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不動産の無料査定でよく起こるトラブルとは?原因と防ぐためのポイントを徹底解説

不動産の無料査定でよくあるトラブルを解説します
不動産を売却する際、まず多くの人が利用するサービスが「無料査定」です。近年、一括査定サイトなどを使えば、複数の不動産会社の査定額を比較できるため、便利なサービスとして人気を集めています。

しかし、その一方で「しつこい営業電話がかかってきた」「査定額が思っていたよりも低かった」「信頼できる会社がわからない」など、無料査定に関するトラブルも少なくありません。このようなトラブルは、ちょっとした注意不足や情報の誤解から生じるケースが多く、売却活動そのものをスムーズに進められなくなることもあります。

本記事では、不動産の無料査定で起こりやすい代表的なトラブルとその原因、そして防ぐための具体的な対策をわかりやすく解説します。これから査定を検討している方は、後悔のない不動産売却を実現するためにも、ぜひ最後までご覧ください。

記事の目次

不動産査定には無料査定と有料鑑定がある

不動産の価格を知る方法を解説します
不動産の価格を知る方法を解説します

不動産の価格を知る方法には、主に以下の3つがあります。

  • 一括査定サイトを利用して調査する(無料)
  • 不動産会社へ直接依頼する(無料のケースが多い)
  • 不動産鑑定士による不動産鑑定を受ける(有料)

「不動産を売却したい」という場合には、無料の不動産査定を利用するのが一般的。一括査定サイトでは、物件情報を一度入力すると複数の不動産会社に自動的に共有され、各社が提示する査定額を比較できます。また、不動産会社に直接依頼する場合は、不動産会社が独自の基準で市場価格を見積もってくれます。

一方、不動産鑑定は、国家資格を持つ不動産鑑定士だけがおこなえる専門的な手続き。主に裁判資料の作成や相続税・贈与税などの算定などの、公的な目的で不動産の価値を証明する際に実施されます。費用は一般的に20万円前後かかることが多いです。

無料査定に資格は必要ない一方で、有料の不動産鑑定の場合は、不動産鑑定士の資格を持つ専門家だけが実施できる点が大きな違いです。

無料査定時に不動産会社へ伝える情報

無料査定を申し込む際には、以下の基本情報を不動産会社に伝えます。

  • 物件の住所やマンション名などの所在地情報
  • 土地・建物の面積
  • 築年数
  • 土地の形状や方位
  • 道路との接道状況
  • 氏名や電話番号などの連絡先情報

これらの情報をもとに、不動産会社は過去の取引データや近隣の相場を参考にしながら査定額を算出します。物件の築年数、土地の形、立地条件などの要素も加味して、「実際に売却できそうな価格」が提示されます。

査定方法と結果が届くまでの流れ

取引事例や周辺データを中心に机上で算出される査定方法は「机上査定」と呼ばれます。申し込み後は早ければ数時間、遅くとも2〜3日ほどで査定額を提示されることが一般的です。

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地を訪問し、物件の状態や眺望、周辺環境、管理状態などを詳細に確認したうえで、査定額を算出する方法です。机上査定よりも正確な査定額がわかるのが特徴。現地調査が必要になるため、結果が出るまでに1週間〜2週間程度かかることが多いでしょう。

査定結果の通知方法は、メールや電話、郵送など。最近では、オンライン上で査定書を確認できるシステムを導入している会社も増えており、より手軽に結果を受け取れます。

ただし、無料一括査定を利用した場合には、不動産会社からの連絡頻度や査定額の差が原因でトラブルに発展するケースも少なくありません。そのため、依頼前に信頼できるサイトや会社を選ぶことが大切です。

一括査定サイトのメリット

一括査定サイトのメリットを解説します
一括査定サイトのメリットを解説します

不動産を売却する際、最初のステップとなるのが査定依頼です。その際に便利なサービスが、一度の申し込みで複数の不動産会社に査定を依頼できる「不動産一括査定サイト」です。ここでは、一括査定を利用する主なメリットを紹介します。

一度の入力で複数の不動産会社へ査定依頼ができる

一括査定サービスの大きな魅力は、一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できることです。通常、不動産の査定を依頼する場合は、それぞれの会社へ個別に連絡を取り、物件情報を何度も伝える必要があります。しかし、何度も情報を伝えるには多くの時間と労力がかかり、忙しい人にとっては大きな負担となるでしょう。

