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住宅ローンの返済期間は延長できる?できないケースや注意点を解説!

住宅ローンの延長はできるのか、方法とメリットを解説します
住宅ローンを組んでいる方のなかには、返済が厳しくなったため返済期間を延長したいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかしいざ実行しようと思っても、そもそも住宅ローンの返済期間は変更できるのか、どのように変更するかわからなくて困っている方もいるでしょう。

そこで本記事では、住宅ローンの返済期間延長はできるのか、延長をする方法や、延長をした時のメリット、実行するにあたっての注意点などを解説します。住宅ローンの期間延長をしたいと考えている方も、実行するか迷っている方も必見です。

住宅ローンの返済期間延長は可能?

住宅ローンの返済期間は延長できるのでしょうか

結論からいうと、住宅ローンの期間延長はできます。住宅ローンの返済期間延長は禁止されているわけではないので、基本的にどの金融機関でも対応可能です。方法としては、現在利用している銀行で返済期間を延長したり、他の金融機関に借り換えることで返済期間を延ばすことができます。

昨今のコロナ禍や物価高騰で生活が苦しく、住宅ローンの返済に困っている方もいらっしゃると思います。もし、住宅ローンの返済が滞ってしまうと、自宅を失うことになりかねません。そんな時の対策の一つが、住宅ローンの返済期間延長です。今、どうしても返済が苦しい方にとってはうれしい救済策です。

ただ、住宅ローンの返済期間が延びれば、月々の支払金額が減るのではと単純に考えている方は要注意です。たしかに、毎月の返済金額は多少減らすことができますが、住宅ローンの返済期間を延ばすと、それだけ利息がかかる期間も延びて、結果的に総返済額が増えます。どのような影響があるのかを十分に理解したうえで検討することが重要です。

住宅ローンの延長ができない場合はある?

住宅ローンの延長ができない場合はあるのでしょうか

住宅ローンの延長を申し出ることはできますが、希望しても延長できないケースもあります。住宅ローンの返済期間を延長できないケースは、以下のとおりです。

延長すると返済期間が35年以上になってしまう場合

住宅ローンの返済期間は、一般的に35年までです。もともと35年で住宅ローンを組んでいる場合や、返済期間を延長して35年を超えてしまう場合には、受理されない可能性があります。この場合、延長に応じられないと回答されたり、返済期間の再考を求められる場合があります。

延長すると完済年齢が当初の規定を超えてしまう場合

住宅ローンの完済年齢が当初の規定を超えてしまう場合も、返済期間の延長が受理されない可能性があります。住宅ローン契約当初の完済年齢が75歳とあれば、それ以上の完済年齢になると延長はできません。もとより、75歳や80歳まで住宅ローンの支払いが続く設定は、自分への負担も大きくなるとともに、金融機関も敬遠しがちです。延長をすると完済が何歳になるのかよく確認しましょう。

なお、完済年齢は金融機関によって規定に差があるので、検討する時には金融機関に確認するようにしましょう。

返済がすでに滞りがちな場合

住宅ローン返済期間の延長を申し出た時点で、すでに返済を滞納しがちだったり、督促を受けていても応じなかった場合は、延長の申し出に応じてもらえない可能性があります。すでに返済が滞りがちなので、返済期間を延長したところできちんと払ってもらえる確証がないので、金融機関も慎重にならざるをえないからです。延長の申し出が遅ければ、競売にかけられてしまう場合もあります。そもそも住宅ローンの返済が滞らないよう注意しましょう。

住宅ローンの延長はどのようにおこなうの?

