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不動産投資に資格は必要?役立つ資格と活用できる場面を紹介

不動産投資に役立つ資格を11個解説します
以前金融庁の金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」では、老後資金は2,000万円必要と試算されさまざまなメディアで話題となっていましたが、昨今では単身者で約3,000万円以上、夫婦で約5,000万円以上あるとよいといわれています。

老後資金を準備する方法の一つとして、最近では不動産投資が注目を集めています。 不動産投資を始める前に、まずは知識を得るために資格の取得を考える方もいるでしょう。しかし、不動産投資に関連する資格は多く、すべて学ぶとなると時間もかかります。そこで本記事では、不動産投資に役立つ資格や、資格を取得する際の注意点などを解説します。気になる資格があれば、ぜひチャレンジしてみてください。

不動産投資に資格は必要?取得するメリット

不動産投資において資格を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか
不動産投資において資格を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか

不動産投資を始めるのに資格は必要ありません。しかし、知識を効率的に習得したい場合には、資格取得を検討するのもいいでしょう。資格を取得することでどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく説明します。

専門的な知識が身に付く

不動産投資に関する資格取得のために勉強していくなかで、専門的な知識を効率的に学べます。不動産投資は売買契約を結んだり、投資用物件の経営をおこなったりなど、必要なことは多岐に渡ります。もし悪徳不動産会社のいわれるがままにことを進めてしまうと、気付かず不利な契約をしてしまうかもしれません。正しい知識を身に付けることで、良し悪しを判断でき、納得したうえで投資ができるでしょう。

取引相手の信用が得られる

取引相手の信用が得られることも、資格を取得するメリットの一つです。資格を取得すると、専門知識があることを客観的に証明できます。取引相手からすると、知識のある投資家と安心して取引が進められるでしょう。
例えば、金融機関から不動産投資ローンを借り入れる際、事業計画書を提出しなければなりません。事業計画書には、どれくらいの収益を見込んでいるのかといった収支のシミュレーションなどが必要となります。まったく知識のない状態では、なんとなくでしか作成できないものも、不動産投資に関する資格取得をすると、根拠を持った事業計画書が作成できるでしょう。

不動産投資に役立つ国家資格

不動産投資に役立つ国家資格は5つあります
不動産投資に役立つ国家資格は5つあります

これまで不動産投資に関連した資格を取得するメリットを解説しました。ここからは国家資格と民間資格に分けて、どのような資格があるのか、不動産投資にどういった場面で役立つのかを解説します。

宅地建物取引士

試験内容 土地や建物の取引に関する法律・税金など
活用できる場面 不動産売買や賃貸借契約締結に必要な重要事項説明書の内容について理解できる
試験日 10月 第3日曜日 
2024年は10月20日(日)の予定
試験方法 50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 8,200円
合格率 17.2%(2023年度)

宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法に基づいて設けられている国家資格です。不動産取引の専門家として、購入者の利益を保護したり、不動産の流通を円滑にしたりする役割を持っています。宅地建物取引士は取引相手に対して、重要事項について書面を交付して説明しなければなりません。重要事項には、物件に関する権利関係や取引条件などが含まれており、契約内容をめぐってトラブルが起きないように書面を交付します。資格を取得すると、不動産取引の内容をよく理解したうえで契約ができるでしょう。


参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 宅建試験

賃貸不動産経営管理士

試験内容 適切な不動産管理をおこなうために必要な知識・技能・倫理観
活用できる場面 賃貸募集の流れや賃貸借契約について理解できる
試験日 11月 第3日曜日 2024年11月17日(日)
試験方法 50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 1万2,000円
合格率 28.2%(2023年度)

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅の適正な管理業務をおこなう専門家として認定される国家資格です。試験では賃貸住宅の管理に関する知識や技能、倫理観を持ち合わせているかが問われます。
かつては所有者が直接管理することが多かったのですが、現在は管理会社が管理や経営を代行することが多くなりました。しかし、関係者が増えたことで、所有者と管理会社、管理会社と入居者の間でのトラブルも発生するようになりました。そこで設けられたのが、この賃貸不動産経営管理士です。資格を取得すると、物件の適切な管理や運営に関する知識が身に付き、不動産投資にも活かせるでしょう。


