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住宅ローンは40歳からでも組める?ローンを組む際の注意点やシミュレーションを紹介!

住宅ローンを40歳で組むことは可能なのでしょうか
住宅購入時の住宅ローンは、多くの方にとって人生の大きな決断の一つではないでしょうか。特に、40歳を迎えると「まだ住宅ローンは組めるのだろうか?」と疑問や不安を抱える方も多いでしょう。
本記事では、住宅ローンを40歳から組めるのか、具体的なシミュレーションを交えながら解説します。40歳からの新しい人生のステージで苦労しないためにも住宅ローンについて学んできましょう。

住宅ローンは40歳からでも組むことができる!

住宅ローンを組むのは40歳からでも遅くない
住宅ローンを組むのは40歳からでも遅くない

「住宅ローンを組むのは40歳からでは遅い?」との疑念を持つ方も多いでしょう。しかし、40歳でのマイホーム購入は現実的です。同世代の多くがすでに持ち家を構えているため、遅れを感じることもあるかもしれませんが、国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によれば、初めての住宅購入の平均年齢は以下のとおりです。

住宅の種類 平均年齢
注文住宅(※) 39.5歳
分譲戸建住宅 37.5歳
分譲集合住宅 39.9歳
既存(中古)戸建住宅 43.6歳
既存(中古)集合住宅 43.7歳

※建て替えを除く(出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」)

住宅ローンには金融機関の年齢制限が存在し、多くの金融機関では、借入時の上限年齢を65歳未満、完済時の上限年齢を80歳未満と規定しています。しかし、審査は年齢だけでなく、収入や職歴、健康状態などを総合的に考慮するため、安定した収入を持つ40代以降は、審査では有利な位置にいます。

ただ、無理な借入は避けるべきです。40歳以上で住宅ローンを検討する場合、月々の支払いや完済までの計画を入念に練ることが重要です。将来のリタイア後も考慮して、無理のない返済計画を立てましょう。

住宅ローンを40歳で組む人の特徴とは?

40代の平均年収は他の世代に比べて高い傾向にあるため、住宅ローンを組みやすくなります
40代の平均年収は他の世代に比べて高い傾向にあるため、住宅ローンを組みやすくなります

一般的には、若い頃に住宅ローンを組むことが多いとされていますが、40歳で住宅ローンを組む場合、どのような特徴や考えがあるのでしょうか。40歳で住宅ローンを組んだ人たちの共通点や背景を詳しく紹介します。

平均年収

まずは、平均年収を見てみましょう。国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によれば、初めて注文住宅を購入する40代の世帯年収は837万円となっています。参考までに、他の年代の平均世帯年収を確認してみましょう。

年代 平均世帯年収
40歳未満 697万円
40歳代 837万円
50歳代 804万円
60歳以上 557万円

出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」

初めて住宅を購入する世帯に限定すると、40代の平均年収がもっとも高いことがわかります。年収が高ければ、住宅ローンを組む際にも有利に働くため、40歳から住宅を購入することも十分可能です。

返済期間

次に、住宅ローンの返済期間を見てみましょう。国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によれば、住宅ローンを組む際の返済期間は、以下のように建物の種別ごとに異なります。

住宅の種類 返済期間
注文住宅(建築)(※) 32.8年
注文住宅(土地)(※) 34.5年
分譲戸建住宅 32.7年
分譲集合住宅 29.7年
既存(中古)戸建住宅 28.4年
既存(中古)集合住宅 28.5年
リフォーム住宅 16.1年

※1:住宅建築における借入金の返済期間
※2:土地購入における借入金の返済期間 (出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」)

一般的には、住宅ローンの返済期間は30年から35年程度が一般的です。しかし、実際にはボーナスや退職金を活用して、予定よりも早く返済を完了させることも多いようです。繰り上げ返済により、住宅ローンの返済期間を短縮し、返済の負担を軽減できるでしょう。

年間返済額

最後に、年間返済額を見てみましょう。国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によれば、住宅ローンを組む際の年間返済額は、以下のように建物の種別ごとに異なります。

