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10年固定金利の住宅ローンのデメリットとは?利点や注意点を知って賢く選ぼう

10年固定住宅ローンのデメリットを解説します
住宅を購入する際に、住宅ローンを検討する方は多いでしょう。住宅ローンの種類はさまざまありますが、10年固定金利の住宅ローンも人気のタイプの一つです。

10年固定金利の住宅ローンにはメリットもありますが、デメリットも存在します。自分に合った住宅ローンを選ぶためにはデメリットも理解しておく必要があります。今回は、10年固定金利の住宅ローンのメリットとデメリット、注意点について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

住宅ローンの10年固定金利とは

住宅ローンの10年固定金利とは何なのでしょうか
住宅ローンの10年固定金利とは何なのでしょうか

住宅ローンにはさまざまな金利タイプが存在します。そのなかでも、10年固定金利は魅力的な選択肢の一つといえます。

10年固定金利は名前のとおり、契約時点から10年間は確定した金利で返済を続けられるのが特徴です。借入期間の前半における金利変動リスクを回避できるため、比較的長期に渡り、安心して計画的な返済ができるでしょう。

一方で変動金利は、約半年ごとに適用金利が見直されます。金利が下がれば返済負担は軽くなりますが、上昇すれば重くなってしまうリスクがあります。

10年固定金利なら、契約当初の金利が期間中は固定されるため、一定期間は安定した資金管理ができるでしょう。もちろん、最終的な総返済額は金利水準次第ですが、中長期的な資金計画を立てやすいというメリットがあります。

以下で、主な金利タイプの違いを表でまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

金利の種類 10年固定金利 全期間固定金利 変動金利
金利 全期間固定型と
変動型の中間
高い 低い
金利上昇の
リスク
期間内はない ない ある
特徴 10年間は金利が固定される。
その後、自動的に変動金利に変わるものや、固定と変動を選べるものなど商品によって異なる。
全期間で金利が当初と変わらない。 半年に1度住宅ローンの金利が見直される。

住宅ローンの10年固定金利には2種類ある

住宅ローンの10年固定金利には2種類あります
住宅ローンの10年固定金利には2種類あります
種類 金利優遇幅が
変わるタイプ
金利優遇幅が
変わらないタイプ
メリット 金利が変わらない種類と比べると金利が低い傾向にある 現在の金利水準のままであれば、返済額が変わらない
デメリット 10年後に優遇幅が減少して、現在の金利水準のままでも返済が増える可能性がある 最初の10年の優遇幅は「優遇幅が変わるタイプ」と比べると少ない

10年固定金利住宅ローンには大きく分けて、「金利優遇幅が変わるタイプ」と「金利優遇幅が変わらないタイプ」の2種類があります。2つの違いは、固定期間終了後の金利設定にあります。

金利優遇幅が変わるタイプは、最初の10年金利優遇幅が変わらないタイプと比較すると、金利が低い傾向にあるのがメリットです。しかし、10年後は優遇幅が減り、現在の金利水準でも返済額が増える可能性があります。

一方で金利優遇幅が変わらないタイプは、現在の金利水準のままであれば返済額が変わらないメリットがあるものの、最初の10年間の優遇幅が変わるタイプより少ないのが特徴です。

「優遇幅が変わるタイプ」の場合は、商品名に「当初引き下げ」などの文言が商品名についていることが多いです。そのため、10年以降の金利もしっかり確認しておきましょう。

10年目以降の金利は「優遇幅」の項目をチェックすれば確認できます。

金利優遇幅がある場合の適用金利の計算式

住宅ローンの実際の金利は、基準金利から優遇幅を引いた数値です。計算式としては、「基準金利 – 優遇幅 = 適用金利」と表せます。

基準金利とは、金融機関が原則として設定している住宅ローン向けの金利水準のことです。優遇幅とは、その基準金利からどれだけ割り引きを受けられるかを示す数値のことです。

例えば、基準金利が3.5%、優遇幅が1.0%の場合、実際に適用される金利は2.5%と計算できます。金融機関の広告などで大きく掲載されている金利は、最終的な適用金利のことを指しています。

全期間固定金利や変動金利では、基準金利と優遇幅がそれぞれ一定で、基本的には変わりません。しかし、10年固定金利では、11年目以降の優遇幅が縮小されるケースがあります。

