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古民家を売却する方法は?必要な費用・税金と注意点を徹底解説

古民家は買い手が見つかりにくい物件です
所有する古民家を売却しようとしても「どうやって売却すればよいのかわからない」「本当に売れるのか不安」と感じている方は少なくありません。築年数が古い住宅は売却が難しいため、買い手が見つからないこともあります。そのため、保有している古民家の状況に合わせて、適切な売却方法を考える必要があるでしょう。

本記事では、古民家を売却する方法を紹介したうえで、必要な費用・税金と注意点を解説します。古民家を所有していて、どうするべきか悩んでいる方は、今後の方針を決めるうえで参考になるでしょう。

古民家の売却が難しい理由

古民家の売却が難しい理由を紹介します
古民家の売却が難しい理由を紹介します

古民家とは一般的に、築年数が古く、伝統的な工法や間取りを持つ住宅を指します。明確な法律上の定義はありませんが、築50年以上の木造住宅を古民家と呼ぶケースが多く見られます。太い梁や柱、土間など、現代の住宅にはない魅力がある一方で、売却では不利になることも少なくありません。

そのため、一般的な中古住宅と比べて買い手が見つかりにくい傾向があります。古民家の売却が難しい理由を以下にまとめました。

需要が限られやすい

古民家は、独特の雰囲気や歴史的背景に魅力を感じる人がいる一方で、不動産市場全体で見ると需要が限られやすい物件です。古民家に価値を見出す人は、住宅の購入を検討している層のなかではごく一部にとどまります。多くの買い手は住宅に対して、築年数の浅さや生活の利便性を重視する傾向にあるからです。

また、すべての古民家の価値が評価されるとは限りません。建物としての価値が認められやすいのは、リフォームや修繕がおこなわれ、現在の生活に対応できる状態に整えられている場合です。古民家は一定の需要が存在しますが、一般的な中古住宅と比べると購入層が限定されやすいでしょう。

費用負担が発生しやすい

古民家は、買い手にとって購入後に出費がかさみやすい点も、売却が難しくなる要因の一つです。築年数が古く、構造や設備が劣化していることが多いため、修繕や改修が前提になります。

購入価格が安くても、結果的に多額の費用がかかると判断され、購入を見送られることも少なくありません。事前に正確な金額を把握しにくいため、将来の支出が読めない点も買い手にとっては不安材料になります。

建物の価値が低いことが多い

一般的な不動産取引では、建物は築年数の経過とともに価値が下がるものと考えられており、築年数が長い古民家は価値がほとんど付かないケースも珍しくありません。木造住宅は法定耐用年数が22年であり、古民家は一般的に築年数が50年を超えています。

法定耐用年数が過ぎたことを理由に、ただちに建物の価値がゼロになるわけではありません。しかし、法定耐用年数を30年近くオーバーしていることが多い古民家は、資産価値がないと判断されやすいでしょう。よって、古民家の売却時には、建物は評価せず、土地の価値のみで取引されるケースも多いです。そのため、買い手が見つかった場合でも土地価格での取引となり、売却価格は安くなります。

耐震性に不安がある

古民家は、耐震性に対して不安があることも、売却が難しくなる要因です。多くの古民家は、現行の耐震基準が整備される以前に建てられており、地震への備えが十分でない可能性があります。そのため、安全性の判断が難しい物件と考えられて敬遠されやすいでしょう。

また、耐震性に問題がある場合は、補強工事が必要になる可能性があります。古民家が現行の耐震基準に適合していない場合、地震に対する備えが不十分であるため、買い手が見つかりにくいです。

住宅ローンを利用しにくい

古民家の購入では、住宅ローンの利用が難しくなるケースも多いです。住宅ローンでは、購入する不動産が将来にわたって担保としての価値を保てるかどうかが重視されます。しかし、古民家は築年数が古く、建物としての評価はほとんど付かないことが多いため、金融機関から十分な担保価値があると判断されにくいでしょう。

古民家の購入を希望してもローンの審査に通らない場合もあり、自己資金の負担が大きくなる傾向にあります。よって、現金で一括購入できる人以外は古民家の購入は難しいでしょう。住宅ローンの利用が制限されることで、購入できる層がさらに絞られるため、古民家の売却が困難になります。

古民家を売却する方法

古民家を売却する方法を紹介します
古民家を売却する方法を紹介します

古民家を売却する方法は以下のとおりです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

不動産会社の仲介で売却する

不動産会社に仲介を依頼する一般的な売却方法では、不動産会社が売主と買主の間に入り、販売活動や契約手続きを円滑に進めてくれるでしょう。広告や不動産情報サイトを通じて購入希望者を募るため、需要が限られていても幅広い層に物件情報を届けられます。

