リバースモーゲージの金利は?相場や借入シミュレーションも!

記事の目次
リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、自宅を担保に資金を借り入れられる制度です。一般的に、住宅ローンやマイカーローンなどの借り入れは毎月返済していくものです。しかし、リバースモーゲージでは、利息を毎月払い、契約者が亡くなったあとに自宅を売却するなどして元金を一括返済します。資金用途が住宅のリフォームや購入に限られるものと、生活資金など原則自由に使えるものの2種類あります。
住み慣れた自宅に住み続けながら、資金を借り入れることができ、支払いは利息のみのため、家計の負担が少なくなる点はメリットでしょう。
リバースモーゲージの種類
先述したように、リバースモーゲージには資金使途が限られているものと、自由なものがあります。それ以外にも、公的なものと民間の金融機関によるものとで分けることができます。それぞれにどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
不動産担保型生活資金貸付制度
公的なリバースモーゲージの正式名称は「不動産担保型生活資金貸付制度」といいます。低所得の高齢者を対象としており、社会福祉協議会が提供しています。
対象者 | 原則として65歳以上 世帯員の収入が区市町村民税非課税または均等割課税程度の低所得世帯 |
---|---|
担保にできる 物件 |
土地の評価額がおおむね1,500万円以上の一戸建て住宅 |
貸付内容 | 貸付月額:30万円以内 貸付限度額:担保となる土地評価額のおおむね70% |
貸付金利 | 年3%または当該年度における4月1日時点の長期プライムレード(※)のいずれか低いほう |
貸付期間 | 貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間 |
資金用途 | 生活資金 |
※長期プライムレート:金融機関が企業などに対して1年以上貸付ける際の最優遇貸出金利
出典:社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「不動産担保型生活資金 貸付のごあんない(PDF)」
低所得の高齢者を対象としているため、年金でも所得が一定あれば、貸付は受けられません。また、土地の評価額が1,500万円以上ある、貸付月額が30万円以内など、条件が厳しく設定されています。他にも自治体によって細かな条件が異なるため、お住まいの自治体の制度を調べてみるといいでしょう。
民間のリバースモーゲージ
民間のリバースモーゲージは金融機関が提供しています。
対象者 | 金融機関によって異なる |
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担保にできる 物件 |
一戸建てやマンションなど |
貸付内容 | 貸付限度額:担保となる不動産評価額の50〜60%程度 |
貸付金利 | 年4〜5%程度 |
貸付期間 (契約終了日) |
契約者が亡くなった日または金融機関が亡くなった事実を知った日まで |
資金用途 | 金融機関によって異なる |
貸付限度額は不動産評価額の50〜60%程度と、不動産担保型生活資金制度より低いものの、担保にできる対象は一戸建てやマンションと幅広くなっています。また、対象者は金融機関によって異なりますが、商品によっては50代から利用できるものもあるため、検討している方は調べておきましょう。他にも、不動産担保型生活資金制度の資金用途は生活資金に限られていますが、民間のリバースモーゲージでは、住宅に関するものに限定されている場合や、医療費や介護、老人ホームの入居一時金に利用できる場合など、金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
リバースモーゲージの返済額の計算方法
先述したように、契約者が生きている間は、毎月の返済は利息分のみとなります。利息分のみで返済負担が比較的軽いといっても、実際にどれくらいの金額になるのか気になるところでしょう。ここでは返済額の計算方法を解説します。計算式は次のとおりです。

- 借入金額×借入金利×31日÷365日=月々の返済額
例えば、借入金額が500万円、借入金利を3%とした時を計算してみましょう。
500万円×3%×31日÷365日=約1万2,739円
この場合、約1万2,739円が月々の返済となります。ただし、計算方法は金融機関によっても異なるため、参考程度にしておきましょう。
リバースモーゲージの金利