査定に必要な主な情報は以下のとおりです。

  • 不動産の所在地
  • 種類(マンション・一戸建て・土地など)
  • 面積
  • 築年数や間取り

一括査定サイトでは、上記の情報を一度入力するだけで複数の会社に送信できるため、申し込みの手間を大幅に削減できます。仕事や家事の合間でも効率よく売却活動を進められるでしょう。

複数社の査定額を比較して適正価格を見極められる

一括査定を利用することで、各社が提示する査定額を同じ条件下で比較できます。個別に依頼する場合、会社ごとに入力項目や算出基準が異なり、単純な比較が難しくなるケースも少なくありません。しかし、一括査定サイトでは共通フォーマットで情報が送信されるため、より公平な条件で査定結果を見比べられます。

さらに、査定額だけでなく、「なぜその価格になったのか」や「販売戦略の提案」なども同時に確認可能です。会社ごとの提案内容や対応の丁寧さを比較することで、信頼できるパートナーを選びやすくなるでしょう。結果的に「相場より高く」「安心して」売却を進められる可能性が高まります。

優秀な営業担当者を見つけやすい

不動産売却で満足できる結果を得るためには、営業担当者の力量が重要です。査定額の妥当性を判断できるスキルだけでなく、販売戦略の立案、買主との交渉、契約条件の調整までをスムーズにおこなえる担当者が理想的。

一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社の営業担当者と直接やりとりできるため、対応のスピード・説明の丁寧さ・提案力を比較できます。

「この人なら任せられる」と思える、信頼できる営業担当者に出会いやすくなります。実際に査定依頼後のやりとりのなかで、各担当者の販売プランや対応力を見極めましょう。

一括査定サイトのデメリット

一括査定サイトのデメリットを解説します
一括査定サイトのデメリットを解説します

一括査定は便利な仕組みですが、利用の際には注意しておきたい点もあります。ここでは一括査定サイトのデメリットを解説します。

査定額に差が出た場合の判断が難しい

査定を複数社に依頼すると、査定額に大きなばらつきが出る場合があります。これは、各社が持つ地域データや営業担当者の経験値によって、評価基準が異なるためです。なかには、数十万円から数百万円単位で差が生じることもあります。

そのため、「一番高い金額を提示した会社がよい」と安易に判断することはやめましょう。各社に査定額の根拠を確認し、「地域の相場」「過去の取引事例」「売却見込み客の有無」など、具体的な理由を明示してもらうことが大切です。根拠のある説明ができる会社ほど、信頼性が高く期待できます。

不動産会社からの連絡が増えることがある

複数社に同時依頼をおこなうことで、査定後に電話やメールでの連絡が増える可能性があります。複数の会社から営業連絡が入ることを煩わしく感じる人もいるかもしれません。

対策としては、申し込み時に「連絡はメールのみ希望」や「電話は◯時以降」などの希望を備考欄に明記しておくことがおすすめです。また、個人情報保護の観点からも、セキュリティ対策が明示されている信頼性の高いサイトを選ぶようにしましょう。

不動産の無料査定で起こりやすいトラブル

不動産の無料査定で起こりやすいトラブルをご紹介します
不動産の無料査定で起こりやすいトラブルをご紹介します

不動産の売却を検討する時、多くの人がまず利用するサービスが無料査定です。費用をかけずに物件の価値を把握できる便利なサービスですが、利用の仕方を誤るとトラブルにつながることもあります。ここでは、不動産の無料査定でよく起こるトラブルと、その防止策を詳しく解説します。

相場よりも高すぎる査定額を提示される

「高く売りたい」という売主の心理を利用し、相場より明らかに高い査定額を提示する会社もあります。これは高預かりと呼ばれる営業手法で、「この会社なら高値で売れそう」と思わせる狙いがあります。

しかし、実際の市場価格を無視して売り出しても、買い手がつかず売却期間が長引くリスクが高まります。結果的に値下げを繰り返すことになり、最終的には相場よりも安く売ることになる可能性も。高すぎる査定額を信じる前に、複数社の査定結果を比較してみましょう。「なぜその金額になるのか」を根拠付きで説明してくれる会社であれば、信頼度が高いでしょう。

相場より安すぎる査定をされて損をする

相場よりも明らかに低い査定額を提示する会社にも、注意が必要です。不動産会社によっては「早く売れる」ことを優先し、実勢価格よりも低い金額を提示する場合があります。

特に、エリアの市場動向や周辺事例を十分に把握していない担当者の場合、査定の精度が低くなりやすい傾向にあります。このような査定を鵜呑みにして売却すると、短期間で売れる代わりに大きな損失につながる恐れも。