参考:一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会

マンション管理士

試験内容 マンション管理に関する法令・実務、管理組合の円滑化に関することなど
活用できる場面 長期修繕計画、大規模修繕工事などの内容が適正かを判断する
試験日 11月下旬
試験方法 50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 9,400円
合格率 10.1%(2023年度)

マンション管理士とは、マンション管理に関する専門知識を持ち、適正な管理業務をおこなう専門家として認定される国家資格です。試験では区分所有法やマンション管理適正化法に関する知識、マンション管理のノウハウなどが問われます。管理組合について学ぶことができるため、資格を取得すると、総会や理事会での議題の内容が理解できるようになるでしょう。また、修繕計画の内容が適正か判断するのにも役立つでしょう。


参考:公益財団法人マンション管理センター マンション管理士試験

管理業務主任者

試験内容 管理事務の委託契約に関すること、管理組合の会計の収入・支出の調定並びに出納に関することなど
活用できる場面 賃貸借契約締結に必要な重要事項説明書の内容について理解できる
試験日 12月 第1日曜日
試験方法 50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 9,680円
合格率 21.9%(2023年度)

管理業務主任者とは、マンション管理会社が管理組合に対して、管理受託契約に関する重要事項説明や報告をおこなう際に必要な資格者のことです。先ほどご紹介したマンション管理士は、管理組合側に必要な知識が問われるものである一方、管理業務主任者は、管理会社側に必要な知識が問われます。資格を取得すると、契約書類の内容を理解できるようになるでしょう。また、建物の設備や修繕に関する知識も得られるため、修繕やリフォームを計画する際にも役立つでしょう。


参考:一般社団法人マンション管理業協会 管理業務主任者

ファイナンシャル・プランニング技能士

試験内容 ライフプランニング、税金、資産運用、資金計画など
活用できる場面 不動産投資の資金計画の作成ができるようになる
試験日 3級:2024年4月からCBT試験に完全移行し随時受検が可能
2級:年3回 1月・5月・9月
2024年5月26日(日)、2024年9月8日(日)、2025年1月26日(日)
試験方法 3級:学科60問 実技20問
2級:学科60問(マークシート式)実技40問(記述式)
受験資格 3級:誰でも受験可能
2級:3級合格者・FP実務経験者(2年以上)
受験手数料 3級:学科4,000円 実技4,000円
2級:学科5,700円 実技6,000円
合格率 3級:学科83.14% 実技86.56% (2024年1月)
2級:学科39.00% 実技61.12%

通称・ファイナンシャルプランナー(FP)は、正確にはファイナンシャル・プランニング技能士といいます。保険や住宅ローンなどでお世話になった方もいるのではないでしょうか。ファイナンシャル・プランニング技能士は、資産運用やリスク管理、不動産、相続などお金に関する専門家です。不動産投資に必要な資金計画やリスク管理、税金などの知識を効率的に習得できます。資格を取得すると、資金計画を立てる際やキャッシュフローを改善する際に役立つでしょう。


参考:特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 FP技能検定

不動産投資に役立つ民間資格

不動産投資に役立つ民間資格をご紹介します
不動産投資に役立つ民間資格をご紹介します

本章では、不動産投資の実務に関わる民間資格をご紹介します。

投資不動産取引士

試験内容 不動産に関する法律、実務上の基礎知識など
活用できる場面 投資対象物件のメリットとリスクが把握できる
試験日 2024年7月16日(火)〜21日(日)
2024年10月15日(火)〜20日(日)
2025年1月14日(火)〜19日(日)
2025年4月15日(火)〜20日(日)
試験方法 40問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 2万4,200円(公式テキスト代を含む)
合格率 非公開