住宅ローン延長はどのような手順で進めるのでしょうか

住宅ローンの延長をしようと思ったら、どうすればよいのでしょうか。住宅ローンの返済期間延長の手順は以下のとおりです。

  • STEP 1融資を受けている金融機関に申し出る
  • STEP 2書類を提出する
  • STEP 3審査を受ける
  • STEP 4審査に通過したら実行可能

住宅ローンの支払いは長期間になることが多いので、子どもの教育資金のためにお金が必要だったり、転職や会社の都合で収入が減るなど、一時的に資金繰りが厳しくなる場合もあるでしょう。もしそうなった時で、対処法として返済期間を延長するのが得策と思った場合は早めに連絡をしましょう。返済期間の延長は、基本的にどの金融機関でも対応してもらえます。支払いが滞納してしまう前に、早めに相談しましょう。

返済期間の延長には、変更を申請する申出書などの書類提出が必要になります。金融機関に申し出たら必要書類を受け取り、記入をして申請しましょう。申請には、印紙税などの費用がかかる場合もあります。また、実印が必要になる場合もあるので、必要書類や内容をよく確認しておきましょう。

書類を提出したら審査がおこなわれます。基本的には書類審査なので、提出書類は不備がないように用意しましょう。審査の結果は2~3週間後にわかります。

審査の結果、延長ができると判断されれば、返済期間の延長ができます。ただし、書類を出せば必ず審査が通過するわけではなく、落とされる場合もあります。

住宅ローンの延長をするメリットは?

住宅ローンの返済期間を延長するメリットは何でしょうか
住宅ローンの返済期間を延長するメリットは何でしょうか

住宅ローンの返済期間を延長するとどのような効果があるのでしょうか。以下は、住宅ローンの返済期間を延長した時の主なメリットです。

月々の返済額を減らせる

住宅ローンの返済期間を延長すると、月々の返済額を減らせるメリットがあります。例えば以下の条件で住宅ローンを組んだとします。

借入金額 3,000万円
返済方式 元金均等返済方式
適用金利 1.4%(全期間固定とする)
返済期間 20年間
毎月返済額 約14万円
 
モデルケースの場合、毎月の返済金額は約14万円ですが、返済期間を35年に変えると毎月の返済金額は約9万円になります。毎月の返済金額が5万円違えば、家計に対して与える影響は大きく変わります。

団信の期間が延びる

住宅ローンの返済期間を延長すると、団信(団体信用生命保険)の期間を延長できるメリットもあります。団信は、住宅ローンとともに組む生命保険で、不慮の事故で高度障害になったり亡くなった場合に、住宅ローンを代わりに支払ってくれるものです。

この保険の期間は通常、住宅ローンの借入期間に合わせて設定されます。よって、住宅ローンの返済期間が延びればその分、団信で保障される期間も伸びることになります。

住宅ローンの延長をする注意点は?

住宅ローンの返済を延長をする時の注意点は何でしょうか
住宅ローンの返済を延長をする時の注意点は何でしょうか

延長すれば住宅ローンを払える確証があるのか

住宅ローンの返済期間延長を検討する前に、本当にローンを支払い続けられる確証があるかよく考えてみましょう。住宅ローンの返済期間を延ばしたからといって、返済能力に問題がある場合、根本的解決にはなりません。延長するのが一時的な対策になっても、長期的に支払えない状況であれば意味がありません。

また、住宅ローンの返済期間を延ばすと、当然ながら完済年齢があがります。定年退職後も返済が続くスケジュールになると、家計への負担をあげてしまうリスクが高まります。延長を検討する場合は、返済計画が現実的なものかも注意しましょう。

住宅ローンの期間を延ばす前に、本当に支払える見込みがあるのか真剣に検討しましょう。もし返済に難がある場合、他の解決策も検討すべきです。例えば、住宅ローンの借り換えや、住宅の売却を検討しましょう。

毎月の返済額は減るが、利息の支払いは増えてしまう

住宅ローンの返済期間を延長すると、毎月の返済額は減少する一方で、利息の支払いが増えてしまうことに注意が必要です。

ここで、4章で紹介したモデルケースで、返済総額や金利額を比べてみましょう。前提条件は以下のとおりです。

借入金額 3,000万円
返済方式 元利均等返済方式
適用金利 1.4%(全期間固定とする)
返済期間 20年間
毎月返済額 約14万円

返済期間 月々の返済額 利息 総返済額
20年 14万3,388円 441万2,998円 3,441万2,998円
35年 9万392円 796万4,848円 3,796万4,848円

