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1LDKのマンションが売れないのは本当?売却のコツを徹底解説

1LDKのマンションは売れないと言われることがあります
「1LDKのマンションは売れない」と言われることがありますが、本当か気になる方もいることでしょう。一般的に、住居を購入することが多い子育て世帯にとって、1LDKは狭いことから、敬遠されることもあります。今は子どもを持たない夫婦世帯であっても、将来のライフスタイルの変化を考えるなら、2LDK以上のマンションを求めると考えられます。

本記事では、1LDKのマンションは本当に売れないのか、具体的なデータを用いて解説します。また、売却できるターゲット層と売却のコツもあわせて紹介。記事を読むことで1LDKマンションの売却事情を正確に把握したうえで、売却するための方法もわかるようになるでしょう。

1LDKのマンションが売れないと言われる理由

1LDKのマンションは売却面ではネガティブな意見も多いです
1LDKのマンションは売却面ではネガティブな意見も多いです

事実に関係なく、1LDKのマンションは売れないと言われています。なぜ売れないと言われるのか、理由を以下にまとめました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

ターゲット層が限定されている

1LDKのマンションが売れにくいと言われる理由の一つは、購入希望者のターゲット層が限定されるからです。ターゲット層が限定されるほど、物件を購入したい人の数が減るため売却難易度が上がります。1LDKマンションのターゲット層は、基本的に一人暮らし、または二人暮らしを対象とした間取りです。

つまり、子育て世帯など3人以上で暮らす購入希望者は、ターゲット層から外れます。ターゲット層が限られるうえに、想定されるターゲットである単身者や夫婦2人の世帯は、持家志向とは限りません。1LDKであってもマンションを購入する資金がないことから、賃貸を利用する可能性もあるでしょう。

ターゲット層が限定されるなかで賃貸需要もあることから、市場の需要が限定的になりやすいため、1LDKのマンションの売却は難しいと考えられています。

将来のライフスタイルの変化に弱い

住居の購入は将来的なライフスタイルの変化を考えて、広めの間取りを検討することが基本です。よって、今は夫婦2人の世帯であっても将来的に子どもを持ちたいと考えているなら、1LDKのマンションは選択肢から外れます。

近年ではリモートワークの普及により、自宅で長時間過ごす人が増えています。単身者も将来的に在宅勤務を中心としたライフスタイルを考えているなら、寝室とは別に作業部屋を設けたいニーズを持っていることも。1LDKはリビングと寝室しかないため、スペースの確保が難しいでしょう。

現時点では間取りに問題はなくても、将来的に快適に暮らせるかどうかを考えると、1LDKのマンションは選ばれにくいと考えられます。

1LDKのマンション自体に売却しにくい印象がある

1LDKのマンションに対して、売却しにくい印象を持つ人は少なくありません。事実に関係なく、需要が少ないために売る時に困ると考える人は、売却する時のことを考えて1LDKのマンションを購入の候補から外すでしょう。特に不動産投資家からの需要は下がると考えられます。

売れない物件の印象があれば、検討段階で選ばれにくいため、売却がより難しくなるでしょう。売れないと言われる先入観の問題が、1LDKのマンションの売却を困難にしている側面もあります。

1LDKのマンションが売れないのは本当?

1LDKのマンションにおける実際の販売状況を紹介します
1LDKのマンションにおける実際の販売状況を紹介します

1LDKのマンションは売れないと言われることもありますが、事実として正しいのか気になるところです。ここでは具体的なデータを提示したうえで、1LDKマンションにおける実際の販売状況を紹介します。

中古マンションの間取り別成約件数

公益財団法人東日本不動産流通機構の「年報マーケットウォッチ2024年・年度」によると、2024年時点の首都圏における中古マンションの間取り別成約件数は以下のとおりです。

間取り 成約件数 全体の割合
ワンルーム 1,579 4.0%
1LDK・DK 6,989 17.6%
2LDK・DK 11,008 27.7%
3LDK・DK 17,796 44.8%
4LDK・DK 2,311 5.8%
5LDK・DK 53 0.1%

1LDK・DKマンションの全体の成約件数は6,989件であり、全体の17.6%にあたります。もっとも成約件数が多い3LDK・DKとは2倍以上の差があるため、2LDK~3LDKの間取りと比較すれば、需要に大きな差があることは間違いありません。

しかし、1LDKよりも需要が少ない他の間取りと比較すると、成約件数には大きな差があります。マンションの間取り別で考えれば、1LDKのマンションが目立って売れないというわけではなく、一定の需要があると考えられるでしょう。

新築マンションの間取り別発売・契約件数

次に、株式会社不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年7月」から、首都圏の新築分譲マンションを間取り別に発売戸数・契約戸数、契約率を含めて以下にまとめました。

間取り 発売戸数 契約戸数 契約率
1LDK 267 239 89%
2LDK 436 310 71%
3LDK 1,228 777 63%
4LDK 67 31 46%

