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住宅ローンの本審査を複数申し込むデメリットを3つ紹介

住宅ローンの本審査の複数申し込みにはデメリットもあります
住宅ローンの審査を円滑に進めるためには、複数の金融機関に申し込むほうがいいといわれています。しかし、住宅ローンの本審査を複数申し込むとデメリットが発生する場合もあります。仮審査(事前審査)とは異なり、本審査では手間や手数料が発生し、複数の申し込みが審査に悪影響を与える可能性もあることから、複数の申し込みをする際は数をしぼるなどして慎重におこなうべきです。

本記事では、住宅ローンの本審査を複数申し込むデメリットを紹介し、申し込みに関するポイントや申し込みをする数の目安を紹介します。

住宅ローンの審査の種類

住宅ローンの審査の種類には仮審査(事前審査)と本審査があります

住宅ローンには2種類の審査があるため、それぞれの違いを確認していきます。

仮審査

仮審査(事前審査)は、本審査の前におこなわれる簡易的な審査です。誰でも無料で申し込める審査であり、仮審査では本人の属性(年収・勤続年数など)や返済計画を総合的に判断し、返済可能であるかを確認します。年収に対して借入金額が高過ぎる場合や、勤続年数の短さや、勤めている会社の規模の大きさから持続的な返済において信頼性に欠ける場合は、仮審査の通過が認められない可能性があります。

本審査

本審査は仮審査の通過後におこなわれる審査であり、より具体的な情報を必要とします。そのため、審査で求められる書類も多くなります。ローン契約者の返済能力が認められている前提で、万が一、病気や事故などにより返済できない状態になった時に、どのように返済できるかを厳密に判断されます。そのため、団信(団体信用生命保険)への加入が必須であれば、健康状態のチェックも本審査の項目です。

団信への加入が難しい、連帯保証人を立てられないなど、ローン契約者が返済できなかった時の返済の保証がない場合や、その他にも住宅ローンの契約に関する重大な不都合が本審査で発覚した場合は審査に落ちる可能性があります。

住宅ローンの本審査に複数申し込むメリット

まずは住宅ローンの本審査に複数申し込むメリットを確認します

住宅ローンの本審査に複数申し込むメリットは2つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

希望した条件で融資を受けやすい

住宅ローンの本審査の複数申し込みは、希望した条件で融資を受けやすい点においてメリットがあります。1つの金融機関で審査に落ちたり、借入金額の減額を受けたりした場合でも、別の金融機関では希望した条件で融資を受けられる可能性があるからです。希望した条件で融資をスムーズに受けやすくなることから、複数の金融機関での審査を推奨されることがあります。

審査落ちのリスクを軽減できる

住宅ローンの本審査でも団信に加入できない健康状態の場合は、審査に落ちる可能性が考えられます。複数申し込みをすれば審査落ちのリスクを軽減できます。本審査の通過に不安がある場合は、複数申し込みで審査落ちの対策ができることもメリットといえるでしょう。

住宅ローンの本審査に複数申し込むデメリット

住宅ローンの本審査への複数申し込みはデメリットのほうが多いです

住宅ローンの本審査に複数申し込むデメリットを3つ紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

書類の用意など手間がかかる

本審査では金融機関からより詳細な書類の提出が求められます。1つの本審査に対して用意する書類も膨大になるにも関わらず、本審査をかけ持ちしてしまうと、非常に手間がかかる可能性があります。本審査は書類の不備などで通過できなくなる場合もあるため、複数の金融機関に申し込むことで書類の提出に不備が発生すると、審査の通過率にも影響を及ぼす可能性があるため気をつけましょう。

本審査ごとに事務手数料が発生する

本審査は仮審査とは異なり、調査に手間がかかることから、事務手数料が発生する金融機関もあります。複数の金融機関で本審査を受ける場合は、金融機関ごとに事務手数料が発生する場合がありコストが大きくなります。無料で申し込める仮審査とは異なり、本審査はコストがかかる点に注意が必要です。

信用情報機関に本審査の複数申し込みが記録される

住宅ローンの申し込みは信用情報機関に登録されるため、複数の申し込みをしたことは金融機関側にわかる仕組みとなっています。

仮審査では複数申し込みが極端に多くなければ、難色を示す金融機関は少ないかもしれません。
しかし、本審査は実際に契約する手前の審査であるため複数申し込みが発覚すると、審査に悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。

金融機関が複数申し込みを知ると、何度も審査に落ちていると考えられ、契約希望者の返済能力に疑問を持つ可能性があります。複数申し込みは金融機関に良い印象を与えず、その数が多くなるほど悪印象を与えるリスクが高まるため注意が必要です。

本審査をする金融機関によっては、審査落ちや借入金額の減額対策のための複数申し込みがリスクになる可能性もあります。

住宅ローンの審査の複数申し込みに関するポイント

住宅ローンの審査に複数申し込みをするなら以下のポイントに気をつける必要があります

では、実際に住宅ローンの審査の複数申し込みをおこなう際に気を付けるべき3つのポイントを紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

