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住宅ローンの金利交渉はやらないと損!10年固定期間終了後の流れを解説

住宅ローンの金利は交渉次第で下げられる可能性があります
住宅ローンを利用してマイホームを購入した人のなかには、長期固定金利ではなく、3年固定や10年固定といった期間固定金利を利用した人も少なくないと思います。住宅ローンの固定期間が終了すると、同じ金融機関でローンを継続するか、借り換えをするかの選択をする必要があります。ただ、借り換えには手続きがたくさんあって面倒なので、同じ金融機関で金利をあげずにローンを継続できたら……。と、考えたことはありませんか?
この記事では、住宅ローンの金利引き下げについて、そもそも交渉はできるのか、交渉するにはどのようにすればよいのかを詳しく解説していきます。

住宅ローン10年固定期間終了後の選択肢は?

住宅ローン固定期間終了後の選択とは

3つの選択肢のうちどれを選ぶべきなのか

10年固定期間終了後の選択肢は、大きく3つあります。

  • 同じ金融機関で再度固定金利を継続する
  • 変動金利に変える
  • 他の金融機関に借り換える

多くの場合、同じ金融機関でローンを継続する際に変動金利にしても固定金利にしてもこれまでよりも金利が上がります。もし、金利の上げ幅が大きくこれまでの返済額よりも多くなってしまうようであれば困りますよね。もし、他の金融機関にしたほうが金利が下がるのであれば、借り換えたいと思うのは当然です。

借り換えはおすすめなのか

他の金融機関に借り換える際、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

借り換えのメリットとしては、金利が下がればトータルの返済額を少なくできる点です。借り換えにかかる手数料をあわせても、借り換えしたほうが返済額が少なくなるようであれば実行すべきです。

一方、借り換えのデメリットとしては、契約手続きに時間がかかる他、事務手数料などの諸費用など、コストがかかる点です。

以下で詳しく説明します。

【借り換え時の流れ】

  • STEP 1借り換え先の金融機関と交渉する
  • STEP 2事前審査
  • STEP 3本審査
  • STEP 4本契約を結ぶ
  • STEP 5借り換え後の抵当権を設定する

他にも、支払いで使用する金融機関が異なる場合には変更手続きが必要な時もあります。
さらに、現在ローンを組んでいる金融機関とも事務手続きが必要です。

続いて、借り換える際に必要な諸費用は以下となります。

【借り換え時の諸費用】

  • 印紙税
  • 保証料
  • 融資事務手数料
  • 現在の抵当権抹消のために依頼する司法書士への謝礼金
  • 登録免許税

ざっと挙げただけでもかなりの工数がかかるのは明白です。基本的にこのような手続きは、平日におこなうことになります。仕事をしている人は、住宅ロ―ンの契約手続きのために会社を休まなければならないことも。

もちろん、このような雑務があるのを覚悟で、ローンの総額が少なくて済むなら実行したい人は借り換えをしましょう。しかし、上記のような時間とお金にコストをかけたくない人にはとっておきの方法があります。

それは、現在の金融機関でローンを継続し金利の引き下げ交渉をすることです。しかしそんなことは可能なのでしょうか。

住宅ローンの金利引き下げ交渉は可能なのか?

そもそも住宅ローンの金利を引き下げることはできるのでしょうか

住宅ローンの金利を引き下げてもらうことは、実際に可能です。現在住宅ローンを借りている金融機関に対して「条件交渉」をおこなうことで、金利の引き下げを実現できる場合があります。

引き下げ交渉ができる理由

金融機関は、他の金融機関へ借り換えされるのを防ぐために、顧客を引き止めるための努力をおこなっています。そのため、もし他の金融機関に借り換えられる可能性がある場合、現在のローン内容の引き下げに応じることがあります。
「住宅ローンの金利を引き下げてくれなければ、他の金融機関に借り換えます」などといった、条件変更の交渉によって、金利を下げてもらうことができます。

金利引き下げによるメリット

では、金利引き下げの条件交渉をおこなうとどのようなメリットがあるのでしょうか。

  • 他の金融機関での借り換え手続きや諸費用が不要になる
  • 比較的手間がかからずに借り換えに近いメリットを得ることができる

借り換えには前項で挙げたようなさまざまな手続きが必要ですが、条件変更ならばその手間や費用を省くことができます。また、条件交渉は比較的簡単におこなえる場合もあるので、借り換えに近いメリットを得ることができます。

金利引き下げ交渉のための準備

続いて、金利の引き下げ交渉をおこなう前に準備しておくべきことをお伝えします。

  • 複数の金融機関で借り換えの試算をおこなっておく
  • メガバンクで資料集めが困難な場合はネットバンクの試算を準備しておく
  • ファイナンシャルプランナーに同席をお願いするのも有効

