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金利差0.1%の違いで住宅ローンの返済額はどう変わる?具体的にシミュレーション!

金利の差が0.1%あると住宅ローンの支払いはどのくらい変わるのか具体的にシミュレーションします
マイホームの購入を検討しているなかで、住宅ローンを利用するならできるだけ金利が低い銀行を探したいと思う方もいるでしょう。住宅ローンの金利が返済金額に反映されるので、より金利が低い銀行を利用したいと思うのは当然です。金利の差は0.1%でも低いほうがよいとは思いますが、実際に計算するとどのくらい変わってくるのでしょうか。

本記事では、住宅ローン金利0.1%分の違いで、返済額がいくら変わるかをいくつかのパターンで検証します。また、ローンの返済を軽くする方法も解説します。住宅ローンの利用を検討していて、金利が変わると支払いがどのくらい変わるかシミュレーションしてみたい方や、住宅ローンの負担を軽くする方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

住宅ローン金利の種類と水準

住宅ローンの金利の種類と水準はどのようになっているでしょうか
住宅ローンの金利の種類と水準はどのようになっているでしょうか

住宅ローンには「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。固定金利は、住宅ローンを組んでからずっと金利が変わらない「全期間固定金利」と、固定期間を指定する「固定期間選択型」に分かれます。本章では、それぞれの特徴と金利水準を紹介します。

変動金利型

変動金利型とは、名前のとおり、市場の動向に応じて金利が変動する金利タイプです。金利の見直しは半年ごとにおこなわれ、利息の金額はそれに連動して上下します。ただし、返済金額の見直しは5年ごとのため、金利が変動するたびに変わるわけではありません。元利均等返済方式を選択している場合には、金利が上昇した時の増加分は利息が増加し、元金の割合が減っています。もし金利が上昇して返済額が上がる時には、これまでの金額の1.25倍が上限となることを覚えておきましょう。これを「5年ルール」、「125%ルール」といいますが、銀行によってはない場合もあります。

固定期間選択型

固定期間選択型とは、固定期間を3年、5年、10年などで選び、その期間は金利と返済額が固定される金利タイプです。指定された期間が終わると、再度その時点の金利で固定期間を選び直します。選択できる固定期間は銀行によって変わり、固定期間終了時に変動金利へ切り替えることも可能です。

全期間固定金利型

全期間固定金利型とは、借り入れからローン完済まで金利が固定される金利タイプです。市場金利が変動しても金利の見直しはありません。借り入れした時点で返済総額がわかるので、返済計画を立てやすいのはメリットですが、現状は一般的に変動金利よりも金利が高く設定されている場合が多く、返済金額が大きくなりがちです。

金利水準

一般的に、住宅ローンの金利は、変動金利型が低く、次に固定期間選択型、高いのは全期間固定金利型の順になります。2024年3月時点の金利水準目安は以下のとおりです。

金利タイプ 最低金利 最高金利
変動金利 0.169% 4.951%
固定金利期間選択型(1年) 0.85% 2.93%
固定金利期間選択型(2年) 0.258% 3.42%
固定金利期間選択型(3年) 0.318% 3.89%
固利期間選択型(5年) 0.5% 4.4%
固定金利期間選択型(10年)定金 0.65% 4.875%
20年固定 1.045% 5.98%
35年固定 1.3% 5.835%

参照:一般財団法人 住宅金融普及協会 住宅ローンの金利情報 住宅ローン金利幅(2024年3月時点)より

現在、メガバンクの普通預金金利は0.001%~0.002%程度なので、住宅ローンの金利は高めに感じるでしょう。しかし、30年程前のバブル経済期では、固定金利期間選択型では4%前後、変動金利では8%とかなり高い水準であったこともあり、現在は低金利の時代といわれます。ただ、2024年3月にマイナス金利政策が終わったことを受けて、各社が金利の引き上げを検討する可能性があります。今後の動向については確認が必要です。

住宅ローン金利0.1%の違いで毎月の返済額はいくら変わる?