査定額が他社と比べて極端に低い場合は、その理由をしっかり確認し、「どの取引事例を参考にしたのか」を具体的に聞くようにしましょう。

しつこい営業電話やメールが続く

無料査定をおこなう不動産会社にとって、査定はあくまで営業の入り口です。そのため査定後に「売却はお考えですか?」「今なら高く売れますよ」などと、電話やメールが頻繁に届くケースは少なくありません。

一度連絡を取ると、複数の担当者から同時に営業がかかることもあり、精神的に負担になることもあります。こうしたしつこい営業を防ぐには、査定依頼時に「査定だけを希望している」「連絡はメールのみにしてほしい」と明確に伝えることが大切です。

また、一括査定サイトを利用する場合は、連絡希望の方法を選択できるかを事前に確認しましょう。誠実な不動産会社であれば、無理な営業はおこないません。対応の丁寧さも信頼性を見極めるポイントです。

査定結果が遅い・依頼を断られる

不動産査定を依頼したのに、なかなか連絡が来ないケースもあります。これは、物件が築年数の古い一戸建てや、立地条件の悪い土地など、売れにくいと判断された場合に起こりやすい傾向があります。また、物件価格が安すぎると「仲介手数料が見込めない」として、査定自体を断られることもあります。

とはいえ、すべての会社がこのような対応を取るわけではありません。対応の早い会社ほど営業意欲が高く、実績が多い傾向にあります。複数社に同時に査定を依頼して、対応のスピードや丁寧さを比較するとおすすめです。

近隣に売却の事実が知られてしまう

「まだ売ると決めたわけではない」「周囲には知られたくない」という人は、訪問査定に注意が必要です。査定担当者が目立つ車や制服で訪問した場合、近所の人に「売却を考えている」と知られてしまうことも。

プライバシーを守るためには、訪問査定ではなく「机上査定(簡易査定)」を利用する方法もあります。また、訪問査定を依頼する場合は「社名の入った車で来ないでほしい」など、事前に希望を伝えておくと安心です。

個人情報を別の目的で利用される

無料査定を申し込む際は、名前・住所・電話番号などの個人情報を入力する必要があります。一括査定サイト経由で複数の不動産会社に情報が共有されると、複数社から同時に連絡が来ることもあり、想定以上に負担を感じることがあります。

また、悪質な業者のなかには、提供された情報を別の目的で利用したり、連絡手段を指定できないケースも。信頼できる査定サイトを利用し、プライバシーポリシーを確認しておくことが大切です。必要以上に個人情報を渡さないことも、トラブルを防ぐポイントです。

強引な媒介契約や悪質な「囲い込み」に遭う

査定後に「今契約しておかないとチャンスを逃しますよ」と、強引に媒介契約を迫る不動産会社もあります。なかには、売主に不利な形で契約を進める「囲い込み」と呼ばれる行為をおこなう業者も存在します。

囲い込みとは、売却情報を他社に共有せず、自社だけで買主を探そうとする不正行為のこと。この場合、不動産会社は売主と買主の両方から仲介手数料を受け取れますが、売主側は販売機会を狭められ、結果的に売却価格が下がる可能性があります。

媒介契約を結ぶ際は、契約内容をしっかり確認し、「レインズ(不動産流通機構)」への登録をきちんとおこなってくれる会社を選びましょう。

担当者の知識不足で査定の根拠が曖昧である

担当者の経験や知識の差によって、査定の精度は大きく変わります。例えば、周辺エリアの売買実績を知らない、建物の状態を正確に評価できないなどの場合には、現実と乖離した査定額が出されることも。査定根拠が不明確なままでは、売主側にも不安が残ります。

信頼できる不動産会社を見極めるには、査定内容の説明が具体的であるか、質問にきちんと答えてくれるかが重要です。担当者の対応力や知識量は、売却を成功させるうえで大きな鍵になります。

不動産の無料査定でトラブルを避けるための対策

不動産の無料査定で起こりがちなトラブルを避けるための対策をご紹介します
不動産の無料査定で起こりがちなトラブルを避けるための対策をご紹介します

不動産の無料査定は便利な一方で、思わぬトラブルに発展することもあります。ここでは、査定後に起こりやすいトラブルを回避するための具体的な対策を紹介します。あらかじめ注意点を押さえておけば、安心して不動産売却を進められるでしょう。

