住宅ローン金利はいつ決まる?タイミングや変動する要因をわかりやすく解説

本記事では、自身の住宅ローン金利が決まるタイミングや金融機関が金利を決めるタイミングを解説します。契約の流れによって、住宅ローンを申し込んでから金利が決まるまでに時間がかかることもあるため、事前にポイントを押さえておきましょう。
記事の目次
住宅ローンの金利が決まるタイミング

住宅ローンの金利が決まるタイミングは、大きく2つあります。それは、「融資が実行された時」と「申し込みをした時」です。それぞれ詳しく解説します。
融資が実行された時
住宅ローンの金利は、融資が実行された時に決まることが一般的です。事実、三菱UFJ銀行では、借入日の金利が適用されると明記されています。住宅ローン金利は、市場の動向に応じて変動するため、金銭消費貸借契約を結んだ時から融資が実行されるまでの間に金利が変わることも。そのため、融資が実行される時の金利が適用されます。
申し込みをした時
住宅ローンの申し込みをした時に住宅ローンの金利が決まるケースもあります。特に、財形住宅融資ではこのケースが多くなっています。財形住宅融資とは、企業が福利厚生の一環として取り入れている貯蓄制度で、一定の条件を満たしている場合に利用が可能。 財形住宅金融株式会社では、申し込み時の金利を適用することが記載されています。
住宅ローンの融資が実行されるまでの流れ

住宅ローンの融資が実行されるまでには、さまざまな手続きがあります。特に、融資が実行される時に金利が決まる場合、手続きを進めている間に想定していた金利と大きく変わる可能性もあります。そこで、住宅ローンの融資が実行されるまでにどのような手続きがあるのかを確認し、スムーズに進められるようにしておきましょう。
簡単な流れは次のとおりです。
- STEP 1住宅ローンの事前審査に申し込む
- STEP 2不動産の売買契約を結ぶ
- STEP 3住宅ローンの本審査に申し込む
- STEP 4金銭消費貸借契約を結ぶ
- STEP 5融資が実行される
それぞれ詳しくみていきましょう。
STEP 1. 住宅ローンの事前審査に申し込む
購入したい物件が決まったら、住宅ローンの事前審査に申し込みましょう。事前審査では、申込者の収入や資産状況などから、返済能力を評価されます。最近では、インターネットで申し込める金融機関も増えています。仕事の都合で、金融機関の窓口に行く時間が取れない方は利用するといいでしょう。金融機関によって審査にかかる日数は、異なります。また、自分に合った住宅ローンを見つけるためにも、1社に絞るのではなく、複数に申し込むことをおすすめします。
STEP 2. 不動産の売買契約を結ぶ
住宅ローンを借り入れられる目処が立ったら、不動産の売買契約を結びます。売買契約とは、売主が不動産の所有権を買主に移転する意思と、買主がその代金を支払う意思を示し双方の意思が合致することで成立する契約のこと。契約書には、不動産の住所や面積、代金の支払い時期、売主・買主の氏名や住所などが記載されています。誤りがあるとトラブルのもとになる恐れもあるため、間違いがないかをしっかり確認しましょう。
STEP 3. 住宅ローンの本審査に申し込む
住宅ローンの本審査に申し込みます。本審査は、事前審査よりも厳しくチェックされます。具体的には、次の3つの観点から審査がおこなわれます。
- 個人属性
- 返済計画
- 物件
個人属性では、勤務先や勤続年数、健康状態など、金融機関の審査基準を満たしているか確認されます。返済計画は借入時や完済時の年齢、返済負担率などから、無理のない計画になっているかをチェック。なお、返済負担率とは収入に対する住宅ローンの返済額の割合のこと。返済負担率が高ければ、万が一の場合に返済が滞る可能性があると判断されます。他にも、物件が法基準を満たしているか、万が一、売却する際にも問題がないかも確認されます。本審査の結果に基づいて申込者の信用度や返済能力が評価され、それに応じた金利が決定されます。
STEP 4. 金銭消費貸借契約を結ぶ
住宅ローンの本審査に通ったら、金銭消費貸借契約を結びます。金銭消費貸借契約とは、住宅ローンに関する契約のこと。借入金額や返済期間、返済方法などが契約書に記載されています。一度契約すると解約できないため、よく内容を確認しましょう。不明点がある時は金融機関の担当者に質問をするようにしましょう。
STEP 5. 融資が実行される
いよいよ住宅ローンの融資が実行されます。金融機関から申込者の口座に借入金額が振り込まれ、売主や施工会社に必要な金額を支払います。融資が実行される日に、引き渡しがおこなわれることが一般的です。
金融機関が金利を決めるタイミング