金利の引き下げ交渉をするためには、複数の金融機関で借り換えの試算をおこない、本気度を伝える材料を準備しておくことが重要。もし借り換えを検討している場合は、別の金融機関で借り換えの試算を事前におこなうことが大切です。このシミュレーション情報は、条件変更の際に重要な交渉材料となります。実際に複数の金融機関を訪れて試算してもらうことで、借り換えに対する本気度が金融機関に伝わります。借り換え候補の金融機関で作成した書類を持参し、現在借り入れしている金融機関と交渉することをおすすめします。

メガバンクに直接かけあって資料を集めて回るのが困難な場合は、ネットバンクの試算結果を持って現在のメガバンクと交渉しましょう。ネットバンクの試算結果はインターネット上で発行できます。交渉次第では、ネットバンクに近い金利まで引き下げてくれることがあるかもしれません。金融機関は、金利の急激な低下による顧客の流出に頭を悩ませています。金融機関は、少しでも顧客を引き止めたい思いが強くあります。十分な準備をして金利条件変更の交渉に臨めば、金利引き下げに応じてもらえる可能性は高まります。

ファイナンシャルプランナーを同席させ、金利交渉をおこなうのも有効な手段のひとつ。金融の専門家が同席することで、条件変更の話し合いがスムーズになる場合があります。

住宅ローンの金利引き下げや返済期間の延長などの条件変更は、金融機関の個別対応のため場合によっては応じてもらえる可能性があります。住宅ローン契約では、顧客自身が金融機関との交渉を進めることで、大半の場合は金利の引き下げなどの条件変更を実現できます。条件変更が成功すれば、借り換えにともなう手間や時間、諸費用を大幅にカットできます。少しでも可能性があるなら、検討すべきです。

住宅ローンの金利引き下げ交渉の手順

住宅ローンの金利引き下げ交渉は準備をして取り組みましょう

もし、住宅ローンの金利引き下げが実現すれば大変ありがたいことです。住宅ローンの金利引き下げを実現するには、以下のような手順があります。この章では、住宅ローン金利引き下げ交渉を成功させるためのステップを解説していきます。

借り換え先金融機関へ事前審査を依頼する

まず、借り換えを検討している金融機関に事前審査の申し込みをしましょう。引き下げ交渉をスムーズに進めるために、借り換えを真剣に検討していることを候補の金融機関に伝えましょう。

事前審査の依頼する際のポイント

借り換え先の金融機関へ事前審査を依頼する際のポイントは以下のとおりです。

  • 複数の金融機関に審査を依頼する
  • 金利が低い住宅ローンを選ぶ
  • ローンシミュレーションをし、返済計画書を作成しておく
  • 思い立ったら早めに行動する
  • 一括シミュレーションを活用する

複数の金融機関に事前審査の申し込みをし、異なる金融機関の条件や金利を比較しておきましょう。そして、もっとも条件のよい金融機関を選んでおきます。借り換えの目的は金利が低いローンに切り替え総支払額を減らすことです。より金利の低い金融機関を探し、事前審査を依頼しておきましょう。金利の低い金融機関を見つけたら、ローンシミュレーションをしましょう。これにより、借り換え後の月々の返済額や総返済額を把握することができます。ネットバンクでもローンシミュレーションが可能ですが、金融機関に「ネットバンクの住宅ローンとの比較は難しい」といわれてしまう場合もあります。そのため、実際にもっとも金利の低い金融機関に足を運ぶことも検討しておきましょう。

事前審査の申し込み時には、返済計画書を作成してもらい、受け取っておくことが重要です。返済計画書には、借り換え後の返済プランや返済期間の詳細が記載されています。返済計画書を作成してもらうことで、借り換え後の返済負担や将来の財務状況を見極めることができます。
事前審査は結果がわかるまでに1週間ほどかかる場合があります。金利引き下げ交渉をしようと考えたらできるだけ早く行動しましょう。金融機関の金利比較を自分ですべておこなうのはかなり手間のかかる作業です。そのため、インターネットでできる一括シミュレーションを活用しましょう。

今借りている金融機関へ金利引き下げ交渉をする

借り換えの事前審査に通過したら、次は金利引き下げ交渉にはいります。

まず、事前審査に通過したことを金融機関に伝えましょう。そうすれば、借り換えを真剣に検討していることや他の金融機関からのオファーがあることを示すことができます。金利交渉の際には、今の金融機関よりも低い金利の金融機関で受けた返済計画書やシミュレーション結果を必ず持参しましょう。「金利によっては、借り換えも考えている」ことも伝えます。ただし、他の金融機関で借り換え審査が通過しているが、現在の金融機関との関係を大切にしたいことも伝えます。

次に、金利引き下げによるコストとメリットを金融機関に伝えましょう。具体的な例としては、「借り換えにともなう諸費用を考慮しても、現在の金利よりもコストを抑えた金利に引き下げていただけるのであれば、このまま借り入れを継続したい」と述べます。