仮審査で複数申し込みをおこなう

上記でもお伝えしましたが仮審査の場合、複数申し込みをしても問題ありません。そのため、1社で仮審査をおこないその結果を待ってから次の住宅ローンに申し込むよりも、最初から複数の金融機関の仮審査に申し込むほうがスムーズに審査を進めることができます。同時に申し込む数に気をつける必要はありますが2~3社程度であれば問題になることは考えにくいです。

本審査では金融機関の数をしぼる

本審査では複数申し込みにいくつかデメリットが生じるため、複数の仮審査に通過した場合は、その時点で金融機関の数をしぼったほうがいいでしょう。複数申し込みを避けるなら1つにしぼるべきであり、どうしても複数申し込みをする場合も2社までにしましょう。

仮審査・本審査の通過後にキャンセルは可能

仮審査・本審査の通過後に、本審査や契約のキャンセルは可能です。キャンセルできるタイミングは住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を交わす前となっています。ただし、複数申し込みをおこないキャンセルする場合は、必ず金融機関にキャンセルの連絡をするようにしましょう。

住宅ローンの審査における申し込み数の目安は?

住宅ローンの審査の同時申し込みは最高でも3社にとどめたいところです

住宅ローンの仮審査の申し込み数データは、りそなグループの調査では以下のとおりとなりました。

仮審査の申し込み数 割合
1社 41.4%
2社 28.1%
3社 22.7%
4社 4.2%
5社 3.6%

全体の58.6%が複数申し込みをしており、1社への申し込みを除いて2~3社への申し込みがもっとも高い割合となっています。一方で4社以上の申し込み数の割合は大きく減少しています。以上の結果から、住宅ローンの仮審査における申し込み数の目安は3社以内にすることが目安といえるでしょう。

本審査では複数申し込みにデメリットが生じることから、1~3社程度にとどめるようにして、仮審査・本審査で申し込み数が適切な数になるように調整します。1社にしぼる場合も、2~3社に申し込む場合も手当たり次第に申し込むのではなく、金融機関の信頼性や金利の低さなどからご自身で金融機関を選択する姿勢が重要です。

なお、どこの金融機関を選べばいいかわからない場合は、おすすめの住宅ローンを比較・提案してくれ、そのまま仮審査までおこなうことができるサービス「モゲチェック」を活用することもおすすめ。プロのアドバイザーに質問・相談することもできます。

住宅ローンの審査方法と重視される項目

最後に住宅ローンの審査方法と重視される項目を確認しましょう

住宅ローンの審査で重視される項目は、国土交通省が発表する「 令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」で公開されています。以下に金融機関が重視する審査項目をまとめました。

審査項目 金融機関が重視する割合
完済時年齢 98.7%
健康状態 97.9%
借入時年齢 97.2%
担保評価 96.1%
勤続年数 93.2%
連帯保証 93.1%
返済負担率 93.0%
年収 92.9%
金融機関の営業エリア 90.7%
国籍 73.3%
融資可能額:購入の場合 71.7%
雇用形態 71.6%
融資可能額:借り換えの場合 68.1%
カードローンなどの
他の債務の状況や返済履歴
65.1%
申込人との取引状況 48.0%
業種 34.4%
家族構成 29.8%
所有資産 26.2%
雇用先の規模 25.4%
性別 21.2%
その他の項目 6.7%

データから9割以上の金融機関が重視する項目が9つあることがわかりました。そのなかでも完済時年齢、健康状態、借入時年齢がほとんどの金融機関で重視されています。高齢で完済までの期間が長く、健康状態に不安がある方は住宅ローンの審査に通過できる可能性が低くなるでしょう。
また、ここでは複数申し込みに言及する項目はないですが、申込人との取引状況に含まれると考えられ5割弱という結果に。

一方で、勤続年数や年収や返済負担率は金融機関によってはスコアリング方式で審査されます。スコアリング方式とは勤続年数であれば、1年以下であれば10点、5年であれば50点のように審査項目を点数化して加算し、合計点数によって可否を決める審査方法です。金融機関におけるスコアリング方式による審査の実施状況は以下のとおりです。

審査の実施状況 割合
スコアリング方式が中心 15.5%
スコアリング方式を
一部取り入れている
24.9%
スコアリング方式を
採用していない
59.7%

4割以上の金融機関がスコアリング方式を審査に取り入れている結果となりました。勤続年数・年収・返済負担率に不安がある場合は、スコアリング方式のみの審査方法は不利に働く可能性があります。審査方法と審査で重視される項目を理解することで不安が生じた場合は、複数申し込みの目安や本審査におけるデメリットを理解したうえで、審査落ちのリスクを軽減できる複数申し込みを検討してもいいでしょう。

まとめ

住宅ローンの本審査の複数申し込みにはデメリットもあるため、仮審査で複数申し込みする場合は、2~3社を目安に申し込んだあとに、審査に通過した金融機関からしぼりこむようにしましょう。複数申し込みに必ずしもデメリットが生じるわけではないため、仮審査と本審査の違いを理解して申し込むことが重要です。希望した条件で融資を受けたい方や、審査落ちのリスクを軽減したい方には複数申し込みにはメリットもあるため、ご自身の状況にあわせて申し込むことをおすすめします。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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