空き家の固定資産税が6倍になるのはいつ?かかる税金や減免申請について解説
記事の目次
空き家にも税金がかかる?

不動産は所有しているだけで税金が発生します。そのため、人が住んでいない空き家であっても、空き家の所有者は税金を支払う義務を負います。まずは、どのような税金が空き家にかかるのかを見ていきましょう。
空き家にかかる税金
空き家にかかる税金には、固定資産税と都市計画税があります。固定資産税は聞いたことはあっても、都市計画税は初めて聞いたという方は少なくないでしょう。それぞれ、税金の概要を解説していきます。
固定資産税
固定資産税は、賦課期日(毎年1月1日)において土地、家屋、償却資産を持っている人が納税義務を負う税金です。税額は次の算式により計算します。
課税標準額(固定資産税評価額) × 1.4%(標準税率)
固定資産の価格(評価額)は、総務大臣が定めた固定資産評価基準によって評価された額を、市区村長(東京都23区の場合は東京都知事)が決定するというプロセスで決められます。
土地と家屋の価格は、3年に一度、基準年度に見直し(評価替え)がおこなわれます。直近の基準年度は2024年度であり、2025年度および2026年度の価格は特別な事情がない限り2024年度の価格が横引きされます。
基準年度における評価替えでは土地については基準年度の前年における路線価を、家屋については再建築費評点数・経年減点補正率等・評点1点当たりの価額の3つの要素をベースに、新しい評価額(固定資産税の課税標準額)が計算されます。
また、同一の自治体内に所在する土地家屋の課税標準額の合計額が、土地は30万円、家屋は20万円に満たない場合(これを「免税点」といいます)は、固定資産税が課税されません。
都市計画税
都市計画税とは、都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てるために課税される目的税(使い道があらかじめ定められており、特定の目的のために課される税)です。この点は普通税(使い道が決められておらず、一般経費に充てるために課される税)である固定資産税とは異なりますが、税額の計算や徴収は固定資産税と合わせておこなわれます。なお、都市計画税は次のとおり計算します。
課税標準額(固定資産税評価額)× 最高0.3%(制限税率)
都市計画税は、市街化区域(既に市街地を形成している区域や概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域)内に土地や家屋を所有している者が課税される税金です。総務省の資料によると、日本全体で3分の1の自治体が都市計画税を課税しています。言い換えると、都市計画税は、日本全体で3分の2の市区町村に所在する土地家屋に対しては課税されません。
出典:総務省「都市計画税」
空き家の固定資産税が減免される「住宅用地特例措置」とは?

住宅用地(住宅用の土地)については、その税負担を特に軽減する必要から、固定資産税の負担を軽減するための措置(住宅用地特例措置)が設けられています。
住宅用地特例措置により、小規模住宅用地については固定資産の価格(固定資産税評価額)に6分の1(都市計画税は3分の1)、一般住宅用地は固定資産の価格に3分の1(都市計画税は3分の2)を乗じた金額が課税標準額となります。
| 区分 | 面積 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|---|
| 小規模 住宅用地 |
200平方メートル 以下の部分 |
価格×1/6×1.4% | 価格×1/3×0.3% |
| 一般 住宅用地 |
200平方メートル 超の部分 |
価格×1/3×1.4% | 価格×2/3×0.3% |
例:210平方メートルの土地に建つ家で、固定資産税評価額が1,500万円の場合
例えば、土地と家屋の固定資産税評価額がそれぞれ750万円の場合、固定資産税の額は次のとおり計算します(その他の特例の適用はないものとします)。
【土地】
- 小規模住宅用地部分の課税標準額
7,500,000円 × 200/210 × 1/6 = 1,190,476円 - 一般住宅用地部分の課税標準額
7,500,000円 × 10/210 × 1/3 = 119,047円
土地の課税標準額(1+2)
1,309,523円
【家屋】
7,500,000円
【固定資産税の税額】
課税標準額:土地 + 家屋 = 8,809,000円(千円未満切り捨て)
税額:8,809,000円 × 1.4% = 123,300円(百円未満切り捨て)
空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?

