や駐車場の配置にも制約が生じるかもしれません。

例えば、道路より敷地が高い場合は、高い部分を切土することで玄関までの階段や駐車場の勾配を緩やかにできます。反対に道路より低い土地では、盛土によって地盤面を上げると、道路から敷地へ出入りしやすい高さに調整できる場合があります。

このように、切土や盛土によって高低差を整えることは、住宅完成後の暮らしやすさにもつながることでしょう。

敷地を有効活用するため

切土や盛土は、傾斜によって利用しにくい部分を減らし、敷地を用途に合わせて使うために役立つ造成工事です。高低差の大きい土地では、建物を置く場所だけを平らにしても、玄関までの通路や駐車スペースを十分に確保できないことがあります。住宅を建てる部分は切土で高さを整え、必要な場所だけ盛土するなど、用途ごとに地盤面を分けて計画できます。

敷地全体を一つの平面にそろえるのではなく、建物や通路、外構に必要な範囲をそれぞれ整えることで、もとの地形を残しながら利用できる場所を増やせる点も切土・盛土の特徴です。

切土と盛土のメリット

切土と盛土のメリットをご紹介します
切土と盛土のメリットをご紹介します

切土と盛土には、傾斜地や高低差のある土地を住宅用地として使いやすくする共通点があります。その一方で、自然地盤を削る切土と人工的に地盤をつくる盛土では、得られる効果や注意点が異なるため注意が必要です。ここでは、切土と盛土に共通するメリットと、それぞれの特徴について解説します。

共通のメリット

切土と盛土の共通のメリットは、以下のとおりです。

見晴らしがいい

斜面地で切土や盛土をおこなうと、周囲より高い位置に住宅を配置でき、眺望を確保しやすくなります。高低差を利用して地盤面を設定すると、道路や隣接する建物より視点が高くなり、窓の前に視界を遮るものが少なくなります。

リビングやバルコニーを眺めのよい方向へ向ければ、街並みや自然を室内から楽しめるほか、空が広く見えることで開放感も得られるでしょう。傾斜をすべて平らに直すのではなく、土地が持つ高さを建物配置に取り入れられる点は、斜面地ならではの特徴です。建物の各階から見える景色に変化をつけるなど、立体的な住まいの計画にも活かせます。

水害リスクが低い

盛土によって宅地をかさ上げすると、道路や周辺の土地より高い位置に住宅を配置でき、浸水しにくくなります。

大雨で道路に水がたまった場合でも、玄関や床までの高さに余裕を持たせることで、建物内部へ水が入り込む可能性を抑えやすくなります。低い土地では、建物だけを高くするのではなく、庭やアプローチを含む宅地全体の地盤面を調整できる点も切土・盛土のメリットです。

外構と住宅の床の高さを一体で計画すれば、道路から建物まで浸水しにくい位置を確保できます。土地そのものの高さを造成段階で見直せることは、低地に住宅を建てる際の浸水対策の選択肢になります。

切土のメリット

切土のメリットは、以下のとおりです。

地盤が安定しやすい

切土のメリットは、もともと存在する地山を建物の支持地盤として活かせる点にあります。地山は人工的に積み上げた盛土とは異なり、自然に形成された地盤です。地質の状態が良好であれば、建物を支える地盤として活用できる場合があります。ただし、切土によって現れた地山が一律に強いわけではなく、地質や地下水の状態によって安定性は変わる点には注意しましょう。

また、切土では高い部分を削って必要な高さまで地盤面を下げるため、新たに土を積み上げる範囲を抑えられます。その結果、盛土のように締固めの状態によって地盤の性質が左右される部分が少なくなります。もとの地盤の強さを生かしながら宅地を整えられるのは、切土ならではのメリットです。

不同沈下しにくい

建物全体が均質な切土地盤の上に載る場合は、基礎の一部だけが大きく沈む不同沈下のリスクを抑えやすくなります。不同沈下は建物直下の地盤で沈下量に差が生じることで起こるため、地盤の性質が揃っていることが重要です。切土によって同じ地層が連続する地盤面を確保できれば、基礎から伝わる荷重を広い範囲で受けやすくなり、場所ごとの沈下差も小さくなります。建物の四隅や中央の地盤の強さが均一になっていれば、基礎全体を安定した状態で支えやすくなるでしょう。