前述したように住宅ローンの金利が決まるタイミングは、申し込んだ時と融資が実行される時の2パターンです。それでは、金融機関はいつ店頭表示金利を決めるのでしょうか。本章では、金融機関が店頭表示金利を決めるタイミングと、変動金利が変わるタイミングを解説します。
月末に翌月の住宅ローン金利を決める
多くの金融機関では、月末に住宅ローン金利を決定し、翌月の1日に公表しています。金融機関のホームページを見ると、金利が公表されているので、確認してみましょう。しかし、なかには中旬頃に決定し、当月中に発表している金融機関も。例えば、ソニー銀行もその一つで、毎月20日頃に翌月の金利を発表しています。ただし、金利発表日は、営業日や金利情勢によって変更されることもあるため、注意しましょう。
変動金利が変わるタイミング
住宅ローンを検討されている方のなかには、変動金利を選択する方もいるでしょう。変動金利とは、その名のとおり金利が変動するタイプで、住宅ローンの返済額が変わる可能性があります。一般的に変動金利は年に2回、見直しがおこなわれます。例えば、みずほ銀行の場合、3月1日・9月1日の短期プライムレート連動長期貸出金利のみずほ銀行における最優遇金利の水準を基準として、4月1日・10月1日に適用金利を公表しました。
ただし、2024年8月に短期プライムレートの引き上げが発表されたことから、2024年10月1日に見直しがおこなわれ、12月の約定返済日の翌日から新しい金利が適用されます。
しかし、金融機関によっては、「5年ルール」「125%ルール」が設定されていることも。5年ルールとは、金利が変動しても5年間は返済額が変わらないというルールです。また、125%ルールとは、金利が上昇しても以前の返済額の125%までを上限とするルール。例えば、住宅ローンの返済額が10万円だった場合。125%ルールが適用されると、金利が上昇しても12万5,000円が返済額の上限となります。
ただし、いずれのルールも変動金利かつ元金均等返済で借り入れている方が対象です。なお、元金均等返済とは、住宅ローンの返済額のうち、元金の額が一定となる返済方式のことを指します。
変動金利が変わるタイミングは基本的に年2回ですが、金利情勢によって時期が変わることも。利用を検討している金融機関があれば、どのようなタイミングで決めるのか、一度調べてみましょう。
住宅ローンの金利が変動する理由

そもそも、なぜ住宅ローンの金利は変動するのでしょうか。本章では、金利が変動する主な理由を2つ解説します。
市場金利の影響
住宅ローンの金利が変動する理由は、市場金利の影響を受けるためです。市場金利が上昇すれば、住宅ローン金利も上昇します。市場金利は、お金を借りたい人(需要)と貸したい人(供給)のバランスで決まります。需要が増えれば、金融機関は「金利が高くても借りたい人」に貸すようになるため、金利は上昇。反対に需要が減れば、金利を少しでも低くして、借りてもらおうとします。
また、この市場金利は、日本銀行の金融政策に大きく左右されます。日本銀行は、日本経済の安定と成長を促進するため、さまざまな政策を実施。2016年からは、マイナス金利政策を導入していましたが、2024年3月に解除されました。このマイナス金利政策の解除を受け、短期プライムレートが変動し、結果住宅ローンの金利にも影響を与えています。
金融機関の経営状況や規模
住宅ローンの金利は、金融機関の経営状況や規模によっても変動します。同じような市場環境でも、金融機関によって金利が異なります。例えばネット銀行の場合、実店舗がなく、人件費が削減されているため、金利が低い傾向に。一方、全国に支店などのネットワークを持つ都市銀行はネット銀行と比較して高い傾向にあります。住宅ローンを検討する際は、さまざまな金融機関を比較検討しましょう。
住宅ローン金利の選び方

