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読者賞について

あなたが選ぶ「読者賞」

読者賞はノミネート掲載された優秀作品のなかから、もっとも読者から支持された作品に贈られます。

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 駆け足で食堂に向かい、Aランチを注文。そのまま、近くのテーブルに座り、スホマを取り出した。
 ゲームが起動するのを待ちながら、一口食べる。そこで、今日のランチがオムライスだったことを知った。
 ホーム画面に切り替わったことを確認して、イベントの画面に切り替える。デイリーイベントや期間限定イベントなどがある中、昼しか行われていないイベントを見つけて、タップする。
 画面が切り替わり、家具の写真が表示され、その下に問題文と答えとなる四択が現れた。この問題に正解し続けることで、ガチャを引く際に消費されるチケットが手に入る。だから、俺にとって重要なイベントなのだ。
 あの一件以来、家具について調べ尽くした。例えば、今表示されている問題『戦国時代、戦場で用いられていた椅子の名前は?』の答えはBの床几だ。とは言っても、攻略サイトに掲載されていた問題文と答えを暗記しただけなのだが。
 問題に夢中で答えていると、声が聞こえた。
「おい。ヒロキ。次回の宿題、聞かなかっただろ?」
 ちらりと声の主を見る。なんだ、カズキか。と、すぐにスマホに視線を落とす。
「せっかく、宿題の内容教えてやろうと思ったのに」
 カズキが何か言っているが、それに答えている時間はない。問題には制限時間があるのだ。早く答えなければ不正解扱いになってしまう。
 スマホに視線を落とし続けている俺を見て、カズキが首を傾ける。
「なにを見てるんだ? もしかして彼女か?」
 そんな冗談にも応じずに黙々とゲームをする俺。カズキはスマホを覗き込んで、あぁ、と納得した。そして、ゲームが終わるまで黙々と食事に勤しんでいた。
 やがて、全問クリアでチケットを得た俺は至福の笑みを浮かべて、ガチャ画面に切り替えた。商店街の福引きをするときの抽選器が画面に映っている。それの持ち手をタップして掴み一回転させると、中から玉が出るのだ。
 結果は…………はずれだ。
「けっこう、はまっているみたいだな」
「前はそうでもなかったんだけど、景品が家に届いてさ。それで興味が出たんだ」
「おっ! 届いたのか! ってことは、スーパーレア以上の景品だな」
「あぁ。でも、それ以来、全然だめだ。課金して十数回は引いたんだけど、レアしか当たらないんだよ」
 あの後、ソファで目覚めてから、すぐにコンビニに走った。とりあえず一万円課金して、引けるだけガチャを引いてみたのだ。十連ガチャだとスーパーレアの確率が二倍と書かれていたから、一つくらいは当たるだろうと思っていたのだが。

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