複数の不動産会社に査定を依頼して比較する

不動産の無料査定では、まず「1社だけに絞らない」ことが鉄則です。複数の不動産会社に査定を依頼することで、価格の妥当性や担当者の対応力を見極められます。同じ物件でも、会社によって査定額に100万円以上の差が出ることも珍しくありません。

また、査定額だけでなく「査定理由の説明」「売却戦略」「販売実績」なども比較するとより安心です。近年は、一括査定サイトを利用すれば複数社にまとめて依頼できるため、効率的に相場を把握できます。複数社を比較することで、過剰な営業や不当な査定を避けられるでしょう。

営業担当者の対応をしっかり見極める

不動産の無料査定で重要なのは、営業担当者の対応を見極めることです。査定を依頼したあと、しつこく営業電話がかかってきたり、説明が十分でなかったりする場合は、その会社との取引をすぐに進めず、他社を含めて比較検討する時間を持ちましょう。

不動産の売却活動は半年以上かかることもあり、担当者とは長期間にわたってやりとりをおこなうことになります。そのため、信頼できるかどうかの判断はとても重要です。

こちらの質問に誠実に答えない、売却プランが曖昧、話していて不安を感じる担当者は、査定後のやりとりを控えると賢明です。営業担当者の見極めが難しい場合は、以下の方法を試してみましょう。

  • 複数の不動産会社の営業担当者に同じ質問をして、回答の違いを比べる
  • 売却の不安や疑問を相談した際、どれだけ親身に対応してくれるかを確認する

また、査定書を受け取ったあとは、提示された査定額の根拠や、仲介契約後の売却プランなどを具体的に質問してみてください。同じ内容を複数社に聞き、対応の丁寧さや説明の明確さを比較することで、自分に合う担当者を選べます。

自分でも相場を調べておく

不動産会社の査定額が妥当かを判断するには、自分自身でもある程度の「相場感」を持つことが重要です。不動産ポータルサイトで、周辺エリアの成約価格や売出価格を調べてみましょう。築年数・立地・間取りが似ている物件を参考にすることで、自分の物件の適正価格帯が見えてきます。他にも次のようなサイトで調べられます。

こうした下調べをしておくと、提示された査定額に対して「高すぎる・安すぎる」などの違和感をすぐに察知できます。不動産会社に丸投げせず、根拠を持って判断する姿勢がトラブル防止につながります。

査定額の根拠を確認する

無料査定のトラブルでよくあるケースが、「査定額と実際の売却価格が大きく異なる」ケースです。「他社より高い査定額を出してくれた」という理由だけで契約してしまうと、販売活動が長引いたり、結果的に値下げを余儀なくされることもあります。

こうした事態を防ぐためには、査定額の根拠を明確に確認することが欠かせません。査定額の根拠をチェックするには、以下のポイントを押さえましょう。

  • 査定後に、不動産会社へ価格算出の理由を尋ねる
  • 自分の物件の相場価格を把握しておく
  • 複数社の査定結果を比較して、妥当性を確認する

査定額の裏付けとして、不動産会社は通常、近隣の取引事例や築年数、法規制などの情報をもとに算出根拠を示します。

この時重要な点は、比較対象となる物件の「単価」と「条件」が適切かを確認することです。面積の異なる物件を引き合いに出して高値を提示している場合は、信頼性が低い可能性も。「自分の物件と同程度の広さ・築年数で比較されているか」「単価に極端な差がないか」を意識して見極めましょう。

また、査定書では、根拠が具体的に記されているか、物件の長所が正しく反映されているかを確認することも大切です。査定が周辺相場や類似物件との比較を基準にしているかどうかも、重要な判断材料となります。ただし、相場を把握していないと根拠が妥当かどうかを判断できません。

不動産の相場を調べる際には、面積と築年数の2点を軸に確認しましょう。一般的に、広い物件や築年数の古い物件は単価が下がる傾向にあります。こうした基本を押さえたうえで、類似物件の価格と照らし合わせて判断することが、トラブル防止の鍵です。

希望条件や連絡方法を明確に伝える

「今すぐ売却したいのか」「とりあえず査定だけ希望なのか」を明確に伝えることで、不要な営業や誤解を防げます。また、「電話よりメール連絡を希望」「平日夜に対応してほしい」などの要望も、依頼時に伝えておくと安心です。

近年では、一括査定サイトの入力フォームで細かい希望を記載できるため、しつこい営業を避けたい人にも便利です。こちらの意向を明確に伝えておくことで、過度な勧誘や情報共有ミスなどのトラブルを未然に防げます。

