不動産の売却で代理人を立てる際に必要な委任状とは?作成方法から注意点まで徹底解説
しかし、委任状を正しく作成しなければ、トラブルの原因になるリスクもあるため、注意が必要です。本記事では、不動産の売却で委任状を使用する際の基本知識、作成方法、必要書類、注意点まで詳しく解説します。
記事の目次
不動産売却で代理人を立てる際に必要な委任状とは

委任状とは、簡単にいえば物件の所有者本人に代わって、別の人が売却手続きに関わることを正式に認めるための証明書のようなもの。
「売主が自分の意思で代理人に手続きを任せると判断した」事実を外部に示す役割を果たします。この書類があれば、代理人は売主と同じ権限で売買契約の締結や所有権移転登記などの重要な手続きを進められるようになります。
そもそも不動産の売却では、「本当に所有者が売るつもりなのか」の確認が重要です。なぜなら、所有者本人の意思が確認できないまま代理人が勝手に契約を進めてしまうと、契約そのものが無効になってしまうため。
いわば、委任状は不正な売買を防ぐための安全装置のような存在であり、売主の意思を第三者に明確に伝えるための最低限の仕組みでもあります。代理人が契約の場に立ち会う場合には、この委任状を提示しなければなりません。
委任状を準備するタイミングとして多いケースは、不動産会社との媒介契約を結ぶ時や、代理人が決済日に出席する予定になった段階です。いずれも、急に必要となるケースもあるため、どのように作成すべきかを事前に把握しておくと手続きが滞るリスクを減らせます。
特に遠方の物件を売る場合や、複数の所有者がいる不動産の場合は、代理人を立てて手続きを進めるケースも少なくありません。
不動産の売却で委任状が求められる主なケース

不動産を売却する時に委任状が必要となる場面はいくつかあります。代表的な場面は以下の3つです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
司法書士・弁護士を代理人にする場合
親族や家族に任せられない時、あるいは手続きの正確性を重視したい時などに、司法書士や弁護士などの専門家に代理を依頼することがあります。専門家に任せる場合は、委任状を作成して提出しなければなりません。
法律や不動産関連の書類に精通している専門家に任せることで、書類の不備や手続きのミスを防ぎ、売却の流れをスムーズに進められる点が大きなメリットです。
不動産の売却では、細かい書類の作成や法的判断を求められる場面が少なくありません。専門知識のある司法書士や弁護士であれば、トラブルを避けながら確実に手続きを進めてもらえるでしょう。そのため、「安心感を優先したい」「時間をかけずに売却したい」方に向いています。
遠方に住んでいて売却手続きに立ち会えない場合
所有している不動産が離れた場所にあり、売主本人が決済日や契約日に足を運べないなどのケースも少なくありません。仕事の都合で長期出張している場合や、実家を相続したものの現在は別の地域に住んでいる時など、物理的にその場に行けない事情はさまざまです。このような状況でも、委任状があれば代理人が手続きを代行できます。
国内在住者であれば、委任状に加えて本人確認書類、住民票、印鑑証明書を揃えれば手続きを進めることができます。一方で、海外に住んでいる場合には、住民票や印鑑証明書を日本で取得できないため、代わりとなる書類を用意しなければなりません。
一般的には「在留証明書」「サイン証明書」「代理権限委任状」などが必要になり、これらは海外にある日本の在外公館で発行してもらえます。書類の準備に時間を要することも多いため、早めに手配しましょう。
不動産が共有名義の場合
1つの不動産に複数の所有者がいる「共有持分」の状態では、売却をおこなう際に全員の同意が必要です。さらに、決済の場での全員の立ち会いが原則となっています。ただし、仕事や家庭の事情で全員が揃うことが難しいケースもあるでしょう。そのような時にも委任状が活用されます。
代表者となる代理人を1名決め、その人に手続きを任せることで売却を進められるようになります。とはいえ、代表者が勝手に決められるわけではなく、すべての共有者が署名・捺印した委任状と印鑑証明書が必要となります。共有名義の場合は書類の数も多くなりがちなため、早めに準備を始めるとよいでしょう。
代理人による不動産売却のリスク

代理人を通して不動産を売却する場合には、売主側にも買主側にも特有のリスクが存在します。代理とは、本人に代わって他人が法律行為をおこなうことを指します。その効果は本人に及ぶため、代理人の行動がそのまま本人に影響を与えることに。ここでは、代理人による不動産売却のリスクを見ていきましょう。