住宅ローンの金利が0.1%違うと毎月の返済額はいくら変わるのでしょうか
住宅ローンの金利が0.1%違うと毎月の返済額はいくら変わるのでしょうか

住宅ローンの金利が0.1%変わると、返済金額にはどれくらい反映されるのでしょうか。本章では、借入金額が3,000万円と5,000万円の時を想定して、金利が0.1%変化すると、返済月額がいくら変わるかをシミュレーションします。金利の設定は、0.4%~1.0%までで0.1%ずつ上げて試算していきます。なお、金利は35年間変動しない設定です。

【シミュレーション条件】


  • 借入金額 3,000万円と5,000万円
  • 返済期間 35年
  • 返済方式 元利均等返済

金利 3,000万円 5,000万円
住宅ローン
返済額
金利が0.1%
違う時の差額
住宅ローン
返済額
金利が0.1%
違う時の差額
0.4% 7万6,557円 12万7,595円
0.5% 7万7,875円 1,318円 12万9,792円 2,197円
0.6% 7万9,208円 1,333円 13万2,014円 2,222円
0.7% 8万0,556円 1,348円 13万4,260円 2,246円
0.8% 8万1,918円 1,362円 13万6,530円 2,270円
0.9% 8万3,294円 1,376円 13万8,824円 2,294円
1.0% 8万4,685円 1,391円 14万1,142円 2,318円

借入金額が3,000万円の場合、金利が0.4%と0.5%を比べると差額は1,318円でした。また、借入金額が5,000万円の場合では、金利が0.9%と1.0%を比べると差額は2,318円でした。結果、金利が0.1%変わると返済額が変わっていき、借入金額が多いほど差が大きくなるとわかりました。ただ金利の差は数千円なので、この金額ならあまり差がないように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

住宅ローン金利0.1%の違いで総返済額はいくら変わる?

住宅ローンの金利が0.1%の違うと総返済額はどのくらい変わるのでしょうか
住宅ローンの金利が0.1%の違うと総返済額はどのくらい変わるのでしょうか

住宅ローンの金利が0.1%変わると、総返済額にはどれくらい影響するのでしょうか。本章では、借入金額が3,000万円と5,000万円のケースを想定して、金利が0.1%変化すると、返済総額がいくら変わるかをシミュレーションします。なお、金利の設定は、前章と同様(0.4%~1.0%までで0.1%ずつ上げて試算、金利は35年間変動しない)です。

金利 3,000万円 5,000万円
住宅ローン
総返済額
金利が0.1%
違う時の差額
住宅ローン
総返済額
金利が0.1%
違う時の差額
0.4% 3,215万
3,753円
5,358万
9,731円
0.5% 3,270万
7,560円
55万3,807円 5,451万
2,740円
92万3,009円
0.6% 3,326万
7,429円
55万9,869円 5,544万
5,855円
93万3,115円
0.7% 3,383万
3,403円
56万5,974円 5,638万
9,153円
94万3,298円
0.8% 3,440万
5,447円
57万2,044円 5,734万
2,583円
95万3,430円
0.9% 3,498万
3,630円
57万8,183円 5,830万
6,152円
96万3,569円
1.0% 3,556万
7,804円
58万4,174円 5,927万
9,814円
97万3,662円

借入金額が3,000万円の場合、金利が0.4%と0.5%を比べると、返済総額の差は55万3,807円でした。毎月の返済額の差は数千円でしたが、35年間蓄積されると、かなり大きな差になるのがわかります。借入金額が5,000万円になると、金利が0.9%の時と1.0%の時では97万3,662円の差が出ました。金額が100万円近く違うとなると、大きな差に感じる方が多いでしょう。数十万円の差になるとなおさらですが、0.1%でも金利は低いほうがいいのは明白です。

住宅ローンの金利は下げられる?

住宅ローンの金利は下げられるのでしょうか
住宅ローンの金利は下げられるのでしょうか

住宅ローンは0.1%の金利差が、総返済額に大きな影響を与えます。住宅ローンの金利は少しでも低いほうがいいのは明らかですが、年収や勤続年数の条件により、多少高い金利でもやむを得ず借り入れをスタートしている方もいらっしゃるでしょう。しかし、借り入れを始めたあとでも銀行と金利引き下げの交渉ができる場合があります。必ずしも金利を下げられるわけではありませんが、以下にあげる交渉材料がある場合、交渉が可能かもしれません。