住宅ローンの金利によって返済額が変化しますが、金利のタイプによっても変わります。住宅ローンで適した金利タイプを選ぶために、押さえておきたいポイントを解説します。
住宅ローンの金利には3タイプある
住宅ローンの金利は、大きく3つのタイプに分けられます。それぞれ詳しくみていきましょう。
全期間固定金利
全期間固定金利とは、住宅ローンの借入期間中、ずっと金利が変わらないタイプです。金利が変動しないため、返済額が変わらず、返済計画を立てやすいという点がメリット。しかし、変動金利と比較して、金利が高く設定されている傾向にあります。金利が高いため、住宅ローンの総返済額は多くなる点を理解しておきましょう。
期間選択型固定金利
期間選択型固定金利とは、一定期間の金利が固定され、その後は金利を再度選択するタイプです。金利の固定期間は3年、5年、10年などから選択できます。
固定期間の間は金利が変動しないため、返済額も一定となります。例えば、子どもの教育費がかかる時期に住宅ローンの返済額を一定にしたい場合などに適しているでしょう。将来のライフプランに合わせて、返済計画に柔軟性を持たせられる点は、期間選択型固定金利のメリットです。
変動金利
変動金利は、金利の変動によって返済額も変化するタイプです。金利が低い時期は利息負担が少なく、返済額が抑えられます。しかし、金利が上昇した場合には返済額が増える可能性も。そのため、金利が上昇した場合でも問題なく返済できるかどうか、事前にシミュレーションをしておくといいでしょう。
金利タイプを選ぶ際のポイント
住宅ローンの金利タイプを選ぶ際には、次のポイントを確認しましょう。
- 金利タイプごとに総返済額をシミュレーションする
- ライフプランに合わせて選ぶ
先述したように、金利タイプの選択によって、住宅ローンの総返済額は変化します。将来的な変化も踏まえたうえでシミュレーションをすると、実際に返済する際の家計をイメージしやすくなるでしょう。
また、ライフプランを考慮することも大切です。もしお子さんがいる場合、いつ教育費のピークを迎えるのか、おおよその時期が決まっていると思います。教育費のピークに変動金利の影響を受けたくない場合は、固定金利を選択するのも一つの方法。住宅ローンの金利タイプを選ぶ際には、さまざまな観点から総合的に判断することが大切です。
住宅ローンの金利に関するよくある質問
ここでは、住宅ローンの金利に関するよくある質問をまとめました。
住宅ローンの金利はいつ決まる?
一般的に、住宅ローンの金利は融資が実行される時に決まります。しかし、財形住宅融資の場合は、申し込み時に決まります。融資実行時に決まる場合、申し込んでから時間が経ち、金利が変更されることもあるため、よく確認しておきましょう。
住宅ローンの金利はいつ教えてくれる?
みずほ銀行の場合、本審査の審査結果と合わせて、利用できる金利と金利プランが提示されます。ただし、実際に適用される金利は融資実行日です。
一般的に多くの金融機関では、金利は月末に決定し、翌月1日に公表されます。金利はホームページで公表されているため、検討している金融機関がある場合は、チェックするようにしましょう。
住宅ローンの実行金利って何?
住宅ローンの実行金利とは、融資が実行される時点で適用される金利のことです。金融機関のホームページで公表されている金利は基準金利で、審査の結果、基準金利から優遇されることも。この優遇された金利が実行金利となります。例えば、基準金利が2.625%で1%優遇された場合、実行金利は1.625%となります。
まとめ
本記事では、住宅ローンの金利がいつ決まるのかを解説しました。金利が決まるタイミングは、申し込んだ時と住宅ローンの融資が実行される時の2つに分けられます。また、金融機関は月末に金利を決め、翌月1日に公表することが一般的です。マイナス金利政策が解除され、短期プライムレートが引き上げられたことから、住宅ローンの金利を見直す金融機関も増えています。これから住宅ローンを検討される方は、金融政策や各金融機関の動きに注目しておきましょう。
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執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