住宅の配置を検討する際に建物直下の地盤を確認しておくことで、切土地盤の均一性を活かした基礎計画につなげられます。

液状化しにくい

切土によって表層の緩い砂質土が取り除かれ、地下水位より上にある締まった地盤を利用できる場合は、液状化の可能性が低くなることがあります。液状化は地下水位以下にある緩い砂質土などで生じやすく、地盤の土質や締まり具合が重要な条件となります。

発生の有無には地震動の大きさや継続時間も関係するため、造成方法だけでは判断できません。切土された土地を検討する際も、液状化ハザードマップや地盤調査の結果を確認し、建物直下の地層や地下水位を把握することが大切です。

盛土のメリット

盛土のメリットは、以下のとおりです。

風通し・日当たりがいい

盛土によって地盤面を高くすると、住宅の居住空間を周囲より高い位置に配置でき、風通しや日当たりを確保しやすくなります。建物の位置が高くなることで、周辺の住宅や塀などに風や日差しを遮られにくくなります。リビングや寝室など長い時間を過ごす場所に光や風を取り入れられれば、明るく開放感のある住空間もつくれるでしょう。

さらに、窓やバルコニーを高い位置に設けられるため、周囲からの視線を避けながら採光や通風を確保する計画も立てられます。盛土による地盤面のかさ上げは、土地の高さを住環境の快適さにつなげられる方法の一つです。

広い平地を整備しやすい

盛土を活用すると、傾斜地でも住宅や駐車場、庭などを配置できるまとまった平地を確保しやすくなります。斜面の低い部分に土を加えることで高い側との段差が縮まり、そのままでは駐車場や庭として使いにくかった場所も活用できるようになります。住宅の前面に駐車スペースを設けたい場合や、建物の周囲に庭や通路を確保したい場合でも、地盤面を連続させることで配置の自由度が高まることでしょう。

造成の自由度が高い

盛土は土を加えて地盤面の高さを調整できるため、道路や隣地との高低差に合わせて土地の形を整えやすくなります。もとの地形だけに左右されず、建物や外構の計画に合わせて必要な場所の高さを変えられます。

道路と玄関の高さを近づければ、アプローチの段差を減らした計画が可能です。駐車場と道路の高低差を調整すれば、車が出入りする部分の勾配も緩やかにできます。

土地の形状に建物を合わせるだけでなく、予定している住宅や外構に合わせて地盤面を整えられるため、敷地条件に応じた造成計画を立てやすくなります。

切土と盛土のデメリット

切土と盛土にはデメリットもあります
切土と盛土にはデメリットもあります

切土と盛土にはメリットが多くあるものの、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか、共通のマイナス点、それぞれのマイナス点に分けて解説します。

共通のデメリット

切土と盛土の共通のデメリットは、以下のとおりです。

地盤改良工事が必要

切土や盛土によって造成した土地では、建物を支える力が不足している場合に地盤改良工事が必要になります。必要性は見た目では判断できないため、住宅を建てる位置で地盤調査をおこない、地層の状態や支持力を確認することが重要です。調査結果によって地盤の支持力が不足していると判断された場合は、建物や地盤の条件に応じた地盤改良工事を検討しましょう。工事の範囲や深さが大きくなるほど費用も増えやすいため、土地代と造成費だけで予算を決めるのは避けたいところです。

購入前から地盤調査や改良工事の費用を見込んでおけば、建築段階で追加費用が発生した場合にも対応しやすくなります。

土地が売れにくくなる

切土や盛土をおこなった土地は、造成の状態によって売却時に買主から慎重に判断されることがあります。特に、古い擁壁に大きなひび割れが見られる土地や、いつどのような造成工事をおこなったのかわからない土地は売れにくくなる傾向にあります。このような土地は、購入後に補修や地盤対策が必要になる可能性があるからです。

売却を検討する際は、造成工事の図面や許可関係の書類、地盤調査の結果などを確認できるように準備しておくことが大切です。擁壁の補修や地盤改良をおこなっている場合には、施工時期や工事内容がわかる資料も保管しておきます。土地の造成状態や過去の工事内容を買主に具体的に伝えられれば、安全性を判断するための材料を提示できます。

