シンデレラリミット。運命を分かつ時間。少女が女性になる瞬間。綺麗で小さなマンションの、生垣だけの小さな庭で。モンシロチョウが一匹飛んでいた。蝶が明日にかける小さなお部屋の小さなお話し。
野ねずみのアーサーは、ある嵐の翌朝、散歩の途中で洞窟に落ちてしまいます。そこで、一人暮らしをしている不思議な少年、ザハと出会います。ザハの持つ「声のパレット」のおかげで、不便なはずの洞窟暮らしが…?
田舎で一人暮らす父が、母の一周忌を無事に終えた後、過労で倒れた。私は直ぐに駆けつけ、退院した父のために、嫁ぐ際に母から教わった料理を作ることにした。数口食べた父は、妻の味が娘に引き継がれていることを喜ぶ。その味は私の娘にも教えた。今度娘に作らせて父を驚かせてやろうと思った。
遠方の地で一人暮らす娘の部屋を初めて訪ねてゆく、明子。ずぼらな暮らしぶりだと決めつけていたが、実際に目にしたのは、思いがけずきちんと暮らす娘の姿だった。一人暮らしを通じて、自立を叶えた娘。一方の明子が手にしたものとは――?
ミステリー作家が一人暮らしの定番メニュー、カレーライスを作っている最中に、別れた彼女からの五年振りの電話に出てしまう。彼女の話は今付き合っている彼氏の愚痴から始まり、元付き合っていた彼氏のダメだしになり、最後は彼女が働くホテルで起こった不思議な出来事に・・・。
青森出身の「僕」は第一希望の大阪の大学に入り、サークルにも入り、新しい生活を送っている。だが、友人の坂田には「変な奴」と言われ、周囲にもよく笑われている。大阪のノリに馴染めず悩む僕の元に、坂田がお好み焼きパーティーをしようと、家にやって来た。そこには意中の中島さんもいて…
憧れの一人暮らしを始めたものの、自意識の裏返しで格好良いインテリアが買えず、嫌々ダサい部屋で暮らしている大学生の主人公。「部屋は本人を映す鏡」という言葉にギクリとしつつも中々グルグル巻き状態の自意識からは逃れられず――
仕事にいって、帰って、寝る。部屋ですることといえば海外ドラマを見たりソーシャルゲームをすることばかり。実家にいる父から連絡がきても、当たり障りのないことしか返さない。そんな生活に後輩と父が入り込んでくるが、おおむね、きのうを焼き直したような日々がつづく。
トワイライトゾーン——光の届かない孤独な深海。人と会うことを避け、ひとり「陸のトワイライトゾーン」で暮らすぼくは、ちっとも幸せなんかじゃなかった。ところがまぶたの裏側に、そいつは突然現れたんだ。さびしげにまなうらを泳ぐダイオウイカ。果たしてぼくらは光をつかむことができるのか……?