住宅の種類 年間返済額
注文住宅 174万円
分譲戸建住宅 126.6万円
分譲集合住宅 148.1万円
既存(中古)戸建住宅 106.7万円
既存(中古)集合住宅 101.3万円
リフォーム住宅 75.6万円

出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」

先述した初めて住宅を購入する40代の平均年収を考慮すると、40歳で住宅ローンを組むのは十分現実的です。適切な計画と準備をおこない、自身に適した返済プランを検討することが重要です。しっかりとした予算管理と将来への見据えが、理想の住まいを手に入れる一歩になるでしょう。

住宅ローンを40歳で組んだ場合のシミュレーションを紹介

住宅ローンを40歳から組んだ際、月々の返済額はどれくらいになるのでしょうか
住宅ローンを40歳から組んだ際、月々の返済額はどれくらいになるのでしょうか

40歳からの住宅ローンでは、多くの人が支払額や返済計画に不安を抱いているでしょう。具体的に、40歳から住宅ローンを組んだ場合のシミュレーションを詳しく解説します。返済のイメージを具体的に持っておきましょう。

住宅ローンの条件は以下のとおりです。

借入額 2,000万円 3,000万円 4,000万円
月々の返済額 6万4,824円 9万7,236円 12万9,649円
総返済額 2,722万6,123円 4,083万9,427円 5,445万2,478円

40歳で住宅金融支援機構「フラット35」で35年間の返済期間を設定すると、完済年齢は75歳となります。定年退職後でも上記の返済額を支払えるかを考慮して、借入金額を設定しましょう。

住宅ローンを40歳で組む前に知っておくべき3つの注意点

住宅ローンを40歳で組む際の注意点は3つあります
住宅ローンを40歳で組む際の注意点は3つあります

40歳を境にして、住宅ローンの組み方や条件に対する認識は従来とは異なることが多くなります。経済的な安定感は増してくる一方で、返済期間や金利などの条件に対してより慎重な判断が求められるようになるでしょう。40歳で住宅ローンを組む前に知っておくべき3つの注意点を解説します。

審査に通らない可能性がある

40歳で住宅ローンを考える際、審査に通らない可能性もあること事前に考えておきましょう。特に、返済比率が重要な要素です。先述したとおり、金融機関によって異なりますが、住宅金融支援機構「フラット35」では35%に設定されています。つまり、年収が高くても、返済額が大きい場合、審査に通らない可能性があることを認識しておくべきです。慎重な計画と適切な借入額の選定により、経済的な安定を保ちつつ、理想の住まいを手に入れるための準備をしましょう。

定年後の生活も考えておく

40歳で住宅ローンを組む場合、定年後も返済が続くでしょう。多くの日本企業で定年は65歳のため、40歳で35年のローンを組むと、定年後にも10年間の返済が残ります。そのため、月々の年金で住宅ローンが支払っていけるのか考慮しなければなりません。
定年後の返済に対する不安が残る場合は、繰り上げ返済を積極的に検討することが大切です。余裕のあるうちに通常より多く返済をおこない、返済期間を短縮すると、定年後の負担を軽減できます。将来の経済的安定を確保するために、計画的な繰り上げ返済を取り入れて、住宅ローンの完済を目指しましょう。
ただし、繰り上げ返済にかかる手数料や、住宅ローン控除が適用される金額を考慮したうえで繰り上げ返済を検討することが大切です。

貯金がなくなる可能性がある

住宅購入時には、通常、物件価格の10〜20%程度の頭金が必要です。頭金を支払うことで、月々の返済額を削減できますが、一方で頭金が貯金を減少させる可能性も念頭に置かなければなりません。

貯金を使い切ると将来の経済的不安が生じる可能性があります。頭金計画を立てる際には、将来の生活費や予期せぬ支出にも備えることを忘れずに考慮しましょう。また、同時に保険の見直しもおこない、将来に向けた適切な資金計画を練ることが重要です。健全な財政計画を策定し、住宅購入と将来の経済的安定の両立を図りましょう。