投資不動産取引士とは、投資用不動産の取引に特化した専門家であることを証明する民間資格です。投資用不動産売買の行為自体は、居住用不動産と変わりませんが、必要な知識やスキルは異なります。それは、物件の所有者以外に賃借人である第三者がいるためです。
現在、居住用不動産の契約に使用する契約書や重要事項説明書を投資用不動産に当てはめている状態であり、適正に業務がおこなわれているとはいえません。そこで、投資用不動産の取引を安心して任せられるよう、投資不動産取引士が設けられました。資格を取得すると、投資用物件のメリットやリスクが正確に把握できるようになるでしょう。

参考:一般社団法人投資不動産流通協会 投資不動産取引士について

不動産実務検定

試験内容 ライフプランニング、不動産投資、満室経営、税金対策、建築、ファイナンス、土地活用コンサルティングなど
活用できる場面 2級:空室対策、契約手続き、家賃滞納問題、敷金精算問題などに対応できる
1級:ライフプランニングに合わせた不動産投資ができる
試験日 随時
※受験可能日時は提携テストセンターにより異なる
試験方法 2級:50問 四肢択一問題
1級:50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 2級:7,700円
1級:8,800円
合格率 非公開

不動産実務検定とは、不動産運用に関する実践的な知識を体系的に学べる日本初の不動産投資専門資格です。全国各地で認定講座が開催されており、満室経営や税金対策など幅広い知識を学べます。資格の取得方法は、認定講座に通う方法と一般試験を受験する方法の2種類あります。2級を取得すると、空室対策や家賃滞納問題など、賃貸経営で日常的に直面する問題に的確に対処できるようになるでしょう。

参考:一般社団法人日本不動産コミュニティー

簿記検定

試験内容 企業の営業取引や経営活動を帳簿に記録するための知識・技術
活用できる場面 3級:自分で確定申告ができる
2級:融資に必要な書類を作成する
試験日 ネット試験:各ネット試験会場が随時決定
統一試験:2024年6月9日(日)、2024年11月17日(日)、2025年2月23日(日)
試験方法 3級:選択式+入力式3題以内
2級:選択式+入力式5題以内50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 3級:2,850円
2級:4,720円
合格率 3級:ネット 38.6%(2023年4月〜12月)
統一試験 36.3%(2024年2月25日開催)
2級:ネット 37.0%(2023年4月〜12月)
統一試験 15.5%(2024年2月25日開催)

簿記とは、資産や負債の増減を帳簿に記録し、報告書としてまとめる技術のことです。学生時代に取得した方もいるのではないでしょうか。簿記を学ぶことで、貸借対照表や損益計算書への理解が深まり、収支のバランスを把握できるようになります。不動産投資をするにあたって、物件の管理だけでなく、お金の管理も重要です。簿記を身に付けることで、家賃収入、経費、ローン返済などの資金の流れを把握できるようになり、収益性を向上させるのに役立つでしょう。

参考:日本商工会議所 簿記

ホームインスペクター

試験内容 建築・不動産取引・住宅診断方法などにおける知識
活用できる場面 住宅の劣化状況や欠陥を判断し、メンテナンスすべき箇所や修繕時期などを判断できる
試験日 年4回 3月・6月・9月・12月
2024年6月1日(土)〜14日(金)
試験方法 50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 1万5,000円
合格率 39.0%(2023年12月)

ホームインスペクターとは、建物に関する専門知識を持ち、目視や専門機器を使って建物の劣化状況や欠陥を確認し、メンテナンスに関するアドバイスをおこなう専門家です。試験では、建物の構造や設備、劣化の判断に関することなどが問われます。不動産投資において、購入前に物件の状態を正確に把握することはとても重要です。潜在的な問題を見逃してしまうと、購入後に多額の修繕費用が発生するかもしれません。資格を取得すると、投資したい物件の状況を正確に把握できるようになるでしょう。