金利引き下げ交渉では、借り換え審査に通ったものの、今後も借り続ける意思が明確にあることを伝えることが重要です。金融機関は自社の顧客を維持したいと考えているので、金利引き下げ相談に来た旨や継続する意思を積極的に伝えましょう。交渉の際には金利を下げるために、さらにできることはないかも確認してみましょう。例えば、地震保険に加入すれば金利を下げてもらえることがあります。

これらのポイントを念頭に置きながら金利引き下げ交渉をおこなうことで、現在の金融機関との関係を維持しながら有利な条件を引き出すことが期待できます。

交渉結果をふまえて判断する

金利交渉の結果を踏まえて、今の金融機関でローンを継続していくのか、違う金融機関でローンを借り換えるのか決断しましょう。

ただし、継続の場合の金利引下げ交渉が成功したからといっても、金利がもっとも安い金利になるわけではありません。多くの場合は、借り換え希望の金融機関より高い金利になることでしょう。

金利引き下げ交渉をするにあたって、借り換えをする準備として事前審査などをおこないますので手間はかかります。まったく労力がいらないわけではありません。そのため、金利交渉が苦手だったり面倒だと思う人には大変な作業となる可能性が高いです。

最終的には、金利や手続きの手間なども総合的に考えたうえでニーズが合う方法を検討しましょう。

住宅ローン金利引き下げ交渉する際の注意点

金利引き下げ交渉をする際にはどのようなことに注意すればよいのでしょうか

交渉の際に注意すべきこと

金利交渉には注意すべきことがあります。金利を下げて欲しいあまり、強引に交渉してしまうと、担当者に悪い印象を与えてしまう恐れがあります。同じ金融機関で継続して借りたいための金利交渉なので、あくまでも借り換えは検討中で、できるかぎりの金利を正直に提示していただきたい意思を伝える程度にしておくと安心です。

金利の引き下げを実行するためには再審査が必要なことも注意すべき点です。再審査には、返済が遅滞していないことや、収入が減少していないか、勤務先の変更がないかを確認するために、健康保険証や源泉徴収票などを提出する必要があります。

交渉が必ず成功するわけではない

金利交渉をすれば必ず、借り換え希望の金融機関が提示する金利よりも低くなるわけではありません。現在の金融機関が金利引き下げに応じる場合でも、他の金融機関の金利より高くなる可能性はあります。住宅ローン借り換え手続きの煩雑さや時間を考慮すれば、わずかに金利が高いのはしかたないことなのかもしれません。

しかし、どうしても金利の安さを追求したいのであれば、多くの手間を覚悟で他の金融機関へ借り換えを検討しましょう。金利が思ったほど安くはならないかもしれないという意味で、交渉が必ず成功するわけではないことを理解しておくことが大切です。

それでも、住宅ローンを借り換える時に発生する手続きや手数料に比べ、同じ金融機関で金利を変えてローンを組みなおす手間はかなり軽く済みます。金利交渉には少しの負荷がかかりますが、何もしないでローンを継続すれば確実に返済額が増えてしまいます。それであれば、少しでも安く済む可能性がある方法を取りたいと思うでしょう。

交渉は必ず成功するとは限らないですが、成功すればラッキーと思うくらいの気楽な気持ちで臨んでみるとよいでしょう。

仮に失敗してもデメリットはない

仮に金利交渉の引き下げ交渉に失敗しても、借り換えの審査に落ちても、特に問題はありません。その場合は、今の住宅ローンを継続すればいいからです。また、金利の引き下げ交渉や借り換えの審査などには料金はかかりません。仮に失敗してもデメリットはないので、金利の引き下げ交渉にチャレンジしないのはもったいないことです。

金融機関は借り手の返済能力などを考慮して判断をおこない、リスクが高くなる条件変更は応じない場合もあります。特に、金利の引き下げや返済期間の延長などの条件変更は、金融機関にとってリスクが高まるため簡単には応じてもらえません。どの金融機関が条件変更に応じてくれるかを見分けるのは、金融のプロでも難しいと言われています。したがって、応じてもらえるかは実際に交渉して確かめてみないとわかりません。

条件変更の手続き費用は数千円程度であり、負担はほとんどありません。実行しないで諦めるのはもったいないことです。近年の金利低下により、金融機関も条件変更に対して柔軟になってきており、実際に条件変更が受け入れられるケースも増えています。金融機関の実績もそれにともない増えているようです。まずは、チャレンジすることから始めましょう。

まとめ

この記事では、住宅ローンの金利引き下げについて、そもそも交渉はできるのか、交渉するにはどのようにすればよいのかお伝えしてきました。
住宅ローンの金利交渉は失敗してもデメリットがないので、少しでもローン総額を安くしたいなら金利交渉をしないと損です。そろそろ住宅ローンの固定期間が終了しそうな人は、今回お伝えしたことを参考に、金利引き下げ交渉が成功するよう事前準備を十分におこなってから挑みましょう!

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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