優遇幅が小さくなれば、自動的に適用金利は上がってしまいます。特に「当初引き下げ」などの商品では、優遇幅の変更に注意が必要です。

そのため、10年固定金利ローンでは、11年目以降の優遇幅と金利水準もシミュレーションしておくといいでしょう。

住宅ローンの10年固定金利のデメリット

住宅ローンの10年固定金利のデメリットを押さえておきましょう
住宅ローンの10年固定金利のデメリットを押さえておきましょう

住宅ローンの10年固定金利にはデメリットがあります。賢く金利タイプを選ぶためにも、どのようなデメリットがあるのか把握しておきましょう。

変動金利より金利は高い

住宅ローンの金利タイプを選ぶ際は、借入期間に合わせた適切なタイプを見極めることが重要です。

一般的に、変動金利は金利タイプのなかでも適用金利は低い傾向にあります。一方、期間固定金利では、固定期間が長ければ長いほど、適用金利は高くなる傾向にあります。

住宅ローンでは、たとえ数年差であっても、金利のわずかな違いが長期的には大きな差額を生んでしまうのです。目先のことだけを考えると、家計に大きな負担がかかって後悔することもあるかもしれません。

そのため、自分の収入や家計、ライフプランなどを考慮し、最適な金利タイプを選ぶことが大切です。

固定金利期間中は金利を見直せない

期間固定金利の住宅ローンを選択した場合、その固定期間中は金利タイプの変更ができないことがほとんどです。

仮に市場状況が大きく変化し、金利水準が契約時よりも大幅に低下したとしても、金利変更は認められません。固定期間途中での金利タイプ変更を希望する場合は、別の金融機関への借り換えをおこなう必要があります。

しかし借り換えには、新規に借り入れる時と同様に、手数料や費用が発生するため、総費用を慎重に計算し、実質的な金利メリットがあるかを判断することが重要です。場合によっては、借り換えによるデメリットのほうが上回ってしまうリスクもあります。

どちらのほうが得られるメリットが高いのかを検討したうえで、進めることが大切です。

固定期間終了後は金利が高くなる可能性がある

10年固定金利住宅ローンを選択する際は、借入期間全体を見通して慎重に考えることが大切です。10年間の金利水準だけでなく、その後の金利設定にも十分注意する必要があります。

金融機関によっては、固定期間終了後の金利引き下げ幅を当初10年間よりも小さく設定している場合があります。上記の設定では、11年目以降の実質金利が当初の想定よりも高くなる可能性があり、結果、月々の返済負担が予想外に大きくなってしまうかもしれません。

目先の条件だけでなく、長期に渡る金利動向を慎重に見極め、家計への影響をできるだけ抑えられるように11年後の金利までしっかりと確認しておきましょう。

固定金利の再選択には手数料が発生することも

10年間の期間が終了後、契約内容が自動的に変動金利に移行する場合があります。一部の金融機関では、固定期間満了時にあらためて固定金利を選択できるケースもあります。

ただし、固定金利の再選択には、手数料がかかる場合があるので注意が必要です。1万1,000円前後の手数料が請求される場合が多いです。

しかし、金融機関によってはインターネット上での手続きであれば、手数料が無料となるケースもあります。固定期間満了前に、金融機関の手数料ルールを確認しておきましょう。

また、固定金利再選択の手続きを怠ると、自動的に変動金利に移行してしまいます。手数料発生の有無や手続き方法を確認したうえ、適切な金利タイプを選択しましょう。

住宅ローンの10年固定金利のメリット

住宅ローンの10年固定金利のメリットを解説します
住宅ローンの10年固定金利のメリットを解説します

住宅ローンの10年固定金利のデメリットをまとめましたが、もちろんよい点もあります。メリットもあるからこそ、人気の金利タイプの一つにもなっているのです。よい点と悪い点を理解し、自分に合っているか検討してみましょう。

金利の変動リスクが抑えられる

住宅ローンの金利は、いつ上がるかわかりません。金利が上がれば、毎月の返済額も増えて家計を圧迫するリスクがあります。

しかし、10年固定金利なら契約時の金利が10年間は変わりませんし、返済額が上がることはありません。金利変動に振り回されずに、安心して計画的な返済ができるのです。

また、マイホーム購入後は出産や子育て、教育資金の準備など、さまざまな出費が控えていることが多いものです。そのような大切なライフイベントの時期に、返済額が突然増えてしまうと家計を圧迫してしまうでしょう。