参考:NPO法人日本ホームインスペクターズ協会 ホームインスペクター(住宅診断士)になるには

サブリース建物取扱主任者

試験内容 賃貸住宅経営の基本、サブリースや建物の基礎知識など
活用できる場面 長期事業収支計画作成、適切な建築会社、管理会社の選定など
試験日 随時
試験方法 約10時間の講座を受講後、テストを受験
四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 2万9,800円
合格率 非公開

サブリース建物取扱主任者とは、サブリース契約におけるコンプライアンスや説明業務などを学んだサブリース契約の専門家です。サブリースとは、不動産会社が所有者から物件を借り受け、入居者に貸し出すことを指します。先述したように、現在、投資用物件ではサブリース契約が主流になっています。資格を取得すると、サブリース業者との契約において、不利な条件で契約するリスクを減らせるでしょう。資格の取得方法は、Web上で講座を受講し、その後のテストで80%以上の正解で修了となります。

参考:NPO法人日本住宅性能検査協会

土地活用プランナー

試験内容 土地活用に関する税務、法務、事業収支などの基本的な考え方
活用できる場面 土地の形状・立地に合わせ、適切な活用を提案する
試験日 2024年9月15日
試験方法 50問 四肢択一問題
受験資格 誰でも受験可能
受験手数料 7,700円
合格率 70~75%ほど

土地活用プランナーは、個々の状況に合わせた土地の活用方法を提案できる土地活用に関する専門家です。試験では、土地の評価や収益分析、法律など、幅広い知識が問われます。すでに土地を所有している方や、土地の購入から投資を考えている方であれば、どういった活用方法があるのかを戦略的に考えられるようになるでしょう。

参考:公益社団法人東京共同住宅協会 土地活用プランナー

不動産投資の資格を取得する際の注意点

不動産投資に関する資格の取得はあくまで知識を得るための手段の一つです
不動産投資に関する資格の取得はあくまで知識を得るための手段の一つです

不動産投資をする際に、資格は必要ではありません。しかし、資格を取得すると、契約内容を正確に把握できたり、取引相手から信頼を得られたりとさまざまな面で役立ちます。ところが、役立つからといって資格取得に集中して、目的である不動産投資がおろそかになっていては意味がありません。本章では不動産投資の資格を取得する際の注意点を解説します。

資格の取得を目的にしない

注意点の1つ目は、資格の取得を目的にしないことです。資格取得は、あくまで不動産投資に関する知識を得るための手段でしかありません。資格を取得すれば、不動産投資で必ず成功するわけではないことを肝に銘じておきましょう。不動産投資を成功させるためには、実務経験を積むことが重要です。資格取得にばかり時間をかけていると、実際の投資活動が遅れてしまうかもしれません。また、資格取得で得た知識は、すぐに古くなってしまう可能性もあります。最新情報にアンテナを張り、知識をアップデートしていく必要があることを理解しておきましょう。

資格取得までに時間がかかることを理解しておく

不動産投資に関連する資格に限ったことではありませんが、資格の取得には時間がかかります。特に不動産に関する資格は難易度が高いものも多く、十分な勉強時間を確保する必要があるでしょう。仕事が忙しい方であれば、勉強する時間があるのか、時間をどう捻出するのかよく考えてから取り組みましょう。

信頼できるパートナーと組むことも考える

不動産投資の知識や経験不足を補うために、信頼できるパートナーと組むことも有効な手段です。これまで見てきたように、不動産投資に関する資格はいろいろあります。しかし、すべて自分で補おうとすると、労力や時間がいくらあっても足りません。信頼できるパートナーと組むことで、適切なアドバイスを受けながら、不動産投資がおこなえるでしょう。

まとめ

本記事では、不動産投資に役立つ資格をご紹介しました。国家資格や民間資格など、いろいろありますが、資格を取得すれば不動産投資が必ず成功するわけではありません。しかし、取得することで専門知識が身に付き、取引相手からも信頼が得やすくなるでしょう。不動産投資では、物件やお金の管理・運営に関する知識が必要です。すべてを自分で担おうとするのではなく、信頼できるパートナーと組み、お互いの知識や経験を補い合うことで、より不動産投資が成功しやすくなるでしょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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