売主側のリスク
売主が注意すべき点は、代理人に判断権限を与えてしまうことです。代理人は本人に代わって契約や交渉などの法律行為をおこなえるため、本人の意思を必ずしもその場で確認せずとも判断できます。
例としてわかりやすいのが、未成年者と親の関係。親は未成年者の法定代理人として、契約条件の交渉や契約の締結を子ども本人の確認なしでおこなえます。
委任状による不動産の売却の代理も基本的には同じで、代理人は売主本人の代わりに契約条件を決定し、手続きを進められます。ここでよく混同されるものが「代理人」と「使者」の違いです。
使者は、本人の意思を確認しながら手続きをおこなうのに対し、代理人はその場で本人の確認なしに判断が可能。例えば、不動産の価格を下げる判断を求められた場合、使者なら本人に確認する必要がありますが、代理人はその場で値下げを決められます。このような権限の差を理解しておかなければなりません。
買主側のリスク
買主にとってのリスクは、目の前の人物が本当に正当な代理人であるかがわからない点です。たとえ「私は○○さんの代理人です。」と名乗っても、委任状が偽造されている可能性もゼロではありません。
そのため、代理人を通して不動産を購入する際は、買主側のほうが売主よりも慎重になる必要があります。代理人による取引では、買主は騙されるリスクを抱えることになるため、本人の意思を確認し、正式な委任状や必要書類の提示を求めましょう。
代理人を介した売買は便利な一方で、売主・買主の双方に固有のリスクがあることを理解し、慎重に対応しましょう。
委任状があっても不動産の売却ができないケース

委任状を準備すれば、必ず不動産の売却ができるわけではありません。場合によっては、委任状があっても手続きを認められないことがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
意思能力がない場合
不動産の売却は、大きな財産を動かす重要な法律行為です。そのため、契約を結ぶ本人に「自分が何に対して同意しようとしているか」を理解できる能力が必要になります。
この判断力のことを民法では「意思能力」と呼んでいます。認知症が進んでいる場合や、精神的な障害によって判断が難しい場合、本人に意思能力が欠けているとみなされることがあり、その場合は委任状を使っても売却はできません。
このようなケースでは、「成年後見制度」を利用することになります。成年後見制度とは、判断が難しい本人に代わって後見人が法律行為を支援する制度です。不動産の売却をおこなう時は、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
ただし、売却代金の使い道が曖昧なままだと許可が下りないこともあるため、理由付けや計画を明確に示す必要があります。手続きの流れは一般の売却よりも複雑になるため、後見制度の扱いに慣れた司法書士や不動産会社に相談しておくと安心です。
未成年者の場合
未成年者が所有する不動産を売却する場合、本人が委任状を作成して代理人を選任しても、その委任状だけでは契約は成立しません。未成年者が財産に関わる契約をおこなう際には、法定代理人である親権者または未成年後見人の同意が必要と民法で定められているためです。
法定代理人とは、未成年者に代わって財産管理や法律行為をサポートする立場の人で、通常は両親が該当します。両親が不在の場合や適任者がいない場合は、家庭裁判所が未成年後見人を選任します。
実際に売却を進める際は、親権者など法定代理人が主体となって手続きをおこなうのが基本。同意を得られていない取引は、あとから取り消される可能性があります。
また、未成年者が所有する不動産を売却する場合は、通常よりも提出しなければならない書類が多くなります。具体的には、法定代理人の同意書や戸籍謄本などが必要です。
こうした準備に加え、未成年者の不動産の売却は専門的な判断が求められるため、安心して売却するためにも不動産会社や司法書士への相談が欠かせないでしょう。
不動産売却で代理人を立てる際に必要な委任状の書き方

ここでは、不動産売却の際に作成する委任状の書き方を、ステップごとにわかりやすく解説します。まずは簡単な流れを押さえておきましょう。
- STEP 1どのような内容を委任するかを明確にする
- STEP 2委任者および代理人の基本情報を正確に記載する
- STEP 3委任状の作成日を書き、署名・押印する
- STEP 4売却対象不動産の特定情報を記載する
- STEP 5委任の範囲や条件を明示する