仲介で売却する場合は、複数の不動産会社の査定を受けることが重要です。内容を比較したうえで信頼できる不動産会社を選定し、媒介契約を結びましょう。古民家の売却に実績のある不動産会社に依頼すれば、物件の特性を理解した販売戦略を立ててもらえる可能性があります。

古民家は需要が限られやすいため、すぐに成約するとは限りません。しかし、時間をかけてでもよい条件で売却を目指したい場合に向いているでしょう。

建物を解体して土地として売却する

古民家の状態によっては、建物を解体し、更地にして土地として売却する方法も選択肢の一つです。建物の老朽化が進んでいる場合は、修繕に多額の費用がかかることも。建物の価値を見込まず土地として売り出したほうが、買い手が見つかりやすくなるケースもあります。

土地として売却する場合は、購入後の解体費用を買い手が負担する必要がなくなり、住宅の再建築を前提に土地の購入を検討する人にとっては魅力が高まります。古民家として販売するよりも需要が増えやすくなるため、売却がスムーズに進みやすくなるでしょう。

ただし、解体にはまとまった費用がかかります。売却を依頼する不動産会社によっては、建物を解体せずに売却できると判断する場合もあるでしょう。そのため、必ずしも古民家の売却で建物の解体が必要になるとは限りません。

不動産買取を利用する

古民家を早く手放したいと考えている場合は、不動産買取を利用する方法があります。仲介とは異なり、不動産買取の専門会社が買主となるため、買い手を探す必要はありません。条件が合えば、短期間で売却が完了する点が魅力です。

不動産買取の専門会社に査定を依頼し、提示された金額に納得したうえで、売買契約を締結します。ただし、不動産買取は仲介による売却と比べて、売却価格が低くなるでしょう。売却価格よりも売却までの早さや手間の少なさを重視する場合に検討したい方法です。

自治体の空き家バンクを活用する

空き家バンクも古民家の売却手段の一つです。空き家バンクでは、自治体が空き家の情報を登録し、購入や利用を希望する人に紹介します。地方移住を検討している層を中心に、古民家に関心を持つ人が情報を探していることも。

空き家バンクに登録すれば、地域や物件に興味を持つ人から問い合わせが入る可能性が高まります。また、自治体によっては、古民家の改修や取得に対する補助制度を設けている場合もあります。ただし、自治体ごとに制度は異なるため、事前に内容を確認しましょう。

古民家の売却時に発生する費用と税金

古民家の売却時に発生する費用と税金を紹介します
古民家の売却時に発生する費用と税金を紹介します

古民家の売却時にはさまざまな費用や税金がかかります。以下に具体的な費用と税金をまとめました。

不動産会社に支払う仲介手数料

不動産会社の仲介で古民家を売却する場合、成約時に仲介手数料が発生します。仲介手数料は、不動産会社が売却活動や契約手続きをおこなった対価として支払う費用です。売却が成立した場合にのみ発生し、売れなかった場合は原則として支払う必要はありません。

仲介手数料には上限が定められています。一般的な計算式は、「売却価格 ×3% +6万円 + 消費税」です。基本的には売却価格が高くなるほど仲介手数料も高くなります。査定価格を参考に仲介手数料の目安を把握しておくことが重要になるでしょう。

印紙税と譲渡所得税・住民税などの税金

古民家を売却する際には、いくつかの税金が発生します。売買契約書を作成する際に必要となる税金が印紙税です。印紙税は、契約書に記載された売買金額に応じて税額が決まり、契約書に収入印紙を貼付して納付します。売却価格によって金額が異なるため、事前に確認しておきましょう。

古民家の売却で利益が出た場合には、譲渡所得税と住民税が課税されます。売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた金額である譲渡所得に一定の税率が課される仕組みです。譲渡所得にかかる税率は、不動産を所有していた期間によって異なることも。所有期間が5年を超える場合は20.315%ですが、5年以下の場合は39.63%に税率が増加する仕組みです。

登記に関連する費用

古民家を売却する際には、登記に関連する費用が発生する場合があります。売り手が費用を負担する可能性が高い登記は抵当権抹消登記と相続登記です。住宅ローンが残っている古民家を売却する場合は、抵当権抹消登記が必要になります。

抵当権抹消登記には登録免許税と司法書士報酬がかかります。抵当権抹消登記の登録免許税は土地・建物のそれぞれに対して1,000円です。司法書士報酬は依頼する事務所によって異なりますが、抵当権抹消登記の場合は、2万円~4万円が目安になるでしょう。