リバースモーゲージの金利はどれくらいなのでしょうか。本章では、金融機関のリバースモーゲージの金利事情について解説します。
リバースモーゲージは変動金利が一般的
リバースモーゲージの金利は変動金利が一般的。変動金利とは、市場金利の動向によって金利が変動するタイプです。金利が上昇すると、返済額も増加します。リバースモーゲージは契約者が亡くなると契約が終了します。その際、住宅を売却してローンの残債を回収しますが、売却価格によっては回収しきれない可能性も。このようなリスクがあるため、リバースモーゲージの金利は一般的に高く設定されています。
リバースモーゲージの金利相場
先述したようにリバースモーゲージの金利は高めに設定されており、約4〜5%となっています。一方、住宅ローンの金利は約0.3%〜1.3%となっていることから、住宅ローンと比べてもリバースモーゲージの金利が高いことがよくわかるでしょう。
また、不動産担保ローンの金利相場は銀行系が1〜9%、ノンバンク系が2〜15%と幅広くなっています。担保となるものや契約者の条件が異なるため、審査によって金利が異なります。
金利の変動がリバースモーゲージに与える影響
リバースモーゲージは多くの金融機関で変動金利が採用されており、市場金利の変動に合わせて金利が変わります。金利が上昇すると、利息負担が増え、結果として月々の返済額も多くなります。例えば、2,000万円を借り入れ、金利が1%上昇した場合、返済額が約1万7,000円増えます。借入金額を多くすると、金利上昇によって負担も重くなるため、借入金額は慎重に検討しましょう。
また、リバースモーゲージは契約者が亡くなった時に元金を返済するため、生きている間はずっと利息を払い続けることになります。金利が上昇した場合、想定していたよりも返済額が増え、返済期間が長くなるにつれ総返済額も増えていくことを理解しておきましょう。
市場金利変動の要因

市場金利の変動はリバースモーゲージの毎月の支払いに影響を与えます。では、どういったことが市場金利の変動に影響を与えるのでしょうか。ここでは市場金利が上昇する要因と下降する要因を解説します。
市場金利が上昇する要因
まずは市場金利が上昇する要因を見ていきましょう。
景気の回復
景気がよくなると、収入が増えものがよく売れるため、需要が供給を上回ることになります。その結果、企業は積極的に設備投資をおこなったり、原材料の購入を増やしたりと資金が必要になるでしょう。このようにお金の需要が増えると、市場金利が上がる傾向にあります。
物価の上昇
物価の上昇も、市場金利が上がる要因の一つです。物価が上昇すると、ものを買うために必要なお金の量が増えます。お金の需要が増えるため、市場金利が上がっていきます。
為替の影響
為替の変動によっても、市場金利は上昇します。例えば、1ドル100円から1ドル110円になった状態を「円安」といいます。1ドルに対して円が多く必要になったことから、円の価値が下がったということです。円安になると輸入製品の価格が上がる(多くの円が必要になる)ため、物価が上昇し、市場金利も上がるでしょう。
金利が下落する要因
反対に、市場金利が下落する要因を見ていきましょう。
景気の悪化
景気が悪化すると、消費者の購買意欲は低下し、ものを買わなくなります。それを受けて、企業はものを作らなくなるため、お金を使わなくなったり、追加で資金が不要となったりしてお金の需要が下がり、結果と市場金利は下がるでしょう。
物価の下落
物価の下落も市場金利が下がる要因です。物価が下がると、ものを買うために必要なお金も少なくなります。資金需要が減るため、市場金利も下がります。
円高
円高になり、円の価値が上がると、輸入製品の価格は下がります。物価も下がり、資金需要も減るため、市場金利も下がるでしょう。
リバースモーゲージの金利比較