- STEP 6必要書類を添付・準備する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
STEP 1. どのような内容を委任するかを明確にする
まず、委任状を書く際に重要なことが、「誰が」「何を」「どこまで」代理するかをはっきりさせることです。例えば、売買契約の締結だけを委任するのか、決済・引き渡し・所有権移転登記まで含めるのかなどです。
- 売買契約の署名・締結
- 決済手続き(売買代金の受領など)
- 所有権移転登記の手続き
- 物件の引き渡し手続き
上記のように、具体的な項目を委任事項として記載します。専門家に全面的に任せるフル委任か、あるいは一部の手続きに限定する限定委任かを選び、委任事項をできるだけ具体的に記載することが重要です。曖昧な記述だと、代理人の権限が不明瞭になり、のちのトラブルにつながりかねません。
STEP 2. 委任者および代理人の基本情報を正確に記載する
次に、委任状には委任者(売主本人)と代理人(受任者)の情報をしっかり書きます。この情報が正確でなければ、効力を認めてもらえないことがあります。記載すべき主な情報は、以下のとおりです。
- 委任者の氏名・住所
- 代理人の氏名・住所
- 双方の連絡先(電話番号など)
特に、不動産登記簿に記載されている住所・氏名と同一であることが求められるため、記入ミスや別名義にならないよう注意が必要です。また、必要に応じて生年月日などを記載するケースもあります。
STEP 3. 委任状の作成日を書き、署名・押印する
委任状には、作成日と委任者の署名および押印(実印が望ましい)を付け加えます。高額な不動産売買では、認印ではなく登録済みの実印と、同時に印鑑証明書を添付することが多くみられます。上記を添付することで、本人の意思確認と証明性が高まります。
また、委任状をパソコンで作成した場合や文書を印刷した場合には、手書きの署名・捺印が求められることも。原本を提出することが前提で、コピーやFaxだけでは無効とされる可能性があるため、注意しましょう。
STEP 4. 売却対象不動産の特定情報を記載する
委任状のなかで、どの不動産を売却対象とするのかをできるだけ詳細に特定する必要があります。例えば、以下の情報が挙げられます。
- 所在地(都道府県・市区町村・番地など)
- 地番・家屋番号
- 土地面積や建物の構造・床面積など、不動産を識別するために必要な情報
これらの情報を書き込み、売却対象物件を明確に指定します。これは、誤売却や物件の取り違えを防ぐためにも重要です。委任状にこのような詳細な記載がなければ、代理人が誤って別物件で契約を結んでしまうリスクがあるため、細かく記載しましょう。
STEP 5. 委任の範囲や条件を明示する
もし、代理人による売却で「○○まではOK」「××は本人の確認を要する」など、権限の限度や条件がある場合は、それもあわせて記載します。例えば、以下のとおりです。
- 「売買契約の締結および所有権移転登記を委任する。ただし、売買価格は○○円以上とする場合に限る」
- 「売買代金の受領および引き渡し手続きは本人の立ち会いを要する」
上記のように、具体的に「どこまでなら代理できるか」「どこからは委任者本人の確認が必要か」を明文化します。こうした限定条件を定めることで、あとから「そのような権限は与えていなかった」となるトラブルを防げるでしょう。
STEP 6. 必要書類を添付・準備する
委任状を作成したら、手続きが完了するわけではありません。不動産売買の代理手続きを有効におこなうためには、以下のような付随書類の準備と添付が求められるケースが一般的です。
- 委任者の印鑑証明書
- 代理人の印鑑証明書(場合によっては不要なケースもありますが、安全のためあるのが望ましい)
- 委任者および代理人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど )
- 必要に応じて、住民票や登記簿などの書類
上記の書類を事前に揃えておくことで、契約や登記の場で「書類不備で手続きできない」などのトラブルを避けられます。
不動産の売却で委任状に添付すべき書類
委任状を使って不動産を売却する際には、委任者と受任者の双方が、必要な書類を揃えて添付することが求められます。具体的には、委任者の本人確認や権限の証明のために、住民票や印鑑証明書、そして運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書が必要です。
住民票や印鑑証明書は、市区町村の役所で窓口申請するほか、郵送でも取得が可能です。ただし、必要な書類の種類や形式は、不動産会社によって多少異なることがあるため、注意しなければなりません。