また、相続した古民家を売却する場合は、事前に相続登記を済ませる必要があります。相続登記が完了していなければ物件を売却できないため、相続登記の登録免許税と司法書士報酬の負担が必要です。相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%、相続登記を依頼する際の司法書士報酬は5万円~15万円が相場になるでしょう。

建物の解体費用

古民家を売却するにあたり、建物を解体してから売却する場合には解体費用が発生します。解体費用は、建物の構造や規模、立地条件によって大きく異なります。木造住宅であっても、延床面積が広い古民家では費用が高くなりやすく、重機が入りにくい立地では追加費用がかかることも。

さらに、庭木や塀の撤去、地中埋設物の処分などが必要になる場合は、付帯費用が発生することもあります。古民家の解体では、事前に見積もりを取り、想定外の出費がないかどうかを確認しておくことが重要です。

古民家の売却に関する注意点

古民家の売却に関する注意点を解説します
古民家の売却に関する注意点を解説します

古民家の売却に関する注意点は以下のとおりです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

物件の状態を正確に把握して欠陥を伝える

古民家を売却する際は、物件の状態をできる限り正確に把握し、欠陥がある場合は事前に伝えることが重要です。古民家は築年数の古さから、目には見えにくい問題を抱えていることも少なくありません。欠陥を把握しないまま売却を進めたり、伝えずに契約したりすると、引き渡し後にトラブルへ発展することも。

重要事項説明書に記載していない欠陥が見つかった場合、契約不適合責任に問われる可能性があります。古民家の状態を把握する方法は、ホームインスペクションの実施が挙げられます。ホームインスペクションでは住宅の状態を専門家が診断してくれるため、契約不適合責任に問われるリスクを回避しやすくなるでしょう。

古民家の売却では欠陥を隠すことなく、現状を正しく伝える姿勢が重要です。ただし、築年数の長い古民家は十分に調査したうえでも、すべての不具合の把握が難しいことも。万が一、欠陥が見つかった場合に補修費用を補える瑕疵保険に加入する選択肢もあります。

境界を明確にする

古い住宅が建っている土地では、境界標が設置されていない場合や、隣地との境界があいまいな状態で利用されているケースも少なくありません。境界がはっきりしていない状態で売却を進めると、引き渡し後に隣地とのトラブルが発生することも。買い手にとって大きな不安要素になるため、境界が明確でない土地は売れにくいでしょう。

必要に応じて、土地家屋調査士による測量をおこない境界を確定させておくことで、買主は安心して購入を検討できます。売却を円滑に進めるためにも、境界の状況は早めに確認しておくことが大切です。

地中の埋設物の有無を調べる

古くから建物が建っている土地では、過去の解体工事や改修の際に発生した基礎や廃材、瓦などが地中に残されたままになっているケースも。地中埋設物が見つかると、撤去費用が発生し、買主にとって大きな負担となります。場合によっては契約不適合責任に問われる可能性もあるでしょう。

過去の工事履歴や近隣の状況から埋設物の可能性が考えられる場合は、不動産会社に相談し、必要に応じて調査を検討すると安心です。古民家は建物の価値がほとんど付かないことも多いため、売却では土地の価値が重要になります。地中埋設物が発見された場合は撤去するようにしましょう。

再建築できる物件であることを確認する

再建築不可物件とは、建築基準法で定められた接道条件を満たしておらず、建物を取り壊したあとに新たな建物を建てられない土地を指します。古民家が建っている土地は、建築当時の基準では問題がなくても、現在の法規制では再建築不可となっているケースもあります。

再建築不可物件は、建て替えができないため、購入を検討する人は大きく減少するでしょう。再建築不可物件は一般的な仲介による売却では売れにくいため、不動産買取を検討する必要があります。

解体やリノベーションは慎重に判断する

古民家の売却では、解体やリノベーションをおこなうべきか慎重に判断する必要があります。工事をしても、必ずしも売却価格に反映されるとは限りません。古民家は現状のまま購入し、自分好みに改修したいと考える買主も多いからです。

例えば、大規模なリノベーションをおこない、多額の費用がかかっても、売却時に費用を回収できず、損をしてしまうことも。解体やリノベーションの実施を検討する際には、不動産会社に相談したうえで決めることをおすすめします。

補助金・助成金の対象になるかどうかを確認する

古民家を売却する際は、補助金や助成金の対象になるかどうかを事前に確認しておくことも大切です。自治体によっては、空き家の解体や改修、活用を促進する目的で、補助制度を設けている場合があります。対象となる条件を満たしていれば、費用負担を抑えられる可能性があるでしょう。