  • 借入先に預貯金がたくさんある
  • 借入先で口座を開設するなど、住宅ローン以外のサービスを利用した
  • 借入時より収入が上がった

借入先に預貯金がたくさんあると、返済能力が高い優良顧客とみなされるので、有利に交渉をできる場合があります。また、借入先で口座開設やクレジットカード作成など住宅ローン以外のサービスを受けた場合には、自行への貢献度が高いと評価される材料になりやすいでしょう。さらに、規模の大きい会社に勤めていたり、公務員の場合には社会的信用性を認められる可能性が高いです。昇給するなど収入が上がった場合も、交渉材料になり得ます。

また、現在の借入先より金利の低い住宅ローンを提供している銀行で借り換え審査を通過している場合は、金利の引き下げ交渉ができる可能性があります。借入先の銀行も、将来見込んでいた利益を失いたくないと考えるためです。具体的な数字を提示して交渉しましょう。

金利差0.1%の違いで住宅ローンの返済額がいくら変わるかに関するQ&A

住宅ローン金利の種類は?

住宅ローンの種類は3つで、変動金利と、住宅ローンを組んでから完済するまで金利が変わらない全期間固定金利と、固定期間を指定する固定期間選択型にわかれます。

変動金利型は、市場の動向に応じて金利が変動する金利タイプです。ただし返済金額は、金利が変動するたびに変わるのではなく、金額自体の見直しは5年ごとにおこなわれます。また、5年後返済額が変更になる場合、金利が上昇して返済額が上がる時には、これまでの金額の1.25倍以上にはなりません。

固定期間選択型とは、固定期間を3年、5年、10年などで選び、その期間は金利と返済額が固定される金利タイプをいいます。指定された期間が終わると、再度その時点の金利で固定期間は選び直しです。固定期間は銀行によって変わり、固定期間終了時に固定金利か変動金利を選ぶので、切り替えも選択肢になるでしょう。

全期間固定金利型とは、借り入れからローン完済までずっと金利が固定される金利タイプです。返済計画が立てやすいのはメリットですが、現状は一般的に変動金利よりも高い金利になるでしょう。それぞれの特徴を理解し、返済計画にあわせて選ぶのが鉄則です。

金利0.1%の違いで毎月の返済額はいくら変わる?

借入金額が3,000万円と5,000万円でシミュレーションをすると、借入金額が3,000万円の時は、金利が0.4%の時と0.5%の時を比べると差額は1,318円でした。また、借入金額が5,000万円の時は、金利が0.9%の時と1.0%の時を比べると差額は2,318円です。金額の差が数千円だと、あまりギャップは感じないかもしれません。

金利0.1%の違いで総返済額はいくら変わる?

金利が0.1%変わると、返済総額にはどのくらい影響するかシミュレーションすると、借入金額が3,000万円の場合、金利が0.4%と0.5%を比べると、返済総額の差は55万3,807円でした。毎月の返済額の差は数千円でしたが、35年間蓄積されると、かなり大きな差になるのがわかります。借入金額が5,000万円になると、金利が0.9%の時と1.0%の時では97万3662円の差でした。毎月の変化は数千円でも、35年間では100万円近くの差になります。やはり、金利は0.1%でも低いほうがよいですし、少しの差でも大きな差になるのは明らかでしょう。

住宅ローンの金利は下げられる?

住宅ローンは0.1%の金利差が、返済総額に対して大きな影響になります。借り入れをスタートしてしまったら住宅ローン金利は下がらないわけでなく、銀行に対し金利引き下げ交渉ができる場合があるのをご存知でしょうか。

例えば、借入先に預貯金がたくさんあったり、借入先で口座開設やクレジットカード作成など住宅ローン以外のサービスを受けた場合、会社の社会的信用性を認められる場合には、交渉材料に得ます。また、現在の借入先とは別で、金利の低い住宅ローンを提供している銀行があり、その銀行の借り換え審査を通過している場合は、金利の引き下げ交渉ができるかもしれません。その場合は、具体的な数字を提示して交渉しましょう。ただし、上記の交渉材料があっても、必ずしも交渉が成功する保証はないのでご注意ください。

まとめ

本記事では、住宅ローン金利の0.1%分の違いで、返済総額がいくら変わるかをいくつかのパターンで検証しました。また、ローンの返済を減免する方法も解説しました。住宅ローンはできるだけ金利が低いほうがいいのは、感覚的にわかっていらっしゃると思います。具体的な計算結果は、本記事のシミュレーションを参考にしてみてください。また、よりよい借り入れを実現できるよう、住宅ローンを軽減する方法も参考にしましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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