媒介契約前に契約内容と囲い込みの有無を確認する

査定後、媒介契約(一般・専任・専属専任)を結ぶ際には、契約内容を慎重に確認することが重要です。特に注意したいのが「囲い込み」行為。囲い込みは他社からの買主紹介を拒否し、自社だけで売却を進める手法で、結果的に売却機会を減らす恐れがあります。

契約前に「レインズ(不動産流通機構)への登録がされるか」「販売活動の報告頻度」などを確認しておきましょう。契約内容を理解せずにサインすると、あとで取り返しのつかない不利益を被ることもあります。

マイナス面も正直に伝える

不動産を売却する際は、物件の不具合や欠陥を隠さず査定担当者へ正直に伝えましょう。不動産取引において、売主には「契約不適合責任」という法律上の義務があります。これは、引き渡し後に発覚した欠陥に対して、売主が責任を負うことを定めているものです。もし、事前に説明がなかった不具合が見つかると、買主から契約解除や修繕費の請求、損害賠償の要求などのトラブルに発展する恐れがあります。

査定を受ける前には、以下の点に該当するものがないかを確認し、担当者へ伝えるようにしましょう。

  • 雨漏りや屋根の破損
  • シロアリなどの害虫被害
  • 配管や給排水設備からの水漏れ
  • 近隣の騒音・振動問題
  • 過去の自殺・事件など

これらを隠したまま査定を依頼すると、再査定が必要になり、売却までの期間が長引くことがあります。「少しでも高く売りたい」気持ちからマイナス面を伏せてしまう人もいますが、結果的に信用を損ねたり、損害が大きくなったりなどのリスクがあるため注意が必要です。

不動産会社は、欠陥を正確に把握したうえで最適な販売方法を提案してくれます。誠実に情報を共有することで、トラブルを避け、よりスムーズな売却につながるでしょう。

プライバシーに配慮した査定方法を選ぶ

近隣に売却検討中であることを知られたくない場合は、机上査定から始めるとおすすめです。現地訪問をともなわないため、周囲に気付かれにくく、安心して価格の目安を把握できます。

また、先述のとおり、訪問査定を依頼する場合も、担当者に「社名入りの車で来ないでほしい」など、配慮をお願いすることが可能。不動産の売却は個人情報が多く関わるため、プライバシー意識の高い不動産会社を選ぶことが、トラブルを避ける大切なポイントです。

査定額はあくまで目安と理解しておく

不動産の無料査定額は、あくまで「参考値」です。査定は過去の取引事例や法的制限、交通・生活環境、物件の特性、将来的な価格変動の見込みなどを総合的に判断して算出されます。

しかし、市場は常に変動しており、売却時の需要や地域の開発状況によって実際の成約価格が上下することも珍しくありません。例えば、売却時期が買い手の少ない時期と重なると、希望価格での売却が難しくなる場合もあります。反対に、同じエリアで需要が高まっている時には、査定額以上で売れることもあります。

つまり、査定額は「現時点での理論的な目安」であり、必ずその金額で売れるとは限りません。不動産売却をスムーズに進めるためには、査定結果に一喜一憂せず、市場の動きを見極めながら柔軟に対応する姿勢を持つようにしましょう。

不安がある時は専門機関に相談する

不動産査定に関して少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まずに専門機関へ相談しましょう。各自治体の消費生活センターや不動産流通推進センター、不動産適正取引推進機構などでは無料で相談を受け付けています。

強引な勧誘や契約のトラブルが起きた場合も、第三者機関を通して対応すれば、冷静に問題解決を進められます。専門家の知見を借りることで、トラブルを未然に防ぎ、安全な不動産取引を実現できるでしょう。

まとめ

不動産の無料査定は、売却の第一歩として重要なプロセスです。しかし、便利な一方で「営業電話が多い」「査定額が不自然に高い」「担当者の対応が不誠実」などのトラブルが発生するリスクも存在します。

トラブルを防ぐためには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 複数社の査定結果を比較して判断する
  • 査定の目的や根拠をきちんと確認する
  • 口コミや実績などから信頼できる不動産会社を選ぶ

また、不動産のマイナス面も正直に伝えることで、契約トラブルを防げる可能性も高まります。「無料だから気軽に利用できる」と油断せず、慎重に情報を確認しながら進めることで、安心して納得のいく不動産売却を実現できるでしょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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