勾配ができ上下移動が必要になる

造成後に敷地内に高低差が残ると、玄関や駐車場、庭などを移動する際に上り下りが必要になります。住宅と道路に高低差がある土地では、玄関まで階段を設けたり、駐車場から建物まで傾斜のある通路を通ったりすることもあり、日常生活の移動負担が大きくなりがちです。

特に、高齢者やベビーカーを使用する場合・買い物の荷物を運ぶ時は、わずかな段差や勾配でも移動の負担につながります。スロープを設ければ段差を避けられますが、購入を検討する際のマイナス要素となりやすいでしょう。土地を購入する時は建物の配置だけを見るのではなく、道路から玄関までの経路や駐車場との位置関係を確認し、実際に暮らし始めたあとの移動まで想定しておくことが大切です。

切土のデメリット

切土のデメリットは、以下のとおりです。

工事費用が高くなりやすい

切土量が多い土地では、掘削作業の他にも、削り取った土を敷地外へ搬出して処分する費用が高くなる可能性があります。

切土で発生した残土は、重機での積み込みやダンプトラックによる運搬が必要となり、処分する土の量が増えるほど費用が高くなります。また、敷地へ重機や運搬車両が入りにくい土地の場合は、作業に時間がかかり、人件費が上昇することもあるでしょう。切土工事を検討する際は削る土の量だけを見るのではなく、土質や重機の進入経路、残土の搬出方法や処分費まで含めて見積もりを確認することが大切です。

法面の保護が必要

切土によって斜面ができる土地では、地盤の崩落や表面の浸食を防ぐために法面の保護が必要になります。切土で生じた斜面は、地質や高さ、勾配によって安定性が異なり、その状態に合わせた対策を選ばなければなりません。

斜面を安定した勾配に整える方法のほか、状況に応じて擁壁を設ける方法もあります。雨水が斜面を流れ続けると土が削られたり、地盤内に水が入り込んだりするため、排水設備の整備も必要です。擁壁の新設や補修、排水設備の整備には多額の費用がかかる可能性が高く、資金計画を圧迫するおそれもあるため注意が必要です。

盛土のデメリット

盛土のデメリットは、以下のとおりです。

地盤が不安定になりやすい

盛土は人工的に土を積み重ねてつくる地盤のため、施工状態によっては自然地盤より安定性に差が出やすくなります。地盤をつくる際には、使用する土の性質を確認し、一定の厚さごとに締め固めて強度を確保することが重要です。さらに、雨水や地下水が盛土内部にたまると地盤の状態に影響するため、排水設備も含めて造成する必要があります。

造成時期や施工記録、地盤調査の結果は、盛土をした土地を購入する前に確認しましょう。どのような材料と方法で造成されたのかを把握できれば、建物を支える地盤としての状態を判断する材料になります。

液状化や滑動崩落しやすい

盛土の土地では、地盤の条件によって液状化や滑動崩落が起こる可能性があります。液状化は地下水位が高く、緩く堆積した砂質地盤などで発生しやすく、地震の揺れによって地盤が沈下したり傾いたりする原因になります。

また、大規模な盛土造成地では、地震時に盛土した場所全体が動く滑動崩落にも注意が必要です。特に、谷を埋めて造成した「谷埋め型」や、傾斜地に盛土した「腹付け型」では、盛土の形状や地下水の状態などが安全性に関係します。

土地を購入する時は、大規模盛土造成地マップで該当の有無を確認し、必要に応じて自治体が実施した安全性調査の状況も調べておきましょう。

切土・盛土工事の費用相場

切土・盛土工事の費用相場を押さえておきましょう
切土・盛土工事の費用相場を押さえておきましょう

切土・盛土工事の費用は、土地の面積だけでなく土の量や地質、重機の搬入条件、擁壁の有無などで大きく変わります。そのため一概には言えませんが、ひとつの目安として考えておきましょう。