リバースモーゲージを取り扱っている金融機関の金利を調べてみました。資金用途によって違いがないかを調べるため、原則自由に使える商品と住宅に限られるリバースモーゲージ型住宅ローンで分けてみました。
資金用途が原則自由なリバースモーゲージの金利
金融機関名 | 商品名 | 金利 |
---|---|---|
りそな銀行 | あんしん革命 (ライフイベントプラン) |
2.975〜4.975% |
みずほ銀行 | みずほプレジャーエイジ | 2.975% |
東京スター銀行 | 充実人生 | 3.45〜4.45% |
楽天銀行 | リバースモーゲージ | 2.95% |
金利は3〜5%前後となっています。金融機関によって、住宅ローンを組んでいたり、遺言信託を受託したりすると、優遇金利が適用されます。自分が普段利用している金融機関でリバースモーゲージを取り扱っていないか調べてみるといいでしょう。
資金用途が住宅関連に限られるリバースモーゲージの金利
金融機関名 | 商品名 | 金利 |
---|---|---|
りそな銀行 | あんしん革命 (不動産購入プラン) |
2.475〜2.975% |
三井住友銀行 | リバースモーゲージ型 住宅ローン |
2.975%(※1) |
SBI新生銀行 | まえ向きシニアのための 住宅ローン |
借入金額が担保物件評価額の50%以下(長期優良住宅の場合は55%以下):1.95% 借入金額が担保物件評価額の50%超60%以下(長期優良住宅の場合55%超65%以下):2.50% |
イオン銀行 | イオン銀行 リ・バース60 (住宅融資保険付) |
担保掛目が50%(長期優良住宅の場合は55%):2.87%(※2) 担保掛目が60%(長期優良住宅の場合は65%):3.37%(※3) |
※1:シミュレーションした際の注意事項の適用金利を採用
※2:店頭表示変動金利2.37%+上乗せ利率0.5%
※3:店頭表示変動金利2.37%+上乗せ利率1.0%
資金用途が住宅ローンに限られるリバースモーゲージは、原則自由なものと比べて、金利が若干低く設定されているようです。また、担保評価額に対する融資率によっても金利が変わるのがわかるでしょう。さらに長期優良住宅が優遇されていることもわかります。
リバースモーゲージの借入シミュレーション

リバースモーゲージの借入シミュレーションをしてみました。ぜひ参考にしてみてください。なお、金利は先ほど紹介した金融機関で多かった2.975%で計算しています。
生活資金として100万円を借り入れた場合
100万円を借り入れた場合、毎月の返済額は約2,526円となります。計算式は次のとおりです。
100万円×2.975%×31日÷365日=約2,526円
定年を迎えると、収入源が年金に限られるため、不安を覚える方もいるでしょう。リバースモーゲージを活用すると、退職金や預金を崩すことなく、生活資金が得られるため、安心です。
医療費として50万円を借り入れた場合
50万円を借り入れた場合、毎月の返済額は約1,263円となります。
50万円×2.975%×31日÷365日=約1,263円
加齢とともに医療費がかかるようになります。リバースモーゲージを活用することで、月々の返済負担を抑えながら、医療費を得られます。
住宅ローン返済のために800万円を借り入れた場合
800万円を借り入れた場合、毎月の返済額は約2万21円となります。
800万円×2.975%×31日÷365日=約2万21円
定年を迎えても住宅ローンの返済が残っている場合、リバースモーゲージは一つの選択肢となるでしょう。定年後、収入源が限られたなかでの住宅ローンの返済は、家計にとって大きな負担となります。しかし、リバースモーゲージを活用すると、返済負担を軽減できます。
まとめ
今回は、リバースモーゲージの金利の変動要因や、相場について解説しました。また、計算方法を解説し、実際に借入シミュレーションをおこないました。定年を迎え、収入が限られるなか、リバースモーゲージは資金を得るための一つの選択肢となるでしょう。ただし、一般的に変動金利が採用されているため、市場金利の変動によって月々の支払が増える可能性もあります。ファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談しながら、しっかりシミュレーションしたうえで検討しましょう。
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執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