そのため、委任状を作成する前に、取引先の不動産会社にどの書類を揃えるべきかを確認しておくことが重要です。そうすれば、手続きの遅れや書類不備によるトラブルを防げます。
不動産の売却で委任状を書く際の注意点

不動産の売却を代理人に任せる際、正しい書類の作成がなにより重要です。特に委任状は、代理人に売買契約や登記などの手続きを託す法的根拠となる書類ですが、記載内容や押印方法、添付書類などを誤ると無効とされかねません。ここでは、委任状作成時に押さえるべき注意点を一つずつ解説します。
内容を曖昧にせず、できるだけ具体的に書く
委任状を書く時にまず意識したいことは、「代理人にどこまで任せるのか」をできる限り明確にすることです。不動産の売却には、売買契約の締結、手付金の授受、残代金の受領、各種書類の提出、住宅ローンの抵当権抹消手続き、所有権移転登記のための司法書士手配など、さまざまな工程があります。
こうした手続きを「一切を任せる」などの曖昧な書き方にしてしまうと、あとになって「ここまでは任せていない」「そのような契約条件を承諾した覚えはない」などの認識のズレが起こる可能性も。
売主が望む手続きの範囲や、代理人に任せたくない部分を明確にしながら、おこなってよい手続きを一つずつ記載することで、余計な誤解や想定外の判断を避けられるでしょう。
曖昧な「一切の件」の表現は避ける
委任状を作成する時には、「一切の件」などの幅の広すぎる表現を使わないことが重要です。例えば「自宅売却に関する一切の件を委任する」と書いてしまうと、代理人がどこまで権限を持つのかが曖昧になり、場合によっては想定していない範囲まで任せることになりかねません。
代理人に必要以上の判断権を与えないためにも、委任する内容はできる限り具体的に記載し、万が一の事態が起きた時にどう対応するかを示す、「上記に記載された売却条件の内容に変更があるときは、委任者と受任者でその都度協議して定める」といった注意書きを添えておくとよいでしょう。
また、委任事項の終わりを明示するために委任状の記述の最後、有効期限の下には必ず「以上」と記載し、改ざんや追記されないようにしましょう。
押印は実印でおこない、印鑑証明書もあわせて準備する
不動産の売却は重要な契約行為であるため、委任状への押印は認印ではなく、印鑑登録済みの実印を使う必要があります。実印は本人が正式に登録した唯一の印鑑であるため、その印鑑が押されているかが、委任者本人の意思確認につながります。
さらに、実印が本人のものに間違いないことを示すため、印鑑証明書の添付を求められることも。印鑑証明書は発行から3カ月以内のものが必要とされることが多く、有効期限が過ぎたものは受け付けてもらえません。
また、署名と押印は委任者本人がおこなう必要があります。代理人が代わりに押してしまったり、家族が手伝って押印してしまったりした場合は、委任状そのものが無効となり、契約手続きを進められない可能性があります。
売却する不動産を特定できるよう物件情報を正確に書く
委任状に不動産の情報を書く際には、対象物件を確実に特定できるよう、所在地・地番・家屋番号などを登記簿に記載されたとおりに書くことが求められます。日常的に使っている住所表記と、登記簿上の住所は異なることが多く、特に土地の場合は「地番」と「住居表示」が一致しないケースがほとんどです。
誤って記入してしまうと、売却対象の物件がどれかわからなくなり、不動産会社や司法書士、買主側の金融機関の確認作業に大きな支障が生じます。複数の不動産を所有している場合や、相続で取得した物件などは、書き間違いが特に起こりやすいため、委任状を書く際には登記事項証明書を横に置き、1行ずつ照らし合わせて記載すると安心です。
氏名や住所は登記簿・本人確認書類と完全に一致させる必要がある
委任状では、委任者(売主)と受任者(代理人)の氏名と住所を正確に記載しなければなりません。この時気をつけたいことは、登記簿や住民票、運転免許証に記載されている情報と完全に一致していなければならない点です。
例えば、住所の番地表記が「1-2-3」と「1丁目2番3号」で違っていたり、旧字体と新字体が混じっていたりすると、登記手続きの段階で不備と判断されることがあります。また、結婚や転居などで氏名や住所が変わっている場合、登記簿が古い情報のままだと整合性が取れません。
委任状を書く前に、登記事項証明書と本人確認書類を事前に照らし合わせ、1文字も違いがないように確認するが重要です。
委任日を明確に記載する