  • 切土:1,000~6,000円/立方メートル
  • 盛土:7,000~9,000円/立方メートル

さらに、盛土の量が多くなれば、土砂の運搬料や締固めに必要な費用が追加されるため注意が必要です。正確な金額を知りたい場合は、造成会社から見積もりを取りましょう。

切土・盛土工事費用を抑える方法

切土・盛土工事費用の節約方法があります
切土・盛土工事費用の節約方法があります

切土・盛土工事費用を抑える方法をご紹介します。

複数の会社から相見積もりを取る

造成工事は現場条件による価格差が大きいため、複数の会社から見積もりを取ると費用の妥当性を確認しやすくなります。

ただし、総額だけで比べるのは避けましょう。掘削や盛土、残土処分など、見積もりに含まれる工事範囲を揃えなければ、正確に比較することができません。また、見積額が安くても必要な工事が含まれていないケースがあるため、担当者に確認するようにしましょう。

見積書では数量と単価が示されているかを確認し、わからない項目は内容を確認しておきましょう。切土量や盛土量の算定方法が会社によって違う場合は、造成計画図を基準に比較する条件を揃えることが大切です。価格だけでなく施工実績や許可手続きへの対応も含めて会社を選ぶと、工事後のトラブルを減らしやすくなります。

建設会社に相談する

住宅を建てる予定があるなら、土地の造成だけを先に決めず、建設会社にも相談して建物配置と一緒に検討しましょう。建物の位置や基礎の高さを調整すると、切土や盛土の量を抑えられる場合もあります。駐車場や玄関の高さも同時に考えれば、あとから外構工事で大きな高低差を直す手間を減らせるはずです。

また、建設会社が造成会社と連携できれば、建築に必要な地盤高さや地盤調査の位置を共有しやすくなります。土地全体を完全に平らにするのではなく、住宅を建てる範囲を中心に造成する方法も有効です。土地購入前であれば造成費を含めた総予算を試算してもらえるため、その土地を選んだ場合に必要な予算を具体的に把握しやすくなるのもメリットです。

自治体の補助金制度を活用する

自治体によっては、切土・盛土や擁壁工事に利用できる補助制度を設けています。例えば、神奈川県横浜市の「崖地【防災】対策工事助成金制度」では、一定の条件を満たす崖地を対象に、擁壁工事や切土・盛土工事などの費用を助成しています。また、横浜市には比較的小規模な対策を対象とする「崖地【減災】対策工事助成金制度」もあり、切土・盛土工事は上限100万円で、対象工事費の2分の1などを基準に助成額が決まります。

ただし、自治体ごとに対象工事や助成額、申請条件は異なる点には注意が必要です。切土・盛土や擁壁工事を予定している場合は、所在地の自治体で宅地防災に関する補助制度がないか確認しておくと、工事費の負担を抑えられる可能性があります。

切土で出た土を盛土に再利用する

切土と盛土を同じ敷地でおこなう場合は、切土で発生した土を盛土として利用できることがあります。造成地の外に搬出する土と外部から購入する土の両方を減らせれば、運搬費や処分費を抑えられる可能性があります。傾斜地で切土と盛土を組み合わせる造成が多いのは、土地の高さを調整しながら土量のバランスを取りやすいことも理由のひとつです。

ただし、掘削した土すべてを盛土に使えるわけではありません。土質や含水状態によっては締固めに向かない場合があり、廃棄物などが混入していれば再利用の対象外となります。必要な地盤性能を満たせるかを施工会社や設計者に確認し、安全性を優先して判断する必要があります。再利用を検討する場合は、造成計画の段階で造成業者や建設会社に相談しましょう。

土地を買う前に確認したいポイント

土地の購入前に確認すべきポイントがあります
土地の購入前に確認すべきポイントがあります

土地を買う前に確認すべきポイントについて詳しく解説します。

ハザードマップ

土地を購入する前に、洪水や内水、土砂災害などのハザードマップを確認しましょう。切土・盛土の有無だけでは災害リスクを判断できず、周辺の地形や河川との位置関係によって想定される被害は変わります。

ただし、ハザードマップは想定条件に基づく情報を掲載したもののため、単に「区域外なら安全」という意味ではありません。複数の災害情報を確認し、避難場所や避難経路も合わせて見ておくことが大切です。

周辺環境

土地そのものだけでなく、隣地や道路との高低差も確認します。敷地に高い斜面や古い擁壁がある場合は、自分の土地だけを整備しても周辺の斜面や擁壁の影響を受ける可能性もあるため注意が必要です。反対に自分の敷地が周囲より高い場合は、擁壁や排水の管理が必要になることがあります。