住宅用地特例措置は住宅用地が適用対象です。ただし、住宅が建っていたとしても、管理不全で倒壊の危険がある空き家の場合は特例の適用を受けられず、固定資産税の税額が翌年から6倍になる可能性もあります。
ここでは、土地にかかる固定資産税の税額が6倍になる可能性があるケースとして、2015年(平成27年)に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「空家法」といいます。)に基づく「特定空家等」に指定されて勧告を受けたケース、2023年(令和5年)に改正された空家法の規定に基づく「管理不全空家等」に指定されて勧告を受けたケース、そして空き家を解体して更地にしたケースについてそれぞれ解説します。さらに、空き家を解体して更地にした場合における土地に対する固定資産税の減免制度について、福岡県久留米市の例をご紹介します。
「 特定空き家」に指定された
空家等の増加と、それにともなって適正に管理されない空家等が周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしていること等を背景として、2015年(平成27年)に空家法が施行されました。
出典:環境省「空家等対策の推進に関する特別措置法の概要」
空家法では、以下のいずれかの状態にあると認められる空家等を「特定空家等」と定義しています(空家法第2条第2項)。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理がおこなわれていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空家等と認められた場合、市区町村長から所有者に対して指導・助言がおこなわれます。この指導・助言によっても状況が改善しない場合は、次のステップである勧告がおこなわれ、この勧告を住宅用地特例措置の対象から除外されてしまいます。(根拠法令:固定資産税については地方税法第349条の3の2、都市計画税については同法第702条の3)
国土交通省の資料によると、2015年(平成27年)5月から2023年(令和5年)3月までの間に日本全国で計3,078件の勧告がおこなわれています。勧告の前には必ず指導・助言がおこなわれることになっているため(空家法第22条)、自治体から指導・助言が来たら必ず対応するようにしましょう。
出典:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」
「管理不全空き家」に指定された
空家法は2023年(令和5年)に、空き家の活用や管理等を一層進めることを目的として改正されました。これにより、適切に管理がされておらず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空き家が管理不全空家等と定義され、所有者に指導が入ります。
管理不全空家等について、指導・助言がおこなわれたにもかかわらず状態が改善されない場合は、市区町村からの勧告を受けることになります(空家法第13条第2項)。この勧告がおこなわれると、住宅用地特例措置の対象から除外されることになります。管理不全空家等についても、自治体からの指導・助言に従わない場合は勧告を受けて固定資産税の額が6倍になってしまう可能性があるため、自治体からの指導・助言に従って必要な修繕や維持管理をしていくことが重要です。
空き家を解体して更地にした
住宅用地特例措置は住宅用地に対する特例であるため、住宅を解体して更地にした場合は原則として適用を受けることができません。空き家を解体して更地にした翌年以降は、固定資産税の額が6倍もしくは3倍になってしまいます。
一方、自治体独自の取り組みとして、老朽化した空き家を解体した場合に、その跡地の固定資産税を減免する制度を導入している自治体もあります。例えば、福岡県久留米市では、次の要件をすべて満たした場合、解体の翌年度から最長3年間、解体前の税額と同等に減免する措置を導入しています。
- 老朽化した危険な空き家を解体した後の跡地であること
- 解体工事の着手前までに危険度の判定をおこない、市の確認を受けること
- 空き家が2024年(令和6年)6月15日から2028(令和10年)年12月31日の間に解体されたこと
- 空き家の敷地が住宅用地特例の適用を受けていること
- 空家法に基づく勧告を受けていないこと
- 跡地の活用予定がなく、売却や賃貸の媒介契約を締結していること
久留米市のケースでは、以下のステップを踏む必要があります。
- STEP 1空き家の解体前に住宅政策課へ判定申請をおこなう
- STEP 2市から判定確認結果通知を受領したあとに解体工事を実施する
- STEP 3解体工事完了後に跡地確認申請をおこなう
- STEP 4市から確認通知書を受領してから資産税課へ減免申請をおこなう
出典:久留米市「老朽化した危険な空き家(住宅)の固定資産税について」
久留米市以外にも、多くの自治体で類似の制度が導入されていますが、適用要件や減免期間は自治体によって異なります。例えば、埼玉県富士見市の場合は減免を受けることができる期間が最長で2年間となっており、減免制度があるか否かどういった要件を満たす必要があるかなどは自治体によって異なります。詳しくは所有する空き家の所在地の自治体ホームページでご確認ください。
出典:埼玉県富士見市「空家に関する補助制度について」
空き家の固定資産税を払わないとどうなる?

土地家屋の所有者は、空き家であっても固定資産税を支払う義務を負います。空き家の固定資産税を支払わなかったらどういった事態が生じるか、簡単にご紹介しましょう。
延滞金が発生する
固定資産税を納期限までに支払わなかった場合は、延滞金が発生します。2026年(令和8年)における延滞金の率は、納期限後1カ月は年利2.8%、これを超えると年利9.1%です。
出典:総務省「延滞金」
督促状・催告書が届く
固定資産税を納期限までに支払わなかった場合は滞納となり、多くの自治体では納期限後20日以内に督促状が発送されます。督促状が届いてもなお支払をおこなわなかった場合は、個別に催告書が届いたり、自治体職員が自宅に訪問してきたりします。
財産調査がおこなわれる
催告にも応じなかった場合は、財産の差し押さえをおこなうための財産調査がおこなわれます。財産調査は、滞納者の勤務先や取引銀行に対して、法律の規定により滞納者の同意がなくても実施されます。
財産が差し押さえられる
財産調査がおこなわれたあと、実際に財産が差し押さえられます。差し押さえされる財産は不動産や家財の他、預貯金、給与、有価証券(株式など)も対象です。差し押さえられた財産は換金され、滞納している税金の支払に充てられます。
住む予定のない空き家はどうすればいい?