モデルケースの場合、返済総額は約3,400万円で、利息分は約440万円です。これが、返済期間を35年に変更すると、毎月の返済金額は約9万円になりますが、返済総額は約3,800万円に、利息分は約800万円になります。毎月の返済金額が減ったと思いきや、支払総額は大きく増えているのがおわかりいただけると思います。

返済期間を延長するタイミングにもよりますが、住宅ローンの利息は元本に対して計算されるため、元本が残る期間が長ければ長いほど、支払う利息は増えていきます。毎月の支払いが減ってもその分利息が増えるので、結果として総返済額が高くなります。

さらに、住宅ローンの金利が固定でない場合には、せっかく毎月の返済金額を下げたとしても、返済が長期的になれば利率の変動によって将来の金利変動リスクの影響を受ける場合があります。住宅ローンの支払い期間を延長する前に、メリットデメリットをよく検討して判断するのが重要です。

この記事のQ&A

Q:住宅ローンの返済期間延長はできるの?

A:結論からいうと、住宅ローンの返済期間は延長できます。住宅ローンの返済期間延長は禁止されておらず、基本的にどの金融機関でも対応可能です。ただ、住宅ローンの返済期間が延びれば、月々の支払金額が減るのではと単純に考えている方は要注意です。住宅ローンの返済期間を延ばすと、どのような影響があるのかを十分に理解してから検討しましょう。

Q:住宅ローンの延長ができない場合もあるの?

A:住宅ローンの延長を申し出るのは自由ですが、希望しても受理されないことがあります。住宅ローンの返済期間を延長できないのは、延長すると返済期間が35年以上になってしまう場合や延長すると完済年齢が当初の規定を超えてしまう場合、返済がすでに滞りがちな場合です。このような時は、住宅ローンの返済期間を延長できない可能性があります。

Q:住宅ローンの延長はどのような手順があるの?

A:まず取り扱い金融機関に申し出て、必要書類を作成します。書類の作成には実印が必要だったり、費用もかかる場合があるので、金融機関に確認しておきましょう。次に書類を提出し、審査を受けます。基本的には書類審査なので、提出書類は不備がないように用意しましょう。審査の結果は2~3週間後にわかります。

審査の結果、延長ができると判断されれば、返済期間の延長ができます。ただし、書類を出せば必ず審査が通過するわけではなく、落とされる場合もあります。

Q:住宅ローンの返済期間を延長するメリットは何?

A:月々の返済額を減らせるのがメリットです。例えば、借入金額3,000万円で固定金利1.4%、20年返済の住宅ローンを組んだ場合、毎月の返済金額は約14万円です。返済期間を35年に変更すると、毎月の返済金額は約9万円になります。毎月の返済金額が5万円違えば、家計に対して与える影響は大きく変わります。

また、団信の保証期間を延ばせるのもメリットです。

Q:住宅ローンの延長をする時に注意すべき点は何?

A:毎月の返済額は減りますが、返済期間が延びる分利息の支払いは増えます。結果として、総支払金額は期間を延長する前よりも増えてしまいます。月々の返済金額が減るからといって安易に選択するのはやめましょう。

また、住宅ローンの延長を選択肢にするのは、返済能力があるのが前提です。返済が苦しい時、住宅ローンの返済期間延長が最善の策なのかよく検討して、選択するようにしましょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンの返済期間延長はできるのか、延長ができる場合の方法や、延長をした時のメリット、実行するにあたっての注意点などを解説しました。住宅ローンの返済期間延長には、メリットもあれば、注意点もあります。両方をよく理解して、どのような方法をとるのが返済状況の改善になるのか慎重に検討しましょう。

本記事が、住宅ローンの返済期間を延長したいと考えている方や、実行するか迷っている方のお役に立てたら幸いです。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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