現地を見る時は晴天時だけでなく、可能であれば雨のあとに水がどのように流れているのかも確認しましょう。側溝の位置や水たまり、斜面からの湧水が見つかることもあります。土地の安全性と工事のしやすさは、周辺環境まで確認するとより理解しやすくなります。

擁壁の状態

擁壁がある場合は、ひび割れや傾き、ふくらみがないかを確認します。擁壁の背面に水がたまると大きな力がかかるため、水抜き穴や排水設備の状態も重要です。古い石積み擁壁や上部にブロックを増し積みした擁壁などは倒壊の危険性もあるため、安全性を専門家に確認したほうがよいでしょう。

専門家に相談する際は、擁壁の確認済証や造成時の図面を持参します。補修跡がある場合は、いつどのような工事をしたのかを示す資料も重要な判断材料となります。

土地の高低差

土地の高低差は目視だけでは把握しにくいため、道路境界や隣地境界との高さを測量図などで確認することが大切です。確認すべき項目は、敷地の最高点と最低点、道路から敷地へ入る位置、建物を予定する場所の高さです。

既存の擁壁がある場合は、擁壁の高さと敷地側・道路側の地盤面の差も見ておく必要があります。数値で高低差を把握できれば、階段やスロープが必要になる場所を想定しやすくなるでしょう。現地では図面と実際の地形に違いがないかも見ながら、造成後の敷地内でどの程度の段差が残るのかを確認することが重要です。

排水計画

切土・盛土した土地では、雨水や地下水を安全に流す排水計画が重要です。斜面の上側から流れてくる水が敷地に入り込む場合や、盛土内部に水がたまる場合は地盤の安定性に影響することがあります。擁壁がある土地では水抜き穴の状態も確認し、敷地内の雨水がどこへ流れるのか見ておきましょう。

造成後に水の流れが変わると、隣地へ雨水が流れ込む問題につながるかもしれません。住宅の屋根や駐車場から出る雨水も含めて、側溝や雨水管へ適切に排水できるかを確認します。購入予定地で湧水や常に湿っている場所が見つかった場合は、原因を調べたうえで造成方法を検討することが大切です。

造成履歴

造成履歴は、どの範囲が切土でどの範囲が盛土なのかを把握する手掛かりとして有効です。現在は平らな宅地でも、以前は谷や斜面だった可能性があります。売主や不動産会社が造成図面や工事記録を保管している場合は、閲覧できるか確認してみましょう。他にも、古い航空写真や地形図を見比べる方法もあります。

建物を新築するなら、最終的には地盤調査で建物直下の状態を確かめることが重要です。造成履歴と現在の地盤状態をそれぞれ確認すれば、今後実施すべき地盤改良工事を見極めやすくなります。

切土に関するよくある質問

切土に関するよくある質問をまとめました
切土に関するよくある質問をまとめました

ここからは、切土に関するよくある質問とその回答を紹介します。

切土とは?

切土とは、傾斜地や高い地盤を削り、住宅を建てやすい高さや形に整える造成工事です。自然にできた地盤を削るため、良好な地山が残れば安定した支持地盤を活かせる場合があります。一方で、切土面に斜面ができる土地では法面保護や擁壁が必要になることもあります。

切土と盛土の違いは?

切土は地盤を削って高さを下げる工事で、盛土は土を加えて地盤を高くする工事です。一方、盛土は搬入土や現地で発生した土を締め固めて新しい地盤をつくります。傾斜地では高い側を切土し、低い側を盛土する切盛土が使われることもあります。

切土・盛土工事はなぜ必要?

切土・盛土工事は、傾斜や高低差のある土地を住宅用地として利用できる形に整えるためにおこないます。斜面を平らにしたり道路との高さを調整したりすることで、住宅や駐車場を配置しやすい状態に整えられる点が特徴です。また、地形に応じて擁壁や排水設備を設けることで、造成後の斜面や地盤の安全性を確保します。

まとめ

本記事では、切土とは何か、盛土との違いをご紹介しました。切土・盛土のどちらがよいかは、地質や周辺環境などによって異なります。工事費用についても大きく差が出る場合もあるため確認するようにしましょう。それぞれの特徴を理解して、納得のいく土地選びを実現してください。

執筆者

渥美 誠

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などに携わる。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。

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