委任状には「いつ委任したのか」を示す日付を記入しておきましょう。日付があることで、代理権がどの時点から有効だったかを証明でき、不動産の売買契約の正当性を確認しやすくなります。今後のトラブル防止のためにも、日付の記載は忘れないようにしましょう。
白紙委任状は避ける
不動産の売却に関する委任状を作成する際は、白紙委任状にならないよう細心の注意が必要です。白紙委任状とは、本来書くべき委任内容が空欄のまま渡される委任状のこと。委任者の意思が明確に示されていないため、受任者があとから内容を書き換えることができてしまいます。
もし受任者が白紙委任状を悪用し、委任者の意図と異なる取引を進めてしまった場合、委任者自身も責任を問われる可能性があります。たとえ相手が信頼している家族や親族であっても、空欄のまま渡すことはリスクが高い行為です。
トラブルを防ぐためにも、委任内容は細かく記載し、白紙委任状の作成は避けましょう。また、訂正を前提として捨印を押すよう求められる場合もありますが、重要な取引ほど捨印は避けたほうがよいでしょう。捨印があると「あとで勝手に修正されたのではないか」などの疑いを招く恐れがあります。もし記載ミスに気付いた時は、面倒でも新しい委任状を作り直したほうが、安全性・信頼性の面から見ても安心です。
有効期限の設定や添付書類の確認を忘れず、提出先の要件に合わせて準備する
委任状には、いつまで有効なのかを示す「有効期限」を設けることが望ましいとされています。理由は、期限が未設定の委任状は、売主が意図しない期間まで代理権が残ってしまい、思わぬトラブルを招く可能性があるためです。
例えば、「作成日から3カ月間のみ有効」と明確に記載しておけば、実務的にも安全です。また、委任状に添付すべき書類は提出先によって変わるため、不動産会社・司法書士・金融機関などが必要とする書類を事前に確認しておかなければなりません。
印鑑証明書、本人確認書類、登記事項証明書、固定資産税納税通知書など、必要書類を揃え忘れると手続きが滞ってしまいます。スムーズに売却を進めるためには、提出先の要件をしっかり把握し、期限切れの書類が混ざっていないかもあわせて確認しておくことが重要です。
代理人と委任内容を事前にすり合わせて意思のズレをなくす
委任状にきちんと書かれていても、代理人との間で売却方針や条件について認識がズレていると、トラブルにつながる可能性があります。特に売却価格の下限、契約日、引き渡しのタイミング、諸費用の扱いなどは、本人の感覚と代理人の判断が食い違いやすい部分です。
そのため委任状を作成する前に、「どこまで任せるのか」「どのような条件なら合意できるのか」を、言葉だけでなく書面でも確認しておきましょう。また、不動産会社や買主側にも「この売却は代理人を通して進める」旨を早い段階で伝えておくと、手続きのなかで混乱が生じにくくなります。
売却全体をスムーズに進めるためにも、代理人と売主の間で事前に細かいすり合わせをおこなっておくことが欠かせません。
委任状があっても本人の売却確認が必要になる
委任状を使って不動産を売却する場合でも、「本当に本人が売却を望んでいるのか」を直接確認する作業は欠かせません。意思確認をおこなう役割を担うのは、通常、不動産会社か買主です。
なぜそこまで確認が必要なのかというと、委任状そのものが正しいものかを判断するためです。例えば代理人が家族や親族の場合、実印や印鑑証明書を手に入れることが容易なため、本人の知らないところで書類が作られてしまう可能性があります。
もし偽造された委任状をもとに売買が進んでしまえば、最終的には詐欺行為として重大なトラブルに発展するでしょう。こうしたリスクを避けるためにも、取引前に本人の意思を確認し、間違いのない状態で手続きを進めることが重要です。
まとめ
不動産の売却で代理人を立てる際に必要な委任状は、代理人に手続きを任せる際の重要な証明書です。委任状を正しく作成し、必要書類を添付することで、本人の意思に基づいた安全な売買手続きを進められます。
一方で、白紙委任状や曖昧な表現の使用は、権限の濫用やトラブルにつながる可能性があるため避けるようにしましょう。また、代理人による売買には売主・買主双方のリスクも存在するため、本人確認や書類の確認を怠らないことが大切です。
委任状の作成方法や注意点を押さえておけば、代理人を通した不動産売却も安心して進められるでしょう。
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執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
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