発売戸数・契約戸数ともに、3LDKの間取りがもっとも多い結果に変わりはありません。しかし、1LDKの契約率は89%と高水準であり、2LDK以上の間取りのマンションを上回ります。契約率から考えれば、1LDKのマンションはターゲットを絞って売却活動をすれば、他の物件よりも売りやすい結果となりました。

1LDKのマンションを売却できるターゲット層

1LDKのマンションを売却できるターゲット層を紹介します
1LDKのマンションを売却できるターゲット層を紹介します

1LDKのマンションは売れないと言われることもありますが、実際のデータでは売れていることがわかりました。近年ではマンションの持家数が増加傾向にあり、マンション居住者の永住意識も高まっている状態にあります。よって、1LDKであっても賃貸ではなく、購入に踏み切るターゲット層も増加していると考えられるでしょう。

ライフスタイルの多様化により、メインターゲットとなる3人以上で暮らす子育て世帯以外の需要もマンションの売買では重視される状況にあります。1LDKのマンションを売却できる具体的なターゲット層を紹介します。

30代以上の単身者

1LDKのマンションを購入するターゲットとして想定されやすい人は、狭さが問題になりにくい単身者です。ただし、20代以下の場合は収入が安定していないことから、持家の購入が難しいため、賃貸を選ぶ可能性が高くなります。よって、単身者でも収入が安定している30代以上が対象になるでしょう。

単身者は、年齢が高くなるほど、将来の人生設計を決めている場合も多くなります。将来的に結婚を考えていない、子どもを持つ気がない場合は、1LDKの間取りでも将来の生活で間取りを理由に、不便を感じる可能性は低いでしょう。また、住居の資産価値が安定している都市部であれば、賃貸で家賃を支払い続けるよりも、ライフスタイルが変化した場合も将来の売却を考えてマンションを購入する選択肢もあります。

子なし共働き夫婦

単身者だけでなく、子どもを持たない共働き夫婦も、1LDKマンションのターゲット層になります。物件の広さよりも通勤の利便性を重視するなら、都市部の1LDKのマンションを選ぶと考えられます。夫婦の職場に近い場所であれば、通勤の負担が大きく軽減されるでしょう。

現在はライフスタイルが多様化しているため、子どもを持たないDINKsを選択する夫婦も増えています。DINKsであれば、1LDKのマンションであっても将来にわたって必要十分な空間を確保できるでしょう。

共働き夫婦がマンションに求める条件は、通勤への利便性から駅に近い物件であることです。他には居住者が長時間自宅にいないケースが多いことから、防犯対策の充実が重視されると考えられます。

高齢の夫婦

子どもが独立して広い住居に住む必要がなくなった夫婦は、必要十分な生活空間を求める場合があります。特に二階建て以上の一戸建てに住んでいると、階段の昇降により身体に負担がかかります。1LDKのマンションであれば、生活空間に階段が存在しないため、老後の生活が快適になりやすいでしょう。

1LDKであれば部屋数が少ないため、掃除や管理の負担も小さいことから、体力が落ちても暮らしやすくなります。生活を住居の周辺で完結させたいと考えるため、スーパーマーケットや病院が近くにある立地が求められやすいでしょう。

不動産投資家

1LDKのマンションは賃貸需要も見込めるため、不動産投資家も買い手になります。2LDK以上のマンションと比較して購入金額が安くなりやすいため、少額投資を希望する人を含めて、幅広い不動産投資家に需要があるでしょう。物件が資産として魅力があり、需要が見込みやすいのであれば、自然にターゲット層に組み込まれると考えられます。

1LDKのマンションを売却するコツ

1LDKのマンションを売却するコツを紹介します
1LDKのマンションを売却するコツを紹介します

1LDKのマンションを売却するコツを以下にまとめました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

複数社で査定して相場を把握する

1LDKのマンションを売るためには、相場を正確に把握することが重要です。そのために、複数の不動産会社から査定結果を得る必要があります。1LDKは2LDK・3LDKのマンションと比較すれば需要が限られるため、不動産会社によって査定価格に差が出やすくなります。

そのため、一括査定サイトを利用して複数の不動産会社の査定結果を得ると効率的でしょう。提示された金額を参考に、極端に安い価格もしくは高い価格を提示する不動産会社への依頼は避けるようにしましょう。特に、極端に高い価格を提示する不動産会社に依頼すると、相場に沿った価格でないことから、売却できない可能性があります。

不動産情報サイト アットホームの「不動産一括査定依頼サービス」では、全国の不動産会社に一括で査定を依頼できます。相場を知るためにも、ぜひ活用してみてください。

1LDKマンションの販売実績がある不動産会社を選ぶ

1LDKのマンションは、2LDK・3LDKのマンションとはターゲット層が異なるため、最適な売却戦略も変化します。よって、1LDKのマンションの販売実績がある不動産会社を選んで依頼すれば、売却をスムーズに進めやすくなるでしょう。