住宅ローンを40歳で組む際の5つのポイント

住宅ローンを40歳で組む際のポイントは5つあります
住宅ローンを40歳で組む際のポイントは5つあります

40歳を迎えると、ライフステージや財務状況、将来に対する考え方も変わってきます。そのため、住宅ローンを組む際にも、考慮すべき点が浮かび上がります。40歳で住宅ローンを組む際の5つのポイントを詳しく紹介します。

繰り上げ返済を計画的におこなう

前章でもお伝えしましたが40歳で住宅ローンを検討する際、定年後の返済負担を軽減するために、余裕があるうちに繰り上げ返済の計画を練ることが重要です。定年後の収入減少リスクを考慮して、現役期間中に返済額を積極的に削減しましょう。一方で、退職金を利用して繰り上げ返済や一括返済をおこなう選択肢も存在しますが、単に退職金に依存するのは危険です。企業が退職金を削減するケースも増えているため、バランスの取れた返済計画を検討することが大切です。

40代で住宅ローンを進める際には、将来のシナリオを熟考し、綿密な返済戦略を練ることで、経済的安定を保ちつつ理想の住まいを実現することができます。現実的な視点と計画を持ちながら、返済のリスクを最小限に抑えましょう。

ただし、繰り上げ返済をすることで得られるメリットもありますが、手数料がかかることや、住宅ローン控除を受けられなくなる可能性もあるため、注意しましょう。

返済負担率を考慮する

借入金額を決定する際の重要なポイントは、返済負担率の考慮です。返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの返済額の割合を指し、通常は年収の35%以内であることが適切とされています。

例えば、フラット35では、借入額が400万円を超える場合、返済負担率を35%の設定が必要です。しかし、返済負担率を35%にすると返済額が大きな金額となるため、多くの人々が返済負担を軽減するために、20%程度の負担率を選択しています。

国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によれば、住宅ローンを組む際の返済負担率は、以下のように建物の種別ごとに異なります。

住宅の種類 返済負担率
注文住宅 16.4%
分譲戸建住宅 18.8%
分譲集合住宅 17.4%
既存(中古)戸建住宅 16.6%
既存(中古)集合住宅 16.6%
リフォーム住宅 10.2%

出典:国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」

年収と返済負担率ごとに見た場合の年間返済額を計算して、自身の経済状況に合った借入金額を検討することが重要です。適切な返済プランを立てて、将来にわたる経済的な安定を確保しましょう。

返済と貯金のバランスを考慮する

住宅ローンの返済と貯金のバランスは重要です。早期完済だけに目を向けると、貯蓄を犠牲にしてしまい急な支出に対応できないかもしれません。返済計画を立てる際には、生活資金を確保し、返済を計画することが不可欠です。

また、住宅設備のメンテナンスや家具家電の買い替えなど、現実的な支出を維持することも考慮すべきです。将来の不測の事態に備えつつ、理想の住まいを実現するために、賢明な経済戦略を描きましょう。バランスを保ちながら、返済と貯蓄の双方を手堅く進めていくことが大切です。

頭金を用意する

住宅ローンを組む際、頭金の準備も欠かせません。十分な頭金を用意することで、借入額を減少させ、審査通過の可能性を高めることができます。借入額を抑えることにより、返済がスムーズになり、安定した返済計画を立てやすくなります。頭金を工夫することで、長期的な経済的負担を軽減し、理想の住宅を手に入れるための第一歩を確実に踏み出しましょう。

他の借入を完済する

住宅ローンを検討する際、他の借入が存在すると審査が難しくなることがあります。具体的には、自動車ローンや教育ローンなどが挙げられ、他の借入が少ないと住宅ローンの返済にリソースを集中でき、経済的リスクを軽減することができます。もし他のローンや借入を抱えている場合、住宅ローンを検討する前に、可能な限りクリアにしておくのがおすすめです。

まとめ

住宅ローンは40歳からでも組むことができますが、老後資金や生活費を考慮して返済計画を立てることが大切です。40歳から35年の返済期間で住宅ローンを契約すると、完済は75歳となってしまうため、住宅ローン控除額なども考慮したうえで繰り上げ返済も検討してみましょう。ご自身で判断がつかない場合は、最適な選択をするために金融機関や税理士などの専門家に相談しましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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