ただし、補助制度は自治体ごとに内容や条件が異なり、申請期限が設けられている場合もあります。売却を検討し始めた段階で、利用できる制度がないかどうかを調べるようにしましょう。

古民家を売却せずに活用する方法

古民家を売却せずに活用する方法を紹介します
古民家を売却せずに活用する方法を紹介します

古民家は売却以外の方法で活用する選択肢もあります。住まいとして利用するだけでなく、用途を変えることで価値を生かせる可能性があるでしょう。古民家を売却せずに活用する方法を紹介します。

賃貸住宅として運用する

古民家は、賃貸住宅として運用する方法も考えられます。借り手が見つかれば継続的な収入を得られるでしょう。古民家を購入したい層が存在するように、古民家に対する入居の需要も一定数存在します。ただし、賃貸として活用する場合は修繕や管理などのコストがかかるため、運用を始める前に慎重に検討する必要があるでしょう。

宿泊施設にリノベーションする

古民家は、その独特の雰囲気や歴史を生かし、宿泊施設としてリノベーションできます。一般的な宿泊施設とは異なる体験を求める利用者にとって、古民家ならではの空間は魅力と感じられることでしょう。観光地や自然に近い立地であれば、検討されやすい活用方法です。

宿泊施設として活用する場合は、居住用とは異なる視点での整備が必要になります。関係法令や地域のルールの確認も重要です。立地や条件が合えば、古民家の価値を生かした活用方法になるでしょう。

店舗やイベント会場として貸す

古民家を飲食店や物販店などの店舗、アトリエやギャラリーなどのイベント会場として貸し出す活用方法も考えられます。古民家の独特の雰囲気は、一般的な物件とは異なる空間を求める事業者から関心を得られることも。店舗やイベント会場として活用する場合、短期利用や曜日限定の貸し出しなどの柔軟な運用も可能です。

一方で、不特定多数が利用する施設になるため、設備や安全面への配慮が必要です。近隣への影響も考慮しながら、無理のない形での活用を検討しましょう。

別荘やセカンドハウスとして使う

古民家を週末や長期休暇に利用する別荘やセカンドハウスとして活用できれば、売却を急ぐ必要はありません。自然に囲まれた立地や、都市部から離れた環境にある古民家であれば、魅力的な選択肢になります。

ただし、使用頻度が低くても、維持管理の手間や固定資産税などの負担は継続して発生します。無理なく管理できるかどうかを考えたうえで、売却以外の選択肢として考えておきましょう。

地域活性化プロジェクトに提供する

古民家は、地域活性化を目的としたプロジェクトに提供する活用方法もあります。自治体や地域団体、NPOなどが利用する地域の交流拠点やコミュニティスペースとして活用してもらう形です。収益性よりも地域への貢献を重視したい場合に向いているでしょう。社会貢献に古民家を役立てたい場合は有効な選択肢です。

古民家の売却に関するよくある質問

古民家の売却に関するよくある質問をまとめました。

古民家はリフォームしてから売却したほうがよい?

古民家は必ずしもリフォームしてから売却したほうがよいとは限りません。古民家は、現状のまま購入し、自分好みに改修したいと考える買い手も多いです。売却前に多額の費用をかけてリフォームしても売却価格に反映されないケースもあります。

古民家の売却にかかる税金は?

古民家を売却する際に主にかかる税金は、印紙税、譲渡所得税・住民税です。登記が必要な場合は登録免許税がかかることもあります。売却後には確定申告が必要になる場合があるため、発生する税金を把握しておきましょう。

田舎の古民家を売却以外で活用する方法は?

田舎の古民家の主な活用方法は、宿泊施設としての活用や店舗やイベント会場としての利用が挙げられます。他にも別荘やセカンドハウスとして使ったり、地域活性化プロジェクトに提供したりする選択肢もあります。立地や建物の状態に合わせて、無理のない活用方法を検討するとよいでしょう。

まとめ

古民家は、需要が限られやすいため、売却が難しい物件です。一般的な住宅と同じ感覚で売却活動を開始すると、思うように進まないことも。建物の状況によっては、必要に応じて仲介による売却だけでなく、不動産買取も検討する必要があるでしょう。

また、状況によっては、売却以外の活用方法で古民家の価値を生かせる場合もあります。古民家をどのように扱うべきか悩んでいる場合は、複数の選択肢を比較しながら、自身の状況に合った方針を検討しましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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