反対に、1LDKのマンションの取扱経験が少ない会社に依頼してしまうと、ターゲットの絞り込みや販売戦略が不十分となり、売却が長期化してしまうことも。1LDKのマンションを売却するなら、大手で幅広い潜在顧客を持っている不動産会社や、1LDKなどの小規模の分譲マンションの売却に力を入れている不動産会社を選びましょう。

空間が広く見えるように工夫する

1LDKのマンションの売却活動では、内覧を希望した人が広さに不安を覚えないようにすることが重要になります。内覧時に「狭いかもしれない」と感じた場合、他の物件の契約を検討する可能性が高くなるでしょう。よって、できる限り空間を広く見えるように工夫すると、広さに対する不安を解消できます。

例えば、背の高い大きな家具がある場合は、部屋がより狭く見えます。できる限りコンパクトな家具に統一したうえで、不要な家具を撤去して空間が広くなるようにしましょう。また、明るい照明やカーテンは、部屋全体を広く見せるのに一定の効果があると言われています。部屋自体の広さを変えることはできませんが、できる限り広く見せる工夫はおこなっておきたいところです。

ハウスクリーニングで部屋の印象を高める

1LDKのマンションに限らず、部屋の清潔感は購入希望者の意思決定に大きな影響を与えます。ターゲット層が限られている1LDKのマンションでは、内覧時に悪印象を与えることはできる限り避けたいところです。ハウスクリーニングを活用して汚れを落とし、部屋の印象が少しでもよくなるようにしましょう。

特にキッチン・浴室などの水回りの汚れ・カビは、素人が掃除しても落としきれません。ハウスクリーニングで徹底的に清掃してもらうことで、細かな汚れを落とした清潔感のある空間を実現できます。リフォームの必要がないキレイで手間なく住める家であると認識してもらえれば、契約につながりやすくなるでしょう。

内覧希望者の要望にできる限り広く応える

1LDKのマンションはターゲット層が限られていることから、内覧希望者が限られます。そのため、内覧希望者が現れた際にはできる限り逃がさないことが大切です。よって、内覧希望者の要望は値下げ交渉を含めて、真摯に対応することが重要になるでしょう。

ご自身にとって譲れない条件がある場合は、無理に譲歩する必要はありません。しかし、無理な条件を提示したことを理由に雑な対応をすると、契約を逃す原因になります。交渉に対して丁寧に対応すれば、お互いに納得した条件で売買を成立させることにつながるでしょう。

1LDKのマンションが売れない場合の選択肢

1LDKのマンションが売れない場合の選択肢を解説します
1LDKのマンションが売れない場合の選択肢を解説します

最後に、1LDKのマンションが売れない場合の選択肢を紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

専任媒介契約をする不動産会社を変える

1LDKマンションが売れない場合は、専任媒介契約を結んでいる不動産会社を見直すところから始めましょう。1LDKマンションはターゲット層が限られているため、販売戦略によって成約スピードが大きく変わります。不動産会社の力不足を理由に売却活動が長引いていると感じる場合は、他の不動産会社とあらためて専任媒介契約を結ぶことでスムーズに売却できる可能性があります。

積極的な売却活動をしなくても、需要が高いと考えられる物件であれば、一般媒介契約で複数の不動産会社に簡単な売却活動を依頼すれば、状況を打開できることも。信頼できる不動産会社を選びなおすことで、停滞していた売却活動を動かすことができるでしょう。

賃貸に転用する

1LDKのマンションは、売却だけでなく賃貸需要もあります。売却が難しい場合や、理想的な条件で売却ができない場合は、賃貸への転用を検討しましょう。物件を賃貸に転用すると定期的な家賃収入が得られます。いったん、売却活動を中断して保有を続ける場合は、選択肢になるでしょう。

ただし、賃貸に転用する場合は、入居者が退去しなければ柔軟に売却できません。例外的にオーナーチェンジ物件として売却できますが、購入希望者が限定され、売却価格が下がる可能性もあります。売却時期を決めたい場合は、定期借家契約にすれば期間満了時に退去してもらえます。将来再び売却する長期的な計画では賃貸が有効です。

不動産会社の買取を利用する

1LDKマンションの売却がどうしても進まない場合、最終的な選択肢として不動産会社の買取を利用する方法もあります。通常の仲介による売却では、買主が見つかるまで時間がかかります。しかし、買取では不動産会社が買主になるため、売却までにかかるスピードは早くなり、確実な現金化が可能。

ただし、不動産会社の買取は、一般的な仲介による売却と比較して、売却価格が低くなります。早期に売却を完了したい事情がある場合や、どうしても買い手が見つからない場合の最終手段となるでしょう。

まとめ

1LDKのマンションは売れないと言われることもありますが、実際には一定の需要が存在し、適切な戦略をとることでスムーズに売却できます。ただし、ターゲット層が限られているため、現れた購入希望者に対して真摯に対応することが重要です。

重要なことは売れないと決めつけるのではなく、市場の実情を踏まえたうえで適切な対応を選ぶことです。1LDKのマンションは、特定のターゲット層に根強い需要が存在しているため、売却活動次第では買い手を見つけやすいでしょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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