就職を機に上京してきた私は、人生初の一人暮らしを始めたばかり。とある深夜の路上で、都会では珍しいカブトムシと遭遇した私は、ひょんな事からそれを部屋で飼う事に。ただの昆虫。そう軽く見ていた私は、徐々に彼の世話にのめり込み…。私とカブトムシと、イケメンな隣人ノムラ君とのひと夏の物語。
フラワーショップに勤務する私は、季節の変わり目に引っ越しを意識するようになる。何気なく家を探す中で、様々なことを考える私。いつしか私の中にある一番欲しいものに気づき行動を起こす。誰もが「ただいま」と言いたいし、「おかえりなさい」と言って欲しい。そんな思いの詰まったお話です。
人は、誰かをすきになると、ひとりではいられなくなって、その人を失うと、ひとりにすら戻れなくなる。その仕組みを知ってから、「ひとりで生きていきたい」とだけ思って、実行してきた。それなのに今、「半分」でも「ひとり」でもなくなってしまった――――なごりの砂糖がきらきらと輝く初夏の恋。
子どもの頃に隣に引っ越してきた家族とはずっと仲がいいものだと思っていた。いまは、仲が悪いわけではないけれど、どこかよそよそしい。私の弟が不良をしているからだ。隣の家のユウキくんは不良ではない。ふたつの家族のことを気にしながらも、私はもうすぐ家を出ていかないといけない。
一人暮らしをする私は家の中では自堕落な女性。ある日、窓を半開きのまま大声で愚痴を言うと、その声は隣に住む青年に聞こえており、私は咄嗟に居もしない姉の存在をでっちあげてしまう。どうにか嘘を通そうと芝居を続けるが、ある日青年にばれてしまう。しかしそれをきっかけに二人はより親しくなる。
愛猫ナイトとの別れ間もない南千鶴。もういないはずのナイトがいるような錯覚をおこしてはそのたびに涙に暮れていた。そんなとき、千鶴のアパートの大家さんの家に一人の青年が引っ越してきた。
大学入学と同時に一人暮らしをはじめたわたし。あるとき、隣に住むおばあさんが帰り道の交差点で、一人で泣いているのに出会う。気になって声を掛けたわたしがおばあさんから聞いたのは、かつては海のなかに住んでいたことがあるというおばあさんの不思議な話だった。
時々、桜よりも先に春の訪れがある。故郷を離れ都会に出てくる若者はみんな、春の使者。都会で生きる人は多かれ少なかれ同じように甘酸っぱくてほろ苦い経験をして今がある。今春巣立ったばかりだろう大学一年生のお隣さんにこっそりとエールを送る。そんなにここも悪くないよ。
レコード会社に就職した途端、馴染みのない関西の営業所へ異動となってしまった主人公。担当する神戸のCD店では、社長までもが「CDは斜陽産業」とこぼす。本社へ戻ることばかり望んでいた主人公だが、仕事に奔走するうち神戸での日々にやりがいと愛着をおぼえ始めた。そんな矢先、ある事件が。
咲子の住む街は、かつては窮屈で大嫌いな街だった。親からも、近所の優しさからも逃れたくて、一度は街を離れた。離れてわかる、違った意味のさみしさを思い知らされ、また街に帰ってくる。やはり居場所はここにあった。花に囲まれたのどかな街のちょっぴり苦くて、あたたかな物語。
岐阜に転勤した五十代の栄吾は奇妙な癖を持っている。引っ越し荷物を放置して高所に上り町を確認するのだ。度が過ぎて恋人や妻と別れた過去がある。習慣通り金華山に上る途中、学生証を紛失した十代のカップルと出会う。彼らとの交流を通じて栄吾は次第に回復し最後に住む町を「ここでいい」と思う。
主人公のたかしは、大学にも行かず毎日ゲームばかりしている。ある日、たかしは怒った母に家から追い出されてしまう。呑気な父に一人旅を勧められ、駅の広告にあった鎌倉へと足を運ぶことに。そこでたかしは一人の少女と出会い・・・。
なにかをやめたいという気持ちが、なにかをはじめたいという気持ちと同じくらいあった。いや、まったく同じことだった。やめることははじめることであり、はじめることはやめることだった。逃げたかった。僕は逃げるために、彼が描いた〈架空の町〉へと向かう。
ミーン・ミンミン・ミンミン・ミー。ミーン・ミンミン・ミンミン・ミー。夏ゼミが、鳴いている。猛吹雪の、音が、する。どれが、ほんと、なんだい。雪女が、冷たく、言った。
母親と父親が奥の方にいってしまったために、ヘルとテルは森のなかに取り残されたが、打ち合わせよりも早い段階でのことだったので、ドローンを飛ばして様子を見ていたおばあさんは怒った。急いで、お菓子の家を作らないといけない。
慶太は高校2年生。家庭の事情で一人暮らしをしている。ある猛暑の昼下がり、慶太は不思議な女性“紡”と出会う。家族に対して素直になれない慶太。そんな慶太の心に紡の言葉が優しく染み込んでいく。少年の心の成長を描いたちょっぴりせつない物語。