10年間は金利が固定されているため、人生の大きなイベントの時期でも、家計への影響を軽減できます。長期に渡って金利変動を気にすることなく、落ち着いて返済を続けられるのが大きなメリットです。

自分に合った金利を選択できる

住宅ローンの金利タイプは、契約時の選択内容が最後まで続くのが一般的です。変動金利や全期間固定金利を選んだ場合、借り換えをおこなわない限り、完済するまで同じ金利タイプが続きます。

一方、10年固定金利の場合は、11年目以降に金利タイプをあらためて選び直せるメリットがあります。10年間を一区切りとして、その時点での自分の生活状況や金利動向を踏まえ、最適な金利タイプを再選択できるのです。

固定金利を続けるか、変動金利に切り替えるかは、11年目以降の生活設計次第で判断できます。場合によっては、自動的に変動金利に移行する金融機関もあるので、事前の確認が必要です。

ただし、固定期間終了後は予想よりも高い金利になる可能性もあるため、あらかじめしっかり確認しておきましょう。

10年固定金利の住宅ローンの注意点

10年固定金利の住宅ローンの注意点は何があるのでしょうか
10年固定金利の住宅ローンの注意点は何があるのでしょうか

10年固定金利の住宅ローンを選ぶ前に、どのような注意点があるのか把握しておきましょう。以下で、詳しい注意点や対策方法についてまとめます。

11年目に入ると金利が変動する

10年固定金利の住宅ローンでは、契約時に決まった金利が10年間は変わりません。この期間中は、金利変動に振り回されることなく安心して返済を続けられます。

しかし、固定金利期間が終了すると、多くの金融機関では、11年目からは自動的に変動金利に切り替わる仕組みを取り入れています。

変動金利に移行すると、半年ごとなど一定の期間で金利が見直され、市場金利の動向に合わせて金利水準も変わるのです。金利が上昇すれば返済額も増え、家計への負担が大きくなってしまうでしょう。

一方で固定金利を継続する場合も、新たな固定金利設定となるため、当初の10年間よりも高い金利水準になってしまうかもしれません。

10年固定金利の住宅ローンを契約する際は、11年目以降の対応も視野に入れて検討する必要があります。金利動向や、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかによって、家計への影響が変わってきます。事前にシミュレーションをおこない、しっかり備えておきましょう。

125%ルールが利用できない

変動金利の住宅ローンには、金利変動による返済額の急激な増加を抑える「125%ルール」という仕組みがあります。前回の返済額の125%を上限として、返済額が設定されるのが特徴です。

しかし、固定金利の住宅ローンでは125%ルールが適用されないケースがほとんどです。固定金利期間終了後に市場金利が大きく上昇した際、返済額に上限がないため、返済額が大幅に増えてしまうかもしれません。

変動金利には増額抑制措置が設けられていますが、固定金利ではそのような措置が設けられていません。固定期間が終了したあとの金利水準次第では、家計に大きな影響を与えるリスクがあります。

最適な選択をするためにも、変動金利と固定金利で利用できる制度なども事前に確認しておくことが大切です。

10年目以降のライフプランを話し合っておく

10年固定金利の住宅ローンは、契約後10年間は金利が固定されるため、その期間は安心して計画的な返済が可能です。しかし、11年目以降になると金利が変動するようになり、返済額が増える可能性があります。

そのため、事前に11年目以降の生活設計について、しっかりと家族で話し合っておく必要があります。特に、子どもの受験や進学費用など、大きな出費が考えられるタイミングと金利変動期間が重なった場合は要注意です。

10年固定金利ローンを選ぶ際は、10年目を一つの節目として、次の10年間のお金の動きをしっかり見極め、対策を立てておくことが大切です。

まとめ

10年固定の住宅ローンには、一定期間金利が変わらず、11年目以降は状況に合わせて金利タイプを変更できるメリットがあります。しかし、期間中は金利タイプの変更ができないことや、適用金利が変動金利と比較すると高めの傾向にあることなどのデメリットもあります。

また、「固定金利」と「10年固定金利」にも特徴に違いがあるため、それぞれの金利タイプをしっかり理解することが大切です。それぞれの金利タイプのメリットやデメリット、注意点を理解したうえで、自分に適した金利タイプを選択しましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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