ここまで、住む予定のない空き家であっても固定資産税がかかること、適切に管理をしないと土地にかかる固定資産税の額が最大6倍になってしまうおそれがあること、空き家の固定資産税を支払わないと自身の財産が差し押さえられてしまう可能性もあることをご紹介しました。では、住む予定のない空き家はどうすればよいのでしょうか。「売却する」「貸し出す」「更地にして土地を活用する」という3つの対策方法について、概要と関連する税金を簡単に解説します。
売却する
1つ目の方法は売却することです。空き家を売却すれば一時的な収入を得られますし、固定資産税の負担もなくなります。
税金面について、空き家を売却したことにより譲渡所得が生じた場合は、原則として売却した年分の確定申告が必要です。譲渡所得は、譲渡価額(譲渡代金)から取得費(空き家の購入費用から建物分の減価償却費相当額を控除した金額)と譲渡費用(仲介手数料、測量費など)の合計額を控除して計算した金額です。
また、相続により取得した空き家のうち、「1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと」や「相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと」といった要件を満たすものについては、土地建物または土地の譲渡所得の金額から最大3,000万円の控除を受けることができます。控除を受けるための詳細な要件や手続きについては国税庁のホームページをご参照ください。
出典:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
賃貸として貸し出す
2つ目の方法は賃貸に出すことです。借手がつく物件であれば、貸し出すことにより継続的な収入を得て、その収入で固定資産税や賃貸の必要経費をまかなうことができます。
税金面について、賃貸収入により不動産所得が生じた場合は、原則として毎年確定申告が必要です。不動産所得は、総収入金額(賃料のほか、共益費などの収入金額も含む)から必要経費(固定資産税、修繕費、減価償却費など)を差し引いて計算します。
出典:国税庁「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
更地にして土地を活用する
3つ目の方法は、更地にして土地を活用する方法です。現状の空き家では借手がつかず、リフォームのための費用を出すのも難しい場合は、更地にして土地を駐車場や資材置き場として貸し出すことも選択肢の一つです。
税金面について、空き家を賃貸する場合と同じく、駐車場や資材置き場として貸し出すことにより得られる収入は不動産所得に該当します。
まとめ
この記事のまとめとして、空き家の固定資産税についてよくある質問に回答します。
空き家の固定資産税はいくら?
空き家の固定資産税は、一般的に「課税標準額 × 1.4%」で計算されます。人が住んでいない空き家であっても、1月1日時点の所有者に納税義務が生じるため、空き家だからという理由で税金が免除されることはありません。 ポイントとなるのは、住宅が建っている土地に適用される住宅用地特例です。この特例が適用されている間は、土地の固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。
空き家の固定資産税が6倍になる条件は?
固定資産税が実質的に6倍(軽減措置の解除)になる主な条件は、自治体から特定空家等や管理不全空家等に指定され、是正の勧告を受けることです。倒壊の危険や衛生上の問題があるにもかかわらず、自治体の指導・助言を無視し続けると、住宅用地特例の対象から外れてしまいます。
また、空き家を解体して更地にした場合も、その土地は住宅用地ではなくなるため翌年から特例が適用されなくなります。税負担が跳ね上がることが原則ですが、自治体によっては空き家を解体したあとの土地にかかる固定資産税を、一定期間軽減する特例が設けられていることもあります。
空き家を資産として活用するにはどうしたらいい?
住む予定のない空き家を活用するには、売却、賃貸、更地活用の3つの視点で検討しましょう。市場価値があるうちに売却すれば固定資産税の負担から解放されますが、譲渡所得が出る場合は確定申告と納税が必要です。 「思い入れがあり手放したくない」という場合は、リフォームして賃貸物件として活用する道もあります。維持費を家賃収入で賄えれば、将来的な資産として残せます。
あるいは、建物が老朽化しすぎている場合は、解体して駐車場や資材置き場として貸し出すのも一案です。どの方法が最適かは、立地や建物の状態、将来の家族計画によって異なります。
空き家は放置するほど老朽化が進み、税金の増額リスクや近隣トラブルの原因にもなりえます。まずはご自身の所有する空き家の現状を確認し、自治体からの通知には早めに対応することが大切です。活用方法に迷った際は、不動産会社などに相談して早めの対策を心がけましょう。
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